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SHARING CITY SHIBUYA(全3記事)

渋谷を変えるのは、この街に関わるステークホルダーの人たち 多様な価値観を包摂する“シェアリングシティ”としての魅力

2018年9月8日、渋谷キャストにて「SHARING DAY SHIBUYA 2018」が開催されました。“シェアリングエコノミーから生まれる新しい文化”をテーマに、渋谷区のシェアに関わるさまざまな取り組みと2018年にスタートした渋谷区独自の民泊条例の狙い、そして多くの外国人観光客が集う渋谷ならではの民泊体験・ナイトタイムの過ごし方など、その魅力と可能性について語るセッションが繰り広げられました。本パートでは、最後のセッションとなる「SHARING CITY SHIBUYA」の模様を3回に分けてお送りします(3/3)。

条例緩和で広がる新たな「宿泊」の可能性

上田祐司氏(以下、上田):私もシェアリングエコノミー協会の代表理事として、これまでたくさんの自治体さんとお話ししてきました。しかし、ここまで昼のメイヤーさんと夜のメイヤーさんがガッチリ手を組んで「作っていくぞ!」みたいなことには出会ったことがなくて。

渋谷ならではのそういった連携とともに、「盛り上がっていくぞ」感があることを味あわせていただきました。あわせて、渋谷の未来について、最後にいろいろとおうかがいしたいんですが。例えば、それこそ世界を見てらっしゃる山本さんから、「渋谷産」のお2人に向けてなにかありますか?

「こういうふうになったらいいのにな」「こういうところは渋谷がステキだから、こういうの伸ばしてほしいな」みたいなことがあれば、ちょっと期待を込めて言っていただければ。

山本美香氏(以下、山本):Zeebraさんの話と被りますけども、交通でいうと夜に帰すのもありですが、渋谷に「泊まってもらう」のもすごくいいと思います。

渋谷区民の方が真ん中にいて、いろんな人をもてなしていけるような環境を、区長にぜひお作りいただけたらうれしいなと個人的には思います。

長谷部健氏(以下、長谷部):なかなか区長で作るのは難しいですね。やるのは民間の方なので、やっぱり主人公はそういった区民の方や、区で働く方々です。そういう方がいきいきできるように、当然バックアップはしてあげたいなと思います。

Zeebra氏(以下、Zeebra):それこそ、前に新しくホテルを作るのが難しい法案があったんですが、たしか変わったんですよね?

長谷部:「ラブホテル建築規制条例」という条例が以前はありました。東京でも渋谷と町田市にしかないめずらしい条例なんですけど、これの影響でラブホテルの建築が抑えられてたんです。一般的なホテルの進出も、ここ20年近く抑えられてたんですね。新宿・池袋の半分以下でした。

上田:そうだったんですね。

長谷部:客室の点でも、港区の4分の1ぐらいだったりしちゃうんですよ。「ラブホテルはできないようにするけど、もう少し要件を緩和したいって」いう需要はちょっと増えてきているんです。

現在のニーズは「多種多様な宿泊施設」

長谷部:いまはホテルだけじゃなくて、Airbnbみたいなサービスや簡易宿泊みたいなものも出てきているし、新しくできるホテルもおもしろいなって思います。ロビー運動で地域に開こうとしてくれてたりとかしますよね。

具体的に言いますと、東急電鉄の新しい施設「渋谷ブリッジ」に保育園を作ってもらったり、いろいろ行政的にもお願いしているんです。そこにはホテルがあって、1階のフロントとロビーでは地域の人も気軽に朝ごはんを食べられるようなテイストになっているんです。けっこうラグジュアリーな感じなんだけど、上はシンプルな客室になってて。ドミトリーもあったりします。

