2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者:では、続きまして手老善さまをご紹介させていただきます。西武鉄道株式会社沿線事業企画部広告担当の手老善さまでございます。2005年に東急バスに入社、その後JR東日本企画を経て、2015年に西武鉄道に入社されております。
現在、デジタルサイネージに関する業務を中心にされていますが、DVDの『車両基地』シリーズ、テレビ朝日の『タモリ倶楽部』、ラジオ日本『斉藤雪乃のイチバンセン!』など、幅広いメディアでご活躍中でございます。では、手老さま、よろしくお願いします。
手老善氏(以下、手老):こんばんは。西武鉄道の手老と申します。本日は金曜日のこの時間、多くのお客さまにお越しいただき、誠にありがとうございます。今ご紹介がありましたとおり、沿線事業企画部広告担当ということで、私、主業務が電車の中の中吊りですとか、あとは駅の中の看板。こういったいわゆる広告の媒体、お客さまからお金をいただいて広告物を掲示する、そういった分野の部署になります。
ですので、そういった内容を含めまして、また東洋経済ということで経済的なところを主眼に、いろいろとお話させていただければと思います。スライドの文字が小さくて、後ろの方はご覧になれないかもしれませんけれど、すべて口頭でお話させていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、私のご紹介をさせていただきます。先ほどご紹介にあずかりましたとおりの経歴なんですが、なかなか交通事業者で、事業者間を渡り歩く人間というのはあまりいないんですが、2005年に新卒で東急バスに総合職として入社しまして、現場等々経験しました。
その後、ジェイアール東日本企画というJR東日本さんの100パーセント子会社で、広告の代理店に所属させていただきました。メインでやっている業務は、いわゆる山手線等の電車のドアの上にモニターがついているかと思うんですけれども、こちらの開発・運営、あとコンテンツ等。こちらを長らく担当させていただきました。
その後、2015年1月に現職、西武鉄道へ転職ということで、諸先輩方の前でお話させていただくのは非常に緊張しています。現在33才でございますが、とくに昔の年代の東急(東京急行電鉄)・西武のお話(注:かつて箱根や伊豆で旅客を奪い合うなど、激しい対立関係にあった)をご存じの方は「五島慶太(注:東急の事実上の創業者)の会社の人間が堤康次郎(注:西武グループの創業者)の会社に行くという、完全に産業スパイじゃないか」という(笑)。
(会場笑)
50年前なら考えられないようなところでございますけれども、そうしたかたちで現職の西武鉄道で働かせていただいております。先ほどもDVDの監修とか、いろいろご紹介いただいたんですが、あくまで一社員として広告業務に携わらせていただいておりますが、広告代理店ということもありまして、いろいろな鉄道のイベント、企画、そういったご相談もいただくことがよくあります。
代表的なものとして、スライドの左側『車両基地』というDVD。本当に車両基地の中だけ撮って、ナレーションは一切なしという、「本当にこれ売れるんだろうか?」と思ったら、おかげさまで3万枚売れました。今、DVD市場で5,000枚売れれば御の字かなというところで、それだけ売れました。そういった、鉄道を軸にした新規コンテンツ開発みたいなものもやっておりました。
真ん中の、ふつうに見るとただのメガネなんですけれども、じつはこのステンレス、「SUS301L」という素材を使っています。実際に電車を作るステンレスの板を窓の部分だけ抜いて、そのまま電車にするんですけれども、窓で抜いた端材を使いまして、まったく電車と同じ素材を使ってメガネを作りました。
なので、ここの10センチ横は今、実際に電車として走っているかもしれないんですけれども、これも2,000本1万5千円で売ったんですが、即完売。買える方がいらっしゃるということで。
あと、右側の……、残念ながら先日報道でもございましたが、明治さんの「サイコロキャラメル」長年販売されておりましたけれども、こちらが明治さんとしては終売ということなんですが、その終売の2年前ごろ、「サイコロキャラメルの形がどうも電車に似ているな」と思って、「鉄道キャラメル」ということで、なんとなく私がIllustratorで作ったものが、いつのまにか企画通っちゃって、販売されました。
こういうような、鉄道会社といえどもちょっと違う切り口で、新しい分野でお金を稼いでいかないといけない、そういうようなものをやってまいりました。ですので、現在も広告業のデジタルサイネージ等々も担当はしているんですけれど、先ほどご紹介ありましたとおり、『タモリ倶楽部』に出たり。実は1年半ほど『タモリ倶楽部』の企画、私がやらせていただいておりました。JR時代なんですけれど。
制作会社さんからご相談いただいて、「JRじゃ無理なので、まず小田急さんに電話します」と言って、広報に電話して小田急の回(2013年11月30日、12月7日放送「小田急満喫ツアー貸切ロマンスカーで新宿駅へ行こう」)ができたというのが2年前ぐらいでございます。広告代理店ということもあって、そういったかたちでメディア関係もやらせていただいております。
私の紹介はここまでにして、弊社、西武鉄道というのがどういった会社なのか、こちらをご説明させていただきたいと思います。弊社は西武ホールディングスの傘下にある中核会社でございます。有名どころでいうと西武鉄道のほか、先ほどもお話がありましたがプリンスホテル。この2大中核会社がございます。また、方向性としては先ほどありました(もの)以外ですと、(埼玉)西武ライオンズですとか。
あとは、意外と知られていないんですけれども、京浜急行の沿線にございます「横浜・八景島(シーパラダイス)」、こちらも実は西武グループでございます。
