2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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宮崎政久氏(以下、宮崎):今、観ていただいているみなさんから「デメリットもあるんじゃないか」というご指摘が。
今、西村さんから「このへんは批判を受けてるところもあるんですけれども」とあったところが、メリットデメリット両方あるという部分になりますよね。
西村康稔氏(以下、西村):そうですね。まずはメリットを先にいくつか申し上げて、あとで日本にとって注意しなければいけない点を申し上げたいと思います。
例えば、関税だけじゃなくて、いわゆる貿易の円滑化ということで、いわゆる貨物とか急送便。貨物は、着いたら48時間以内に引き取りを許可しなければいけないというのがありますし、いわゆる急送便、宅急便も必要な書類が届いた後6時間以内に引き取りを許可しなければいけない。
これはよく新興国の税関でものを止められたりすることがありますけれども、これをしてはいけないということになります。それから模倣品、海賊版、これに対しても水際でしっかりチェックをしますし、あとでも出てきますが、商標を侵害すれば刑事罰ということが義務化されますので、ものまね商品ができなくなるということですね。
それから電子商取引も情報の移転の自由、これはけっこう大事なポイントなんですけれども、今後国境を越えていろいろな電子商取引が広がっていきますけれども、相手国でいろんなことの情報を得たものを、やはり日本に持ってきて加工したり分析したりということができないといけない。
これは世界的に、とくにEUが情報の移転を少し制限しようと、個人情報の保護とかができていない国には移さないということになっていますけれども、このあたりが今後の大きな世界的に情報の移転っていう、ネット社会のなかで大事な点になってきます。日本にとっては獲得しなければいけない点ですし。
それからサーバーを現地に置かなければいけないと要求されることがあるわけですね。新興国で。これも禁止になっていますので、そういう意味ではこのあたりは税関での引き取りとかコピー商品とか、それからサーバーを置けという要求とか、かなり入っていない国を意識した項目になっていますね。
元榮太一郎氏(以下、元榮):ネットサービスも展開しやすくなってくるということですよね。
西村:そうですね。ぜんぜんこれ変わってくると思いますね。日本にサーバーを置いてていいわけですから。次に行きましょうか。
これも知的財産の関係ですけれども、商標ですね。
商標についてもマドリッド議定書と商標法シンガポール条約というのがあるんですけれども、これにみんな入らなきゃいけない。ここに書いてあるようにいくつかの国が入ってないんです。カナダとかの先進国でも入ってないわけですけれども、新興国のマレーシアとかベトナムとかですね、こういった国が入らないといけない。
入ると、日本の特許庁に出せば複数国への出願が一括でできると。迅速に商標保護ができるようになりますし、シンガポール条約もそうですけれども、日本国内と同じ手続きで各国で商標を出願することができるということで、日本で商標を取って、それをちゃんと特許庁を通じてやれば、各国で保護されるという規定になります。
宮崎:この点は、生活感が遠いとみられる方も多いかもしれないですけれども、実はマーケットがしっかりと開いてバリューチェーンができてくるということになると、地方の小さい会社でもしっかり商標を保護した上で商品を出していくというのが必要になってくるわけですよね。
こういったかたちでの保護というのも、実はTPPによってさまざまな地方の産業を、我々に身近な、私なんて沖縄ですから、地方で仕事をするものからしても非常に簡易にできるということはありがたいことだったりするんですよね。
西村:とくに中小企業がなかなか世界各国に手続きをやるというのは難しいですから。日本で手続きをやればそれがそのまま自動的に広がるということで非常に簡素化されますし、この部分も特許庁はじめ、中小企業の支援体制も強化してますので、やはり地方の中小企業が国際展開で地方のいいものを世界に売っていけるように、保護される仕組みが作れるという点は非常に大事ですね。
宮崎:次、行きましょう。
西村:その商標などが模倣品や海賊版で権利侵害されないように、された場合は損害賠償、あるいは刑事罰、それから不正な商品の没収・廃棄、これがすべて義務化になりますので、各国はやらなきゃいけないということになります。
それから営業秘密についても、同様に不正に取得・使用された場合を防ぐための法的手段を各国が整備するということになりますので、そういう意味では各国で取り締まりを強化していくということになります。
このあたりの取り締まり強化のやり方も日本として強力をしていくということになっていますので、各国でこういう侵害がなくなっていくということであります。
それから、投資・サービスなんですけれども、サービスもコンビニとかライブハウスとか、あるいは金融もそうなんですけれども、これが規制緩和されますし、ライブハウスなんかもクールジャパン関係で規制緩和されます。
なにより、進出企業に対して技術移転要求がされるんですね。「うちの国に作っていいよ、その代わりおたくの技術を教えてくれ」とか。これが禁止されますので、これも大きな点ですし、それから国有企業は透明性を確保されて、ほかの国と対等条件で競争するということになります。
それから、政府調達、公共入札ですね。これも今までベトナム・マレーシアは、公共入札は全部自分の国に限ってやってましたけども、一定金額以上は世界にオープンにするということになりますし、アメリカも電力機関とか、新たに追加されるところもあります。日本の公共事業、建設会社とか、あるいは物品調達も含めて、参入しやすくなるということですね。
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