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地方創生 × フリーランス(全4記事)

彼らはなぜフリーランスを選んだのか? 大企業経験者たちが語る、企業に属さないという働き方

2017年6月10日から11日にかけて、世界遺産である和歌山県高野山にて、47都道府県がつながる地方創生イベント「地方創生会議」が開催されました。初開催となる今回は、地方創生に関わるさまざまな分野のキーパーソンを招いて、トークセッションやワークショップを行いました。トークセション「地方創生 × フリーランス」では、企業に所属せずフリーランスとして活躍する3人が登壇。自身の得意分野を活かして生活する、彼らのライフスタイルを紐解きます。

選択肢としてのフリーランス

前田有佳利氏(以下、前田):今から「地方創生×フリーランス」ということで、たまたまこの3人とも86年生まれで、全員今年で31歳と年齢がそろっております。2011年からフリーランス、2013年から、2015年からと2年とばしで長さは違うものの、それぞれ違った専門分野でフリーランスをしているので、話をさせていただければと思っております。

地方創生に向けて、この場所に住みたいと思った地域で、「じゃあどうやって働こうか?」という仕事の問題はけっこう大きな課題だと思っておりまして、仕事がないから結局その地域に行けなかったということもあると思います。

労働人口の中で、フリーランスは16パーセントと言われているんですが、それをもっと増やしていって、選択肢の1つとして検討していただければと思い、「フリーランスありかも」という選択肢の1つにしていただければと思います。こんな感じでよろしいでしょうか?

渡辺直樹氏(以下、渡辺):よろしくお願いします。

イケダハヤト氏(以下、イケダ):……(マイクを叩く)。

前田:イケダさんのマイクが入っていないっぽいので、確認いただいている間に、今回の流れを説明させていただきます。初めにそれぞれ自己紹介をしていただくのですが、3人同じ年齢でざっくばらんに、というところを目標としておりますので、1人が自己紹介をして、2人が会場のみなさんがきっと思うだろう質問を代弁する形で質疑します。

そして1人ずつ自己紹介をしていただいた後に、フリーランスの良し悪しを話していただいて、後半は会場のみなさんにそれぞれテーブルでワークショップというか、感想を投票していただきます。

その後、ご質問があれば手を挙げてもらうという流れにさせていただければと思っておりますので、「あーこれ気になるな」というものがあればぜひメモをしてください。お願いいたします。

ゲストハウスマニアの前田有佳利

前田:というわけで、しゃべりっぱなしで申し訳ないんですけれども、自己紹介を私のほうで先にさせていただきます。

改めまして、みなさん初めまして、前田有佳利と申します。

よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

前田有佳利という名前はよくある名前なので、前田の「だ」と、有佳利の「り」を取って「だり」と呼ばれております。ぜひ「だり」と覚えてください。お二人も「だり」でよろしくお願いいたします。

渡辺:わかりました。

前田:単純にいうと私はゲストハウスを国内に限って150軒以上めぐっている、かなりのゲストハウスマニアです。それも2010年のクリスマスにゲストハウスの存在を知ってばーっと動き出したので、ここ近年の動きを知っていることから、いろいろお話をいただくということが多くなっています。

もともとは、リクルートでホットペッパーや、フラッシュマーケティングと呼ばれるポンパレというメディアなど、そういったことをやっていました。リクルートで5年間勤務をして、途中からゲストハウスにはまりすぎました。

「これで稼げるブロガーになりたい」みたいな思いはなく、どちらかというと「そんなことはきっと私にはできないだろうから、そうではなくて、いつかゲストハウスがしたいから自分の備忘録としてブログにメモってみよう」と思って、自分の備忘録を公共に開くような形でやり始めました。

そしたら意外と見られるようになって、サイトを立ち上げて、今は「ゲストハウス紹介」で検索すると一番上に出てくる状態です。最後にワニブックスさんにお声掛けいただいて昨年に出版させてもらいました。『ゲストハウスガイド100』という真っ赤な本です。

ゲストハウスガイド100 - Japan Hostel & Guesthouse Guide -

渡辺:ゲストハウスガイド。

前田:はい、100件のおすすめのゲストハウスを。

渡辺:みなさんぜひ今スマホでアマゾンチェックしてください。

前田:(笑)。

(会場笑)