上田:やっぱり、宿泊施設のトレンドもだいぶ変わってるんだなぁと思いますね。

長谷部:一方で、そこに「TRUNK HOTEL」っていうゴージャスなホテルもできたりしていて。活発になってきていていいなと思いますね。

上田:宿泊施設のトレンドについては(山本さんが)1番強いと思うんですが、いかがですか。

山本:渋谷の「多様な宿泊施設の準備」が、やはり今の観光客のニーズだと思います。ここまで仰ったようなところもあれば、「普通のお家に泊まりたい」「おじいちゃんおばあちゃんが住んでる一軒家の1部屋に泊まりたい」っていうニーズもある。「古民家を見てみたいんだ」「すごくトレンディな、デザイナーさん作ったところに泊まりたい」っていう需要もあるでしょうし。

実際に弊社のプラットフォームでは、そういった築100年の古民家をリノベして貸されてる方もいらっしゃいます。あとは二世帯住宅で、もともとはお母さんがお住まいになっていたところを貸されていたりとか、そういったいろんな選択肢を準備しやすいっていうところは、グローバルのお客様にとってはすごく大きな魅力になると思います。

あとは、ホテル街とちょっと違うところに泊まれるっていうことですね。渋谷って本当に、少し歩くだけでどんどん表情が変わっていくじゃないですか。その良さを見せられるお手伝いもできると思いますし、観光客の方にも日本や渋谷のステキなところを見せられるんじゃないかなと個人的には思っています。

渋谷区には、古民家も高級住宅街も下町っぽいところもある

上田:その古民家っていうのは、渋谷の話ですか?

山本:渋谷です。

上田:渋谷にも古民家があるんですか。みなさんからしたら想像つかないですよね。

長谷部:渋谷区ってけっこう広いんですよ。と言っても15キロ平方メートルですけど。渋谷駅周辺だけじゃなくて、南の端っこは天現寺とか恵比寿とか広尾のほうまで。北の端っこは笹塚。新宿駅前に「バスタ新宿」ってあるじゃないですか。新宿高島屋とか。あそこ、渋谷区ですよ(笑)。

上田:えっ、バスタ新宿は渋谷なんですか?

長谷部:そうです。甲州街道よりも内側は……なんか、陣地取りみたいな話ししてますけど。

甲州街道より渋谷寄りは基本渋谷区で、オペラシティが山手通りのところにあるんですけど、そこから両サイドは渋谷区になっていますね。

渋谷区っていうと駅前あたりをみんな思い浮かべるんですけど、街も本当に多種多様なんですよね。高級住宅街もあれば、下町っぽいところもあったりしますから。歴史的な価値がある古民家みたいなものも残ってたりしますし、おもしろいですよね。

上田:けっこうおもしろいですね。個人的にも、Airbnbといえば海外にいく時に泊まるイメージでしたけれど、古民家に泊まれると言われたら、普通に渋谷でもいいかなと思っちゃいます。

Zeebra:僕なんかは、旅行しているときにあんまり観光客と思われたくないタイプなんですよ。どこ行っても「そこにいるのが当たり前」のようなふりをしたくて。

上田:ははは(笑)。

Airbnbなら、現地に溶け込みながら観光できる

Zeebra:観光ホテルが立ち並ぶいかにもなエリアに泊まるよりも、Airbnbで人とちょっと違うところに泊まったりするほうが楽しかったりとか、すごいあるので。

山本:まさにそういう方が、弊社のゲストさんだと思います。ホストさんに「行きつけのお店を教えて」って聞けるところがすごく好きっていう方はいらっしゃいますね。

上田:ちなみにみなさん、まずは今日この時点で来るまでにAirbnbというのを知ってたという人、どれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

上田:ありがとうございます。ほとんどですね。ちなみに、使ったことあるぞという方、どれぐらいいらっしゃいます?

(会場挙手)

上田:あっ、けっこう多いですね。ちなみに、日本で使ったことあるぞっていう方?

