2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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森戸裕一(以下、森戸):僕、昨日(セールスフォースの)オフィスに寄らせてもらいましたけど、(オフィスにいた)お二人は現地採用の方ですかね?
吉野隆生(以下、吉野):現地ではなくて、私と同じように関東圏で働いてた方が、Iターンというかたちで白浜に移住をして。うちのオフィスは小さくて11名なんですが、今、私を含めて3名が白浜町民となって働いてます。
森戸:ほかの方は、何ヶ月ぐらい予定?
吉野:ほかは基本3ヶ月間の循環型で。東京で採用になったメンバーが、ある一定のタイミングで3ヶ月間白浜で生活をしながら仕事をして、また東京に戻ってということで。循環型で、この2年間ぐらいで約80名ぐらいの社員が白浜で仕事をしてます。
森戸:3ヶ月じゃインターンシップとか、それぐらいの期間と同じですよね。
吉野:そうですね。東京側にも家を持ってる子たちもいるので、そういったいろんな事情も考慮して3ヶ月だったんですが、組織の循環、新陳代謝という意味では、ちょうどいいタイミングかなとは思っています。
森戸:そうですね。今、インターンシップという言葉を使ったんですけど、今日は学生さんも多いということで、インターンとか経験がある方って、どれくらいいらっしゃいます?
(会場挙手)
これも多いですね。ありがとうございます。上田社長、すいません。
上田祐司(以下、上田):はい。
森戸:こんな切り込みで申しわけないんですけど、実は上田社長のところにいる社員さんが、たぶん12年前ぐらいに、うちにインターンをしてたんですよ。ガイアックスさんは、インターンシップにずいぶん昔から取り組まれてると思いますけど。
上田:そうですね。
森戸:はい。インターンシップっていうのは、どうですか?
上田:本当に、森戸さんのところで鍛えていただいたスタッフは、今、シェアエコのグループ会社の役員をやっているんですけれども。だいたいうちの会社はインターンが多くて、リアルタイムに、今日この瞬間もたぶん200人とかいると思うんですけど。
地方創生、インターネットがあればはじめはぜんぜん問題なくできるということをおっしゃってましたけど、新しいジャンルなんですよね。新しいジャンルに、正直言ってベテランさんを高い給料で雇っても、それに見合うアウトプットが出るかどうかと言われると、インターンの方々とあまり変わらないですよね。そういう意味で、すごく……。
森戸:そうですね。今、地方にいてガイアックスでインターンしてるって、東京にいないっていう人もいるんですか?
上田:いますね。
森戸:地方に、そのままいて?
上田:はい。地方から出てくる人も多いですし、逆にちょっとやって地方に行く人間も。
森戸:はい。
上田:今、沖縄とかに1人。
森戸:そうなんですか。
上田:はい。
森戸:今、シェアエコの話が出ましたけど。シェアリングエコノミーとかのビジネスに絡んでいる方とか、これから考えている方ってこの中にいらっしゃいますか?
(会場挙手)
これもいらっしゃいますね。シェアエコって、民泊の関係で2日ほど前に動きがあったみたいな感じですけど。シェアリングエコノミーの動向っていうのは、国がらみとか政策がらみで、どんなふうになっているかを知りたいんですが。
上田:シェアリングエコノミーはいろんな側面があるんですけれども、1つはセールスフォースさんがさっきおっしゃっていたかたちで、地方とシェアリングエコノミーとでみれば、地方でも問題ないよねというかたちの形式があります。
例えば、広義の意味で言うとクラウドソーシングもシェアリングエコノミーですが、ランサーズさんとかクラウドワークスさんが、地方にいっぱい拠点を作ってやってます。うちと仲がいいところで言うと、PIXTAさんという、写真を撮って、ネットにアップして、その写真素材を買うというサービスで、地方中のカメラマンがパシャパシャ写真を撮ってアップする、というようなことがあります。
もう1個は、地方に観光に行くのにシェアエコを使うというタイプもあります。海外旅行、みなさんいつもそうだと思うんですけれども、歴史的建造物を見ただけだとおもしろくないじゃないですか。やっぱり現地の生活、現地の人に触れてこそなんぼという。
そういう意味では、人の車に乗せてもらってライドシェアで行くとか、みなさんもよくご存じの民泊ですよね。人の家に泊まるとか。あと、TABICAという我々がやっているサービスもそうなんですけど、業者さんが用意したエンターテインメントを楽しむんじゃなくて、そこら辺の農家でトラクターに乗せてもらったり、そこら辺のうなぎ屋さんがうな重づくりを一緒に手伝ってくれて楽しめたりとか。
