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めがねのまち鯖江だからこそできる次世代産業創出(全5記事)

JK課からメディカルバレーまで 鯖江市長・牧野百男が語る、「メガネ」だけじゃない次世代のまちづくり

2018年2月22日、SENQ霞ヶ関にて、「電脳メガネサミット2018 in Tokyo」が開催されました。メガネの生産量日本一の街、福井県鯖江市で行われていた電脳メガネサミット初の東京開催となる今回は、実際にスマートグラスを販売しているメーカーや鯖江市長をゲストに招き、熱いトークセッションを繰り広げました。第2部「めがねのまち鯖江だからこそできる次世代産業創出」では、鯖江市長、牧野百男氏が登場。ほか、鯖江市で活躍するゲストを招き、次々に先進的な取り組みを行う鯖江の産業創出を紐解きます。

次世代のものづくりに向けた取り組みを発表

竹部美樹氏(以下、竹部):では、「めがねのまち鯖江だからこそできる次世代産業創出」ということで、全員鯖江メンバーでおおくりさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

(一同拍手)

福野泰介氏(以下、福野):第2部の時間を少し長めにしているのは、鯖江の話をどんどんと自慢しているのではなく、みなさんご参加いただいている中で、「こんなことやってほしいんだけど」という無茶ぶりを市長にするという時間にしております(笑)。

なので、ぜひいろいろご質問いただければと思います。それでは、始めさせていただきます。

実は電脳メガネサミットは、2012年が第1回です。2011年からさばえIT推進フォーラムというかたちで鯖江のITの取り組みが始まりました。第1回はITを使っていこうみたいな回だったんですけど、みんなに好評で、第2回も同じことをやってほしいというリクエストがありました。同じことをやるのも面白くないなということで、ちょうど先ほど第1部であったMOVERIOが登場し、これだということで、急遽「電脳メガネサミットやろう」というなって開催となりました。

実はそのあとも、電脳メガネサミットとかコンテストとかさまざまなイベントを鯖江市は続けております。先ほどOTON GLASS の発表がありましたけど、2014年鯖江で電脳メガネコンテストを行い、そこでOTON GLASS のプレゼンをしていただいたことがあります。ありがとうございます。

それでは、さっそくパネリストの鯖江市長からご紹介したいと思います。鯖江市長は今何年目ですか?

牧野百男氏(以下、牧野):4期目……14年目です。

福野:今ではITの街づくりだけではなくて、鯖江市役所JK課などのゆるい……ゆるいではないですね(笑)、新しいというか、ゆるい市長……いい市長として、全国にその名前が轟きつつあるということで、事業を紹介しながらやりたいと思います。それでは市長、よろしくお願いします。

牧野:さっきからいろいろなことで紹介していただいて、本当にありがとうございました。

東京で初めてやって、こんなにたくさんの方、いろいろな方がお見えになったというのはやっぱり東京ですね(笑)。3回とも鯖江だったんですけど、やっぱり東京でやってよかったなって、夢があるなと思いました。本当にどうもありがとうございます。

メガネだけじゃない鯖江の魅力

牧野:メガネのまち鯖江だからできる次世代産業創出ということで、そこらを中心にやらせていただきます。私の街は、街全体が1つの工場という感じになっておりまして、メガネにしても繊維にしても漆器にしても、すべての産業が専業化された分業体制の中で、一つひとつの工程が育まれているという、そんな街でございます。

メガネなんかも金属だと250工程あると言われますし、プラ枠ですと100工程、繊維も川上から川下ですと相当な工程がある。漆器も技術でいったら蒔絵、沈金までいくと50工程以上あります。それぞれがその工程の一つひとつを大事にして完成品を目指すということで、まさに街全体が工場で、頂上を目指して常にイノベーションの中で産業が今日の発展に生きるというのがこの街でございます。

今やっているのも、鯖江にいて幸せだなと思うのは、「めがねのまち鯖江」ていうことで地域ブランドを売っているのですが、繊維はどうでもいいのか、漆器はどうでもいいのかっていうの人は割と少ないんです。といいますのは鯖江だけでも8割以上の主産地でございますし、鯖江を中心に、鯖江と福井で、96パーセントを占めています。

鯖江の「顔」はメガネで全く問題がないのですが、東京に来ても「めがねのまちは知っているけど他は全然知らないな」って、漆器があるとか繊維があるとか、ましてや西山公園はまったく知らんと、こんな感じになっておりますので、これからめがねのまちといえば素晴らしい漆器産地もあるなと、あるいは航空宇宙産業に通じるような繊維産業もあるんだとか、素晴らしい人情もあるとか、自然環境があるという、そういう街を目指していきたいと思っております。

それで、これから漆器も1500年の歴史があり、とにかく継体天皇の時代からですから、生業として始まったのは鯖江が一番古いというように言われております。メガネでも明治38年からですから、113年経っております。非常に長い歴史をかけて培っているわけでございます。次の100年、ようは50年先も100年先も、とにかく「めがねのまち鯖江」が存続してほしいという気持ちです。

