2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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記者1:イタリアのスカイテレビです。2つほど質問があるんですけれども、まずは伊藤さんに1つ、弁護士のスギモトさんにも1つ質問があります。
アメリカでもイタリアでも世界中でレイプが問題になっています。日本であまり報道されないというのは、残念というか理解ができるんですけれども。本のなかで他の女性からの連絡、連帯の言葉とか、同じように女性としてこの状況を変えようというサポートの言葉などはありますか。
そしてスギモト先生への質問ですが、私自身も弁護士ですが、日本で248(民事訴訟法第248条)という不思議な、ユニークな法律がありますが、それは非常に危険だと私は思い、認識しています。弁護士の中でそれを変えるような動きというのはありますでしょうか。
過去の一番有名な出来事を見ますと、当時自民党の佐藤栄作に逮捕状が出ました。しかし、その後それが止められ、法務省にそれがブロックされ、その後総理大臣になり、ノーベル賞を受賞されるまでになったんですけれども。その法律については、弁護士のなかでどういう風に変えるような動きというのはありますでしょうか。
伊藤詩織氏(以下、伊藤):日本のなかでは女性の弁護士からたくさん連絡をいただいたんですけれども、組織、まあ団体からの連絡は覚えている限りはなかったと思います。
1つ、イギリスの女性の権利を訴えている団体から連絡はあったんですけれどもそのあと実際会いに行きまして日本の状況などについて話す機会がありました。
スギモト氏:起訴便宜主義について日本のなかで改正の動きがあるかどうかっていうのは、すみません。起訴便宜主義について弁護士会のなかで改正の動きがあるかどうかということについては、私は把握しておりません。
記者2:デイリービーストジャパンタイムスです。本のなかで(刑事部長の)中村(格)さんの『週刊新潮』の引用「女の就職の世話をしてほしいという思惑があったから呑みに行ったのであって、しょせん男女の揉め事、彼女は2軒目にも同行してるんだしさ」があるんですけれども。
『週刊新潮』にあった中村氏の説明というのはどういう意図があると思われますでしょうか。
伊藤:中村氏にどういう意図があったというのははっきり私にはわからないんですけれども。
本のなかにも書いておりますが、NHKの『あさイチ!』の報道のなかでは、観客の人たちに「同意というのは、どういう状況にあると思われますでしょうか」というような質問があったなかで、2人きりで食事に行ったということは同意である。
または2人で飲みに行くということが同意であるというのは、27パーセントもそういうふうに考えるというふうに答えました。
そして2人で車に乗ることも25パーセントの人がそれが同意であるというふうに答えているので、そういったような状況が彼の答えのなかにはあるというふうに思っております。
記者3:フィガロの記者です。2つほど質問があります。この件について日本の何人かの女性と話をしたときに、シンパシーがあまりないということに非常に驚きました。
そしてほかでも、例えば慰安婦問題についても日本の女性のなかではそういうシンパシーがあまりないというふうに見ることがあるんですけれども。
日本の女性のなかでそういうエンパワーメントとか、連帯の気持ちがないというのが1つの問題であると認識していますでしょうか。それが問題であると思いますでしょうか。
そして2つめの質問なんですけれども、この事件で政治的に反安倍、プロ安倍など伊藤さんは避けてるというふうに考えるんですけれども。この事件、国会のほうでも議論されるべきというふうに思いますでしょうか。
伊藤:そうですね、この件について私自身も脅迫ですとか、バッシングなどを受けることが、女性からもありました。非常にネガティブなコメントも受けました。
で、そのなかで学んだ一つのことと言いますのは、やはりこの社会のなかで生きる女性としてはある意味で忍耐というものを持っている、そいういうふうにこういう状況でなきゃいけない、これしかないというふうに思ってしまっているという、状況があるのではないかというふうに考えております。