一方、西武百貨店さん、実は私どものグループではございません。今はセブン&アイ・ホールディングス。また、西友さんもウォルマートさんにおりまして、過去の経緯から、もともと同じグループだった会社がいろいろ分かれたり、くっついたりして現状を迎えております。
また、いろいろ報道でお騒がせいたしましたが、株の問題等々もございまして。おかげさまで2014年、私ども西武ホールディングスとして東証一部再上場ということですね。私どもの会長の後藤(高志氏)も「やっと普通の会社になった」ということで、これからいろいろ投資等々進めていって、今までにない価値を、新しいものを作っていこうという段階におる状況です。
西武鉄道自体のご説明をさせていただきますと、東京西部ならびに埼玉県南部を中心に、池袋線・新宿線という2つの幹線を中心とした鉄道会社でございまして、総延長176.6キロメートルとなっております。1日平均172万人のお客さまにご利用いただいております。
また、近年では池袋線につきましては東京メトロ有楽町線、また副都心線、その先の東急東横線・みなとみらい線ということで、有楽町等々の東京市街地方面と、あとは渋谷・横浜方面にも1本でアクセスできるという直通電車の運行を始めております。
路線図としてはこういったかたちなんですが、本川越(駅)とか、西武秩父(駅)とか。あとはこれからいろいろ施策を打って、西武秩父には来年度、駅前に温泉施設ができたり。そういったかたちで、観光につきましてもただ今、投資を行い、順次拡大をしていっているところです。
このほかにも、としまえん、西武園ゆうえんちなど、観光系のものは元来やってきたところもあるんですけれど、また一からいろんな方向性を考えて、新しい方策をできたらという状況でございます。
では、私の主業務でございます広告関係の経済的な面のお話をさせていただければと思います。広告と申しましても、いろいろなものがございます。テレビやラジオ、新聞、雑誌、最近ですとインターネットが非常に広く、多く稼ぐようになってまいりました。毎年電通さんが出されているレポート「日本の広告費」では、2015年の日本の総広告費、1月から12月ですけれども、6兆1710億円という金額になっております。
このなかで交通広告、いわゆる電車のなか、駅等々の広告における売上というものは2,044億円と推定されております。上記の総広告費の3.3パーセントくらいですが、ちなみにほかの媒体と比較しますと、1番大きいのはやはり地上波のテレビ、こちらが29.3パーセント。
次に大きいのがインターネットで、だいぶ増えております。インターネットに関してはいわゆる媒体費、広告の料金と、あとは制作費。こちらの両方でカウントしているんですけれど、あくまで媒体の部分だけでも14.8パーセントを占めて、かなり大きな分野になっております。
そのほか、(テレビと合わせて)元来のマス4メディアと言われる新聞・雑誌・ラジオは、新聞が9.2パーセント。雑誌が3.9パーセント。ラジオが2.0パーセントということで、交通広告はだいたい雑誌の規模と同じぐらいの広告規模になっております。
交通広告というなかで、どういうトレンドがあるか。電通さんの出しているレポートのなかでも述べられているんですが、車内や駅構内のデジタルサイネージ、いわゆるディスプレイのモニターで広告を映す媒体でございますけれど、こちらについて堅調に伸びているというレポートがある一方で、元来の中吊り・窓上・ドア横などの、とくに車内の紙モノと呼ばれるものが前年に引き続き減少。これはもうずっと減少のトレンドを引きずっております。
実際のところ、紙モノが落ちているところをデジタルサイネージで補完して、なんとか対前年(比)をクリアするというような方向で進んでおります。公表されている数字ではございませんが、ほぼ今、交通広告各社、各鉄道ともほぼほぼ横ばい、もしくは減少傾向にもあったりします。
こういう交通広告に関しては実際のところ、どういう申し込みがされるかというと、実際に私どもが営業するのではなくて、基本的には電通さんですとか、ほか博報堂さんとかいろいろございますけれど、弊社の指定代理店という広告の代理店さんが販売をしてきて、それで私どもに入ってくる。私どもが直接行わない事業となっております。
先ほど名前も出てきましたが、社内で広告媒体を色づけしているんですけれど、中吊りと聞けば「ああ、これね」とすぐわかると思うんですが、窓上という媒体とか、ステッカーでもツインステッカーとかドア横とかいろいろあります。車内にはいろいろ紙の媒体がございます。
弊社だけではないんですけれども、トレンドとしては、もともと中吊りのポスターというのは、みなさまも乗っていて感じられると思うんですが、まさに両サイドにあるような、出版社さんのタイトルが入っているような見出しのもの、こちらが非常に多くございました。やはり新しい情報を入れるために、どんどん切り替えていかないといけないので、こういった中吊りのポスターですと2日ないし3日の掲出というのが、基本ではあったんです。
最近ですと、ほとんどこういった書籍関係の中吊りは、見なくなったかなと思っております。よろしければ、東洋経済さんもご出稿いただけるとありがたいんですけれど(笑)。逆に1週間吊りみたいなもので、飲料(メーカー)さんが長くプロモーションをする。そういったトレンドがございます。
あとは最近ですと、ドアの横にあるドア横、JRさんですと「新B」というような媒体名になるんですけれど、こちらは人の目線に非常に近いということで人気の媒体になっております。ドア横はけっこう埋まることがあるんですが、中吊りポスターに関しては、先ほどの出版関係が非常に落ちているところがあるので、そのあおりを受けて出稿が少なくなっている状況にあります。
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