2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会:さて、ここからは「スペシャル対談パート1」と題しまして、皆さんお待ちかねこの方々の登場です。それではご紹介いたします。ニコ動で大人気、麻生元総理大臣と、中小企業診断士で作家の三橋貴明さんです。よろしくお願いします。
三橋貴明氏(以下、三橋):よろしくお願いします!
麻生太郎氏(以下、麻生):よろしくお願いします。
司会:お二人は、ニコ動はよくご存知だと思うのですがいかがですか?
麻生:よく見ますよ。普通のテレビよりよっぽど信用できますから。
三橋:私もそうですね。結構出るんですけど、コメントを見ながらテレビ番組をやるって、非常に画期的だと思ってます。
司会:ありがとうございます。今日はお二人の対談をニコニコ生放送で放送していくんですけれども、麻生さんには以前独占インタビューでご出演いただいたことがありましたね。
麻生:そうですね、はい。
司会:麻生さんはニコニコ生放送、ニコニコ動画にどんな印象をお持ちですか?
麻生:いわゆる、テレビ局が勝手にいいところだけ途中を繋いで、自分の都合のいいように編成、作り変えられないところが良いところなあ。そこが最大の魅力かな。
三橋:自分の出た番組……本当はいけないんでしょうけど、民放の番組とかもニコ動に投稿されるんですよね。そこでコメントがあるじゃないですか。それを結構参考にして次の出演に活かしたりとか、使いこなしてます。
司会:ありがとうございます。それでは角谷さんがいらっしゃいましたので、ここからはお三方でお話をしていただきたいと思います。角谷さん、よろしくお願いいたします。
角谷浩一氏(以下、角谷):よろしくお願いします。時間は短いんですけれども、景気の問題、それから今は消費税の法案が衆議院で三党合意で上がりました。(この動画は2012年6月に公開されたものです)
この後、景気を良くしてくれないと、消費税は上がるけれども僕たちの生活はどうなるのかと、見てる人たちもたくさん思ってます。今日はそんなところからいろいろお話をうかがいたいと思います。よろしくお願いします。
麻生:よろしく。
三橋:よろしくお願いします。
角谷:麻生さん、今までの政局の流れを見た感想とか、見ていてどんなふうにご覧になりましたか。
麻生:そうですね。民主党が政権を取ってからかれこれ3年になるんですが、この3年間に何が起きてるかといえば、間違いなく「経験不足」「政権担当能力の不足」等々が重なって……今、第二次世界大戦以後、66年間で初めて、デフレーションによる不況というのが起きてるんだと思います。
これをやった経験者は世界中にいない。日本にはもちろんいない。そういう状況だったら経験には学べませんから、歴史に学ぶ以外にない。歴史に学ぶなら、今学ぶべきはやっぱり1930年代の犬養毅内閣、齋藤実内閣の時代の大蔵大臣を7回やられた、高橋是清の政策に学ぶべきだと、私自身はそう思います。
角谷:そこら辺は三橋さん、どうですか。
三橋:今おっしゃった高橋是清という方は、たぶん大恐慌期のアメリカより早く正しいデフレ対策をやって、日本を世界でもっとも早く大恐慌から立ち直らせた偉大な政治家だと思うんですけれども、日本人は意外と知らないんですよね。これは(それ以降)デフレがなかったからだと思うんですが、50円札(の肖像)にもなってるのに知らない。
で、私が『コレキヨの恋文』という……はい、コメントで埋めてください皆さん。「宣伝キター!」とかね(笑)。これを書いたのも、わかってほしいんですよ。デフレ期とインフレ期でやってることは違います。ということでこの本を書いて、結構売れております。ありがとうございます。
麻生:高橋是清のやった政策は世界で評価されました。世界中が、アメリカのウォールストリートの株の大暴落に始まる騒ぎに巻き込まれて、デフレーションによる不況に突入していった。アメリカなんかもGDPが半分になっちゃう。失業率も24%、25%くらいまでいっちゃった。そういった時代に、日本だけがデフレ脱却に成功するんですよ。
デフレ脱却に成功して上手くやったのを見て、1933年の大統領選挙のときにフランクリン・ルーズベルトという民主党の大統領候補がそれを丸々パクって……パクってじゃ品がないね。模倣して、真似して、それをそのまま「ニューディール」という名前の包装紙に包んで世界に見せ、自分の選挙区に見せた。
結果としてアメリカは、今の日本の民主党と違って、当選した後にそのまんま確実に実行して、マニフェスト通りにやって、3年後にGDPはほぼ元に戻し、失業率も12~13%まで戻しました。それが当たった。すなわち、日本の高橋是清がやった政策がアメリカを救い、世界を救ってくれたという事実があまりわかってないという感じがするけどね。
