2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
リンクをコピー
記事をブックマーク
武井浩三氏(以下、武井):4つ目の問いにいきたいと思います。テクノロジーに繋がりますけど、この「LIVINGTECH」という領域で、これからいろんな社会課題は同時多発的に生まれてきています。
人口減少・少子高齢・過剰供給・価値観の多様化などの社会課題に対して、LIVINGTECHが解決策となり得るのか。すでに解決策みたいな話がけっこう出ていましたけど、他のいろんな社会課題もちょっと頭に置いて、お話していただきたいなと思います。
山口周氏(以下、山口):これ僕は全部プラスだと思っていて、東京はみんな子どもを産むのも大変で。なぜかというと、東京では、子ども1人のためのスペースを作るのがすげー高いんですよ。うちは子どもが3人いるんですけど、端的に言って、子ども3人に個室を与えて、マンションに住もうとすると、むちゃくちゃ高いんですよね。
それがテクノロジーの力でどこにでも住めるとなると、スペースの制約が飛躍的に少なくなるので。少子化や人口減少の問題もそうですが、コミュニティをすごく作りやすくなるので。鎌倉もそうだけど、葉山は老人のコミュニティがすごく活発なんですよね。パブリックスペースはすごくあるので。
スペース代が高いとパブリックはできない。全部プライベートになるわけで、できるだけプライベートの空間がほしくなる。そうすると土地の安い地域にある程度行くと、パブリックスペースも大きくなって、コミュニティみたいなものも出てくるので、いろいろなところで実は効いてくるんじゃないかと、直感的には思いますけどね。
石川善樹氏(以下、石川):僕が思うことですけども、LIVINGTECHがどういうことなのか、わかっていないんですけど。これまではどちらかというと、会社にしろ、家にしろ、その中でいろいろ完結するようにするということで、発達してきたと思うんですね。
例えば、外でやっていた洗濯を家の中でやる。外でやっていた買い物を家に届くように、家の中で完結するようになってきた。あるいは、さっきは「4つのしごと」みたいな話をしましたけど、会社の中で完結するようにするということだったと思うんですけど。
でも、今何が起きているかというと、社会課題ということで、やっぱり孤独なんだと思うんですよね。家の中で完結してもらっちゃ困ると。寂しいんですよ。だから、家の中でやっていたことを逆に外でやるようになっていますよね。
ランドリーカフェみたいな話もそうですし、若い人はジムでお風呂に入りたいとか。これってどういう課題かというと、人口減少とか少子高齢化とか言われても、ちょっとよくわからないですけど「大人になってから友だちって作れますか?」ということだと思うんですよね。
今までは会社の中とか地域で友だちを作っていたのが、転職前提だったり、地元というものがない中で「あれ? 大人になってから友だちってどう作るんでしたっけ?」というのが、たぶん一番の課題なんだと思うんですよ。
それに対して、「テックは何かできますか」ということだと思うんですけどね。ちょっとした寂しさを埋めるのは、テックではできます。エンタメみたいなものがあったりとか。電話みたいなものはちょっとした寂しさを埋めるものですけど、大きな寂しさですよね。
林宏昌氏(以下、林):深いですね。この話もそうなんですけど、どちらかというと、スライドに書いてあるテーマは偏在、偏ったあり方の問題だと思っていて。人口減少も、日本で捉えると減っているんだけども、グローバルで捉えると増えているし、少子高齢化というと日本はそうだけど、アジアで言うと、ものすごく若い国が勃興してきています。過剰供給も、僕らは余っているけど、国によっては足りていないという問題がある。
これは中で閉じて……日本中でも結局、東京で言うと人は多いみたいなことになっていて。僕はこのへんのテーマだと二極化していくと思うんですね。結局、どこでも住めるようになっていく時に、葉山とか鎌倉はこういうような問題がどんどん解決されていくかもしれないんですけど、何の特徴もない地域は、どんどんそういう問題になっていく。
いま僕は地域の人たちとお仕事をしていくんですけど、彼ら側で今後起こってくるのは何かというと、地域にそもそも住んでいた人たち、地元の仕事をしていた人たちが、もはや東京の仕事をするようになる構造にもなるわけで。そうすると地域に住んでいて、労働力だった人たちが、もはや労働力ではなくなることが加速する可能性もけっこうあります。
そうなると、何かプラス面を捉えがちなんですね。移住してきてくれて、こっち側が仕事をしてくれたらいいなということは、みんな考えるんだけど、逆に地域の人たちが、東京の仕事をするようになるとか、僕の会社のロゴデザインをやった徳島の人が、クラウドソーシングで出してくれているみたいなことになってくると、地元の人が地元の仕事をしない構図になっていったりすると。
そうなってきた時の働き手の問題が、もっと深刻になる地域がある地域もあれば、外からもっと人が来てくれて、潤っていく地域も出てくるということで、実は二極化がもっと進むんじゃないかなというのが僕の感覚ですね。
