2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
尾原和啓×シバタナオキ(全1記事)
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シバタナオキ氏(以下、シバタ):Facebookにも書いたんですけど、すごいですね。若い人とおじさんおばさんたちの間には価値観という点で「深い溝」があって、ちょうど私なんかはその間ぐらいだと思うんですけど。
尾原:そうですよね。シバタさんはたぶん、ちょうど間の世代で。
シバタ:その考え方の違いというのはすごくあって。それがどんな世代でも世代が離れたら違いがあるんだと思います。両方の人たちの共通の言語がない。あるいは共通の価値観がわからないから困っている。
それを見事に言語化した本だな、というのが一番の印象ですね。一番疑問だったのが、尾原さん、なんでこの本書こうと思ったんですか?(笑)。
尾原:(笑)。
シバタ:それが一番疑問でしたよ。
尾原:シバタさんだから言うと話が2つあって。
シバタ:はい。
尾原:やっぱり自分がちょっと若い世代の方を軽蔑しかけてた時がありました。しかも、実際に会った人ではなくて、(若い世代)全員を軽蔑しかけてた時があって。
シバタ:なるほど。
尾原:これは自分のなかでそういう壁を作るっていうのはやはりあり得ないことなので。やばいと思って書いたのが1個目です。
シバタ:はい。
尾原:あともう1個は、正直マーケティング的な動機もあります。僕の観測だと境目が36歳なんですよ。
シバタ:はい。
尾原:いわゆる一般的な日本の会社だと課長になりはじめるんです。
シバタ:なるほど。
尾原:つまり、会社を執行する部分は、今の世代の「ないものがない、乾けない世代」。会社の経営とか方向性を決める人たちは「ないものがあった、乾いた世代」っていう。会社が経営と執行で分離しています。今、一番深刻な状態になってるはずなんですよ。
シバタ:なるほど。
尾原:なので、そこにわかりやすい言葉を言ってあげることで、みんな「助かった」って言ってくれるんじゃないかなと思っていて。
シバタ:「助かった」と言っている人が本当にたくさんいると思いますよ。
尾原:この話は、「ミレニアル世代」という言い方でアメリカのなかでは出てるじゃないですか。
シバタ:そうですね、はい。
尾原:ただ、ミレニアル世代という言い方だと、ある意味、次の世紀の人みたいな感じを与える。僕のなかでは隔離しようとする言葉に聞こえちゃうんですよね。
シバタ:そうですね。
尾原:だけど、「ないものがない」と「ないものがある」とか、「乾いた」と「乾いてない」という対比だけだから。単なる属性がちょっと違うだけだから。
シバタ:そうですね。
尾原:そこが理解できると、壁を超えることができるんじゃないかと思って、そこを一番の着眼点に書いています。
シバタ:すごいですね。どうですか? 手応え的には36歳から下の世代と上の世代では、どっちが読んでくれてる感じなんですか?
尾原:今はですね、圧倒的に若い子ですね。
シバタ:へー、それは狙い通りですか?
尾原:そうですね。変な話なんですけど、上の世代の方は、下の世代の方が読んでいて「わかった、わかった」って言っていたら、不安になって上の世代が読んでくれると思うんです(笑)。
シバタ:(笑)。そうですね。
尾原:やっぱり下の世代のほうが、僕の本を読んで「救われた」とか「認められた」とか、そういうことをツイートとかポストしてくださるので。
シバタ:なるほど。
尾原:すると、それが広がって、ほかのまわりの方が読んでくださいます。逆に言うと、上の世代もいろんな方がいらっしゃるので、そろそろ上の世代も下の方とのコラボレーションのために読むみたいな感じになってくるんじゃないかなと思いました。
シバタ:なるほど。そうですね、個人的には下の世代の人はもちろん読んだほうがいいと思うんですけど。上の世代の人こそ読まないと。自分の会社の若い子たちが、何考えているかわかんなくなっちゃう。
尾原:そうなんですよね。
シバタ:すごいあると思うんで。
尾原:だからとくに、2種類の変化に気づかなきゃいけないと思っています。1つは若い方がどういう心のエンジンがあるかを理解したうえで、コラボレーションしましょうという話。
その心のエンジンを前提にすると、今の会社に朝から晩まで就いて、ギチギチ同じことばっかりやって、という戦い方自体が今の時代に合ってない。
だから生き方とか働き方も少しずつチューニングしていったほうがいい。とくに上の世代の方も今36歳より上の方も、ライフシフトの話によれば結局100歳ぐらいまで生きるわけで。そうすると、64年間ってあと2周分ぐらいあるわけですからね。
シバタ:はい。
尾原:なので、そのへんのヒントにもなればと思っていますよね。
シバタ:なるほど。本のなかですごくおもしろいなと思ったのは、尾原さんが月270時間の勤務時間のうち100時間分しかお金を稼いでいないという話があります。もちろん100時間で稼げるっていうのは、尾原さんのスキルと経験があるからだと思うんですけど。