私はスウェーデンに取材に行く機会があったんですけれども、スウェーデンのほうでも職場においてのジェンダーの平等について取材をしたんですが。スウェーデンの警察のなかでも30パーセントの女性を占めている。それは高いポジションの警察も30パーセントを占めているということがあるんですけれども。
やはり日本の社会のなかで女性の地位、女性の影響力、女性の権力というものは他の国と違うということは言えると思います。
そのなかでも非常に興味深いといいますか、ぜひ機会があればしたいというふうに思っているのは、そういった違う意見を持っている女性とぜひ話をしてみたいというふうに考えております。
その意見についてぜひ聞いて、そしてどういう背景があるのか、どういう意見を持っているのかについて話を持つ機会があればと思っております。
そして2つめの質問なんですが、先ほども申しあげたようにブラックボックスがたくさんあるというふうに考えております。検察のなかにもそういったものがあるというふうに考えております。
中村氏からまだ答えはいただいていないという状況もありますので、ぜひそういったことのなかで国会のほうでも議論していただければと思います。
記者4:NO BORDERカンパニー、『ニューズ・オプエド』の上杉隆です。
ジャーナリストを目指しているにもかかわらず、ジャーナリストの不埒な人間の1人の手によってその夢を絶たれようとしているのをまず最初に申しわけないなとジャーナリストの立場からお詫び申しあげたいと思うんですが。
TBS の山口(敬之)記者について2、3、質問をしたいんですが。NO BORDER の取材では、詩織さんと会った日に山口さんはTBS でもうすでに内定・内示を受けてワシントン支局長ではなかったという取材をしております。
TBS のほうにそのあと取材やあるいはアプローチをしたのかということが1点と。
あと、先ほどの質問にもありましたけど、女性へのシンパシーということと同時にメディアが同じジャーナリズムに対して、ジャーナリストに対してのシンパシーが欠けてるんではないかという観点もあります。
これは詩織さんと弁護士しかわかりませんが、あるいは(FCCJ会長の)カルドン(・アズハリ)さんでもいいんですが、FCCJ が5月に伊藤さんのこの記者会見をどうしてスキップしたのかということをどうしても聞きたいので、その2点、お願いします。
伊藤:4月3日の時点で山口氏がすでにTBS のワシントン支局長でなかったということは私は存じ上げていなかったので、ぜひTBS にうかがいたいと思います。
ただ、不起訴という結果が昨年の8月、7月に出た際にはもうすでに山口氏はTBS を辞められていたんですね。
その後にコンプライアンスに問いたい部分がありましても、もう彼はTBS の人間ではなくなってしまっていたので、なかなかその点でうかがえない点があったので、そういった取材をしていただいたことに、とても興味がありますし、私も自分で調べたいと思います。
伊藤:5月にこちらのFCCJ で会見をさせていただきたかったのはやはりこちらでは司法記者クラブでない記者、メディアにも話しかけられるのはとても有効な場所だと思っていました。
断られた理由は、その当時は「too personal, too sensitive」と言われました。「個人的な話であるし、とても微妙な話だ」「難しい話だ」と。
ただ今までにこちらでこういったレイプ被害を話されている方であったりストーカー被害を話されているかたはいらっしゃって、どんな事件でもそれは個人的なものであり個人の体験に基づくものであり、センシティブというのは誰にとってセンシティブなのかということを、私もあの、ぜひおうかがいできたらなと思います。
カルドン・アズハリ氏:FCCJ の会長のアズハリと申します。まず5月の判断に関してなんですけれども。
FCCJ で会見を開くかどうかは、PAC委員会で議論がされて、そしてそのなかで決められるんですけれど。そのときは、会見を開かないと決めた人のほうが多かったということで民主主義的なかたちで開かないとそのときは決まりました。
