2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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尾木直樹氏(以下、尾木):でも、先ほど言いましたように、海外から外国人の方がドンドン入ってくるわけですから。そうした時代においては、日本人が跳ね飛ばされていってしまうような状況が生まれるんじゃないかなというのはすごく思いますよね。
森富美氏(以下、森):日本語のコミュニケーションとはまた別の、英語的な発想とか、自己主張の仕方などは、我々も学ばなければいけない段階に来ているのでしょうね。
尾木:来ていますよね。1歳半や2歳の子でもインターナショナルスクールに行くと、まずプレゼンの機会があって、自分の言いたいことを「私は今日これをプレゼンテーションします」という。家から絵本を持ってきて「この絵本にはこんなことが書いてあって、すごく感動しました。みなさんもどうですか」と、わずか40秒くらいでプレゼンテーションするのね。
そういうことを毎日やっているでしょう。常に自分を主張して、人に伝えていくという生活の中にいるわけですから。やっぱりそうした能力は非常に高くなります。
一番下のお孫ちゃんも、1歳2ヶ月で行った時に、まだしゃべれませんでした。そこで最初に聞かれるのが「あなたの名前はなんですか」という質問なんですよ。
日本の保育園と幼稚園では、まず「はい、整列して並んで」とか、集団の中に入って集団行動ができることをまず要求されます。ぜんぜん違う。これは大きな意味を持つなと思いました。どちらの方がいい・悪いという問題ではなくて、もうぜんぜん違う育ち方なのです。
森:違いますね。このお話しだけ聞くと、やっぱりインターナショナルスクールに行かせた方がいいかなと思われる方もいらっしゃるでしょうが、日本の教育の中ではなにができますか
尾木:そう。日本の教育の中でどうするかということが大事なのであって、インターナショナルスクールに行けばいいという考え方が違うのよ。わが家はちょっと事情があってそうせざるを得ませんでしたが。
尾木:それでやっぱり日本の場合も、どうするのかというのは政府が一番わかってるの(笑)。ね、そうね。
政府が一番わかっているわけですよ。実はすでに、学力テストやいろんなところで日本の順位が落ち込んできた、その弱点はなにか。そういったことも見事にわかっているのです。
その中で出てきたのが、2020年の教育改革なのです。今回で戦後7回目の改革となりますが、だいたい10年刻みでやってきているのです。
戦後70年だから、これが7回目。これまでになかった大改革なの。これまではいつもね、小、中学校、高校と、せいぜいが高校くらいまでの義務過程をいじっていたのですよ。
ゆとり教育だの詰め込み教育だなんだといろいろなことを言いながら、いじっていたのは義務過程のみだったのです。でも今度は2020年に大学を切り替える。
大学のセンター試験は、みなさんご存じだと思いますが、それをやめちゃおうというわけですよね。
それをやめてしまって、今回が初めてですが、記述式問題を入れていこう。このように切り替わってきました。これはどうして変えてきたのかというと、大学を変えなければ終わりだという思いがすごくあるからです。
また、例えば東京大学が今から5年くらい前に、秋の入学に切り替えようということになりました。これをしないと留学生がやってきてくれない。半年ズレてしまいますから。
尾木:そういったところでブレインを変えていかないと、なかなか交流がうまくいかないというのもありますよね。
その中で“キー・コンピテンシー”というのが、OECDの基本的な学力概念なのですよね。これはなんだかいろいろ書いていますが、例えば「異質な集団で交流する」。違う言葉で言うと「多文化共生」に近い考え方ですね。
今、アメリカの(ドナルド・)トランプさんなどを見ていると、一時的に逆方向へ行っているように見えますが。世界の流れは多文化共生です。いろんな民族の人が協力し合って、みんなで生き合っていこうと、第二次世界大戦以降の流れできたのです。
EUなどもそうですよね。でも、イギリスがそこから離脱すると言っています。昨日、保守党が負けましたよね。多文化で共生していくことが人類の大きな課題だと思いますが、新しい矛盾が出てきて、なんだか世界が揺れています。
そんな時だからこそ、命令されて動くようなことではなく、主体的に自分から行動していったり、人と協力し合って問題を解決する力が求められてくる。
これを日本の文科省的な表現で言うと、学力の定義が「しっかり考える思考力」、それから「的確な判断をする力」「表現力」です。表現力には作文力なども含まれますが、プレゼンテーション能力のことですね。「どう伝えるか」。この3つが核となっているのですね。
尾木:そして学び方も変わってきています。アクティブラーニングという言葉を聞かれたことがある方は、ちょっと手を挙げてください。
(会場挙手)
尾木:あっ、ずいぶん多いですね。
森:ほとんどですね。
尾木:アクティブラーニングの概念がわかりにくくて現場が混乱するといけないというので、3月に文科省が日本語に変えちゃったのですよ。2〜3年もかけて言い続けてきたのに、ガラッと変えて日本語で言うと「主体的・対話的で深い学び」になります。このキーワード、わかりますか?
