2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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浜田敬子氏(以下、浜田):みなさん、こんにちは。今日はありがとうございます。このセッションのテーマは、女性のリーダーシップがテーマになっています。今日は、私と松下恭子さんの2人でお送りさせていただきます。よろしくお願いします。
松下恭子氏(以下、松下):よろしくお願いします。
浜田:最初に、それぞれの仕事の内容と自己紹介を始めましょうか。松下さんお願いします。
松下:松下恭子と申します。よろしくお願いします。私が今やっていることは、デジタルメディア会社エッセンスのアジアの代表取締役をしております。経歴はまた後ほどお話しすると思いますが、今は東京で150人くらいのメンバーをマネージしてます。
浜田:ありがとうございます。私は今、Business Insider Japanというオンラインの経済メディアの統括編集長をしております。3月末で、28年間勤めた朝日新聞を辞めて、4月1日にデジタルの世界に飛び込んだばかりなので、毎日毎日、デジタルの用語がわからないこととか(笑)。あと、海外のメディアなので、英語と格闘していると、そんな時間を過ごしています。
松下:メディアと言っても、ちょっとまた違うメディアで。
浜田:そうなんですよね。松下さんは海外の生活が長かったと思いますが、そのキャリアから教えていただけますか?
松下:プランをしたキャリアはないんですが、私のバックグラウンドとしては、大学で、生物学とドイツ社会学という、とても変わったものを専攻していました。大学4年生になる前にドイツに住んでたんですが、お金を稼がなきゃいけないので広告代理店でバイトをしたんですね。
そのときに、広告自体もおもしろいと思ったんですけど、広告業界の方の働き方がとてもおもしろくて。チームでものを作るというのは、どこの国でも、どんなインダストリーでもあると思うんですが、そのときのチームが私にとってものすごくインパクトが強くて。「広告業界というものは何だ」と。医学部の、本当に行こうと思ってたものとぜんぜん違う、広告の業界に入りました。
そこからずっと広告をやっていたんですが、やっぱりプロダクト商品とか、商品開発や企画のところに、すごく興味を持っていたので、ここ数年は、メディアや広告の部分から離れてプロダクトを見ていました。全体を見てナンバー2としてマネジメントを任されたんですね。
そのとき私が全体が見て決断ができるレディーだったかというと、そうじゃなかったと思うんですけど(笑)。そこに置かれることで、自分がマネジメントとしての役割を覚えていきました。その楽しさを覚えたので、そのあとは、自分がミッションとかバリューが合った会社のリーダーとして活躍できれば、ということで、今やってます。
浜田:むしろ、リーダーとしての仕事のおもしろさに目覚められたと。
松下:そうですね。3年くらい前に。いろんな失敗もした中でこれをやり続けたいというのが見えて来たのが、ちょうど30代の後半ですね。
浜田:私自身は、本当に対極ですよね。私は本当にドメスティックな朝日新聞社というところに新卒で入って、28年間、転職もせず同じ会社にいて。そのうち17年間は『AERA』という週刊誌を作っていました。副編集長が長くて、9年副編集長をやりました。なので、37歳で管理職になって、その途中で子供を出産して、編集長代理、そして編集長をやっていました。
同期でも、次長クラスになったのが一番早かったうえ、管理職の出産って、会社で初めてだったんです。なので、「会社としては、この人どうやって扱ったらいいか」みたいな感じで。そもそも女性に、デスククラスというか、次長クラスはそこそこいたんですけど、「編集長・部長クラスできるのか?」みたいな。編集長で、しかも、週刊誌という非常にハードな職場で。
松下:すごいんですよね。その……。
浜田:そうなんです。やっぱり週校了日があって、『AERA』の場合は木曜日、金曜日が校了でした。木曜日の場合は夜中の1時くらいになっちゃうんですね。私は、子供を産んだあとに編集長になったんですけど、途中でどうしても編集長をやりたいと思ったんですよ。最初はぜんぜんそんな気持ちなかったんですけど。
でもやっぱり「この仕事やりたい」と思って、子供が1歳のときに、親を山口県の実家を売ってもらって、隣りに来てもらって(笑)、今もそうなんですけど、子供の面倒を全部見てもらって、なんとかやって来たという感じです。
松下:なるほど~。すごいですね。私も22から25のときは、日本で働いていました。シカゴの代理店から東京に来たんですけど、バブルが弾けたくらいのときだったので、本当、ワークハード、プレイハードの日本のカルチャーで。広告代理店だったのでさらにハードだったうえに一番ペーペーだったので、ギャップは覚えながらもやっていました。
3年前に日本に戻って来まして、変わっていることと、まだまだ根本的には変わってないことがたくさんあると思います。
浜田:どういうところが変わってなくて、どういうところが変わったと思われますか?
