2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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中川コージ氏(以下、中川):あと2つだけ話題にしますが、(中国の)500メートル球面電波望遠鏡は世界最大ですよ。
生田よしかつ氏(以下、生田):なにこれ、望遠鏡?
中川:望遠鏡。中国自体の言い方としては、宇宙の観測だったり通信だって言ってるけど、そりゃあねえ、みたいな(笑)。それは違うよね、みたいなことがあるんですけど、これはもう2016年に稼働しています。これはサイバーと宇宙に関わるところです。それから“一帯一路プラス”。ちょっとこわいのが、結局ここなんですよね。要はロシアと中国が完全に握った関係を見て、いろんな意味で僕は連携の利害一致と書いたんですが。
AI政策、エネルギー政策での利害一致だったり、西への軍事経済的な拡張路線ですよね。あとアメリカに対する競争力の強化という利害一致。それから隣国。要は戦って消耗戦になるのもいやなので、2人(ロシアと中国)の利害一致。陸続きですからね。
ロシアと中国の握りがだいぶ見えてきて、一帯一路と言っているけど、僕は“一帯一路プラス”だなと思っていて。両方で手を組みながら「こっち行きましょう」というのが、だんだん見えている。これは去年くらいからかなり連携の動きが見えてきたところですね。それまではぼやっとしてたんですよ。習近平さんは本当にそういうの上手いの。一帯一路とかも、最初はぼやーっと始めて。
生田:ぼやっとしてるもんね。
中川:そう。なのに、結局最後に着地するところはけっこう考えてゴリゴリに権力を集中させてくる感じなんですよね。
生田:そうだよねー。
中川:だから今回、これはけっこうこわいなと思って着目をしています。
大澤咲希氏(以下、大澤):この笑顔がすごくこわくなりますね。
生田:近平ちゃんがしばらくずっとトップにいるってことはちょっとおっかないね。これで戦略的に行かれちゃったらさ。
平:日本はもう規模感が中国にかなわないので、さっきも言ったように「どうせ中国なんて」と思ってる人がけっこう多いんだけど。
生田:それはもう捨てなきゃだめだね。
平将明氏(以下、平):今度、(中国の)深圳というね。
生田:経済特区だね。
平:Tencentの本社とかパウウェイとか。このTencentの新社屋なんかすごいよね。見たらびっくりするよ。だから、やっぱり行ってみたらいいと思います。
あと、さっき言った暴動とかガバナンスに中国共産党が入ってるから、ものすごく捻じ曲げられてるんだろうと思うかもしれないけど、ものすごく経済合理性があって、中国共産党にとってプラスのうちは「もうどんどん自由にやってください」と。中国共産党がOKだせば、その時点で特区だから。
生田:そうなんだねー。その速さはね。
平:そこはスピード感はあるし、みんなMBAをとってる連中だから、本当に合理的ですよ。
生田:そうだよね、みんなアメリカ・ヨーロッパに行って勉強してきた連中がいて。頭のいい連中がやってるんだもんね。
平:頭のいい連中がやってるでしょ。だから、それに日本一国で対抗するというのはありえないので。だからちょっといいですか。これ(一帯一路の図)なんかも、ここがロシアと中国の国境線だったわけですよ。ここでもめてると、中国は南に出てきにくいんですよ。
でもここ(ロシアと中国)が今は仲良くなっちゃってるので。たしか数年前に、ここは境界線が確定したんだよね? だから今、中国とロシアは争いがない。そうすると中国は何ができるかというと、安心して南の海に出てこられる。それが南シナ海だったりするわけ。
それでもっと言えば、太平洋に出て行きたいわけ。ここが列島線で、ここは尖閣諸島で、ここは沖縄なわけですよね。それで日本がここをガードしてるわけですよ。日本と台湾、沖縄。
だから、ここに風穴を開けたいというのが中国の戦略なわけ。それで南シナ海で今軍事拠点化をしてますよね。そうすると、ここに沈まない空母がいるような状態なので、このへんが全部押さえられてるわけですよ。そうするとここはマラッカ海峡だよね。ここは一帯一路だけど、これって日本のCレーンだよ。
そうすると、いざとなったら中国にこのへんが押さえられるので、日本のCレーンは塞がれるわけですよ。だから、日本はちょっとロシアと話して北極海航路というのも開けたいわけ。北極海航路を開けてCレーンを開けて、南シナ海の実力による現状変更はなんとか阻止したいと。
平:それで今、こっちが1ロード、1ベルトか。海のシルクロードと陸のシルクロードでこっち(陸)に行ってるけど、日本はどういう戦略かというと、やっぱり環太平洋とアメリカと一緒になりながら。今まではAPECもなんでも環太平洋だったでしょ。そうじゃなくて、今はインドパシフィック構想。インド洋と環太平洋を一体にして、構想をやっていこうっていう、インド太平洋戦略ですね。
だから、これは一帯一路のカウンターなんだけど、公式には決してそうは言ってない。だけど、それをやることで実際は中国包囲網じゃないけど、こういうふうに地政学的に押さえていくと。それでインドは今、非常に親日的な状況にありますよね。
まあ、それでASEANの国々も複雑なのよ。中国はお金をいっぱいくれるけど、「金返せないんだったらその土地100年貸せ」とか、けっこうグリグリいくので。だったら、できることなら日本と組みたいというのもあって。だから、一帯一路とインド太平洋戦略のせめぎ合いをやっているというのが今の現状ですね。
生田:アフリカにもずいぶん金使ってるんだよな?
