2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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パネルディスカッションのテーマは「課題解決につながる発信と、その手法について考える」ということなんですけれども、いったいこれは何が必要なのか。
「Yahoo!ニュース 個人」以外にも、それぞれの手法であるとかスタイル、発信を続けるオーサーのみなさんに、ご自身の活動を振り返りながら、このあと語っていただこうと思っております。
まずは、この「課題解決につながる発信と、その手法について考える」ということなんですが、各パネリストのみなさんに取り組んでらっしゃる具体的な課題、イシュー、どういったことがあるのかをお話しいただければなと思います。
なぜそのイシュー、課題を選んでいるのか、問題解決したいテーマとして選んでいるのかも含めて、お話しいただければと思いますが、まずは江川さんからよろしいでしょうか?
江川紹子氏(以下、江川):私は「あれやこれや」(注:ページ下部01)いろんなことやっているので(笑)、「もうこの道です」みたいな感じのはちょっと言えないんですけれども、とにかくその時に心にヒットするというか、感じたことをやっていきたいと思っています。
ただ、どうしても方向性というのはあるので。例えば、冤罪の問題とか、いろんな司法をめぐる問題とか、そういったことはもちろんですけれども、それ以外にも気になることを、一人ひとり取材をしていきたいと思っています。
江川:やっている途中なのは、教育問題に関わるんですけれども、学校にそれの関係で取材に行こうとしたら、親になんかすごいクレーマーがいるらしいんですよ(笑)。「学校に取材が入ったっていうだけで、どんなにクレームが来るかわかんないからやめてくれ」というのを校長先生から言われて。
とにかく、もしどうしても来るとしたら、一切学校の名前は出さない。そして、学校の光景も写さない。子どもの顔も写さない。子どもにインタビューもしない。
別所:(笑)。
江川:そこにある人が来てしゃべるんですけど、その人しか写しちゃいけないっていう。「それだとちょっとね……」っていう感じだったんで、また来年もそれの関係の別の学校でのことがあるので、「じゃあ、そっちにします」って言って、けっこう取材がちょっと延びちゃったんですけどね。そんなふうなことを、いろんなことをやってますね(笑)。
別所:取材対象が規制されるというんですかね。その範囲が追求しようとすると、全体像も概略もどんどん狭められているっていうことなんですかね?
江川:いや、追求というか、悪いことしてるんじゃなくて、「こんないい取り組みがあります」というのを実は伝えようと思ってるんですけど、それでもやっぱり、クレーマーの存在や影響力が、今非常に強くなっています。
たった1人か2人のそういう人の言動というか態度によって、その学校全体が常に振り回されているということだったと思うんですね。そのために、なにも別に悪いことを追求してるわけでもなんでもないのに、やっぱりできないことがあるんだなと今回非常によく学びました。
別所:確かに定着した「モンスターペアレント」なんて言葉もあります。同時に、取材対象をどのように捉えていくべきなのか。いつからかテレビも、モザイクが動画なんかでも、対象物以外は全部紗(しゃ)がかかってしまうような時代に、今はなっているわけですけど。
別所:こういった課題について、みなさんにそれぞれうかがいます。まずは、江川さんのお隣の中村さん、映像のことも含めてなんですけど、中村さん自身が取り組まれている課題やイシューって、どんなものなんでしょう?
中村真夕氏(以下、中村):そうですね。私はけっこう、もともとフィクションの映画をつくっていて。今もその企画をやりながら、テレビでドキュメンタリー番組をずっとつくってきて。ヤフーさんと始めたのは今年から(注:ページ下部02)なんですけども。
江川さんがおっしゃってたみたいに、テレビがなかなか自主規制っていうか、こういうものは取り扱っちゃいけないとか、そういうことがどんどんどんどん増えてきてしまって、取り上げたいことがちゃんと伝えられないっていう、息苦しさを感じていて。
2年ほど前に福島の原発の地域に、『ナオトひとりっきり』っていう、1人で動物と残っているおじさんのドキュメンタリーを撮ったんです。結局、やはりテレビでは公開できないので、映画として2年前に公開して、今はDVDになってるんですけども。結局、そういうテーマはテレビでは……。
もともとテレビの企画で取材しようとしてて「ダメです」って言われて。1人で取材しようってことになりました。
別所:境目はどのへんにあるんですかね?