ただ、既存産業と関わる部分が多いので、今おっしゃっていただいたように、業法という各宿泊業とか、そういういろんな業があって、その業との争いがいろいろあります。けっこう、この壁は分厚いですね。
森戸:そうですね。今、農業とかそういうところでのシェアエコとか、そういうものってなにか、上田さんは出てきてます? そのあと及川さんに振ろうと思ってるんですけど。
上田:TABICAは、お客さんのうち半分ぐらいは農家さんになってますね。神奈川県とか、例えば近くに竹林があって、竹を切り出して流しそうめんができますよとか。7日間ぐらい働いて、40万ぐらい稼げる人がいますね。
森戸:それでいくと、たぶん農業ってポテンシャルが高いんですよね。
上田:高いですね。僕も旅行先ってローカル振りたいんですけど、旅行先のローカルって、農業とか漁業とか、そういうのじゃないですか。
森戸:そうですね。だから僕も九州にいるので、周りで農業民泊とか、実際になんとか体験とか、インバウンドも含めて、けっこうビジネスにうまくつなげられてる方がいらっしゃるんですけど。
ただ、なんで昔はできなかったのができるのかなって思うと、みんな普通にスマホを使って検索したりとか、予約したりとか、決済したりされてるような気がするんですよね。
だから、その農業の中で、今までスマホをみんなが使ってなかったとか、ネットがなかったのでできなかったんですけど。それが、スマホをみんな持ち始めて、ネットがつながってできるようになったシェアリング的な、新しいビジネスというところとか。
及川さんが今ビジネスをされている中で、最近ちょっと事業として出てきているところがあったら教えていただきたいなと。
及川智正(以下、及川):たぶんネットの普及だけじゃなくて、そういうものに価値を感じてくれる人が増えたんだと思うんですよね。例えば、おもしろいのがありまして。この間、山梨県……今日、山梨県から来てる方、いらっしゃるんじゃないかな。
森戸:山梨県からいらっしゃいますか?
(会場挙手)
及川:農家さんのところに行ったとき、桃農家さんがいまして。よくある、木のオーナー制をやってたんですね。言われたのが、「こっちの木は、1年間10万円です」と。「こっちの木は、100万円です」と言われたんです。
これはたぶん、「収量が違うんでしょう。10倍できるんじゃないんですか?」と言ったら「違います」と。とれる量も同じ、品質も同じ。「なにが違うんですか?」「じゃあ、下に座ってください」っていって座ってみたら、こっちは桃林の中にある桃、こっち(もう1つの桃の木のほう)に座ったら富士山が見えるんですよ。それだけなんですよね。
でも、富士山が見える土地の権利を持っているというところを100万円で売っているということで、そこに価値を感じる人も出てきたし、たぶん逆に、そこに付加価値を農家さんがつけられるようになった時代なんじゃないのかな。
今までの農業の儲け方っていうのは、たぶん、作ったものを売って儲けるというのだったんですけど、それだけじゃなくて、本当に資源とか資産とかたくさんあって。今僕らがやろうとしてるのは、例えばおいしいトマトを作ってる農家さんはどうやって儲けてるかって言ったら、おいしいトマトを作って売って儲けてるんですね。
でも、おいしいトマトを作る技術を欲しがってる農家さんって、ほかにも絶対いるわけじゃないですか。この技術を我々が吸い取って、可視化して、それをみなさんに提供する。提供することによってお金をもらう。
農業って、どうしても天候によって収入が変わるんですね。天気が悪くなったら収入が減って、天気が良くなったら上がる。でも、例えばおいしいトマトを作る技術がほかにシェアできれば、それだけで固定給、月々10万円入ってくるというような安定収入が入るっていうことで、本当に見えないものを、これからいろいろシェアしながら、お金が農家さんに入っていく仕組みというのをやっていこうかなと思ってます。
森戸:今、及川さんがおっしゃった中で、そういうことを考えれる人とか、見えない価値っていうのを感じることができる人たちが増えてきた理由というか、そこら辺ってどう考えられます?
僕、大学生と接してて、彼らはネットを見てるので、やっぱり僕らの頃よりも相当いろんな状態を知ってるんですよね。そして、本当の価値ってなんだろうかみたいなところも、よく彼らは議論していて。若い子は、どんどんそういうのをわかってきたなって気がするんですけど、そう言いながらも、僕らの世代の人たちも新しい価値に気づき始めてるじゃないですか。そこら辺の流れっていうのは、どういうところからきてると思います?
