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「キーパーソンに聞く!」2020年以降の経済財政構想小委員会による提言『人生100年時代の社会保障へ』を解説!(全2記事)

今の制度で“100歳まで”生きられるのか? 小泉進次郎氏が説く「人生100年時代の社会保障」

衆議院議員・小林史明氏がナビゲートするCafeStaの「キーパーソンに聞く!」コーナー。今回、キーパーソンとして出演したのは、経済財政構想小委員会(2020年以降)のメンバーである橘慶一郎氏、小泉進次郎氏、村井英樹氏、山下雄平氏、大沼みずほ氏。『人生100年時代の社会保障へ』の提言内容やその背景について語りました。

今の制度で、若い人が「100年」生きられるのか

小林史明氏(以下、小林):CafeStaをご覧のみなさま、こんばんは。おひさしぶりでございます。番組を担当しています、小林です。

今日はですね、だいぶ大勢にお集まりをいただいて。このあいだ発表しました、2020年以降の経済財政構想小委員会からの提言「人生100年時代の社会保障へ」について解説番組をやりたいと思って、今日はこの時間帯にやらせていただきました。

しかし、(小泉)進次郎さんが今いません。

(一同笑)

今、走ってやって来てますんで、それまではこのメンバーでスタートして。後から登場しますので、そこからまたやらしていただきたいと思います。

まずはですね、……みずほさん、まぶしい?

大沼みずほ氏(以下、大沼):ちょっと明かりが(笑)。

小林:明かりがね(笑)。今日も白いですからね。

じゃあ、まずはこの2020年以降の経済財政構想小委員会がどんなものなのか、なぜできたのかも含めて、委員長の橘慶一郎現副大臣から、お願いしたいと思います。よろしくお願いします。

橘慶一郎氏(以下、橘):はい。昔の名前で出ています、元委員長の橘です(笑)。

(一同笑)

なんか、1人だけおじさんですが。この委員会は、今、財政再建を進めていくなかで、社会保障が大変大きなテーマなんですけど。この社会保障は、やはりそれぞれの世代の人にとって、大事なものだと思います。

この自由民主党にも大変若い先生方が増えています。そういった若い世代の方々から見て、とくにこれから人生が100年生きられるような、そんな時代になってくる。AIなんかも出てきて、いろんな働き方が可能な時代になってくる。

そういったところで、もう1回、この社会保障を「じゃあ、若い世代の人たちはどう思ってるんだろう。そんな声をぜひ党内からも出していこう」ということで、メンバーを募って、最初は私が委員長させていただいて、小泉事務局長でスタートしたのが、2020年以降の経済財政構想小委員会です。

最初は、「レールからの解放」ということで、いろんな生き方があることの中間とりまとめをやって、それから、あ。……はい、委員長代行が来られましたー。

(一同拍手)

小林:放送中です(笑)。

小泉進次郎(以下、小泉):すいません! 放送中ですか。

:放送中です(笑)。

小泉:お待たせしました。

:ちょうどいいところで、小泉先生に来ていただきました。あとは、小泉委員長代行のもとに、今回めでたく各論の提言ができたということで、元委員長としては大変喜んでおります。ご苦労さまでした、みなさん。

小泉:ありがとうございました。

:ということで、だいたい前振りが無事終わったと思います。あと、よろしくお願いします。

中間提言は、「レールからの解放」

小林:橘慶一郎委員長、……元委員長ですね。そして今、小泉進次郎委員長代行になっているのは、委員長が副大臣になって抜けられたので、「その後、どうするか」という話になったときに、「これは永久欠番で残そう」ということになって。

:ありがとうございます。

小林:委員長代行で、小泉進次郎さんがリーダーとなって、この政策をとりまとめたわけですけど。冒頭のですね、この立ち上がりの経緯から解説をいただきたいと思います。

小泉:はい。立ち上がりの経緯は、遡ること約10ヶ月くらいですか。

小林:そうですね。年末でしたから。

小泉:年末に、当時「高齢者のみなさんに3万円を給付する」という案が出たんですよね。

そのときに、「なぜ子育ての施策は『お金はない』と言い続けるのに、高齢者の施策になるとポンと約4,000億円が出てくるのか。それはおかしい」という声を、小林さんが上げ、村井さんが上げ、そして僕が上げ。

結果として、それが党のなかですごく広がったんですよね。これを受け止めてもらって、「じゃあ、しっかり次世代の社会保障について考える場を作ろう」とできたのが、この小委員会。これが事の経緯ですね。

小林:はい。そこから中間提言がまとまりました。これ、どういうものだったかをお願いします。

小泉:中間提言は、「レールからの解放」というタイトルで出したものです。

良かったのは、最初に「社会保障は2020年以降どうするべきか」の総論から入って、「各論は後にしよう」と。最初から各論をやると、ずいぶん議論が矮小化しますから。そして、お互い意見も。なかなかそこでは難しい。

まず最初に、どういうビジョンを作るかを議論して、その後に各論を回すことで、総論の部分でしっかり議論できたので、中間とりまとめに議論をされてまとまったのが、手続きの関係で、話の進め方としては、すごくいい手順だったと思ってますね。

