2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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サラ・アドリエンヌ氏(以下、サラ):はい。よろしくお願いします。
平:すいませんね。こんなとっちらかった番組に呼んでしまいまして(笑)。
生田よしかつ氏(以下、生田):本当だよ。掃除しろよ(笑)。
平:本当すいません。サラ先生は日本の金融の研究もされているということで、今日は私が関心事項の高い貸金業法の改正とか上限金利の規制などを、外国の専門の学者の視点でちょっと解説、ご提言いただきたいと思います。
生田:金融の先生なんですか?
平:金融だけじゃないですよね。
サラ:はい。そうですね。経済などを。
平:履歴いただきましたけど、いろんな論文も出されてるし、研究もやられて……。
生田:トレビア~ン!
サラ:……(笑)。
平:ということで、サラ先生は日本語がお上手だから、日本語でいきたいと思いますが。
生田:ペラペラだからね。
平:日本語をこんだけ勉強されるのも大変だった。そもそもなんで、サラ先生は日本に関心を持たれたんですかね?
サラ:実は日本の経済にもともと興味を持って日本語の勉強をしました。それからいろいろ研究をして。
生田:日本の経済に興味を持った?
サラ:はい。そうですね。
生田:なんかおもしろいなと感じたところあったの?
サラ:そうですね、日本の西洋以外の国としてこんな成長があって、それで理解したかったんです。
生田:なるほどなるほど。ああ、そう。
サラ:そうです。
生田:まぁそうだよね。アジアというか、ヨーロッパというか、あっち以外で。
平:アメリカやヨーロッパはそうだよね。
生田:アメリカやヨーロッパは当たり前だけど、そういや、アジアでこれだけボーンと来ちゃったって日本ぐらいだもんね。そういうところでご興味をね。なるほど。
平:ということで、今日はサラ先生に解説をしていただこうと思いますが、あとで、大澤咲希さん、テストしますので、よく聞いておいてもらいたいと思います。
大澤咲希氏(以下、大澤):やばいやばい(笑)。
生田:そうだよ。
平:それでは、サラ先生、よろしくお願いいたします。じゃあ貸金業法の規制からぜひ解説をしていただいて。
サラ:貸金業法の規制に関して、今日お話しさせていただきます。バブル崩壊を受けて生じた1988年の銀行危機の結果、自己破産が増加し、多重債務に関する社会の問題意識がどんどん増えてきました。そして、2006年に貸金業法に重要な改正が加えられました。
平:2006年ね。
サラ:そうですね。日本の多重債務問題を解決するために貸金業をより強く規制しようとしたという点で、ほかの先進国と比べると特別なケースといえます。
生田:ああ、そうなんだ。
平:2006年は、ちょうど私が初当選したの2005年なので、当選の2年目に大きな問題になりましたね。自己破産が増え、多重債務問題というのがあって。これポイントは、ほかの先進国と比べると特別なケースという。
生田:そうなんだ。こういうのないんだ。
サラ:そうですね。
平:じゃあ次いきましょうか。どうぞ。
サラ:簡単に2006年に改正された貸金業法の紹介をします。貸金業法が改正されて3つの重要な改正が行われました。まずは上限金利の年29.2パーセントを貸付額に応じて20パーセントないし15パーセントまで引き下げたことですね。それは金利規制のことなんですね。
次は、審査のときに収入証明書の提出を義務付け、利用者個人の収入の3分の1を超える貸し付けを原則禁止したことです。それは総量規制のことなんですね。
3つ目の重要な改正点は、政府の指定した信用情報機関が利用者の貸金業者からの債務状況を一元管理する仕組みを導入しました。その3つの点。
平:大澤さん、金利規制、総量規制をしましたと。総量規制をするには、総量というのは、A社、B社、C社、D社から全部どれぐらい借りてるかというのもわからないといけないから信用情報機関で登録をしなければいけない。1社から3分の1以内で借りても、2社目からまた3分の1借りたら多重債務の問題は片付かないでしょ?
