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フィンテックを活用した中小企業金融への提案(全3記事)

厳しい「利息制限法」が日本のフィンテックの足かせに?

自民党のトーク番組「CafeSta」。竹本直一衆議院議員が、堂下浩東京情報大学教授をゲストに迎え、「フィンテックを活用した中小企業金融への提案」について語りました。

日本でフィンテックがなかなか成長しない理由

堂下浩氏(以下、堂下):アメリカで、PayPal社という会社が、トランザクションレンディングを手掛けてるんですけど、この会社を調べるとおもしろいことがわかりまして。

最初は、銀行が相手をしてくれないお客さんにPayPal社がお金を融資していたんだけども、だんだん超短期の融資というものの手軽さや迅速さというのが、資産がしっかりあって銀行も相手にしてくれるような中小企業にも、訴求していって。

結果として、そういった銀行からも借りられるような中小企業が、超短期、数時間とか数日のお金を、短期的に利用する顧客が増えた結果、年利換算でいきますと、契約の幅というのが、年利20パーセント以上の金銭対策というのが、もう一般化しているという状況です。

ここで、ちょっともう少し今の利息制限法が、いかに厳しいかということを、わかりやすいフリップを出したいと思います。

竹本直一氏(以下、竹本):これさっき私が、冒頭に言った話でしたね。

堂下:これは例えばですけれども、100万円を2日間借りる。

先ほど言ったようなそれこそAmazonに出品するような問屋さんは、こういうことがしょっちゅう起きるわけなんですけども、100万円を2日間借りる場合、どれぐらいの金利しか取れないのかということなんですけれども、これ今の利息制限法で計算しますと、100万円を2日間借りると、利息の上限ってのは、800円です。

100万円を2日間。それで、利息は、800円しか取れないということになりますので、お金を貸したくとも、いろいろもろもろの事務手数料とか、そういうことを課すと、もうお金が貸せない。だから、これはもう信用という問題ではなくて、与信不能ということです。

したがって、今の日本では、こういうような超短期の、しかも無担保の融資というものが、もうビジネスとして成立していないというのが、背景にあります。このように、この日本の利息制限法のように、厳しい法規制っていうのは、実はほかの先進国にはありません。

したがいまして、フィンテックがなかなか日本で、成長しえない大きな理由の1つが、この厳しい利息制限法にあるんだと思います。基本的に超短期の、小口の無担保融資っていうことを、この利息制限法は想定していないというのが、最大の問題点だと言えます。

バーチャル特区で規制緩和を

竹本:そうですね。金融技術というのは、どんどん発達しますので、このフィンテックは、その最たるものですけども、そういうなかで制度がそれを邪魔してると。その発展を邪魔してるというのは、先生がおっしゃる通り、よくわかるんですけども、さてどうしますかね?

堂下:いろいろ自民党とかでも、議論されているようですけれども。これは、自民党の経済構造に関する特命委員会中間報告ということで、(手元の資料を見ながら)これは2016年12月8日に公表されたもんですけれども、中間報告の中身を見ますと、フィンテックの実現というものが、記載されております。

そのなかでバーチャル特区の活用を視野に入れつつ、新しい金利体系について、考えていく、検討するというふうに文言が書かれておりますので、こういった事業者、零細事業者、個人事業主を含めた零細事業者に対して、金利の特例を行うトランザクションレンディングのようなものもそのサービスとして、特別に認める。

そういうような考え方というものが、このなかから示唆されるんではないかなというふうに考えます。

竹本:この制限をオーバーしても、それを認めるという特区なんですか?

堂下:バーチャル特区と言いますと……、普通特区と言いますと、実施する地域というものを条件とするというものですけれども、バーチャル特区というのは、安全体制を確保した上で、イノベーティブな革新的な技術を採用した特定のサービス。

この場合は、例えばトランザクションレンディングのような、ネット上での取引に関しては、規制緩和をするという。それが、仮想特区というふうに言えるんだと思います。

竹本:今、日本にある特区というのは、おっしゃるようにエリアを限定して、この中では一般的に適応された法律を適応除外にするというふうにやります。これは、エリア限定の特区ですね。イメージしたらわかりやすいですね。

エリアを限定するんじゃなくて、こういう取引であれば、特区として認定して、そこで普通ではやれない取引ができると、こういうことですね。

堂下:そうですね。

竹本:ですから、私の質問は、ならばそのなかで利息制限法、あるいはその他の法律の規制を、越えてやれるようにするという特区なんですか?

堂下:そうですね。1つのサービスを限定して、それに安全性を、体制を確保した上で。

竹本:もちろん。

堂下:限定的に認めるというのが、この考え方だと思います。1つの、トランザクションレンディングで、それを当てはめるのであれば、例えば過剰貸付を防止するという点で、審査のときに、信用情報機関の照会、登録というものを例えば義務付けるとか。

単に金利を優遇するだけではなくて、貸し手借り手に対しても、そういうような条件を義務付けて、それで最新のIT技術とそして、ネットの充足性というものを活かしながら、サービスを提供していく。

これは、かなり日本の中小企業、とくにこれからネットを介して、いろんな商売をしようとしてる中小企業にとっては、プラスになるんではないかと思います。

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