平:使ってますよ。ここ、ジプチとか。
中川:こっち(陸)ですからね。先生がおっしゃったように、まさにインド太平洋をここで押さえるというのがあって。今度は中国の陥穽みたいなものだから、日本とアメリカがそうであるならばということで、こっち(海)は若干行くのを弱めてる感じがあるんですよ。日本がそういう態度だから「こっち(陸)行きましょう」ということで、こっちにもっとガンガン注力したというのは、要は戦略を見て動いたというところが(あります)。
生田:上手いことやってやがるんだね。
中川:そう。逆に言うとここ(中国)の視点から見たら、ここ(海)がガチガチなんだったらこっち(陸)行ったほうがいいじゃないですか。
平:そうそう。
生田:そういうことだ。
中川:ラクですよね。だからもっとここ(ロシア)と仲良くして提携して行っちゃったほうがラクですよね。というような動きで、最近はもうこっちは固めたから、そこそこ日本にちょっかい出して、尖閣とか一応存在感示しとくだけでいいや、ぐらいの雰囲気にはなってる。若干そういう雰囲気が見えて、どんどんこっちに行ってますよという。
平:悩ましいのが、今度、日本は環太平洋、アメリカ、ヨーロッパと組みながらビッグデータとかそういうところをやりたいんだけど。ヨーロッパも中国マーケットはものすごいチャーミングなものだから、日米欧と言ったときに、こっち(ヨーロッパ)はどうなの? って。
前回も言ったけど、イギリスは中国と仮想通貨のところでけっこうがっちりやろうとしてるんで、なかなかね。こっち(中国)がどんどんこっち(西)に行こうとしていくなかで、これは微妙だと。だからこの戦略をどう考えるかというのが。
中川:けっこう脅威ですよね。
平:けっこう脅威。だから、ヨーロッパがどっちにつくか。イギリスなんかはもうブレグジットだから、僕は中国との関係深めると思いますよ。だから一帯一路も、なんだっけ、投資銀行。
中川・生田:AIIB(Asian Infrastructure Investment Bank)。
平:AIIBは真っ先にというか、金融の強い国で真っ先にコミットしたのはイギリスなんですよ。
生田:そうなんだよなあ。
平:それで、日本も気をつけなければならないのは、能天気な政治家も多くて。AIIBもセカンダリーでうちのアジア開発銀行の二番手としてやってくれりゃいいと思うんだけど。
例えば、AIIBと繋がってる一帯一路の中で、「ぜひ沖縄を一帯一路のスタート(地)点にしてほしい」とかね。そう言ってる人たちも自民党の政治家にもいるので。そこは、やっぱり全地政学的にどう判断するか。ローカルで判断することじゃなくて、地球儀俯瞰をしてどう考えるかが大事ですね。
生田:今日とっても良い話でしたよ。こういうの野党の連中知らねえだろ。知ってんのこれ?
平:まあ知ってる人は知ってるんじゃないかと思うけど。
中川:日本がどうかっていう視点だと、尖閣問題だったりとかってやっぱり大きいんですよ。だけど、いわゆるひふみんアイじゃないですけど、中国を視点にしてみるというのは重要で。そうすると、日本とどうかということはそんなに重要じゃない。
それよりも、さっき先生がおっしゃったように、ヨーロッパをどう攻略(するか)。AIIBではイギリスが筆頭にバーと一気に入ったというところだったり。欧州のエネルギー政策は、完全に脱炭素のほうに(舵を)きってるわけですよ。
米日は違うわけですよ。すると、もうこっち(中国)に関わってるんだったらこっちに行っちゃったほうがいいという感覚でいて。AIもロシアと組んで、先生にもこの間お話しましたけど、フランスが衛星を中国と一緒に開発している。
中国と他の国が実はいろんなところで提携しているっていう報道は、日本ではあんまりないわけですよ。だけど、中国の目で見るといっぱい書いてあるんですね。やっぱりそこを見ると、けっこうそのへんの欧州との握りというのは「こわいな」というところはありますね。
平:自分が中国の首脳だったらどう考えるかというと、中国は手駒がいっぱいあるのよ。日本はけっこう手詰まり感が強い。だから50年経ったら「あーこれ全部将棋詰んでるじゃん!」というふうにならないようにするのが、今の我々の役割で。
中川:沖縄がどうとかいろいろあるじゃないですか。尖閣が乗っ取られるとかあるけど。
生田:そういうレベルじゃねえな。
中川:中国からしたらそこにエネルギーを割く意味が、国際社会から批判をくらう意味が(ある)。
生田:わかるわかる。
中川:もちろんそれはね、可能性としては我が国は考えておかなきゃいけないことなんだけど、こっちの立場に立ったらそんなところにちょっかい出して国際社会から文句言われて、欧州がひっくり返ったら嫌だと思うので、はっきり言えば、「そこはそんなもんにしときましょう」ですよ。
生田:ちょっと大人だな。
平:ちなみに、中国は日本に対してはむちゃくちゃなこと言っているようで、国際社会ではちゃんと、国際社会が仕切ったWTOとかのルールは意外と守ってるんですよ。
生田:そうなの!
平:意外とそうなの(笑)。だから、ヨーロッパから見る中国と日本から見る中国ってたぶん顔が違う。
生田:だから水産資源管理なんか、俺らこうやって言ってんじゃん。中国は今もっとずっと進んじゃってるよ。概念自体はぜんぜん向こうのほうが進んでる。
中川:だから僕はずっと“知中”という脅威を言ってて、だから「中国しょうもねえ」とか言ってると、余計日本は危ないよと。「中国はこれだけすごいから対応したほうがいいよ」という知中をみんなに広げていきたいと。
生田:みんなで中国を見ましょう。
平:知中ですね。
生田:旅行に行こう。知中。
大澤:OK。
平:カフェスタ中国スペシャル。
生田:おー、いいねえ。
大澤:イエーイ。
中川:ピンジャンミン(平将明)スペシャル。
生田:いいね、いいね。いや良い勉強になりました。
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