しかし数週間前だったと思うんですけれども、もう1回この件について記者会見を開いたほうがいいという提案がされまして、そのときにまた同じような民主主義なかたちで投票がされて今回は会見を開いたほうがいいという決断になりました。
そして、1つコメントなんですけれども、他の性犯罪の被害者もこちらのほうで会見を開いているという話があったんですけれども、たしか過去にはオーストラリアの性犯罪の被害者もここで会見で発言をされているケースがありました。
そしてその事件の1つは、まあ違ったことは確か犯罪者は米軍に所属するひとだったんですけれども、そのときはすでに裁判のほうで有罪となった、有罪となっていたということが当時は違ったと思います。
今回の事件に関してはまだ訴えている最中であり、まだ裁判がどういう判断をするのかというのもまだ出されていない状況のなかで、オーストラリアの事件とは少し違う条件があるというふうに申しあげたいと思います。
正直、この委員会のなかで議論されたとき私は反対の立場の1人でした。そのときは、この件に具体的に反対していたというよりも、まずは裁判でちゃんと裁くべきだというふうに思っていたからです。
私の文化ですと、レイプというのは非常に重い犯罪であり、非常に重い罰もされるべきというふうに考えるんですけれども。まずはまだ、その詳細が全部明らかにされていない状況のなかで会見をするよりも、裁判でちゃんと解決してから、決断されてから、こちらのほうで会見をすべきである、というふうに個人的には考えております。
記者5:質問しようかどうか迷ってたんですけどね。私は、TBSの元ワシントン支局長です。同じ組織に属していた元同僚、部下が詩織さんに対してとった行動というのは、理解できないぐらい非常に怒りを覚えています。
就職話に絡んで、ああいうことをやる状況が私には理解できないです。支局で働く人間を選ぶことをやることで、あんなことを(やるとは)私は想像もできないし。
ましてや、犯罪行為がもしあったとすれば、それは1人の人間のモラルとして恥ずべきことだと私は個人的には思ってるんですがね。
あまりにも、登場人物が私のまわりにいすぎるものですから。質問するかどうかは非常に迷ってたんですが。私自身はそういう気持ちでおりますということをお伝えしたいと思います。
私の質問は、この本を読んで、非常に特異な動きがあるということを、1つ感じたものですから。1つは、警察が示談を斡旋したという行為ですね。
捜査員が、示談をしきりに勧めて、弁護士まで紹介して、そこに捜査員を伴って、車で紹介したりしてるっていうのは、私は捜査機関のやり方としては、ちょっと逸脱したような行為だと思うんですが。
これは、詩織さんのほうから弁護士を紹介してくれとかですね、警察側に、無料で国費で雇える弁護士がいるから紹介してほしいとか。そういうふうな働きかけっていうのは詩織さんのほうからやったんですか? そこだけちょと確認したかったんですが。
伊藤:はい、警視庁第一課の方から言われたことでして。まず最初に当時、高輪署から第一課に事件が移った時に山口氏側の弁護士の方が、警視庁第一課に訪れて示談を持ちかけたと。
その際に、警視庁第一課の方が、「詩織さんは今、お願いしている弁護士の先生はいるか?」というところで、私はその当時いなかったので「いません」と答えたところ、「被害者支援をする、国費で賄えるシステムがあるから、必ず必要になるから」と言われました。
当時、私がもっとも弁護士の先生を必要だと思っていたことは、まだ逮捕されずに、使われなかった逮捕状がどこにあるのか? どうなったのか? っていう質問を、被害者としてうかがっても教えていただけなかったので。
その点で弁護士の先生と一緒におうかがいできればと思って、先生を探していたので。その当時、私は「では紹介していただきたい」と。
ただ、そこで警視庁の車で連れていかれた先に、説明、相談に乗ってくれた方は、やはり示談のお話をするばかりでしたので。当時その方にお願いすることはありませんでした。
記者C:ジャーナリストのタカハシコウスケと申します。イギリスの軍事週刊誌の『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』の東京特派員をしております。お疲れさまです。手短にすみません、2つだけ。