中村:当時は震災からちょうど2年ぐらい経ってたんですけども、やはり政府が「いてはいけない」って言う地域にずっといました。ご自身の自宅に残ってる、ご自身の意志で残ってる方だったんですけど、いらっしゃるのは、「ちょっと伝えるのはまずい」と。
海外のメディアがすごくいっぱい伝えてて、なぜか日本のメディアの中では黙殺されてるっていう、変な状況が起こっていて。それでその方を取り上げたんですけども。
今取り組んでるのは、鈴木邦男さんという、もともと右翼活動家として知られてる方なんですけど、今はけっこう180度回転して「左翼じゃないか」って言われてる、ちょっとユニークな方で(笑)。
その方も、「ちょっとこの方はきっと、テレビで取材して取り上げるのは難しいだろうな」と思って。なんでかっていうと、かなりいろんな広範囲の方と交流がある方で。元日本赤軍の方とか、あとは元オウム真理教の関係者の方とか、とにかくすごくおもしろい、いろんな方と交流されてる方で。
逆にそういうことをテレビの中で出せない状況っていうか、そういう政治的批判をすることであったりとか、宗教的なものにちょっとタッチするっていうことが、すごくやりづらいのが今ちょっと課題というか。それを「Yahoo!ニュース 個人」の中では比較的自由にさせていただけるのが、すごくいいなと思っています。……すいません、なんか。
別所:いやいや、とんでもない。本当にオーサーのみなさんが、自分の探求心も含めて、課題を設定されたり、出会ったイシューに対して向かっていくんだと思うんですけど。
トラディショナルなメディアとの境目、あえて言うとタブーというか、あるいは自主規制というか、忖度と言ってもいいかもしれません。いろんなことがある中でどう表現していくのか、そして、このネット上でのどういう表現があるべきなのか、ということなんだと思いますけど。
別所:続いて、福田さんはどんなイシューをどんなかたちで、発信されていらっしゃるんでしょうか?
福田芽森氏(以下、福田):私が発信し始めた(注:ページ下部03)のは今年に入ってからなんですけれども、2つのパターンでしていて。まずは健康情報のサイトや「Yahoo!ニュース 個人」さんで記事を発信してるのと、もう1つはセミナーを開いて、顔を合わせて、セミナーに来てくれてる方と対話するということで、発信をしています。
記事のほうは、今は情報がものすごいあふれかえっていて、健康に関しての情報も本当に玉石混交で、さまざまなものがあって。その中で、やはり正しくてよい情報を、正しく楽しく伝えたい気持ちがあって、自ら発信を始めたことがきっかけです。
あともう1つ、セミナーに関しては、循環器内科医って、心臓の内科なんですけども、死の場面に立ち会うことがすごくあって。その時にやはり心臓に関わる死の時は、急死が多いっていうところがありまして。それまでまったく死についてなにも考えていなかったところで、そういった大切な方の死に直面するっていう場面がご家族に。そういった場面になって。
その場面に医師として立ち会った時に、……今まであんまり考えてなかっただけに、こう突然、その場面に立ち会うことになって、間違った選択というか、本人もご家族も望まないような選択をされてしまったりすることも少なからずあって。
別所:具体的にどういうことでしょう?
福田:例えば……本人は元気だった時に、「あんまり延命はしないでほしい」とかっていう意思があったんだけれども、ご家族とあんまりその意思疎通ができていなかったり。
ご家族がその本人と「自分が死に直面した時にどうしたらいいか?」っていう話をあんまり話してこなかったっていうことで、本人が本当はどう思ってるかわからないから決められないとか、っていうことになってしまったりすることがあって。
なので、タブーの話あったんですけれども、死をタブー視せずに語り合う文化をつくっていきたい、っていう思いで始めたセミナーがあります。なんでそういうセミナーにしたかっていうと、双方向性を保ちたかったがあって。
自分の気持ちを押しつけるんではなくて、非医療従事者の方々、自分も含めて、大切な人に死に立ち会うご家族の方になりうる方、全員がそうなんですけど、人間って生き物なので、死亡率は100パーセントなんです。誰でも自分の大切な人の死に立ち会うことがありうる。そういう方がどう考えてるかを、自分が知りたかった、セミナーを通じて対話して知りたかった。
来てくださる方と考え方をディスカッションすることで、自分としても、セミナーとしても成長できるということで、これは記事として絶対的に違うところなので。なので、2つの方法で発信しています。
別所:なるほど。
福田:すいません、長くなっちゃって。
別所:いえ、とんでもない。発信の手法などについて、方法はまたこの後、みなさんにおうかがいしていこうと思うんですけども。
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