2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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司会者:それでは、本日の最終セッションに移らさせていただきます。いじめがない環境をつくるために今必要なことと題しまして、エースチャイルド株式会社の西谷雅史さんと株式会社KDDI総合研究所の齋藤長行さん。
そして、弊社サムライインキュベートのメンバーであり、NPO法人地域子ども応援団「めだかの学校」で代表理事を務めております勝見恭子の3名をパネラーに迎えます。そして、モデレーターを最後のトリということで、代表の榊原が進めさせていただきます。みなさま、大きな拍手でお迎えください。
(会場拍手)
榊原健太郎氏(以下、榊原):みなさん、こんにちは!
会場一同:こんにちは!
榊原:先ほど申し上げたのですが、本当はこのセッションが、このイベントの中で一番数多くなれば、日本が変わると思っています。
ドローンやAI、マーケティングというよりも、最初に変えなくちゃいけない問題が教育です。基本的には、いじめは大人になってもあります。また、世界的ないじめが起きて、結局戦争が起きていると思います。
やはり、そこの根本を解決しない限り、そういったものは解決できないと思いますので、そういった意味で、今日来ていただいたみなさん、非常にすばらしい方々だと思っております。かなりセンシティブな話題ですが、僕らもやろうと思っております。
まず、このセッションのテーマですが、先に今日集まっていただいた3名を、僕のほうで簡単にご紹介します。
まず、弊社の支援先であるエースチャイルドの西谷さんです。彼は、スタートアップでいじめの問題を解決して、それをビジネスにするという、世界でもまれな会社です。スタートアプリを立ち上げ、それを収益化するかたちで、チャレンジをされている方です。
その次は、KDDI総合研究所の齋藤さんです。まさにいろんなリサーチを活用され、政策から、こういったいじめ問題をどう解決したらいいかのお話をしていただきます。
そして、弊社のメンバーでもありますが、NPO法人として、いじめ問題を解決しようと、めだかの学校の理事長をしている勝見さんです。
僕は勝見さんのことを「きょうこりん」と呼んでいますが、今日は勝見さんと3人のメンバーで話したいと思っていますが。まず1個目の質問からいきたいと思います。
みなさんに、いきなり結論から聞きたいなと思いますが、実際にいじめの環境って、僕の子どものころから40年、100年以上ずっと続いている問題だと思います。まず何を今やらなければいけないのか? 西谷さんからお願いします。
拍手お願いします。
(会場拍手)
西谷雅史氏(以下、西谷):みなさん、初めまして。今日は、よろしくお願いします。お会いしたことのある方もいらっしゃいますが、先ほど、ご紹介いただきましたエースチャイルドの西谷と申します。
榊原さんに支援を受けて、今いじめやさまざまなネットトラブルを解決するため、家庭でお使いいただくサービス「Filii」を展開し、ビジネスを行っています。
私のほうで「Filii」をやりながら、学校や、国でやっていることなどを見ていて、今必要だなと思うこと、すごくいいことだと感じていることが大きく2つあります。いきなりいじめがない、ゼロの状態は難しいと思います。そこで、実際どう減らしていくか、起きづらくしていくか、ということが大事だと思います。1つは、まさに国でずっとやっている実態把握です。ニュースにもなっていると思います。
「いじめの定義って何だろう?」ということからよく議論されています。「いじめが昨年度何十万件、何万件確認されました」といったデータが出ていると思います。そこから実態を把握し、どこからがいじめかなのかという定義です。件数も、もちろん大事ですが、いじめといじりの間、どこからがいじめかも大切です。
よく議論されますが、議論も含めて、実態を把握して、そこからどう対策していくかを、しっかり国主導でやっています。けれど、国から自治体におとして、実際に学校や家庭でもやっていくことが、まず一番大事だと思っています。
もう1つは、実際に動くこととは、ぜんぜん違う観点なんですけど、いじめが起きづらい環境があると思っています。