1つが、レイプ以外とか本当つらい経験をみんなの前に明かして、世の中を変えていこうとするその強さは(どこにあるのか)。
高校時代にアメリカ留学したとか、大学ですか、留学したとか。海外から経験で得たのか、それとも小さいときから正義感が強くて、今こうやって変えようとしているのか。そのあたりを(おうかがいしたいです)。ほかの女性の方が5%以内しか報告しないなかで、詩織さんのその強さのことが1つと。
あともう1つ、ジャーナリズムについて。日本のジャーナリズムについてうかがいたいんですけど。週刊誌1社しか、取材に応じてくれなかったと。
どうも、私もアメリカでジャーナリズム学んで、詩織さんもジャーナリズムを学んだと。日本は、山口氏がそうですけどアクセスジャーナリズム。権力とか権威に近い人が、ネタも取ってくれるし評価されて上がっていく。
ただ、詩織さんのケースのように、人々の苦悩とか苦しみとか葛藤とか、そういうすくい上げる力が、日本のジャーナリズムに少ないんじゃないかと思うんですけど。そのあたりの日本のジャーナリズムのあり方も、少しお聞かせください。以上です。
伊藤:はい。私は自分のことを強いとは一切思っていないんですけれども。やはり、今回このお話をするにあたって、まず警察に行くところからすごく悩みました。それはなぜかと言うと、やはりこの話をしたら、もうこの業界では働けないと言われていたからです。
ただ、自分のなかで唯一クリアだったことは、これが真実であり、自分でその中の、その真実に蓋をしてしまったら、真実を伝える仕事であるジャーナリストとして、もう働けないと思っていたことと。
なので、これは個人的な話ではなく、やはり(個人的な話)でなかったから話せたんだと思います。もし、自分の個人的な話として考えていたら、思い出さないほうが良かったことだと思います。
もう1つは、やはりこういった被害を受ける方は、必ず自分を責めると思うんです。私もそうでした。ただ、やはり自分の受けた被害であったり、傷であったり、どれだけ暴力的な行為だったかっていうのは、自分自身が1番わかっていることであって。
そのまわりのシチュエーションであったり、どうそのことが運んだのか? と、いくら質問されようと、その傷が治まることもなければ、それは癒えることもありません。
やはり、自分が経験したことには偽りがないので。それは今後、警察に行こうか悩んでる人に対しても、それは彼らの判断ではあるけれども、彼らの受けた傷に、だからと言って変わりはない。それが真実なので、そこをまわりの方が理解することがとても大切だと思いますね。
それはやはり本でもとても伝えたかったことなので。私は、これが自分の妹だったり、友人に起きた場合、彼らはどう対応できるだろう? どういう道をたどるのだろう? と思ったときに、もうこれ以上彼らに負担をかけたくない。
これが起こったときに同じことが起こって、自分が今話さなかったことにおいて、繰り返されることがすごく、苦しいと思ったんですね。
だから……今回も、この本を書くことによって、私のケースは特別なケースだと思っていないので。それを自分のことだったり、自分の大切な人のことに置き換えて考えることって、すごくそれって、実は簡単にできることだと思います。
伊藤:2つ目の質問ですが、やはりこの2年間、いろいろなジャーナリストの方、メディアと話して感じてきたことは、同じことでして。私が思っているジャーナリストの仕事は、なかなか聞き取れない声をすくって、そこを話す。代弁することだと思うので。それがなかったことは残念です、この2年間。ただ、今年になってなにかのきっかけで『週刊新潮』が取材をしました。
これはただ、おっしゃってたように、私がお願いしたわけではなく、あちらが取材をしていたなかで答えた部分です。昨年の世界の言論の自由のメディアのランキングを見ても、日本は70位以下だったので。そこを考えても答えはクリアだと思います。
司会者:ではこれでお時間となります。みなさん、座ったままでお待ちください。
伊藤:ありがとうございました。
(会場拍手)
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