(会場挙手)

上田:こちらも多いですね。僕はあんまり日本で使ってなかったんですけど。

山本:実は日本のユーザーさんも増えてまして、東京から地方、地方から東京の両方とも、すごく伸びてます。

上田:確かに。

Zeebra:月に2〜3回は地方でライブやったり、DJやったりしに行くんですけど、たまにはAirbnbに泊まってみようかな(笑)。ちょっとおもしろそうですよね。

山本:1人で泊まるのはさみしいから、ホストさんがいるところに泊まると、一緒に夜飲んでくれるとか(笑)。

上田:まさにZeebraさんがおっしゃってた、観光客らしくない生活が送れると。

長谷部:「やばい、すごいの来ちゃったな〜!」って(笑)。

一同:(笑)。

今の時代に合ったルールのある世の中をつくりたい

上田:あっという間に終了時間になりつつありますので、最後に渋谷の未来に向けて「僕たちはこういうことをやっていけるぞ」「私たちはこういうことをがんばっていくぞ」といったお話しをお願いします。

Airbnbさんには、渋谷でこういうことができればいいなといった、未来に向けた一言をよろしくお願いします。では山本さんから順番に。

山本:旅のあり方が今すごく変わっているタイミングだと思っています。今までは大きな企業しか観光業の担い手になれなかったものが、個人でも担えるようになってきています。そういった時代の転換の中で、まず弊社としては、しっかりと安心・安全を確保し、合法的に行なうことにきちんと努めていきたいなと思います。

これだけダイバーシティのある渋谷だからこそ、おもしろい観光をみなさんと実現していきたいなと僭越ながら思っております。今日はありがとうございました。

(会場拍手)

上田:ありがとうございました。ではZeebraさん、お願いします。

Zeebra:はい。僕は先ほど話したように、風営法改正という法律なんて変えられないと思ってずっと生きてきたんですよ。なんですけど、やってみると意外と変えられることもあるんだなっていうことを、まさに身を以って経験しました。

「法律を変える」といった大きなことではなくても、例えば先ほどの条例の話も含めて、どんどん今の時代の人たちの暮らしに合ったルールのある世の中になっていったらいいんじゃないかなと思うので、そういったことを一つひとつお手伝いできたらと思っております。よろしくお願いします。

(会場拍手)

上田:ありがとうございました。

渋谷を作るのは、この街に関わるステークホルダーの人たち

長谷部:シェアエコに関わらず、渋谷区としては「ちがいを ちからに 変える街」を前に進めていきます。でも、この街って、決して住んでる人たちだけの街じゃないんですよね。当然お住まいの方は大事なんですけども。今日お越しの方で、渋谷区民の人ってどれぐらいいますか?

(会場挙手)

長谷部:やっぱり少ないですよね。いま昼間人口が60万人って言われているんですが、住民は23万人ぐらいの区なんです。この街の価値っていうのは、決して住民だけでは作れてなくて、働いてる人や好きで遊びに来る人、学んでいる人、いろんな人が混じり合って価値は作られているんだと思います。

シェアエコについて考えたときに、多様な価値観が交じり合いながらこれからも発展していけるように、もちろん区として、区長としてがんばるんですけども、やっぱり主役はこの街に関わるステークホルダーになるような人たちだと思っています。

僕もがんばりますけど、みなさんの背中も押しますので、ぜひみんなでがんばりましょうっていう感じですね。

上田:ありがとうございます。

(会場拍手)

上田:今日みなさんといろいろお話させていただいても改めて感じたんですが、もうオンラインなのかオフラインなのか、よくわからなくなってきていますよね。要は「もっともっと人と人がシェアしあう」「ふれあう」「コミュニティを作る」そういうことなんで、オンオフはあまり関係なくなっていると。

人と人がふれあっていくということは、根本的に考えるときっとプラスなことなんだろうと思いますし、そういう、「人と人がふれあっていく」という活動を私たちみんなでもっと盛り上げていければなぁと思います。

今日は渋谷区のみなさんも、渋谷区じゃないみなさんもいらっしゃいますけど、きっと応援はしていただけるということでございますので(笑)、みんなでどんどん人がふれあう社会を作っていければなと思います。

では、本日はいろいろな貴重なお話ありがとうございました。以上で終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

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