及川:価値は、2つあると思うんですね。1つは約束から。どんな約束ができるかっていうことで、価値のブランドレベルが上がっていくし、あとは難しさというところじゃないのかなって思うんですよね。
昔って、行きにくい観光地って誰も来ないんですよ。僕らの世代は、行かないんですよね。もう今って、すごく行きにくいところに行ったということが価値になるじゃないですか。
これはたぶん、そこに行った価値を情報発信する人が増えてきたし、そのツールが増えてきたからこそ、本当に難しさであったり、そういうところに価値が増えていってるんじゃないかなというところも。
森戸:そうですね。食べログとか、ああいうかたちのものもそうですよね。オムニチャネルみたいなかたちで。みんな今までは、雑誌とかそういうものを使って広告でやってたものが、みんなで写真を撮って点数をつけて、発信するようになったみたいな。それで、情報の信憑性もそうなんですけど、どんどん消費者が巻き込まれてきたっていうのはありますよね。旅行の評価もそうですけどね。
吉野さんのところはどうですか? 白浜に来られて、今何年になりますか?
吉野:間もなく2年です。
森戸:そうですか。東京でずっと働かれてて、2年白浜に来られて、白浜の価値とか魅力は、なにか気づかれたことってあります?
吉野:白浜は、もともと白良浜とか、アドベンチャーワールドとか、観光地なんですよ。とりあえずそれはいいんですけれども、やっぱり地元の方がいいと思ってるところは、すべて私はいいと思わないところで。むしろ地元の人が、「そんなにいいとは思わないんだけど……」というところは、良かったりするんですよね。
そういうところって地元じゃ気づかないので。素朴に思うのは、川でカヌーで遊ぶって、白浜じゃ当たり前のことなんですけど、誰もいいとは思ってないんですよね。都会から来た社員なんか、喜んでやっている。それをFacebookで拡散するということをやっています。そこはもう、ぜんぜん違うなと実感してますね。
森戸:そういう情報は、セールスフォースさんの社内では共有してないんですか? チラッと声はかけましたみたいな。
吉野:社内でも共有しますし、うちの社員はセールスフォースという企業の中に社内SNS、社内版のFacebookみたいなかたちで業務を連携するんですけれども、当然これは社員どうし東京も福岡もアメリカもつながっている。
ほとんどの社員が、Facebookのアカウントもプライベートとイコールなんですね。会社の写真と同じプロフィールの写真を貼って、公私混同してるんです。なので、イメージ的にはFacebookと社内のソーシャルが絡み合ってるような感じで、常に共用してますね。
森戸:はい。昨日僕、お聞きしたと思いますけど、セールスフォースさんは今回、和歌山を選ばれたということと、白浜というところにサテライトオフィスを置こうということ。最終的な決断をしたのはアメリカだと思うんですけど、そこら辺の理由はなにかあったんですか?
吉野:ちょっと私も「手を挙げて」っていうのをやっちゃっていいですか?
森戸:はい。
吉野:私、九州宮崎の出身ですけど、今日、宮崎の方っていらっしゃるんですか?
(会場挙手)
ありがとうございます。もともと私は、出身が九州の宮崎なんですね。セールスフォースに転職を機に東京に転勤していたんですが、会社の地方創生の取り組みでサテライトオフィスを作るという中で、全国視察をして、「候補地をお前が選んでこい」ということで。当然九州宮崎も候補に入ってたんですが、申しわけないですけど、宮崎は見送っちゃったんですよ。
結局和歌山県になるんですけど、理由はいろいろあるんですが、1つはまず社員を預かって白浜にオフィスを構えるので。ネットワークも、白浜町は防災のネットワークがもともと入っていて、通常はフリーWi-Fiを開放してるんですね。いつでもどこでもネットワークが生きている状況と、あと一番大きいのは、全国のいろんなところにいろんな観光地がいっぱいあるんですけれども、1個だけ、ほかにはないところがあったんですね。リゾート感なんですよ。
ただ海がきれいじゃなくて、リゾート感覚で若い社員が楽しみながらリフレッシュして仕事をする、こういうリゾート感のある場所は全国に少ないんですよね。そこは白浜の強みということで、白浜を選びました。
森戸:よく行政の方が言われます、回線が太いからとか、行政サービスが充実してるからとか、そんな感じじゃなかったってことですか?
吉野:そこはメインの理由には入ってないですね。
森戸:入ってないですか。
吉野:はい。
森戸:なるほど。
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