2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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福野泰介氏(以下、福野):特別支援学校とか、障がい者向けのプロダクトとかやっている方はいらっしゃいますか? あんまりいないですね。今回、ちょうどCode For Japanのコーポレートフェローシップということで、鯖江市に3か月間お手伝いにきてくれた富士通の三ツ山さんに来ていただいております。
三ツ山氏(以下、三ツ山):三ツ山と申します。その節はお世話になりました!
福野:せっかくなので、障がい者の方といろいろヒアリングした結果の、困っていることで特徴的だったところを紹介してもらえませんか?
三ツ山:今回、鯖江市さんのテーマが障がい者に寄り添うオープンデータというところで、3ヶ月間取り組まさせていただきました。障がい者ということで非常に幅広いテーマだったので、大変だったところはあるんですが、みなさんにヒアリングとかさせていただいて、みなさんそれぞれ大変なところを持っていますし、困っているところも人それぞれで非常にありました。
今回障がい者ということで取り組みさせていただいたんですが、やっぱり実際に取り組むにはもっとピンポイントで、知覚障がい者ですとか、聴覚障がい者など、狭く深く取り組んであげた方が、解決になるんじゃないかと気づきました。あと最後に、やはり障がい者の方が自然により良く暮らすためには、我々健常者の意識改革が大事だなというのが3ヶ月取り組んで非常に感じたので、これからはみなさんも障がい者にやさしくなりましょうというか、意識を変えていただければいいかなと感じてました。
福野:ありがとうございます。障がい者の方とか、支援する方たちに集まってもらったアイデアソンを開催したんですけど、こういったイベントをやったのは初だったということで、集まってもらった方も、「こういう場があること自体が非常にうれしい」といっていただきました。
出てくるアイデアが本当に多岐にわたっていて、全部やればいいのではなく、それぞれの障がいをしっかり見て、聴覚障がいや視覚障がいといっても度合いがあったり、組み合わせがあったり。組み合わせもかなりたくさんあります。だからニッチかっていうと、意外とそうでもなくて、世界中で障がいをもって困っている方は何十万人といますので、そういうところをきっちり救うものをちゃんと作るというところが、ビジネス的にも十分ありなのではないかと思いました。
こういった分野も国としても困っている部分でもあるので、何かしら取り組むというか、鯖江市としても障がい者に寄り添うというところがテーマになっているので、まずはこういう形で鯖江市の障がい者を支援している方たちには、「テクノロジーで何とかなるかもしれない」という期待を今まさに持ったところなので、協力も得られやすいという点ではいいのかなと思っています。
ぜひこういった分野でも何かやっていただければなと思います。
竹部美樹(以下、竹部):せっかくなのでコラムニストの本荘さん。
本荘:よそ者で鯖江マフィアに巻き込まれた本荘です。私は新事業の経営コンサルタントをやっておりまして、表向きは多摩大のMBAで教えているっていう説明しているんですけど、こちらにマフィアに巻き込まれたのは2010年くらいですね。伝説のラップで登場したという。覚えてます?
それで、当時はよそ者でいったじゃないですか? それでクレイジーなことを言う人がいっぱいいて、それを普通の首長さんだったら、話だけ聞いて「まあがんばれよ」で終わるのが、まともに取り合う首長がいるということです。だから、最初僕は、どういう街なんだろうかと思っていたんですけど、福野さんとか「鯖江をシリコンバレーにします」とか言って、「この人何言ってるんだろう?」って思いました。
それが2010年くらいで、2012年になると、突然「電脳メガネサミットやります」って言いだして、先ほどもEPSONの津田さんも言ったように、知っている人は知ってるんだけど、世の中一般的に言ったら「は?」って。それを鯖江のホールで大々的にイベントやっていただいてありがとうございます。それで結局大体、実際は全部竹部さんがやっています。(笑)
(一同笑)
竹部:いる人たち、いる人たち(笑)。
本荘:竹部さん、当時あれやっていて、それから6年後、こんなふうになるって思ってた?
