2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
リンクをコピー
記事をブックマーク
ヒラリー・クリントン氏:デイビッド・E・バンザント学長、ニュースクール大学のみなさん。本日は温かな歓迎をありがとうございます。再びここに来ることができてうれしい限りです。
過去数ヵ月において、経済がうまくまわっていないというアメリカ人の不安について耳を傾ける機会がありました。経済が本来あるべき活気を取り戻していない、というのです。とくに、社会の上層部で滞ってしまっていると多くのアメリカ人が感じているようです。
一方で、未来に対する希望の声も聞きました。借金に追われることなく大学に進学したい。夢見ていたささやかな起業をしたい。家族を養い、安定した老後を送るに足る所得を得たい。
アメリカの前世代は、勤勉に働き、自分の役割をきちんと果たせば、豊かになれるというベーシックな約束の元に、世界でも例を見ぬ経済の隆盛と最強の中産階級を築きました。しかも個人が豊かになればなるほど、アメリカ全体も豊かになりました。しかし過去数十年のうちに、この約束は徐々に失われていきました。我々の使命は、再び力を取り戻すことにあります。
共和党は、35年もの間、減税したり大企業に独自の法規を許容して富裕層を優遇すれば、トリクルダウン理論によりほかの人々にも富が波及する、と説きました。しかし、共和党がそのアプローチを試みるたびに、国債は爆発的に増加し、より格差が開き、富の集中を起こして、結局のところ、アメリカの勤勉に働く層には実質的になんの助けにもなりませんでした。
過去20年間で2回、民主党の大統領が就任し、こういった失策の後片付けを行ってきました。
(会場拍手)
結果は、自ずから現れるものです。クリントン政権の下では、アメリカは史上最長の太平の世を誇りました。
(会場拍手)
2,300万もの雇用と健全な財政、将来への余剰予算、そしてなによりも重要なのは、富裕層だけでなく総体的な所得の上昇が実現したことでした。8年後、アメリカは、オバマ大統領とアメリカ国民の懸命な努力により、不況の淵から立ち直ることができました。
オバマ大統領は自動車産業を立て直し、ウォールストリートに新たな規制を課しました(注:2010年に成立した「ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法」を指す)。また、1,600万人のアメリカ国民に健康保険を提供しました(注:2010年の医療保険制度改革、通称「オバマケア」を指す)。
さて、危機の影が薄まり、長期化した問題が注目されるようになった今日、我々は「成長と公平の経済」を築いていく必要があります。どちらか片方はありえません。成長がなければ、雇用と新たなビジネスは作れません。また、公平さがなければ、基盤のしっかりした家庭と消費者経済を支えることができません。我々には、双方が必要なのです。
なぜなら、せっかく立ち直っても、アメリカはいまだに本来の力を取り戻していないからです。
企業収益は過去最高で、アメリカの人々はこれまで以上によく働いています。しかし、所得は実質、生活費として消えていきます。一般家庭はさまざまな方向に複雑化し、必要な予算も増えています。ヘルスケア、養育費、高齢化する親たちの介護の負担は、給料額より急速に増しているのです。
これは、私が遊説する先で、どこでも耳にする事態です。あるシングルマザーは、職を転々としながら、コミュニティカレッジに通い、3人の子供を扶養しています。彼女の日々は困難に満ちていますが、昇給すれば、困難は軽減されます。
昼も夜も働いているおばあさんは、他人の子供の面倒を見て暮らしています。彼女は自分の仕事に誇りを持っていますが、その稼ぎは医療費が増え続けるなかで暮らしていくのに十分ではありません。
10代の頃に働いていたボーリング場を買うことを夢見ている若い起業家は、学費ローンに押しつぶされそうになっています。もし事業を拡大できれば、学費ローンも従業員への給与も支払うことができるのはもちろん、彼自身の所得も上がるはずです。
何百万人もの働くアメリカの人々が、似たような物語を語っています。コストを賄うために、賃金・給与の上昇が必要です。勤勉に働き、自分の役割をきちんと果たしている一般家庭の人々には、より豊かになり、生活レベルを維持する資格があります。
これは、是が非でも解決すべき経済の課題です。我々は、まじめに働くアメリカの人々の所得を増やし、中産階級として暮らしてもらう必要があります。安定した所得の上昇を促し、一般家庭の暮らしを向上させ、国全体を潤す必要があるのです。
これが、私が大統領に就任した初日から最後まで、取り組むべき使命です。
私は、毎朝起床しては、自分自身の出自のような、アメリカ中の一般家庭について考えることでしょう。私の生まれた家庭では、父が小さな会社を起業し、必死になって倹約して、私たち家族に中産階級としてよい暮らしをさせてくれました。私が上院議員として勤めたニューヨーク州のみなさんや、みなさんからお聞かせいただいたこと、そしてそれを元に物事の改善に励んだことを思い出すことでしょう。
私は、大統領として、いまだ回復が見られない、アメリカ経済や世界経済の大きな変化の問題点について、取り組んでいくつもりです。
みなさんもご存じのとおり、テクノロジーの発達やグローバルな貿易の広がりは、新たな商機を開拓し、アメリカの輸出に新たな市場を開きました。しかしこれらはたびたび格差を広げ、高い技術を持つ働き手に利益を与える一方、何百万人ものアメリカ人の生活を支える、ブルーカラー層やその他中間層の雇用において、解雇や地位の下落を招いてきました。
今日の市場は、1分1秒を争う市場取引や、四半期決算など、あまりにも短期視点に集中しすぎており、長期の投資を軽視しています。