いろんな環境があるんですけど、ちょっと極端な例で、学力の高いすごい進学校は、すべてではないですけど、いじめが起きづらいケースがあります。
何が目的かというと、彼ら彼女らは、自分が将来やりたいこと、夢を持っているから、いじめをせずに今しっかり勉強し、運動したりする環境があります。
今日、勝見さんに名刺を頂いて、めだかの学校では、子どもたちの夢応援プロジェクトをやっていると聞きました。これはまさに「つながる話だな」と思っています。夢を持って、これをやりたいと思って夢中になっている人たち、子どもたちは、そういうふうに時間を使いたいのです。
だから、周りに影響を受けて、集団的ないじめに加担したり考える暇がない。言い方が正しいかわからないけど、暇がない。そういうことに時間を使いたくないと考えるからトラブルがなくなる傾向があります。
夢中になることを、しっかり子どもたちに教えてあげること。広い意味では、テクノロジーなども絡めて、「将来こういう世界になるから、もっと夢を持って、いろいろがんばってみよう」という話が、しっかり伝わっていくと、そういう環境を減らせると思います。
我々は、そういうところに貢献しつつ、子どもたちのためになれる環境づくりをしていこうと思っています。
榊原:わかりました。前半は、「実際にする」ことでした。実態を把握することは、すぐには難しいお話だと思います。2個目のお話でいえば、僕の子どもが今1歳と11ヶ月なんですけど、今やれること、すぐやれることは何がありますか?
西谷:そうですね。実態把握以外ですね?
榊原:はい。実態把握は、なかなか難しいと思います。要は親として、今生まれてきて「いろんな選択肢や自分に合う職種やものがあるんだ」ということを気付かせることがスタートなんです。何をしたら一番効くのか? それを悩まれてる方がいると思います。
西谷:たぶん年齢層によって、何をしてあげられるか違いはあると思うんです。当たり前かもしれないんですけど、まずは子どもとよく話せる環境を作ることを一番大事にしています。夢中になることを探す意味では、やはりい子どもたちも、いろいろ知って試すことが必要です。
それを知るために、すごい大事なことは、自分が交流している、この人は信頼できる、すごいと思える大人を、子どもたちに紹介することが、実はとても大事だと思ってます。
学校の中や塾など、狭い世界で生活しているから、同調圧力を感じたり、いじめという問題が起きるのかなと思います。そこで、「世界は、それだけじゃないんだよ」と伝えてあげられる活動があれば、子どもに、すごくいい影響を与えられるんです。
榊原:わかります。実際に、例えば今は、働き方革命があると思います。やはりりお子さんとの接点の頻度と量を増やすことによって、それは自分とだけじゃなく、他の人たちとの接点を増やすというとこが、一番ということですかね? 僕、まったくできていないですけど(笑)。3週間くらい、ほったらかしで、会ってもいないんですけど。そういうことですかね? やっぱり。
西谷:そうですね。さらに、それを知るという意味では、いろんな手段があります。職業体験の現場に行くだけでなく、今だとAIやAR、VRなどを使って、いろんなことやれると思います。そういうテクノロジーを活用すると、すごく効率よく活動ができると思います。
榊原:そうですよね。ちょっとスタートアップの線でいうと、僕らもインキュベーターをやっています。世界でインキュベーターとして、成功している人たちが一番何をやっているかというと、まさに同じです。起業家さんとの接点と量を、たくさんもって成功することが一番です。
もう1つは、親が起業したり、経営者だったりすると、ストレスが子どもにも遺伝します。ストレス体質が遺伝して強くなるという話は、よく聞きます。
西谷さんにはまたいろいろお話を聞きたいと思いますが、次、齋藤さんです。KDDI研究所から見た、「今何をすればいいか?」。
齋藤長行氏(以下、齋藤):みなさん、こんにちは。齋藤長行と申します。
所属は、先ほどご紹介いただいたようにKDDI総合研究所です。入社して、2年半ほど経ちます。その前は何をやっていたかというと、大学で研究しておりました。青山学院大学の研究所にいまして、2008年からずっと青少年のインターネット問題の研究をしていました。いじめに限らず、ネット依存、有害情報の問題など、主に子どもたちのインターネット・リテラシーを研究していました。