竹部:正直私も福野さんがシリコンバレーにするって言っているときに、「面白い事いう人だなあ」と思って、あんまり気にしていなかったというか、スルーしていたんですけど、ただ福野さんが言っていたことって、全部当たるんです。オープンデータもそうだし、電動メガネもそうだし、今度はIchigoJam。これは、「この人が言っているのは間違いないな」と今思っているので、福野さんが言っていることは、全部やるって言っています(笑)。
本荘:そういう意味では、もう教祖様に近いですよね(笑)。ちょっとビジネス変えたらウハウハですごく儲かると思うんですけど、何が言いたいかというと、東京で一生懸命大企業でやると、どうしても直接のミッション、短期の利益、それで何がメリットなのかということを問われてしまうので、すぐに結果が出ないとなかなか大変というところがあるんです。
でも鯖江マフィアのいいところは、すぐのリターンとか結果を求めない! ラブでつながってしまうのがすごいなと思います。なので、結果が逆に長期的に出ているのではないかと思いますので、みなさんつながる場合には「市長、国のプロジェクト一緒にとらせてください」とかいう短期的な目標ではなくて、ラブでつながると、それが3年後か5年後かわかりませんけど、花が開くと思いますので、みなさんラブでつながっていただければと思います。
福野:ありがとうございます。そんな鯖江ですけど、1つ気になっていることがありまして、このまえ東洋経済の記事になっていましたが、日本は年間500校廃校になるんです。500校母校が消えていくんですよ? それだけではなくて、日本の公共団体も含めて持っている不動産資産って、民間で日本全体の半分くらいあるんです。
日本の公共団体が2~3割持っていて、その大半が一体どういう状況にあるのかを把握し始めたのがここ数年のことであるという、目を疑うようなことが書いてあります。実はそういうものをこれから維持管理していくための試算は、これからするみたいな状況にあって、意外と日本やばいじゃんみたいな、鯖江市でも維持管理で年間80億くらいが試算されています。
福野:なので、今一見普通に生活していますけど、それが普通じゃなくなる未来がいよいよ近づいてきているということなんです。そんな中で、自治体にとってヘルプ信号って出さないんですけど、実際結構大変な気がするんです。鯖江市としての課題はどういうところにあって、どういう手助けがあるとうれしいですか?
牧野百男氏(以下、牧野):これはもう、アプリ開発もしていただいて、結構市民の中でもわかるようになってきましたけど、道一本なくすっていうのは大変ですね、橋一本落とすって言っていったら社会問題になりますもんね。そういうものでどうやってこれから理解を深めていくかなんでしょうが、やはり日ごろからフロー社会になったのが間違いですね。
理解はしてもらえるんですが、いざ実際にそれをやっていこうとすると大きな問題になるでしょうね。私どもが今やっているサテライトオフィス事業なんかも空き家活用なんですけど、今ある地域資源をどうやって長寿命化させるかということなんだろうと思います。それをこれから公共施設の維持管理計画の中で、計画的にやっていくしかないのではないでしょうか?
今は一般から空き家は小さい町でも1,000件ほどありますから、使える空き家というのはせいぜい200件くらいでしょう。それで空き家を早めに申告してもらわないと、ボロボロになってから申告されてもどうしようもないですから。とにかくみなさんにも、空き家情報は早めにと言っているんですが、なかなか自分の財産を空き家って言われるのが、メンツがあるんですかね?
なかなかいざ使わせてくれってなると、「いやお仏壇がある」とか、「息子が帰ってくる」とか言ってなかなか使わせてもらえないんですが。そこらへんをもう少し変えていかないといけないでしょうね。
福野:なるほど。メガネで解決するのは難しそうですね。
牧野:大変ですよ、メガネ工場も漆器工場も。
福野:実際問題、人口が減っている中で、維持管理に回せるような税収がないのが問題なので、やっぱり鯖江の産業を盛り上げるのが一番てっとりばやい解決かなと思います。
牧野:そうですね、それは地域活性化、産業活性化になりますよね。やっぱり税収に頼る部分っていうのはどんどん増えると思いますけど。それよりもやっぱり、市民の参加と協働とか、いわゆる市民力、地域力って言われますが、そういったものが求められる時代にはなりましたね。
牧野:今回の大雪で本当につくづく思いました。これだけの大雪で税金払っているので当然うちの前の雪かき当たり前だろうっていうね、そういう感じがやっぱり強いですね。なかなか限られた財源と人員の中で、それだけのことに答えることはできませんから。
福野:除雪車が1回出動すると、鯖江市内で2,000万かかるって言ったじゃないですか?
牧野:排雪すると倍かかります。小さい町でも1回出ると4,000万。僕がこの前ちょっと言ったのは、うちの小中学校のグラウンドなんかも、だんだん古くなって土入れ替えないと使えなくなってくるんです。大体1校2,000万円なんです。だから、除雪を我慢してくれれば学校のグラウンドの土の入れ替えが2校できるんですって言っても、なかなか理解してもらえないでしょうね。
福野:そういうのを見える化しましょう。除雪車が走っているとメガネをかけて見るとお金をまき散らしながら走っているとか(笑)。
(一同笑)
実感をわかせるというのは大事だと思うんです。オレオレ詐欺とかも、このOKボタン1つでお金がバーッと飛んでいくイメージがあれば、押さないと思うんです。これが鯖江市が管理している橋梁、約500あるやつですけど、赤いのは若い橋で、黒っぽい橋は古い橋とかです。普段通っている道がそんなに古いことって、見てもわからないですよね。ここは73歳橋ですから。
こういうものも、普段かけているメガネで、橋通過するときに「この橋は70年前にできた橋です」とかいうのもわかっているとか、「ここを建て替えるのにいくらする」っていうのが見えるとか。そういう感じでどんどん見える化することで、市民への理解、この橋なくなれば、この橋を何年もたせることができるとか、そういうのをどんどんオープンデータ化して、我々の方で見える化するとか。
鯖江市に行くとなんでもお金になって見えるみたいな、そういう状況を作れると市民の意識も変わっていくのではないかなと思います。さすがに、目の前のこの道を除雪するのに何百万かかります、自分で払えますか? ってなったらみんな、じゃあやろうって自分でやると思うんです。という意識改革にもぜひメガネを使いましょう(笑)。
牧野:これはけっこう反響があったね!