小林:そうですね。こっそり、ちゃんとコメントに応えた村井さん。どうでしたか? 中間とりまとめの議論、それぞれからちょっと感想を。

村井英樹氏(以下、村井):そうですね。自民党の部会は、良くも悪くも専門化していて、農業だったら農林部会、厚生労働だったら厚生労働部会と、議論を進めているんですけれど。我々の小委員会は、「そもそも2020年以降、経済社会がどう変わるのか?」という、一歩引いた骨太の議論をまずスタートしています。

建物に例えて言うと、1階の部分ですね。まず「今後、我々どういう時代を生きるんだ?」を共有したうえで、2階建ての社会保障の議論をスタートした。そういう意味で、「レールからの解放」という1階部分の共有ですね。これが本当に、その後も生きてきたと思います。

議論の自由度を上げるために「産業構造」から解説

小林:自民党の部会というのは、議員同士が議論する機会がないので。今回は、約50時間、議員だけでの議論が6回。だいたい1回につに2時間以上ですから、相当な時間を議員同士で議論重ねたんですけど。大沼さん、どうでした? やってみて。

大沼:すごくおもしろかったです。まず、若手だけに絞っているという意味で、率直な意見交換ができたのは良かったですし。

「〇〇の時代から〇〇の時代へ」の、「〇〇をみんなで考えよう」という議論をそのなかでしてですね。

そこでの、それぞれの意見が……。例えば、「縦割りから、横のつながりが大事な時代にしていかなきゃいけないんだよ」とか。そういったことを議員同士で話す機会が、これまで部会などでもやったことがなかったので、非常に良かったですし、議論も深まったと思います。

小林:これ、自民党の部会で宿題が出たのは、初めてですね。たぶんね。

小泉:初めてですよね。「今度のときまでに、これ考えてきてください」は、なかなかないですもんね。

小林:はい。あと、「これ読んできてください」もありましたよね。「この文章読んできて」。

小泉:あー。これもいいですよね。

小林:そうなんですよね。

小泉:だいたい会議って、「今日はこういうことやります」という資料説明に時間を取られて、後半の議員同士の意見交換は短いスタイルなので、「次回はこれやるから、これは読んできたうえで、いきなりスタートしますよ」というのは、すごく効率的でしたね。

小林:はい。本来、こういう会議であるべきだと思うんですけど。なかなかできていなかったのができたのが、今回の小委員会だったと思います。もともとは新聞記者として、政治の世界を見てた山下さんとしてはどうですか?

山下雄平氏(以下、山下):いや、あのー、最終的にまとまった提言と、スタートのときのAIの話とか、どういう社会になっていくのかみたいな話、すごい射程の広い話を最初にスタートして。

スタートした当時、自分の子供が0歳だったんで、その子が100歳になる……。まあ、僕ら、ここにいる全員がいなくなるときに、どういう社会になっていくのかを、AIだったり、働き方だったり、教育だったり。いろんな話を聞いていくなかで、我々が常識だと思っているようなこともなくなるかもしれないですし、制度も確実に今のままではダメなんだなと。じゃあ、そのときにどういう社会を作っていくのか、制度を作っていくのかが、非常にですね、自分の立場からいうと入っていきやすかったですね。

小林:まあ、この大きな前提3つですね。これを、中間とりまとめも、「レールからの解放」で定義したことも大きかったと思っていて。人口減少、人生100年、そしてテクノロジーの進化。「これを前提に議論しましょう」ということで入っていって。

まさに各論に入るときも、初回が人工知能の研究者の松尾豊さんだった。これ、実は大きな特徴だと思うんですけど、代行の思いはどういうかたちですか?

小泉:やはり社会保障の議論をするときに、最初からいきなり社会保障の専門家の方の議論から始まると、どうしても各論になっちゃうんですよね。

あとは、「現行の制度に基づいてどうするか」というところで、議論が狭くなっちゃう。議論の自由度を上げるためには、まず今後、産業構造から、世のなかの在り方から生き方まで、すべての世界の視野を広げる作業が必要です。

そこで、1回目の講師として、人工知能の専門家の松尾豊さんにお願いをして。2回目は、小林りんさんという、今、軽井沢でインターナショナルスクールをやっている教育家の方ですよね。そのお2人を1回目、2回目の講師にしたところには、実は意味があって。

人工知能やIoTやロボットの進化によって、仕事の在り方から、生き方、働き方など、すべてスピーディーに変わっていくなかで、「社会保障はどうあるべきかを考えることの必要性」「だからこそ、実は人生前半の教育」が、社会保障のような役割として、今後は位置づけられる可能性があるということを踏まえて、発想を広げる作業から始めるための講師選定だったんです。

この作業をやったことで、みんな、非常に頭が柔軟な発想からスタートし、そこから社会保障の議論ができたんじゃないかと思います。

1人が100年生きる時代の、国の政策

小林:そういう議論のなかから、今回発表したこの「人生100年時代の社会保障へ」。どんな提言だったのかを、なかなか実は報道ではまるごと紹介されているところないので。