対話的にという言葉がありますが、これは相互の対話を意味します。自分1人で塾へ行ってワーっと暗記して学力を上げればいいのではなく、対話を通して真実や、あるいは解決策を見つけていこうということです。
この対話というのは、手っ取り早く言うと「班で」「グループで」というのもあるし、それから「自分との対話」もある。でも、日本の先生は”対話”と聞くと「とりあえずグループディスカッションさせよう」となっちゃったの。それだけじゃなくて、「自分との対話」があるので。
それから「過去との対話」。つまり、文献などいろんな物を調べてわかる事実と対話をするのも大事。
授業中に班の席を作って「はい、今から班討論しなさい」の一辺倒になっちゃったの。形式的なところを整えればいいんじゃなくて、学びの質が重要なのに。
ちょっと話が逸れますが、次期学習指導要領は2020年からスタートと言っているでしょ。現場には移行期間というものがあるので、実際には2年前から前倒しでやるものなのです。
というのは、いきなり2020年からやれるわけがないから、先に始めてみて、矛盾などを改善したり、いろいろと手を打たなきゃいけない。それは強制ではないのです。正式に始まるのは2020年。やらないところがあっても違法ではありませんが、ほとんどの学校は来年から始めます。
2年前からの前倒しで、もう来年から始まると思っていていい。でもそれよりもずっと前から始まることもあります。各学校の校長がリーダーシップをとることが昔より多くなりましたから。
それで売り込んで、学校選択の自由が東京では多いでしょう。「うちこれやってるよ、英語教育やってるよ」といって人を集めようとするのよ、もう姑息なの(笑)。
(会場笑)
出し抜こうとしてるから、あちこちがすでに始めている。プログラミング教育というのもそうでしょ。「プログラミング教育を受けてきたよ」って方は手を挙げてください。
(会場挙手)
尾木:ほら、おられるでしょ。でもまだ4人か5人しかおられない、出し抜いている学校よ(笑)。横浜市なんか、もうだいぶ前から英語教育を小学校1年生くらいから始めてましたでしょ。
そんなふうにして、どんどん出し抜き合戦みたいにしてやっている、ゆがんでいる学校も多いの。プログラミングなんかも、本当は違うよというのもいっぱいやっているのですが。
尾木:そんな中で“主体的に”と言っても、これも難しい話よ。それから“対話的”とはいろんなものと向き合って深い学びに落としこんでいく。つまり、「テストでパッと答えられる・トレーニングしているから計算が速いよ、というのは学力ではない」と、文科省が言っているわけです。
それからAIが出てきて、ほとんどパソコンであれば、何桁でも一瞬にして計算できる。式がわからなくても、入力すればバーッと出るわけですよ。こんな時代に、それを覚えておいて、テストでできるかできないかを問うような問題は、もういらない。だからないのです、そういうのは。
それは学力ではない。さっきおっしゃったように、いろんな海外の人と提案ができます。そういう提案がどんどんできて、答えが1つでない課題に対して解決能力をもった子どもたちがいなければ日本はダメになる。
だからそういう人材を育てていく。そのための学習方法として、アクティブラーニングに切り替わっていく。
こういうわけなの。そして小学校1年生からの必修としてプログラミングが入ってきたでしょう。これは今、これだけのコンピューターの時代になってきている中で、プログラミングは不可欠だからですよね。
コンピューターがどう動いているのか、その理屈や論理を理解することで、そういったツールをうまく使いこなせるようになる。そこが狙いです。
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