2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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森富美氏(以下、森):みなさまこんにちは 日本テレビアナウンサーの森富美です。暑い中お集まりくださいまして、ありがとうございます。
本日は「ママモコモ」による久しぶりのリアルイベントでして、スタッフ一同みなさまにお目にかかれることを、とてもとても楽しみにしておりました。
「ママモコモ」といいますのは、日本テレビが全国の子育てファミリーのみなさんに、もっともっと愛される局となるために始まった子育て支援のプロジェクトです。
今日のセミナーは「取り残される日本の教育 未来を育む子ども達が身に付けるべきチカラ」と題しまして、みなさまと一緒に2020年の教育改革について、またこれからを生きる子どもたちはどんな力を身につけていくべきか、ということを考える機会になればと思っております。
今回は教育の専門家としてお話しをうかがうべく、2人の素敵なゲストに来ていただいております。
ご紹介します。まずは尾木ママの愛称でおなじみの、教育評論家の尾木直樹さんです。
(会場拍手)
尾木直樹氏(以下、尾木):よろしくお願いします。
森:そしてもうお一方が、SOMOS & Co代表取締役社長、外務省後援「こども国際フェスタ」主宰の相馬円香さんです。
(会場拍手)
では、まずお話しをうかがう前に、今日お集まりのみなさんがどういった方々かをおたずねしておきたいと思います。お子さんの年齢を挙手でお答えいただけますでしょうか。
小学校に上がる前のお子さんはいらっしゃいますか。
(会場挙手)
多いですね。小学生のお子さんがいらっしゃる、または2人いらっしゃる方は両手を挙げてください。
(会場挙手)
小学生もいますね。それ以上、中学生以上のかたもいらっしゃいます。もしかしたら、お子さんはまだいらっしゃらないけれども、今後のこととして考えていきたいということで来てくださったかたがいらっしゃれば挙手をお願いします。
(会場挙手)
ありがとうございます。
お子さんたちは、もしかしたら「動きたいな」という時もあるかもしれません。その時は下にテレビカメラのコードなどがあるかもしれませんので、それさえ気を付けていただければ走っていただいてもけっこうです。
泣いちゃう時は泣いちゃっても大丈夫ですよ。どうぞご自由にお楽しみいただければと思います。
森:さて、このイベントは「取り残される日本の教育」と、なんだか恐ろしいタイトルがつけられておりますが、これが実は尾木さんがいま大絶賛発売中のご本。
尾木:そうですね。
森:大人気だそうですよ、『取り残される日本の教育 わが子のために親が知っておくべきこと』。このタイトルなのですね。
尾木:はい。こんな怖いタイトルで売れるのかなと思ったら、売れているのよ。
(会場笑)
森:それだけみなさん、危機感をお持ちになっているということだと思いますが、でも本当にそんなに大変なのでしょうか。
尾木:みなさん、例えば東京大学なんて言うとね、ナンバーワンの名門大学というイメージを持っている。テレビのクイズ番組でも“東大対ホニャララ”なんてやってるでしょ、でもぜんぜん話にならないの。
例えば東京大学は、これまで常にアジア諸国の大学の中でトップを占めてきていたの。ナンバーワンだったのです。
だから、日本に中国や韓国など、いろいろな国から留学生がいっぱい来てくれていたのね。ところが、この頃は来てくれなくなったなと思ったら、なんと東京大学は……ここにあるように見えます?
森:赤字になっているのが、7番目。
尾木:そうです。アジアで7番目なの。 シンガポール大学が1位で、それから清華大学、北京大学といった中国、韓国が並び、ほかの国が上位に来ちゃって。日本は東大が7位で、京都大学が11位です。これが世界で見ると、(スライドを指して)ちょっと見てください。
世界で東京大学は39位、京都大学は91位です。国際的に見ればもはやトップには入っていないのです。わかりますか? それと同時に、論文を書くときに「東京大学の何々教授は」といった引用がなされますよね。
文科省の調査によると、科学技術分野において引用される論文の数が、10年前まで日本は4位くらいをだったのです。それが2012年から2014年の平均では10位まで落ちました。
つまり、これは大学の先生方がいけないのではなくて、予算が少ないのです。大学の教授はみなさんの時代だと、助手から入って専任の講師になって、助教授になって、教授になって……といった感じだったでしょ。でも、今は国立大学だけを見てもですね、なんと大学教授の40パーセントが5年程度の任期付き教授なのです。
5年しか雇ってもらえないの。5年間のうちに、成果としていい論文などを発表しなければ契約が継続されていかないのです。そうした状況だから、短期間で成果の出やすい研究ばかりやらざるをえないわけ。ノーベル賞を貰えるような人は、日本からもう出ないですから。もう出ないですよ、まったく。
そんな感じで、あっという間に世界から引用される論文の数が10位になっちゃったというね。惨憺たることに今なってしまっています。そして、早稲田、慶応なんて何位くらいだと思いますか? どちらも601〜800位の層にいます。
森:日本が誇る大学が……。
尾木:東大、京大はまだマシなほうで、早稲田、慶応になればそこまで落ちている。でも、日本に住んでいるとそのことに気が付かなくて。早慶上智や、東大に入ったという話を聞くと、例えば「えっ東大入ったんだ」「子どもが4人も東大の医学部に入ったんだって」と尊敬される話になっていますが、自分たちの国だけで、見えていないの。ほかの国が。
尾木:それからね……もうちょっと話してもいいのかな。
森:どうぞ。
尾木:これが大学のランキングだけではすまなくて、こんなに僕たち24時間不夜城で働いているのに、日本は生産性の順位が、1時間単位あたりの生産力で言うとOECD先進国35ヶ国のうち21位です。国際平均にも満たない。こんなに働いているのに、おかしいでしょ?