松下:やはり一般的なマネジャーレベルで女性が増えてきているのは、すごくあると思っています。統計では、20代前半から30代後半までの女性の約40パーセントが出産や家庭を持ったことで職場を離れるという中で、私がいた当時と今を比べて、女性が残っていると思っています。
ただ、仕事を離れた女性の93パーセントくらいの方が、「戻りたい」と思っているのに戻れてないというのが、日本の特殊な事情だと思います。海外でも、女性が仕事を離れることもありますし、戻らないという判断をする人もいる。それは個人の判断なのでいいんですが、戻れる環境が整ってるか、整ってないかという点で、私はこれから日本でそういう環境を作っていくことに貢献したいですし、それを作るためには、いろんな人と協力していかなきゃいけないと思っています。
浜田:6月1日から、日本は就活の選考が正式に始まります。実は、有名無実化してるとも言われてるんですけど。最近、就活の取材をしていて、女子学生に意見を聞いていると、あえて一般職を選ぶという人が多いんですよ。
「なんで?」と聞いたら、腰掛けじゃないんです。逆なんですよ。「長く勤めたいから」と。要は、総合職になるとものすごくハードワークで長時間労働で、自分のライフイベントと両立できる自信がないと言っていて。とっても優秀なんだけども、総合職じゃなくて、サポートするような仕事に就いて長く働くと。
能力があるのに、総合職を目指さないという状況がどうしても生まれています。それは、さっきもおっしゃった長時間労働とかそういうものがあって、どうしても断念せざるを得ない。本当に疲れちゃうんですよね。
松下:それは男女問わずありますね。今までの広告って、雑誌とかテレビとか、出しちゃえば出て終わりなんですけど、デジタルの場合は、出す前も、出してからも大切で、結果をあげてかなきゃいけないんです。そうすると、長時間労働の世界なんですね。
ただ、それを1人で回すシステムではバーンアウトしてしまうので、どういう体制を作っていけばいいのか、というのは業界のトピックです。今回のイベントも、私はもっとそういうテーマを挙げてほしいと思っています。
なので、長時間労働という意味では編集系のメディアもそうですし、テックメディア、私たちがいるようなデジタルメディアの業界も同じで、男女問わず、女性も男性も一緒に協力してやり抜ける体制ができると思います。みんな結婚したり、子供産んだりという決断をする中で、消去法で一般職になってしまうのがちょっと悲しいですね。
浜田:今、会社の中で、働きやすい環境作りという意味では、具体的にどういうことをされていますか?
松下:今、日本のオフィスを作って3年になります。全部ができているかと言ったらそうじゃないと思いますけど、それぞれが結果を出せればいいと思っています。基本的には、朝ちゃんとオフィスに来るいうのはあるんですけど、やっぱりデジタルの世界にはサイクルがあるので、忙しいときは忙しい、オフのときはオフでいいと思っています。
なので、そういう意味でのフレキシビリティとリスペクトを持ってみんなと接していきたいと思ってます。やっぱり自分がそれを見せていかなきゃいけなくて、自分が長くオフィスにいる姿は下の人だって見てると思うので、そこはちゃんと気をつけないといけないと思ってますね。
浜田:私自身は、本当にぜんぜん良いロールモデルじゃなくて、『AERA』の編集長時代のときは一番最後まで残ってたんですね。自分は親がいて、たまたま子供を見てくれる人がいるから、わりと遅くまで仕事ができると。
ただ、30人くらいの編集部で、私のときには20人が女性になっていたんですよ。それは増やしたというよりも、優秀で、「この人欲しいな」と思ってどんどん集めたら女性が主体の編集部になってしまって。ニュースの現場でこの男女比ってちょっとあり得なくて。朝日新聞社に行くと、ぜんぜん男性ばっかりなんですね。でも、『AERA』に来ると女性が多いと。
その20人の女性のうち、10人がワーキングマザーでした。なので、みんな18時、18時半には帰らないと、保育園のお迎え行けない。なので私のときに、週刊誌で締め切りがあるので、「この締め切りのまでに自分が持っている企画をちゃんとおもしろく上げてくれればいい」、という方針に切り替えたんですね。
とにかく、子供が病気のときは家で仕事をしてもいいし、早く帰ったら、家でできなかった分をやるとか、朝起きてやるとかでもいいと。とにかく結果を出してくれればいいというふうに変えました。
でも、会社自体が制度を変えたわけじゃなくて。うちの部署で、編集長の私の裁量でそうしないと、雑誌として、チームとして結果が出せないと思ったので、とにかく、みんなが一番働きやすくてパフォーマンスが上がることを選ぶしかなかった。どちらかと言うと消去法ですね。それしかなかったので、そうしたんです。結果的に、みんな、それでも忙しいは忙しいんですけども、そうやって補完し合って、みんなが助け合うしかないわけです。
そのうちに、私の同期の男性が編集長代理に来ました。彼は、3年前に奥さんを亡くして子供さんがいたので、シングルファーザーでした。やはりこの問題を抱えてるのは女性だけではなくて、男性もそういうケースになる場合もありますし、ちょっと歳がいった部員には親の介護を抱えている人もいて。
誰もが、いろんな事情を抱えていてるというのを前提で、働く環境を考えていかないと、みんなのパフォーマンスが上がらない時代になってると痛感してます。
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