情報、モラル、教育、どうやって進んで、有害情報や、いじめを起こさないような気持ちを育てていくためには、どうやったらいいのかという研究をしてきました。
1つの成果として、2012年に総務省のプロジェクトでやったILASインターネット・リテラシー指標というものです。子どもたちのインターネットのリスクに対する能力を測る指標を開発し、毎年調査しています。2012年から始めて、その調査では、少しずつ子どもたちのリテラシーが上がっています。
リスクに対する対処努力は、上がってきている、知識は身についてる。しかしながら、知識と行動がイコールではないんですね。なかなかそこがイコールじゃないというところも、今の問題だと思っています。ちなみに、インターネット・リテラシー指標は、日本だけじゃない。みなさん、OECDってご存知ですよね? 経済協力開発機構です。
私は経済協力開発機構に派遣され、2012年から13年にかけて、そちらのほうで研究しておりました。「現在の国際的な青少年保護をどうしようか」ということで、活動もしております。話は戻りまして、ごめんなさい。イコールじゃなかったです。
リテラシーを持っているから、良い行動ができるわけではない。そこに問題が起きちゃうというところがあると思います。私の結論から言いますと、今まさに何をしなきゃいけないか。教育とあわせて、行動を変えるアプローチが必要です。そのような行動変容の研究を、今注力してやっています。
これは、脳科学の話になりますけど、人間って行動が意識的に行っている行動と、無意識で行っている行動があるんです。意識的に行ってる行動と無意識に行ってる行動、どちらのほうが多く行動をつかさどっていると思いますか?
手あげてください! 言いたい人! ぜひ言いたい人います? いらっしゃらなければ……。
(会場挙手)
あ、どうぞどうぞ。
参加者1:無意識。
齋藤:無意識。じゃあ何パーセントぐらいだと思います?
参加者1:何パーセント? 80パーセントぐらいだと。
齋藤:おしい! 実は、95パーセントと言われています。意識的に行動して、自己決断しているのって、5パーセントくらいなんです。だから、いくら偉い人でもやらかすんです。
無意識で動いて、行動して、無意識でとっさに発言しちゃって、悪いことを言っちゃうことが95パーセントなんですよ。5パーセントが、「いや、こんなこと言っちゃいけない」と思って、自分を律するんです。どうしても人間ってやらかしてしまうことが、第1点なんです。
2点目、そのやらかしてしまう人間は、実はみなさんが多くご存知だと思いますけど、子どもってなかなか自分を自己コントロールできない、自制できないですよね? 私も子どもが3人います。ここに登壇している人たちみんな子どもいますけど……って言って大丈夫ですかね?(笑)。
(一同笑)
榊原:大丈夫です(笑)。
齋藤:なかなか自分の子どもを見ていても、言ったことができなかったりする。なぜかと言えば、また脳科学の話です。感情をつかさどる大脳辺縁系という部位が、子どもの頃とか青年期にすごく発達するんです。感情豊かに、表現豊かに。
でも、そればっかりやっていると、ちゃんとコントロールできない。「社会のルールを守って、きちんと生活できて、安全に生活しよう!」ということを考えるには、前頭前皮質という脳の部位なんです。なかなか子どもって、この大脳辺縁系と前頭前皮質の間のネットワーク、神経回路ができきっていません。
発達していないんです。バランスが悪い状態です。だから、子どもが大人よりもやらかしてしまう。どうやらかしてしまうかといえば、感情が高ぶってる時です。
なので、私の研究のアプローチとしては、いかにその感情が高まったときに、はたと自分に立ち返るような情報を提供できるか。「やめたほうがいいよ」「この発言ちょっと問題じゃない?」など言ってあげて、やさしく諭してあげるようなアプリケーションの開発を考えております。そんな研究です。
榊原:ありがとうございます。すばらしい。ロジカルです。僕も最近、奥さんが妊娠して、子どもが生まれたときに、脳が変化することを勉強しました。それから奥さんがどれだけ人が変わったように上から目線でバンバン怒られても許せるようになりました(笑)。