考え方としては、こういう働き方がすごく一般的になってくるんだろうなという気がすごくしています。
尾原:そうなんですね。
シバタ:僕自身も子どもができてからはとくになんですけど。
尾原:ああ、そうですよね。
シバタ:物理的に長時間働けなくなったんですよね。
尾原:今までみたいに、100%仕事全部みたいなのはね。
シバタ:そうですね。
シバタ:今までだと2人分ぐらい働いても、なんとかなったみたいなのもあったんですけど。それがぜんぜんできないので逆にサボることをいろいろ覚えました。
そうすると、複数のことを同時にパラレルやったり、上手になったりしました。全体で270時間あるとしたら、その100時間しかお金に関係しないというのは(将来的に)こうなるんじゃないかなと思います。
尾原:そうなんですよね。だから、その100時間しか働かなくてもいい、お金を稼がなくてもいい、という2つの意味があって。1つは、例えば僕、シンガポール、バリを中心にたくさんの国を移動してるんですけど。結局バリだと生活費が安いわけですよ。
シバタ:(笑)。
尾原:5メートルのプライベートプールがあって、週に3日、お手伝いさんが掃除してくれます。ベッドルームがあって、家賃が月10万ですから。
シバタ:なるほど。
尾原:なおかつ、他の国にいるときは、Airbnbを使っています。シンガポールに行くときも1泊3,000円とかなんですよね。そもそも生活にかかるコストが低い。別に僕みたいに移動しない人でも日本にいる人でも、こんなに安くて美味しいもの食べれる国って、日本ではなかなかないので。
シバタ:そうですね。
尾原:「本当にいくらあなたに必要なんですか」ということを、やっぱり1回考えたほうが自由になれると思うんですよね。
シバタ:なるほど。
尾原:一方で、普通の人は270時間も働かないですけど、残り100時間ぐらいを何に使うか。実は、シバタさんもたぶんそうだと思うんですけど。やっぱり家庭のことをやったりとか何かをやってると、そのことで気付きがもらえるとか。
シバタ:うん、そうですね。
尾原:あとはやっぱり複数のことをこなしてるから、自分が何が好きかというのがより鮮明化してくると僕は思っているんですよね。
シバタ:はい。
尾原:1個の会社のなかで、何かをやってると、その会社から求められることやっちゃうじゃないですか。
シバタ:そうですね。
尾原:でも、複数を重ねていくと、求められることが分散していくから。結果的に、自分が求めてることとか、世の中に求められていて自分が求める「交点」っていうのが、だんだん見えてくると思うんですよね。
シバタ:うん、わかります。
尾原:それがけっこう大事だと思ってて。
尾原:だからシバタさんが今、noteをやっているのは、普通に考えたらなかなかないじゃないですか。
シバタ:noteをやっていて良かったなというのは、今まさにおっしゃったように、気晴らしって言ったら言い方悪いんですけど。
尾原:もともとはね、ちょっとね。
シバタ:それはすごく良いなっていうのと。こんなに流行ると思ってなかったんで。そういう意味ではかっこよく言うと、自分の隠れた能力を再認識できたみたいなのはありますよね。
尾原:そうそう。だからそこはすごくおうかがいしたくて。今、ほぼ毎週のようにあれだけの濃いコンテンツをやることが、ご本人にとって義務感になって、しんどくなってきているのか。それとも、自分の好みとか強みに合っているから、それをやってからの自分ってどう変わったかとか、すごい知りたいんですよね。
シバタ:ああ……。最初、しんどかったときが1回あったんですよね。自分1人でやってたときは、途中からしんどくなってきて。基本的に三日坊主なんで、すぐやめたくなったんですけど。
尾原:(笑)。
シバタ:何をしたかというと、ちゃんと人を雇って、仕組化しました。僕自身は今、しゃべるだけで良くなってるんですよ。
尾原:あ、そっか。
シバタ:しゃべって音声入力して、編集アシスタントの人たちに渡すと、綺麗になって返ってくる仕組みが、ちゃんと構成されてできるようになってて。
すごく優秀な人たちが手伝ってくれてるんで、そういう仕組みにしましたね。なのでこれは、要するに事業として続けるべきかというのがあります。
やめるんだったらやめるでよかったんですけど、続けるんだったら自分1人でやってると絶対飽きちゃって無理なんで、仕組化しちゃいましたね。小ビジネスで、すごく大きくなる事業ではないんですけど。やってて満足感が得られるだけのフィードバックがあるのでやっています。
尾原:楽天の人たちやシバタさんの強みは、クイックに物事の裏側にある仕組みをちゃんと理解して知っていることだけど、ほかの人はわかんないわけじゃないですか。
シバタ:そうかもしれないですね。
尾原:だから、やっぱり本当の強みがまわりの方にもわかるということ。その強みでお金をいただくということ。ユーザーが喜んでちゃんと払っている関係が、すごくいいなと思いました。今日の話を聞いていて思うのは、結局シバタさん自体はたぶん、見て、喋るっていうこと自体は楽しいんですよね?
