2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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荒川和久氏(以下、荒川):ちょっと話がずれちゃいましたけど、さっきも言ったソロ活市場はというと、私が推計したので国の推計じゃないですけど、国の推計した人口構造とか消費支出というのを合わせると、2030年にはたぶんソロ消費市場が家族消費支出を抜くんです。
これは親元にいる独身も含めてです。一人暮らしの独身だけだとここまでいきません。けれども、今、親元未婚という人がすごく増えています。実はそれが一番賢いんですよ。家賃をちょっと親元に入れても、自分だけで家賃を払うよりぜんぜん安いから、親元で暮らす。
中野信子氏(以下、中野):インフラも使えますしね。
荒川:要するに、親元未婚って、ちょっと頭の固い人は「ニートだ。パラサイトだ」と言うんですけれども、むしろ賢いんですよ。
中野:そりゃそうでしょう。合理的ですね。
荒川:合理的です。今までさんざん人口統計みたいな話をして、「日本はみんな孤独になりますかね」という話を、1個目にしようかなと思うんですけど。孤独をものすごく怖がっている人がいるじゃないですか。
中野:いますね。あれはどうしてなんですか。
荒川:どうしてなんですかね。孤独は、お酒とかたばことかと同じくらい健康に悪いとか。
中野:ちょっとネガティブなイメージがありますよね。
荒川:あります。
中野:孤独という言葉がとても寂しいイメージ、かわいそうなイメージと結びつけられている。ソロでいる人は極力なくさなくてはいけない、みたいな。
荒川:(笑)。
中野:実際のところはそんなことはないわけですよね。1人でいなければ癒やせない傷もあるし。
荒川:あれ、そうなんですか?
中野:だって、人に会うって気を遣うし、脳も使わなきゃいけないから、すごく体力というか脳もエネルギーを使うんですよ。そういう余分なエネルギーを使わないで、癒やすことに集中したくて、1人でいることも必要です。
しかしながら、人間関係の中にそういった癒やしの物質もあるわけです。オキシトシン、愛情ホルモンといわれる物質ですね。オキシトシンを投与した個体と、そうでない生理的食塩水をコントロールして投与した個体では、傷の治り方が違うといいます。オキシトシンを投与したほうが傷の治りが早いという研究がある。ただ、人間でどうかというのは、人間に傷を付けるわけにはいかないので未確認です。
でも、おそらく人間においても、体組織が成長するための役割は果たしているようなので、オキシトシンというのは体を修復したり、精神を安定させる効果がある。そういう物質なんだろうね、ということは言われてはいます。
そのうえ、個体のバリエーションによって1人が向いている人と、多数であることが向いている人なのかも、また調べる必要があるわけですよね。
荒川:ソロでいる人って、シェアハウスが嫌いな人が多いんですよ。
中野:ああ、しっくりきます。
荒川:帰ったときに、ワイワイとかガヤガヤとか、灯りが付いているのがストレスでしょうがないんです。真っ暗で誰もいなくてシーンとして、冬だったら寒い部屋に帰りたいんです。
中野:わかる!
(会場笑)
荒川:わかります?
中野:ごめんなさい。結婚しておいて、旦那さんのことが好きだけど、家にいるとちょっと「ああ……」という気持ちになる。
(会場笑)
1人で30分でもゆっくり寝たかったな、とか頭をよぎる。
荒川:向き不向きはあると思うんですよね。独身の方は1回は言われたと思います。「結婚しないと孤独死するぞ」と言われたことってないですか。
孤独死の問題って絶対あるんです。孤独死ってよくよく考えてほしくて、孤独死しているのは、ほぼ元既婚者なんですよ。今は、高齢で孤独死している75歳以上を例に出すと、75歳の人って、日本が皆婚時代と言われていて、ほぼ100パーセント結婚していた時代の人なんです。ということは、今、孤独死している人はほぼ昔は結婚していた人ですよ。
中野:単純に算数の問題ですね。
荒川:そうです。だから、「結婚しないと孤独死するぞ」じゃなくて、「結婚してても孤独死するじゃん」というような話ですよ。
中野:あまり関係ないというか、むしろ結婚していない人の方が前々から準備できる。
荒川:(笑)。そう。さっきも言った孤独耐性みたいなのがあるじゃないですか。「離婚した男は自殺する」というこの相関。
(会場笑)
自殺率との相関で、よく失業率と相関があるといわれるじゃないですか。(グラフを指して)これは、離婚率と自殺率を取ったんですよ。女の人はまったく相関関係がないんですけど、男はめっちゃ相関関係があるんですよ。0.92って、ほぼ1に近いです。
中野:0.9ってすごくないですか。
荒川:離婚すると、ほぼ間違いなく自殺します。