LINEがどれだけAppleの利用供給より長くても、「ごめんごめん、イエス」って言えるようになりました。それとちょっと似てるかなと思っています。その話は、置いといておきます。
実際に今、どうしたらいいですかね? この問題に対して。
齋藤:まずは、自分が投稿する前に、「本当に投稿していいのか?」ということです。そういうルールにすることですね。ネットいじめに関して、投稿する前に「本当にそれ投稿しちゃっていいのか?」を自分で確認して、もう1回読み返して、投稿する。軽い気持ちで投稿しないことです。
けれど、子どもたちって、なかなか自分で判断できないので、私の意見ですけれども、ハッと自分に立ち返られるように、技術的にそのような情報を掲示してあげる。大人でも、「へへへっ」と言って、軽い気持ちでポンとクリックしちゃうんですよ。
大人でもやっちゃうんで、子どもたちだってやっちゃうわけです。そのとき、どうしても他の人が関与する。いつでも子どものそばに親がいるわけじゃないので、そういうところは、技術で解決してあげることも、大事じゃないかというのが私の立場です。
教育と技術の融合が大事ですね。
榊原:わかりました。どちらかというと、もちろん教育も一緒だと思いますけど、前提として、脳科学的にもそうなので、それを割り切った上で、もう機械で解決するっていうアプローチですよね。
齋藤:逆に言うと、教育だけに押し付けちゃいけないと思います。
榊原:逆に、やっぱり裕福な家庭で育ったり、離婚しない家庭とか、私立か市立だと、私立だといじめが少ないとか、裕福な家庭だといじめを起こさないことになるというロジックは合っていますか?
それも裕福じゃない人も、そういうテクノロジーがあれば、そういった子にならないということでいいですか? ベースは同じなんですか?
齋藤:それで言いますと、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、マシュマロテストってご存知ですか? そういうテストが、アメリカのウォルター・ミシェルさんが行ったテストで、子どもたちの自制心をチェックする。マシュマロを目の前にポンと置いて、一人だけにして、「15分間待ってください」と。
3歳児くらいのお子さんに、マシュマロ1個ポンと置いて、「15分間待ったら、2個あげるよ」という実践をするテストなんですね。実験結果では、所得的に裕福ではない家庭の子どものほうが、食べる確率が高く。待てる子は、家庭が裕福だったりとか円満だったりすることが報告されています。
なので、環境というバックボーンはあります。だから、我々はそういうところにどう支援していくかも大事だと思っています。
榊原:あと、もう1つ深堀りしたいんですけど、いじめをする側の子とかいじめられた子が、将来どうなってくかの話を、先ほど西谷さんに聞くと、実はいじめをした側のほうが、将来人生につまづいている方が多いんじゃないかという話だったんですけど、そのへんはどうですか?
脳科学的には、それはイエスなのかノーなのか。
齋藤:そちらのデータというか、研究は、私は存じ上げませんので、言い切ることはできないですけども。
先ほどウォルター・ミシェルさんのマシュマロテストの話で言いますと、我慢できた子は、中年ぐらい、40代ぐらいになってるときには、社会的にいろんなつながりがあって、社会で活躍してることが報告されています。
榊原:そうですね。
齋藤:そして、食べちゃう子は、どちらかというと、所得が少ない40代になっていることが。
榊原:西谷さん、何か補足ありますか? 大丈夫ですかね?
西谷:そうですね。さっきちょっとお話ししていたのは、私が見たことのある事例で、いじめた側ですね。いじめた側が将来どうなっていくかの追跡調査で、ものすごく簡単に言うと、いじめた子たちが将来的にも、そういう軋轢を生むような関係になって、人とのつながりを構築できていないということですね。
いじめをしていない子は、そうじゃないというような研究があったと。
榊原:僕、さっきそれを聞いたときに思ったのは、いじめた子たちも「相手が傷つくよ」っていう短期的な話じゃなくて、将来的にそういうことしていると、「こういう人生になっちゃうよ」というアドバイスをしたほうが重く捉えられるので、そういったアドバイスの仕方もいいんじゃないかなと思ったんです。
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