シバタ:そうですね、はい。
尾原:どうせ放っといてもやってることですもんね、我々という生き物は。
シバタ:そうですね、そうです(笑)。
尾原:常に、モノをみたら分析せざるを得ない生き物なので。
シバタ:はい、そうなんです。
尾原:だから逆に言うと、自分が生き物としてこうしてしまうもの以外は、その仕組みで外に出すということをやれば、持続的にできてしまうっていうことですよね。
シバタ:そうですね。おっしゃる通りです。
尾原:そういう意味で言うと、ネットの良さって、それ以外のところをアウトソーシングでやる仕組みが、けっこう簡単にできてるところも良いことだと思うんですよね。
シバタ:そうですね。はい。
尾原:というので、あっという間に10分経っちゃったんですけど。最後に「これ聞きたい」「このへんおもしろかった」とかあればどうぞ。
シバタ:信じられなかったって言ったら失礼なんですけど(笑)。『モチベーション革命』4章の前半にあった、尾原さんが議事録の係をしていたストーリーが本当に信じられなくて(笑)。そういう時代もあったんですね、先輩。
尾原:いやいやいや……。だって結局僕とシバタさんとの共通点って、先ほど言った瞬間的に物事の構造を理解して、「たぶんここが肝だ」ということを見抜くことが楽しい、っていう生き物ですよね。
シバタ:はい。そうですね。
尾原:実は、その強みが一番生きるのが議事録役だったということですよね。だから、議事録を書いてるようで、本体がしゃべってることより議事録をわかりやすく書くんですよ。
シバタ:すばらしい、すばらしいです。
尾原:だから実は、個別で言葉を端折ったり、足したりとかしています。明らかになめらかに進むから、みんな気づかないんですよね。そうすると変な話なんですけど、議事録で相手を誘導できるんですよ。みたいなことを含めてずっとやってたので。
シバタ:すごいですね、それは若い人にすごい資産があるなと思っていて。ちょっと言い方が悪いですけど、議事録係ってなんて言うんですか、普通一番下っ端の人がやるみたいなイメージ若干あるじゃないですか。
尾原:はい。
シバタ:なので、でもそうじゃないっていう話だと思うんですよ。やっぱり好きなところや得意なところが見つかってくると、一般的には下っ端の人がやるような仕事でも、そこから流れをコントロールすることができるようになるんですね。まさにこの本にあるような、若い人が目指すべき姿なのかなっていうのは学びが多いですね。
尾原:そうですね。
尾原:あとやっぱり、偏愛マップ(注:自分の偏愛するものをキーワード方式に書いたもの)とかもそうなんですけど。
人間は強みを発揮している瞬間が、一番魅力的に見えるんですよね。そうすると、やっぱり愛されるようになりやすいというのもあります。みんな地味なものだから、そんなの出しにくいとかではなくて、恐れずに強みをどんどんやっていくと、まわりがそれ以外をフォローしてくれるようになるし。
なぜならば、強みを発揮している人がかわいらしいから。そのかわいらしい人が、「ごめん、俺は本当ここはできない人間なんだ」ってお願いして、やっていけばいいと思うんですよね。
シバタ:おっしゃる通りですね。
尾原:だからそういう意味で今日はシバタさんのnoteがちゃんと分業化されてるからよかったです。
シバタ:(笑)。
尾原:このあと「飽きた」って言って終わらない確信が得られたのが(笑)。
シバタ:いやいや、まだわかんないですけどね(笑)。今のところはちゃんと続いてます。
尾原:はい(笑)。それを変化すること自体も楽しみなので。今日はありがとうございました。
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