どこがトップかと言いますと、ルクセンブルグとか……アイルランド。
森:ノルウェー、ベルギーですね。
尾木:ノルウェー、ベルギー、米国、フランスという並びになっていて、日本より下にあるのはですね、スロベニア、イスラエル、チェコスロバキア、ポルトガル、ギリシャ、ハンガリーといった東欧諸国です。つまり、日本はこんなに働いているのに、生産性が高くないのです。
これは、どうしてだろうということで、僕、経済学が専門でもないし、なかなかわからなかったのです。
けれどもオランダ視察に行った時に、わかりました。これは、教育の構造にあるのだと。また子育ての仕方にもあるのだということがはっきりとわかりました。くわしくは、もうちょっとあとでお話ししようと思うのですが、とにかく今のままではもう200パーセント日本はまずい。ずーっと沈んでいってズボンと落ちてしまいます。
だから政府も、2020年のセンター入試を廃止してしまおうという大胆な入試改革に入るわけなのです。
森:ずいぶん変わるみたいですね。
尾木:はい。ずいぶん変わります。
森:そのあたりも後ほど解説いただきたいのですが。相馬さんは2012年にインターナショナルスクールを立ち上げられて、各国の大使館と一緒にやっていく教育プログラムもやっていらっしゃるとのことです。そのあたりを始められたというのは、なにかやっぱり今のままじゃいけないなという問題意識も背景におありだったのですか?
相馬円香氏(以下、相馬):尾木先生のおっしゃった生産性に繋がってくるのですが、最初に入った会社は日産といって、某社長で有名なところでした。
そこで目の当たりにしたのが、各国のマネジメントチームが、「今、問題に対してこういう課題がある、こういうふうに変えてはどうかな」と、どんどん課題と提案をしていくのです。
その発想や機転の利き方がとてもユニークで、最初は驚きが強かったです。固定概念で小さいことに捉れがちな問題も、視点を変えれば、ダイナミックかつ斬新的なアイデアが出てくる場面を幾度も目にして、想像もしない方向に解決の糸口が導かれることも多々ありました。
といった様子をヒラの立場で見たときに、これは世の中というのは常に課題があって、それを変えていかなければいけないんだと思いました。私が入った頃は、会社の仕組みは完璧、ものと甘い考えをもっていました。答えのない問題というものが日常的にあって、それをさまざまな立場と視点から解決・改善していくのが社会の営みだとはわかっていなかったことを振り返ります。
2つ目に外国の人と話をして、戦略やアイデアなど、いかに人と違うことを、ユニークに、でも協力し合いながら素晴らしい形にしていくのかを知ったこと。それでなにか自分で事業をするときに、大人はものすごいものを作り上げる。
それでは小さいお子さんを対象にしようということで、いろんな大使館を訪問しようという小学生向けのプログラムを立ち上げたのです。
その際に、ただ「その国に行って聞いたことをまとめましょう」ではなくて、「まず好きな国を10ヶ国の中から選びなさい」。そして、学んできたことを帰ってきてまとめるのですが、「別日に舞台で発表します。その原稿作りは手伝いますが、必ず自分で体験してきなさい」「構成は自分で考えて、そのユニーク性や、独自性をできるだけ英語で伝えるようにしましょう」「それが難しければ日本語で戦いましょう」といったプログラムを作りました。それが現在の「子ども国際フェスタ」なのです。
ですから、そういったことをできるだけ子どもにコンスタンスに体験させてあげようと。お子さんなので、それを保護者のみなさんに伝えるかたちでやってくださいといったことが、実は学校の始まりなのです。
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