渡辺:あ、持ってますって人が!(笑)。

前田:お! ありがとうございます!(笑)。

渡辺:すごい、すごい!(笑)。

前田:追っかけみたいに見えるじゃないですか、あれ友人です(笑)。

ゲストハウスの魅力

前田:ゲストハウスガイドの本を日本語で出させていただいたんですけれども、先日中国版と韓国版も出させていただきました。日本でもゲストハウスが最近よく注目されていてる『ソトコト』さんでも2回目のゲストハウス特集が出たり。『BRUTUS』さんでも特集が載ったり。

海外ではもともと主流で、最近は日本でもブームになっている。その要因は、Facebookの地方創生グループで質問いただいていた部分でもあるのですが、ゲストハウスの最大の魅力として、人との交流や関係性を築ける場所があるからです。

昨日の『ソトコト』さんのコメントにあったかと思うのですが、「経験というフェーズから関係というものをみなさん求めるようになってきて、そこに価値を感じている」という流れにゲストハウスも乗っていいます。

交流スペースがあるということをかなり重点を置かれて、相部屋、水周りが共有、単価が2,000円台から3,000円台でいろいろな種類はあるのですが、フェーズが変わっても、交流スペースが変わらずに重要視されています。

というわけで、私の自己紹介はゲストハウスマニアという感じで終わります (笑)。

渡辺:追っかけもいるということで(笑)。

前田:ありがとうございます(笑)。では、こんなかんじで自己紹介させていただいて、お二人にも続けてお願いしたいと思います。

コミュニティデザイナーとして活動する

渡辺:はい、改めて渡辺と申します。よろしくお願いします。

(会場拍手)

渡辺:僕は、フリーランスでデザイナーをやってます。紹介のページに「studio-L」と書いてあったと思うのですが、そこでは「コミュニティデザイナー」という仕事をしています。山崎亮を代表に20人くらいフリーランスが集まった事務所で会社はあるんだけれどもみんなフリーランスで働くという。

僕もどこかに出勤するということはなく、最近は家で仕事することも多いですし、一ヶ月の半分は地域に出ているというような、そのような働き方をしています。「コミュニティデザイン」といって、地域の人たちが自分たちで地域を作っていけるように、デザインの力を使って支援しています。

デザインには「形作る」っていう意味があるんですが、例えば、ちらしとかポスターとかイベントとか、公園とか図書館とか、そういう目に見えるものや、人との繋がりとか、地域のビジョンとか目に見えないものも形作っていく。それを地域の人たちと手を動かしながらデザインしていくことで、デザインのノウハウを伝えていくんです。

大体、2年~3年くらい関わらせていただいて、一緒にやりながら、僕たちが離れたころには地域の人たちが自分たちでできる。そんな状況を全国各地で作るということをやっています。

そして、さっき紹介がありましたが、2013年くらいからフリーランスをやっておりまして、その前はITの大企業に勤めていたんですが、その時からこの方(イケダ氏)のブログが……。まだその頃東京に住んでましたよね。煽られるんですよ。すごい煽られて煽られて……。

前田:読者として煽られるんですよね?(笑)。

渡辺:読者としてです。当時からイケダさんのブログをずっと読んでて、ただ、実物を見たことがないという、そして今日初めて見させていただいて。

前田:存在した……って(笑)。

渡辺:あ、ちゃんと存在したんだ、みたいな(笑)。高知の山奥に住まれていて、そこには別の用事で行ったのですが、すごいところなんです。さっき、車で行くのが難しいって話していましたけれども。会社を辞めてから色々やってきましたが、気が付けば今の仕事に行き着いた感じです。

人と人をつなぐ

渡辺:あと、質問にもあったのですが、「地域住民に反対されたときうまく解決する仕組みがあるんですか?」ということですが、人と人がつながる仕組みをデザインするというと、すごい魔法のような言葉に聞こえてくるんですが、やっていることはすごく地道なことです。

例えば、すごいややこしいことを言っているおっちゃんだけど、すごい特技がある、竹切るのがめっちゃ上手みたいな人を、どうやって街づくりに参加してもらおうかみたいなことばかり考えております。そして友達になることから僕らは始めます。