だから金利を規制すると同時に量も規制し、それが実効性あるために信用情報機関が全体の債務を一元管理する仕組みを作った。だから金利規制と総量規制と信用情報機関による一元管理、とくに総量規制と一元管理が一体なの。
生田:その結果、おじちゃんみたいのはまったく金が借りられなくなったというね?
平:そうそう。
大澤:マイナスもあるってことですね。
平:えっ?
大澤:マイナスもある。困る人もいるってことですよね。
生田:いやいや、困った人だもん。困ったねぇ、生ちゃん。
平:それは政策はもうプラスマイナス両方あるので、どっちが大きいかなということですね。はい、どうぞ。
サラ:その改正された貸金業法の影響を少し紹介します。まずは2010年に改正貸金業法が完全施行され、グレーゾーン金利の撤廃や総量規制が導入された結果、個人破産者が減少しました。
平:個人破産者は減少した。
サラ:そうですね。なお、2006年1月最高裁判所が出した「過払い請求」判決を受けたグレーゾーン金利の撤廃が進んだことも、この動きの背景として重要ですね。
平:これ、グレーゾーン金利というのは、日本の金利体系というのは2種類あって利息制限法というのと出資法というのがあるのね。出資法のほうが緩いのよ。金利が高く設定されていて。利息制限のほうが厳しいの。これとこれの間をグレーゾーンって言ってたの。
出資法は、債権者が任意で返す分にはその金利を認めますよということで、それがグレーゾーンと言われたんだけど、最高裁判所がこのグレーゾーンはダメですよと。それまでグレーゾーンで貸してた部分は、受け取った利息は返しなさいというのが過払い請求。
この過払い請求どのぐらい……5兆円ぐらいあったんですかね。もっとあったんですかね。ですから、5兆円ぐらいノンバンクからね、過払い請求というのがあって。
生田:やられたんだよな。サラ金がみんな潰れたもんね。
平:それで弁護士が3割以上の報酬を取っているので、クレサラ弁護士というのは1.5兆円ぐらい儲かったの。だから、もうものすごい高級外車なんか乗りまくってたクレサラ弁護士がいっぱいたの。
生田:これ、過払い請求なんて、そういう事件というのは海外であるんですか? あるわけないよね。
サラ:私は知らないんですけれども、とくにフランスにない。アメリカにもなかったんですね。
生田:日本独特の。
サラ:そういう点はそうですね。
平:財産権の侵害だからかなり危ない判決でしたけど、裁判所はまた別のロジックで動いているということなんでしょうね。
大澤:今、「過払い請求にお困りの方電話ください」みたいなCMよくあるじゃないですか。
平:やってるやってる。
大澤:あれってまだこの時期の過払い請求を解決してない人に?
生田:そうそう。
平:だから、もうそろそろ時効がかかってくるので。最後、もうだから過払い請求でボロ儲けしてた弁護士事務所というのは水平展開をして全国に支店を構えちゃったわけ。でも、その過払い請求はピークアウトしたから、経営苦しくなってきたから、掘り起こすためにCM打ってるという側面もあるわけ。最後のね。
大澤:あれって過払い請求を戻すと、得するのは弁護士なんですか?
平:弁護士も得するし、債務者も得する。だから両方得するよ。
大澤:じゃあ逆に困るのは、お金を取られる側なのは……。
生田:だから貸してるほう。ノンバンク。
平:それはノンバンクが貸してるほうが。
大澤:そうか、貸してる側。
平:だからみんなほとんど潰れちゃって、今、全部、大銀行の傘下に入っているよね。
生田:そうだよねぇ。
平:ただ「貸金業者が困る分には関係ないじゃん。俺たち」って言うかもしれないけど、信用収縮といって、金利というのはお金の値段なので、それをグッと政策的に下に押し付けちゃうと流通量が減るんですよ。供給量が。だからそういう問題もあるということですね。
大澤:なるほど。
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