だから働く場所や時間とかが自由になる分、偏在の問題がより深刻化していくんじゃないかなということで、ある部分が感想で、ある部分はより深刻になるんじゃないかという感覚ですかね。ちょっとポジティブな話をしたいですけど。
武井:会場のQ&Aを1つだけでも扱いましょうか。Sli.do にこちらから2つ質問を立てたので、できたら今お答えいただきたいのですけども、「2つ以上の組織に属して仕事をしている」という方がいらっしゃったら、ぜひこれにお答えください。
働くにしても、いろいろ重なり合い始めて、それを「融合」と言っていましたけど、それの実態をちょっと聞いてみたいなという意図だったんです。やっぱりこんな感じで、たぶん、ここからあまり差は出てこない気はしますけども。はい、ありがとうございます。
次はもう1個質問があります。「どちらかというと、仕事とプライベートの境目があやふやだ」。あやふやな質問で、すみませんね。意外とこの会場に来ている人たちは、いわゆる意識高い系が多いんですかね。
(スライドの回答を見て)なるほど。おお、こんな感じ。ありがとうございます。これで何ということはないんですけども、ちょっとコメントのしようがなかった。ありがとうございます。
次は、「仕事を全うする環境でも人と人の関係性というものは、いつの時代も解消されない。未来的に3時間しか働かないと人は暇に耐えられないだろうと話していたが、暇を感じる前に考えることはたくさんあるだろう」。
これは質問じゃなくて意見じゃない?(笑)。人と人の関係性が解消されない、ということで。石川さんの話で孤独というのが、つまり繋がりがない状態だと。これに対して、たぶんここにいる方々のお考えやすでに実践されていることがあると思うんですけども、いかがですか?
石川:孤立はしてないんだけど孤独感がある、ということがあるんですね。予防医学で言うと、孤独はタバコと同じくらい健康に悪いというのがわかってきて、だから孤独というものに興味を持っているんですよね。それでとくに何が焦点かなとなると「大人になってから友だちができましたか?」ということなんですね。これはかなり深いという気がしていて。
柳澤大輔氏(以下、柳澤):僕も言語化していないことで、逆にみなさんにお聞きしたいのですけど、世田谷で武井くんにやってもらっている「セタコン」、鎌倉では「カマコン」という地域コミュニティがあります。大人になってからコミュニティに参加して、マブダチができるんですよ。
なんとなく年齢も下から上までいて、もし学校とか会社だったら、そんなに友だちにならなかったかもな、みたいな人が多いですね。だけど、1つの共通のことをやることによって、なんか仲良くなる。おそらく共通の目的で、共通のことを一生懸命やると仲良くなるというか。
グロービスさんがやっているG1サミットというイベントも、セッションだけでなく、アクティビティが入って、一緒に経営者同士で雪合戦したりすると超仲良くなるじゃないですか。なんとなく損得抜きに共同のプロジェクトをやると、仲良くなる感覚はあるから、本来仕事は、まさにそういうものなんじゃないかと。
仕事の仲間とコミュニティの仲間が劇的に違うとしたら、違うのはなぜなのかは原因がわからなくて、もしかして評価とかお金の報酬の評価額が存在しないから、意外といいんですかね。
そこまで言語化ができていないんですけど、そういう意味でいくと、そこらへんは何なのかというのが解があれば聞いてみたいし。あとは、いくつかあったほうがよいことがあるんですけど、家族ももちろんそうで。家族の中も会社の中も、そういうプロジェクトを一緒にやっている仲間、地域の仲間もあって、そこに優先順位がない感じのほうが、仲良くなれる感じがする。
石川:友だちってどうやったらできるんだろうと、かなり考えたんですけど。くだらないことを一緒にやるのは、くだらないことなんだけど、一生懸命やるというのは大事な気がします。
柳澤:やっぱりそうですよね。
石川:最近コミュニティらしきものがいっぱい出てきているから。サロンとか、それこそネットワークビジネスもそうですよ。宗教も。だから、みんなが寄り添ってやっていることって仕事以外ですよ。やっていること自体くだらないことが多いんですよ。
武井:でも生産性があるものではないですよね。
柳澤:そっちのほうが仲良くなるんですかね?
石川:そっちのほうがたぶん仲良くなる。何かを意義のある目的に向かってやるのは、それは仕事になるというか仕事仲間にはなるけど、友だちにはならないんじゃないかなというのが。
武井:といったところで、この後もう少し話したいんですけど、お時間になりまして。ここで申し訳ないですけども、このセッションを終わりにさせていただきたいと思います。僕があまりにも楽しくて、喋るよりも聞きたいというモードに入っちゃって、本当に役得としか(笑)。
石川:ノートに書いたのは「老人はかゆい!」だけ(笑)。
(会場笑)
武井:といったところで、山口さん、柳澤さん、石川さん、本当にありがとうございました。会場のみなさまもご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。
(会場拍手)
関連タグ:
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには