2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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森富美氏(以下、森):時間がそろそろなくなってきましたね。
もう最後の質問になってしまうのですが、私たち親世代が生きてきた世の中とは違う世の中で子どもたちは生きていかなければいけない。それはもう確実ですから。そのために親ができること、家庭でできることはなんだろうかと。
まず相馬さん。
相馬円香氏(以下、相馬):親は本当に苦労が絶えないなと、ここにいらっしゃるみなさんがお子さんのために日々努力されていることに本当に深い敬意を表したいと思うのですが。やはり答えはなかなかないと思うのです。多様化時代、自分で考えなきゃいけないということで、不安を伴うもの。
私も子どもをもつ親です。この子の将来、20〜30年後がどうなるのかな、この子の横に付き添っていられるのは後10年くらいかな、そこから1人で歩いていけるのかなと、不安でたまりません。
でも、親がしてあげられることは、人生の先輩として、子どもに「生きる希望を与えてあげること」なのではないかと思っています。
本当に親がニコニコと「あなたは本当に素晴らしい子だよ、今日は本当に素晴らしい日なんだよ。人に感謝をしなさい。あなたがこんなことができるのは、周りの人たちが支えているからなんだよ」と伝え、両親がその見本を見せていく。子どもがそれを後ろから見て、追い越していくのが、親としてまず最初にできることではないでしょうか。
不安ばかりをあおってしまったり、自分が日々のことを嘆いてしまったり、落ちてしまったりしないことは非常に難しいのですが、やはりできるだけそれをしないことを心掛けています。
悪いことを言わない。誰かが悪いことを言ったら「そうじゃなくて、違う伝え方があるでしょう」とお子さんに伝えてあげることが、大人がするべきことだと思います。
教育に関しては、機会を持つことです。人生は経験です。歴史書を読みなさいではありませんが、人類はずっと同じことをしてきています。その中から学ぶことはたくさんある。
書物を読むというのは当然ですが、人がやっていったことから学びなさい。人の話をよく聞きなさい。先人のことをよく聞きなさいではありませんが、良い物をたくさん子どもに聞かせてあげること。あとは、その経験を実体験としてあげるような場に、お子さんの足を運ばせることが大事かなと思います。
森:希望が見えてきました。
森:尾木さんもお願いします。
尾木直樹氏(以下、尾木):僕が1つわかってほしいことは、1997年頃から脳科学がものすごく発達してきました。それから医療機器のところもMRIやスキャナーなど、いろんな心の動きや身体のミリ単位での病気の発見などがわかるようになってきたでしょ。
そういった医療機器の発達と、それから脳科学の発達によって、人間の心のありかたや動きといったいろんなものが胎児の段階を含めてかなりわかるようになってきています。
これは急激な変化ですよね。それを教育にどう生かしていくかということで、実は文科省も2年前の12月からですね、脳科学を教育に生かすプロジェクトチームを立ち上げたくらいなのですよ。
これを立ち上げるのは、日本は遅かったからおかしいのですよ、だいたい。もっと早くから立ち上げないといけなくて、だからほかの国は、ほとんど5歳から小学校1年生が始まっていますでしょ。
日本みたいに、こんなにのんきな国はないの。オランダなんか4歳から小学校1年生ですから。時間割も、「月曜日の1時間目に私は◯◯を勉強する」といったように、すべて自己決定です。
日本のようにみんな決まっていて「はい、何ページ開けて」なんてことをやっていたら、取り残されていくの。それは実はですね……今なにを言っていたんだっけ。
(会場笑)
僕はね、古希を迎えたのよ。古希を迎えたと思ったら、何をしゃべってたか忘れちゃうことが多々あって。昔のことはよく覚えているの笑。
(会場笑)
まあいいや、それで重要なことは、脳科学が発達してきて、いろんなことがわかるようになった。その成果をいくつかポイントだけ言います。
1つは、昔は胎教と言われてモーツァルトを聞かせるといいとよく言われましたよね。それは一理あるのです。それからピアノを習わせるといいよと。これは脳の発達にものすごくいいことがわかっていますよね。
へたな早期教育よりも、ピアノがものすごく重要です。どうしてかわかりますか? 基本の理屈がわかっていると「これはいいな」「悪いな」がわかるようになりますよ。超簡単に言うと、体のいろんな違う部位を同時に動かすことで、脳のコントロールタワーが鍛えられるからいいのです。
だから瞬間的な分野、フラッシュカードをパッと見て漢字が読めるといった能力は、確かに脳の発達を助けるのよ。でもそれは部分的なものなのです。小学生4年生の後半くらいから必要になってくるコントロールタワーの力ではないの。
だから小4や5年生になったら元の木阿弥でしょ、ほとんどなんの成果もないのです。絶対音感もそう、絶対音感ではなくて相対音感で充分なのです。そういった事実が今、科学的にわかるようになってきています。
だから胎教のことで言うと、1つはいつもママがにこやかに笑顔でいるということ。
若い方がたくさんおられるから4Dカメラをごらんになった方も多いと思いますが、ママがニコニコ笑っていると、お腹の中の赤ちゃんも笑っているでしょ。その瞬間にお姑さんが来て「いやだまずい」と思ったらお腹の中の赤ちゃんの顔も引きつりますよ。
(会場笑)
森:お姑さんと4Dカメラを見ない方がいいですね。
尾木:そうそう。
(会場笑)
そんなわけで非常にみんな見えるようになってきたのですよ。
聴力だって妊娠5ヶ月ころからあるから、絵本の読み聞かせはどんどんやってあげて下さい。パパは生まれる前から上手になれるしね。そういうもので愛を伝えていくことはできるの。
話がそれましたが、つまりママの笑顔のある家庭や地域であること、それがすごく重要になってきます。
それからもう1つ、これから赤ちゃんを生む方もいっぱいいそうなので言っておきますが、これはすごく大事。男の子と女の子は脳の構造がまったく違います。あえて「まったく」と言います。男の子と女の子でどちらが育てやすいですか あっ、育てにくいほうで聞いてもいい ?
森:では男の子だと思う人
(会場挙手)
尾木:はい。ありがとうございます。女の子だと思う人……。
(会場挙手)
あっ、でもけっこういますね。
基本的に男の子の方が手がかかるというお母さんが昔から多かったの。これには理由がありまして。
男の子というのは、しっかり触れてあげないと愛情がなかなか伝わらないのですよ。女の子は「ママ、あんたのこと愛しているからね」と頭をなでてあげたり、比較的短時間の触れ合いで愛情が伝わりやすい。だからあの2人の子はおとなしいでしょ、伝わってるのね。
(会場笑)
愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシン、これは10分くらい触れることでその後50分位は愛情が伝わっている状態が続くそう。でも、男の子は女の子より、本能的にスキンシップを強く求めるから1時間に10分はしっかり抱っこしてあげなきゃいけない。
(会場笑)
しょっちゅう抱きしめてやらなきゃいけないの、男の子は。もう大変なの。みんなの旦那さまをみてもそうでしょ、なんでこんなに甘えるのかい。自立してくれと思うかもわかりませんが、男はそうなの。他にもいろんなところで男と女の違いがあるということがわかっています。
これは差別ではありません。だから、ここで夫婦喧嘩をしないようにしてほしい。
「あんた聞いてよ聞いてよ」と愚痴を言うから「それは君の喋りかたも良くなかったと思うよ」なんて言ったらもう大喧嘩。奥さんや女性が「ねえ聞いてよ」と言った時には、相づちを打って共感してあげれば良いだけなの。
「あらそう、それは大変だったね」と言っておけば円満よ。男は解決しようとするの。だから男の脳のことを解決脳と言うのです。女性は共感力が高いから、共感脳と呼ばれている。
だからここに来てもペラペラ、お喋りでしょ。すぐ盛り上がるもんね。そんなふうに男と女は違うよというのは科学的にもしっかり出てきますから。お互い違いを認め合って、仲のいい協力しあう夫婦関係をまずはつくってほしいの。