僕は、地域で会う70歳以上くらいのおっちゃんは、仲良くなるとため口でしゃべってることもあります。四六時中ボケているようなおっちゃんもいます。ボケってあれです、いわゆるボケツッコミのボケみたいなお笑いのボケなんですが、ツッコミどころ満載なんです。ツッコんであげるだけで喜んでくれるので、叩くレベルでなんでやねんって言うんです。

そうしていくうちに友達になっていくので、気が付いたら反対意見だけでは見えてこないその人の特技であったり、実は建前だけで文句を言っていることもあります。結局街づくりって友達を増やしていくものなので、そんなことをやりながら全国におもしろい友達が増えていっているという感じで楽しませてもらっています。ありがとうございます。

(会場拍手)

イケダ:僕は無口なので、マイクは壊れてないです。

(会場笑)

ようやく声が出せる。イケダと申します。

自己紹介いきます。僕はブログを書くことを主に仕事にしていて、もうずっと高知の山奥に引きこもってずっとブログを書いています。最近出てこなくなって人前で話す機会がほとんどなくなってしまって、家入(一真)さんみたいなかんじみたいになっていて、何話せばいいかわからなくて……だめですね(笑)。

ですけれども、伝えられることがあるとすると、さっきも話していたのですが、今日は学生さんが多いと思うのです。ここに来ている学生さんは非常に優秀な方が多く、このまま普通にいくと大企業に入るわけです(笑)。リクルートとか入ってしまうと……リクルートに入ってね~(笑)。

前田:煽りが始まりましたよ~(笑)。

(会場笑)

地元で職に就く

イケダ:いや、いいんです。全然いいんですけれども、「リクルートに入って僕1~2年修行します」って言って出てこない人めっちゃ多いです、マジで多い。だめです、出てきてください。せめて早く出てください(笑)。

(会場笑)

渡辺:リクルートになにかあったんですか?(笑)。

イケダ:いやいや。本当に多いです(笑)。

前田:大いにわかります(笑)。

イケダ:不思議、本当に多いんですよ、リクルート多い!(笑)。別に今、大企業に勤める意味もないと思います。そのまま僕らが住んでいるような田舎でも、新卒でフリーランスで田舎にきてやっている若い子とか全然普通にいますし、普通にお金稼いでいます。

今クラウド組織もあるし、地元で仕事に就くのも、来てみればわかりますけどそんなに難しい話ではない。そもそも生活コストが安いので、僕らが住んでる高知の山奥だと家賃1万円とか全然普通です。家賃無料とかも別に珍しくない。驚かないです、普通にあります。 

水道代とかもかからなくて、山の水だったりするんです。多分月に3万もあれば普通に生きていけるような空間は全然あるんです。

なので、変に堅苦しく考えてサラリーマンになってスキルを身に着けてってことを思わなくても、田舎に来ていろいろトレーニングをしながら自分で稼ぐ力を身に着けていくキャリアは全然作れますよっていうことを言いたかったセッションですけど、これでもう言いたいこと終わっちゃいました(笑)。

前田:えー!(笑)。 

(会場笑)

イケダ:終わっちゃいましたよ自己紹介……。それで、僕は高知の山奥に住んでずっとブログを書いているだけの人間です。

(会場笑)

前田:「イケハヤハウスに行けますか?」っていうご質問があったのですがいかがでしょうか?

イケダ:全然来てください本当に。ちょうど2,500坪くらいある高知の山奥の山を買いまして、そこに家を一生懸命作ったり草狩りとかもしなければいけない。畑を作ったりいろいろしているので、来ていただける分には、晴れてたらいろいろ手伝ってほしいことは山ほどあります。薪というか丸太がたくさんあるんですよ。丸太をなんとかしないといけない。丸太を……。

前田:すごいピンポイントな(笑)。

イケダ:丸太を片付けてもらいたい(笑)。

前田:イケダハヤトさんは、この会場の中にもし来てくださる人がいたら本当にハントして帰ろうと思っているので、興味がある方は最後にぜひくっついて帰ってください(笑)。

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