前倒しで小中生にプログラミングを指導

牧野:それで今一番真剣に取り組んでいるのは、国連の中で採択されました、SDGsです。企業の方ではSDGsは非常に盛んなわけでございますが、自治体となるといま一歩ということで、私のところでキックオフミーティングをやったのですが、なかなか市民に理解をしてもらうことが難しく、今悩んでいます。

とにかく私のところは、街全体がSDGsの街のような感じでございまして、まさに伝統と革新ということで今日まで持続できる街があったのも、イノベーションのなかで新商品、新製品開発、あるいはまた最近では今日のテーマである新産業創出まで鯖江は発達しています。ということで、これからも持続可能な開発目標の全体的な17の目標と169のターゲットの中で地域活性化を目指した将来のある鯖江の街づくりに取り組んでいきたいと思っています。

それで、私が非常にうれしいのは、今、文部科学省の学習指導要領が2020年からプログラミング教育もはじまるのですが、私のところは、すでに4年前から取り組んでいただいております。来年度からは2年前倒しで全小中学校でプログラミング研..修を英語教育とともにやっていこうと思っています。とにかく次のITエンジニアを作っていく取り組みも今、真剣に行っています。これも竹部さんと福野さんのおかげでございます。

とにかく今Hana道場でこのような研修をやっていただいて、どんどん輪が広がってるという状況でございます。

(スライドをさして)これは空き家を活用したサテライトオフィスですが、SDGsの基本にもとるような、空き家を活用した、東京での本社のなかでの機能を少しでも鯖江の方にもってきたということで、今総務省の委託事業でやってきたんですが、これがだんだん増えてきまして、最近ではSUI PRODUCTSとかLIFULL FaMという会社がこちらに来ていただきまして、SUI PRODUCTSはいわゆるインターンシップの学生さんもこちらのほうで、将来のクリエイターとして育てていくという事業にも取り組んでいます。

リパッケージして海外展開を行う

牧野:LIFULL FaMはお子様連れの、もちろん主婦を対象にしましたweb制作を通してITのスキルアップを図るというような取り組みもしていただいておりまして、そういった面では非常にありがたいと思っています。

次に、とにかく新しい産業による活性化の中で、地域が持続できるので、(スライドをさして)これはチタン加工を駆使したウェアラブル端末です。スマートグラス、先ほどいろいろと話題になっておりかなり進んでおりますし、とにかくメディカル分野というのは、チタン加工で手術の器具が500アイテムほど作っておられますが、これは海外展開からこういったメディカルバレー的なものも鯖江の方でどんどん発展していいます。

これもすべて専業化された分業体制の中で、メガネと同様に1つの町工場的なものでこれから活かされるのかなと思っています。

今産学官の連携による事業をやっているのですが、これなんかもまさにそれなんで、慶応大学でやった取り組みではリパッケージ事業が中心なんですが、今ある、底に眠っているようなものを新しい装飾を施して、海外展開向けに売っているというような、コーヒータンブラーとか、アンブレラーボトルとか、これもお盆を加工してやっているんですけど、このようなものも、今ある資源を加工して、新しい商品としての付加価値を求めることもやっております。次(のスライドを)願いします。

それで、最近では、電気通信大学連携協定の中で、ウェアラブル端末の方、あるいは医療の方、これの分野も地域業者との提携の中でいろんな事業展開をこれからもやらせていただきたいと思っています。電気通信大学と連携協定を結んでいるわけですが、これにも何企業かの参入を得ております。

働く場とかは常に、求人倍率も東京に次いで高いところですし、住みたいやすい街でもうちの街なんて大体ベスト10に入っているのですが、じゃあ住みたいか働きたいかっていってもトントンしてしまうので、住みたい街、働きたい街に転換していくのが、これからの大きな挑戦です。

鯖江は実証実験をできる土壌が整っている

牧野:とにかくオープンイノベーションで今日の既存産業の発展もございますし、これからも後継者を育てる、起業家を育てる、それからこれらを支えてきた女性に焦点を当てて働き方改革を含めたものでの、自治体の持続可能性などに取り組んでいきたいと思っています。

こういった取り組みの中で、今国連の方から、私どものモノづくりのなかでの女性活躍というものが注目を浴びておりますので、今度5月31日に国連のカンファレンスの中でスピーチする機会をいただきましたので、そういった面でこれからSDGsに向けた鯖江の取り組みというのを国内外に発信していきたいと思っております。

私たちの街はいろんなことの実証実験の土壌が優れていると思っており、みなさん方の新たな挑戦を期待して待っておりますので、どんどん挑戦していただきたいと思っております。そして、実際の中でロールモデルとなれるような、そんな街にしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。今日は本当にどうもありがとうございます。

(一同拍手)

福野:ありがとうございます。鯖江市で2012年にたった1個で始まったオープンデータの都市が、今は302都市、全都道府県に広まりましたし、鯖江市の取り組みが日本中、世界中に広げていくっていうのもぜひやりたいですね。

牧野:すごいですね、福野さんの力で福井県と9市8町すべてで取り組んいますから、本当に福井県が先進県になりましたもんね!

福野:はい、ありがとうございます。ここからどう広げていくかというところを考えていますけれども、鯖江市、そして福井県を見れば見るほど、素晴らしい、空気がすごいなと思います。

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