三橋:たぶん、アメリカもそうですがドイツも同じことをやったんですね。ヒトラー政権のときにシャハトさんという財務大臣がやっぱり"是清的"、ニューディール的なことをやったんですが、順番が最後なので。初めは高橋是清だったんですよ。
なんで高橋是清がそういうことをできたのかというと、こういうことだと思うんですよ。アメリカは1929年の株式大暴落でデフレに突っ込んだんですが、日本はそれに先がけて、1920年の大正バブル崩壊ですでにデフレだったんですよね。というわけで「どうしたらいいんだろう」と考える時間があったんです。
今と同じですが、日本が最初にバブル崩壊して、さらにそこにアメリカのバブル崩壊で、ヨーロッパのバブル崩壊で、世界中がデフレになった。
だから私は、今の日本というのは30年代同様に世界でもっとも早くデフレ対策を正しくやって、世界に先がけてデフレから脱却する、そういう運命みたいなものを持ってると思うんですけども、政権がアレなので、たぶんこのままだと無理でしょう。でもやらなくちゃいけないと思ってます。
麻生:今回も同じように、たぶん1989年で株のバブルは終わるんですよ。デフレーションってみんな何となくピンと来てないけど、一番わかりやすいのは株だと思う。38915円だったんですよ、1989年12月29日の終値が。それがピークで、今はただの8000円だから「30000円どこにいったの?」って。消えたんですよ。(※この動画は2012年6月に公開されたものです)
角谷:7000円台のときもありますからね。
麻生:土地も同じように、不動産は90年~91年まで上がってたけど、92年でバーンと土地も終わって、6大都市市街地の平均価格が15%になりました。100万円の土地が15万円になったっていうから、不動産も株という動産も両方とも自分の懐から飛んだんですよ。そこのところが、今みんなの財布がこうなってる、消費が冷え込む一番の元。それが直らない限りは、と思うけどね。
三橋:いわゆる資産デフレというやつですよね。はっきり言って、アメリカもみんな同じことをやってますけど、株とか不動産の資産価格が暴落したら、みんな借金返すんですよ。必ず借金して資産を買ってるので。そこで「金融緩和して金利をゼロにしました」といっても、これでも誰も金を借りない。
こういうような問題を、1945年以降の世界は経験したことがないんですよ。官僚さんもたぶん知らない。結果的に正しいデフレ対策が打てないという状況を、日本はもう何年でしょう、10年……20年続けてるんだからいいかげんに反省しろよって言いたいわけですけど、本当に(笑)。
麻生:そこが一番問題。過去20年間、小渕内閣この方ずっと政府の財政出動、よく言われる公共事業なんていうのがありますけど、こういった政府の支出というものは、公共工事が14兆5000億円から今は6兆円くらいにまでずーっと下がってる。その20年間で前の年より増えたのは、麻生で1回、小渕内閣で1回しかないと思う。だからずーっと下がってる。
今、政府が出動してなんとかしないとっていう先頭を切らなくてはいけないのであって、景気を良くするということはGDPを増やすのと同じ意味ですから、GDPを増やすためには基本的には3つ。個人消費が伸びるか、民間の設備投資が伸びるか、もしくは政府支出が伸びるか。この3つですよ。あとは純輸出とかいろいろあるけど、基本的にはこの3つ。
その2つ(個人消費・設備投資)が全然動かないとなれば、政府が先頭を切って動かす。すなわち公共事業、政府支出というものは、「民間の設備投資が起きる」「雇用が伸びる」そういったところに回る財政出動。だから、子ども手当なんてやったって、子どものために貯金なんてされちゃったら何も波及効果がないんだから。そういったことじゃないのをやるのが正しいので、それを思い切ってやる。
そうすると、政府の態度を見て「おお」と思って、例えば工事業者がブルドーザーを買います、ダンプカー買いますということが起きる。
それは景気が間違いなく回復してきたということを意味して、「おお、政府がそういう姿勢なら」と言って、民間の設備投資という名の事業が起きてくると、初めて雇用を増やして……「これは雇わないとやれねえぞ」ってことで人を雇い、給料が回り、それが消費に回り、そして循環して初めて、今度は消費税やら何やらに入ってくるわけですよ。
それが良くなってから消費税を上げるという順番にしないと。順番が違ってるんだよ、今。
角谷:順番が違うとみんなが言ってるのに、どうして三党合意が決まったんですかね?