(会場笑)
……とまでは言えませんけどね。それは相関と因果をごちゃ混ぜにしてしまうので。ただ、相関関係がすごくあるということですよ。
中野:0.9なんて滅多に見ないですよね。
荒川:これは、平成になってからだけのデータを抽出したものです。平成って自殺が多かったですよね。
中野:確かに多かったですね。
荒川:これは本当に男性が離婚に耐性がないということは非常にあって、奥さんにどれだけ依存してるんだよという気がする。
中野:すごくショッキングなデータですね。女性はぜんぜん離婚率と自殺率が関係ないというのがすごいですね。
(会場笑)
荒川:2つめで、ソロ男、ソロ女の特性なんですけど、これだけ見ちゃうとわからないので、既婚の女の人と男の人とどう違うのかというような部分をいろいろまとめました。いっぱいまとめたんですけど、おもしろいものだけちょっと持ってきました。当然ながら1人が好きです。好きだからソロなんです。
(ソロの)女の人の方が男の人より圧倒的に1人が好きなんですよ。そして、愛よりお金です。
中野:あ、それもしっくりきます。
荒川:信じられるものはお金です。女の人の方がお金です。
(会場笑)
中野:これはそうだと思う。一般的にそう選んでいる。私がそう選んだわけじゃなくて、私はどっちかというと逆の選び方をしちゃったなと思ってる。
(会場笑)
これは性差があるといってもそんなに炎上したりしないと思いますけど、男性が女性を選ぶときの選び方、それから、女性が男性を選ぶときの選び方は人に寄るかもしれないんですが、男性の脳では視覚関連領域を使って、もちろん女性の容姿、なんなら尻と胸、もちろん顔を見ます。
女性はどこが活性化していたかというと、視覚関連領域じゃないんですよ。男を選ぶときに活性化しているところがどこかというと、前帯状皮質というところで、前頭葉の一部ですね。そこは、何をしているか。矛盾を検出するところです。
その人が、言動が一致しているか。嘘つかないかとか、子育てをしてくれるかとかをずっと気にして見ている。子育てにコミットしてくれるだけの資産、リソースを持っている男かというところを見る……そんなようなことを報告しているグループがいるわけですよ。
そうすると、実は愛はお金、という考え方も生じやすくなるでしょう。男側は、愛は見た目、ということになるかもしれませんが。女性は、お金だけではないでしょうけど、男性がリソースを自分と自分の子どもに割いてくれる人なのかと見極めようとしているわけだから、納得の結果です。
荒川:そうですね。それが既婚の女性なんじゃないですか?
中野:既婚の人はそうでしょうね。ソロの人はまだそういう人に出会っていないわけですよね。その基準が高すぎて選べていないのか……。
荒川:むしろ、「もう男には頼らないです。私1人で生きていけます」みたいなことですよね。
中野:ああ、そういうことなのかな。ソロ女って、そういうことを決めている人のことですか?
荒川:決めているかどうかはわからないです。一応20代から50代までを幅広く取っています。
中野:私と同世代以上の方でも、まだ婚活されている方ってそういうことなのかもしれないですね。
荒川:ちょっと思ったのは、ソロ男って言っている人たちが、案外ロマンチックに愛とか信じているんだな、という。
(会場笑)
中野:そうですよね。いやあ、そうですよね。
荒川:男のほうがロマンチックだと思いますよ。
中野:私もそう思う。意外とガラスのハートだし、夢見がちですよね。
(会場笑)
荒川:いつまでたっても結婚できるはずとか。
中野:胸がキュンキュンするとかに弱いのはいつも男性のほうのような……。
荒川:容姿にこだわりまくっているとか。それで、ソロのほうが理屈っぽいです。この話、あとで1つのテーマでお話ししようと思います。あと協調性がないです。
中野:ああ。
荒川:協調性があるのは、逆に既婚の女性だけです。これがおもしろいのは、今まで見ていてもだいたいそうで、ソロ男の人とソロ女の人と、既婚男性、いわゆる男性の特性にソロ女の人がすごく似ているんです。
中野:ああ、なるほどね。
荒川:逆にいうと、「1人で経済的に自立していかないといけない」というようなところって、男らしさ規範なんですよね。
中野:そういうことか。
荒川:そういうところ。
中野:男のステレオタイプ脅威が、ソロ女に被さっているかもしれないということですね。
荒川:だから、ソロ女は泣けないんです。
中野:ああ。
荒川:ふだんあまり泣かない。
中野:なるほどね。女は辛いよ、みたいな感じですね。
(会場笑)
荒川:泣くと、女だからと言われるのがやだとかってあるじゃないですか。
中野:結婚しててもありますけどね。
荒川:男は泣きます?
参加者:結婚している男も泣きます。
荒川:ああ、そうですか。
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