福野:反響あったんですか! 全然反響なくてびっくりしていたんですけど、あったんですか?(笑)
牧野:業者は結構みんなありました(笑)。
福野:なるほど、静かな反響はあったんですね(笑)。それはうれしいです。
牧野:「よくだすの?」って言われました。
福野:本当に僕も思います。これだけ見ていると不安しかないです(笑)。ということで、時間もそろそろ予定の時間になりつつあるので、ここで恒例の、最後に夢をそれぞれ、竹部さんから。
竹部:女性的な感覚って言ったらほかの女性に怒られてしまうかもしれないですけど、私、あんまり戦略たてるとかってやらなくて、目の前のことをとりあえずやるという風にやってきて今があるので、あんまりこういうことをやりたいというのがないのです。とにかく私は鯖江ですけど、月に2回とか東京に出てきたりしています。
すべての地方においてそうですけど、人がいなくなっているだけではなくて、本当にいろんなものがなくなっています。東京に一極集中している、人とかお金とかスキルとかみなさん方のノウハウとか、企業さんが持っている物とかたくさんあると思うのですが、それに頼らないとなかなか難しい状況になってきています。
なので私もたくさんこうやって東京に来ているので、何かしらつながらせていただき、いろんなことを取り組ませていただければと思っています。
逆に東京じゃできないことってあると思います、先ほどから申し上げているように、実証実験だったりとか大きい規模だとなかなかできないことが鯖江だと課題も明確に見えてくるし、そういうものを解決するためのなにかを一緒に取り組ませていただいて、1つモデルを作って、それを鯖江モデルとしていろんなところで使われていかれればいいかなと思っています。
(会場拍手)
小松原一身氏:めがねのまち鯖江で、日本の国内では生産シェア95パーセントくらいありますが、ピーク時の約半分くらいなんです。事業者も働いている人も、これから後継者になりたいとか、いろいろあります。世界を見ますとメガネの需要はすごく伸びてるんですけど、メガネの産地はなんとか辛抱しながら横ばいです。
「次何しようか」とか、「どうしようか」とかそういった状況の中で、100年培ってきたメガネの技術を横展開で、今はメディカルとか電脳メガネサミットを2012年からスタートしていただいて今日まで至っていますが、そのチャンスを活かしてメガネの聖地、電脳メガネの聖地といわれるくらいに鯖江を成長させていって、次の100年に向けて、我々のこどもとか、何か新しいIT関係も鯖江でやっているというような夢とか希望の持てる産業、そして街にしていきたいなと思っております。
(一同拍手)
牧野:福野さんと一番最初に話した時に、日本のシリコンバレーは12年前ですよね? 12年前に言われて、最近ちょっと現実に近くなったと思っているんですけど、サテライトオフィス事業はもう4社決まって、あとまだ数社あるんです。やっぱりこれはIOT、ビックデータ、ロボット、AIの先端をいくような第四次産業革命のいろんなモデルができるような街に、僕はなってくるのではないかなと思っています。
そういう街にして、若者が首都圏流出しているのが当事者の大きな課題です。とくに女性です。やっぱり雇用の場をそこで求めて地方の活性化をやっていくのが大きな意味があるんです。そして住みたい街働きたい街を目指していきたいと思います。
(一同拍手)
福野:長い時間お疲れさまでした。東京にも本社はあるんですけど、私の住所は鯖江市で、鯖江に開発センター兼本店があります。そこで商工会議所というところに今年から入ってるんですけど梵の酒蔵は異常です。
超ハイテクな酒蔵工場で、酒樽は三段階に分けた温度調整で、自然対流というか、あえて対流を起こさせてそれで味づくりをするというハイテク酒蔵は獺祭にも提供しています。そのお酒を持ってきた懇親会が、今日今から開始されます!
(一同拍手)
牧野:社長から聞いたんですけど、最近はお酒造りの時にバッハの音楽をかけながら……(笑)。
竹部:めちゃくちゃでっかい音でバッハの音楽とかをかけています。このお酒のときはショパンとかって分けているみたいです。そういうかたちで音楽をかけて愛情をかけたお酒を今回持ってきておりますので、ぜひ飲んでいただければと思います。
福野:そういうかたちになります。個人的には鯖江は夢の塊なので、これからもがっつり鯖江で楽しいモノづくりをしていきたいと思います。ここからは飲める方は、飲んでいきながら、楽しくいろいろと夢の話をできればなと思っております。ありがとうございました。
(会場拍手)
本荘:だまされたと思って、1回鯖江へ行ってください(笑)。
(一同笑 )
牧野:ぜひお待ちしておりますので、よろしくお願いします!
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