麻生:それはね、よく読んでないからですよ。あの中にきちんと書いてあって……その前の麻生内閣のときにいわゆる「付帯条項104条」というのが付いてて、それにはちゃんと「景気が良くなってから」というのが書いてある。それと同じことがあれにも書いてあるんですよ。だから、すぐ上げるようなことを書いてますけど、その条件が整わなかったら上げない。
三橋:そうなんですよ。今回は付帯18条ですよね。その中に強靭化の投資をやるとか、成長戦略を打つとか、名目GDP3%を目標にするとか書いてあって、最後に「増税をする半年前に増税をするかどうかを判断する」と停止を含めて書いてあるのに、どこのマスコミも報道しないんですけど。
麻生:あれは意図的に報道してないと思うね。だからニコ動見てる人たちに、これだけは(知ってほしい)。本当はあそこが一番肝心なところなんだよね。
三橋:あそこだけでいいですよ。一番最後の。
角谷:逆に言うと、来年の秋に国民会議の中身を受けて、時の政権が……まあ来年の時の政権がどこだか誰だかわからないのが、ちょっと国民にとっては不安ですけれども(笑)、政権が判断して上げるかどうかは決まるということですよね。
麻生:そうです。
角谷:ですから本当のポイントは、実は来年(2013年)の秋なんですね。
麻生:10月ですよ。そこが勝負です。半年前までにやることになってますから。その10月までにきちんと対応する。どう考えても今の景気は、あと1年でドーンとそこまで行ってるとはとても思えない。
角谷:となると、状況は上がるのが難しいということになっている……?
三橋:今のままでは絶対無理ですよね。
麻生:消費税? 難しい。
角谷:なるほど。
麻生:不可能とは言わないけど、難しい。
角谷:そこまでの、景気条項をクリアするだけの状況は作れないと。
三橋:例えば、20兆円くらい追加の公共投資をやって国土強靭化して、日銀がインフレ率を2%目標にしてジャブジャブ通貨を発行して、これだったらできるかもしれません。ただし、それが一時的なものに終わっちゃったら、ドーンと落ちる可能性がありますよ。
麻生:これはすごく難しくて、日銀の名前が出たから言うわけじゃないけど、「日銀がお金を刷ればいいじゃないか」って言ってるあんまり頭の良くない人がいるんだと思うけど、お金を刷っただけじゃ、そのお金がどこに行くかっていったら、銀行にお金が行くんですよ。
ところが、その銀行からお金が企業や個人の懐に散って、これをマネーサプライというんだけど、そこらまでお金が全部散らないと……いわゆる金融機関にないお金が個人・企業に行かないと景気が回っていかないんですよ。ただ銀行がじーっとしてただけじゃ。
ところが、日本銀行はかつて竹中平蔵という人のときにただただ刷らされて、30兆円が全然動かずにそこにあったっていう経験が今の白川(方明・元日銀総裁)さんにあるから、絶対出したくないんですよ。その経験があるから。だから日銀にしてみれば、「ウチも刷ってもいいけど、そのかわりおたくもちゃんと景気対策、経済対策をやるんでしょうね」っていう……。
角谷:転がるようにしてくれるんでしょうね、っていう。
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