尾木:親子関係で言えば、大事なのは子どもたちを褒めるということ。それから、認めるということ。褒めることができなくても認めるという作業を入れてね。
「あなた今日は学校に行ってなかったけど、12時には起きてきて、ちゃんとご飯が食べられたね」と結果ではなく過程をしっかり認めていくことが大事。自分に自信を持てるということが、なにか困難に挑戦しようという意欲をつくるのですね。愛されているという思いがやる気を育てていくわけです。
怖い先生が良いわけではなくて、にこやかでほっと安心できる先生が良い。リビングで勉強したほうが効果があがるというのも同じ原理です。勉強部屋じゃないのです。それくらい安心感は大事なの。そんなことがわかってきたりしています。
大事なのは自己決定。自分で決めさせるということ。これをうんと大事にしてください。
だから例えば、今そこらをちょろちょろ歩いてる2〜3歳の子どもなんかも、「今日はどのお靴を履きたいの」と自分で決めさせるの。その代わり考える上でヒントになりそうな情報は前もって伝える。
「今日の午後からは雨が降ると雷さんが言っていたから、ママはこちらの長靴のほうがいいかと思うよ、でも決めるのはあなたよ」とかね。最後は必ずそこに落とし込んで。最終的に本人が日曜に買ってきた新品のズック靴を履いて行って、雨が降ったら自己責任ですよ。
これをママが決めたら「ママがこんなの履かせたからだ、長靴にすればよかった」とママのせいにして、自分はなんの成長もしない。でも、晴れて、おかげで帰りに公園などでちょっと遊べてね、自分で決めたことがいい結果につながったとなれば、自己肯定感と言うのですが、これをうんとアップさせてくれます。
自己肯定感が強い子を育てるというのは、ものすごく重要です。わかるでしょ。だから自分で決めればどっちに転んでも親は得なの。
うまくいかなかったら「自分で決めたんだからしょうがない」と、自分で責任をとるようにがんばる。うまくいけば「わー自分で決めてよかった」という達成感を持つわけ。だからとっても大事です。一流のアスリートはみんな自己肯定感が高いですね。
それでも叱らないといけない場面はどうしてもでてくるでしょ。その時はあまり慌てないで「どうしたの」と一言かけてください。「どうしたの」と聞いて弁解させる、理由を言わせる。そしてそこにある辛さに共感する。
弁解をするということは辛いんですよ、本人は。正しいことがわかっていてもそうできなかったのだから。
見つからないと思ったのに見つかったり。そうしたらそこに共感します。どうやるのかというと、大事なのは相づちです。「それは大変だったね」、これでいい。「どうしたの」「それは大変だったね」。そうするとエンパワーメントといいますが、心に元気が出てくる。
心に元気が出てきて「でもいつもママが言っている通りもっと早くやればよかった」、「前の日にそろえておけばよかった」と必ず正しいことを言います。そこを認めるのです。「あんた今日の失敗は良くないけど、改善点がすぐ言えるあたりすごいね」と。「やっぱりパパに似なくてママに似て良かったわ」なんて言わなくていいのよ。
(会場笑)
必ず褒めるのです。「どうしたの」「それは大変だったね」。そうしたらグンと自分で伸びていく。親や大人が思っている以上のことを行動に表したり、しゃべり出しますから、「おーすごいな」と親が感動して、褒めることができる。
この3つくらいですね。
森:参加者の方々、熱心にメモをとって聞いてくださいました。本当にお先真っ暗のほうの現実を知ることにもなりましたが、子どもたちに希望を与えることや、自己肯定感をちゃんと育んでもらうこと、あとはなによりお父さんお母さんが上機嫌でいられること。それが大事だということは、私たちの希望にもなりましたね。
お父さんたち、お母さんへの共感をよろしくお願いします。今日帰った時からよろしくお願いします。
はい。第1部はここまででございます。相馬円香さん、そして尾木直樹さんありがとうございました。
尾木:ありがとうございました。
(会場拍手)
森:拍手でお送りください。ありがとうございました。子どもたち元気に遊んでいてくださいね。
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