小泉:はい。

小林:今日を機に、しっかり解説をしていただきたいと思います。

小泉:そうですね。まず「人生100年時代の社会保障へ」の「人生100年」、1人の人生が100年であるという、この100年単位という長期で、国の政策や戦略を考えたことは、おそらく世界初だと思います。

これは最近、リンダ・グラットンさんの書いた『LIFE SHIFT』という本のなかで、今9歳の日本人の50パーセントが100歳まで生きるという発表がありました。まさにそれが当たり前の時代が来ると思います。

そのうえで、「じゃあ、100年安心の基盤となる社会保障はどういうものか?」を3つ挙げました。

1つ目が「第二創業期のセーフティーネット、勤労者皆社会保険制度の創設」、2つ目が「人生100年型年金、年金受給開始年齢の柔軟化」、そして3つ目が「健康ゴールド免許、自助を促す自己負担割合の設定」。

これを最初、茂木政調会長に説明にいったときに、1問目の僕に対する質問はなんだったかというと、「第二創業期って何だ?」でした。これが、政調会長から最初に言われたことなんですね。

実はこの小委員会の最初の総論部分で、みんなで議論したとき、第二創業期が生まれた背景には、やはり第一創業期があるわけですよ。僕らはまず、日本の戦後を第一創業期と位置づけました。日本の戦後の第一創業期には、ベンチャー企業が、トヨタのような大企業までものすごく成長したサクセスストーリーがある。

だけど、バブルがはじけて、人口減少になって、完全に構造が変わったなかでは、第一創業期のビジネスモデルがその次の時代の成功を約束するとは限らない。だからこそ、第二創業期に安心の基盤となる。まずはセーフティーネットを引かなければいけないよね、と。

だとしたら、第一創業期の安心の基盤は、国民皆保険、国民皆年金。この2つに加えて、働く人がすべて社会保険に入れる。つまり、国民年金だけじゃなくて、厚生年金のほうまで入っていただける。そういったセイフティーネットをまず整えることが、人工知能やAI、IoT、ロボット、こういった技術革新でスピード感があるなかでも、安心した基盤の1つになるということで位置づけました。

こういったセーフティーネットを引くと同時に、「これからは転職もめずらしいことじゃない」「そして、兼業、副業当たり前」といった、より柔軟な働き方が可能となっていく社会に向けて、より仕事を選びやすい、企業も人を選びやすい。そういった、労働市場も柔軟化していく解雇規制のあり方。そして、再就職支援。また、学び直しの支援。

これをパッケージで、言わばドイツのシュレーダー改革のような、総合的な改革が必要です。ここで、その柱の1つが安心の基盤となるセーフティーネットだなと。これが1つ目ですね。

2つ目は、ひと言で言っちゃうと「人生100年」、それでも安心して年金制度を保っていく。年金は働き方と必ずセットですから、そのときに、自分で何歳まで働くかで、何歳から年金をもらい始めるかを選択ができるような制度に変えていこう、と。

今は、年金は60歳でもらうと3割引き、70歳でもらうと4割増し。後ろでもらい始めるほど得をする。厚くもらえる。そういった制度になっています。

小さなリスクは自己負担、大きなリスクは公的

ただ、「71歳以降でもらい始めるまでがんばろう」という人に対しては、それはできないルールになっています。

そこはおかしいんじゃないかと思うんです。人生100年と考えたら、70歳、75歳、80歳まで働くことが、そんなにめずらしくない時代が来る。だとすると、「何歳からもらうか」を自分で選択し、その後の人生を決める。そういったかたちで年金をもらえる環境を作っていくべきだというのが、人生100年型年金の柱ですね。

最後に、この健康ゴールド免許です。この前提は、今の、年齢によっての自己負担最大3割負担は変えない。けれども、自分で自助努力をして、健康であるための努力をしたことがどこで認められるかは、今後の制度設計など、さまざまな議論があると思います。

言いたいことは、健康であるためにお金を使うほうが、病気になってからお金を使うよりも、よりさまざまなビジネスチャンスも生まれます。そういった社会の発想の転換をしていく必要があります。こういった働く仕組みを入れようということが、健康ゴールド免許に込められた思いの1つです。

社会的に立場の弱い人への対応などもしっかりとしながら、自己負担の割合を年齢によって分けるのではなく、本当に困っている人たちのために、給付がしっかり行われるような制度にするためにも、健康でいるために努力からインセンティブが湧くような仕組みを入れよう……というのが、この健康ゴールド免許ですね。

そういった仕組みを入れるためには、自己負担の話もしっかりしないと、インセンティブは働きません。風邪薬やうがい薬、湿布、こういった比較的小さなリスクは自己負担にして、より大きなリスクにちゃんと国が公的なサポートをできるような、基本的な発想を原則として入れました。

小さなリスクは自己負担、大きなリスクは公的。これをやっていく方向で。賛否両論もいろいろあると思いますけど、どうか噛みついてもらって、社会保障の今後のあるべき姿を、世のなかのいろんなところで議論が湧き上がっていけばいいかなと思いますね。

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