その一方で、多くのアメリカ人は、小さなマンションを貸し出したり、Webサイトをデザインしたり、自宅でデザインした商品を売りに出したり、自分の車で配車サービスを行ったりして、お金を稼いでいます。このような、オンデマンドの、いわゆるギグ・エコノミーは、経済に活気をもたらし、革新を起こしています。しかし、職場の保護や、未来の職業のあり方について、難しい問題をもたらしてもいます。
この傾向は、実際に起こっていて、当面やみそうにありません。しかし、こういったことがアメリカの命運を決めることはありません。国家としての選択が大事なのです。1年後の選択が、今世紀のアメリカ中産階級の生活と、経済がどうなるかを決めるのです。
大統領として、私はこれらの変化の流れを、アメリカを害するのではなく、アメリカのためになるように導き、中産階級を空洞化するのではなく力づけるために、すべての協力者と手を結ぶつもりです。
なぜなら、それがアメリカ人だからです。アメリカ人は、ベストをつくし、問題は否定せず解決します。困難から逃げず、それをうまくコントロールするのです。
成功の目安は、成功したCEOや資産運用会社の収益だけではなく、勤勉に働く一般家庭の収入をいくら上げるか、ということです。人々の命や暮らしに直結しない、独断的な成長目標でもありません。私は、苦闘し、頑張り、成功を掴む人々のために、経済がうまく作用する様を見たいのです。
我々は、今日の成功への答えを、過去の台本に求めません。失敗を呼んだ過去の政策に立ち返ることはなく、また、同じ成功の道をたどることもありません。
今日は、1993年ではありません。2009年でもないのです。我々が今まさに直面している、大きな問題について、解決を必要としているのです。
そこで今日、私は、勤勉に働くアメリカ人所得を上げ、力強く、公平で、長期にわたる成長のためのアジェンダを提案したいと思います。
まず、力強い成長についてお話しします。成長とは、より多くの雇用と、新たなビジネスとを意味します。雇用が多ければ、働く場所の選択肢が増えます。
企業は、新たな人材の採用と、有能な人材を確保して他社と競合するため、高い給料を支払う必要があります。エコノミストが、所得を上げるには、完全雇用に近づける必要がある、と言うのは、このような理由からなのです。
小規模企業は、オンライン上にアメリカの60パーセントもの新たな職を生み出していますから、プライオリティを最優先にしなくてはなりません。私は、小規模企業の社長になりたいと話したことがありますが、これは本当のことです。この選挙キャンペーンを通して、私は、事業者を、お役所業務から解放し、資本へのアクセスを容易にし、課税を控除・簡素化して、活力を与えます。
また、アメリカ国内の投資事業を活性化させるために事業税を幅広く改革し、雇用や利益を海外に流出させる企業を優遇するような、法の抜け穴をふさぐつもりです。
そして、強力な成長を後押しするエンジンとして、通常はこのような考え方はしないのですが、移民を受け入れるよう改革するべきです。お聞きください。まじめに働く人々を、正式に経済の枠に組み込めば、GDPはなんと10年間で7,000億ドルも上昇すると見られています。
また、新たな公共投資をすれば、新規のビジネスや事業者を支援でき、次世代に高給を得られる雇用の創出につながります。
アメリカの人々が動けば、国全体が動き出します。インフラ投資銀行を設立し、公共の資金と個人の資金とを結びつけ、世界規模の空港、鉄道、道路、橋、港に投資しましょう。また、より早いブロードバンドのネットワークを構築しましょう。プロバイダーには多様性を持たせ、消費者に幅広い選択肢を与えましょう。
よりクリーンで、再生可能なエネルギーの製造投資は、待ったなしで増資するべきです。アメリカ経済は、エネルギーを元に回っています。今こそアメリカがクリーンエネルギー大国になるべき時が来ています。私がこれを主張するのは、そのような投資は、何百万もの雇用を生み出すはずであり、長期的な経費削減、気候変動の脅威への対処につながるからです。
さらに、科学・医療分野の研究に出資し、革新的な企業や新規の産業を産出させましょう。ヒトゲノム解読プロジェクトでは1990年代にそうなりましたし、オバマ大統領が指揮を執った「プレシジョン医療(注:2015年発表、特にがんと希少疾患を対象に、適切な治療法や発症予防法を開発するプロジェクト)」や「BRAINイニシアティブ」においても、将来そうなります。
これらの分野において、何ヵ月も先に、大いなるゴールを掲げるつもりです。
しかし今日は、もう1つ、普段は見過ごされたり、過小評価されている、成長のカギとなる要素を強調させていただきます。
それは、壁をなくして、より多くのアメリカ人、とくに女性が、労働力としてフル活躍できるようにすることです。
みなさんもご存知のとおり、我々は、国際的な競争の真っただ中にいます。今、我々がまさにそうしているように、才能のある人材を、場外に放置したままにするような余裕はありません。これらの人々を疎外し無視することは、彼らや彼らの夢だけでなく、自分たちの国や未来をも冷遇していることになるのです。
過去40年間の、女性をアメリカの労働力に組み込む動きは、3兆5,000万ドルという経済成長を促しました。しかし、この成長は止まってしまっています。
過去において、アメリカは、女性の労働参加において、先進国24か国中7位でした。2013年には、なんと19位にまで下落しました。この数字は、アメリカ経済、アメリカの家庭において、活用されていない多くのポテンシャルを表しています。
調べによれば、下落の3分の1は、他国が拡大している産休などの子育て政策を導入していないことが原因だとされています。アメリカ人は、よい労働者、よい両親、よい介護者になることが容易であるべきです。働く意欲のある女性は、育児や家族が病気になったらどうしようなどと、日々心配せずに働けることが必要です。
昨年、ここマンハッタンの病院で、小さなシャーロットの誕生を待っていた時のことです。看護師の1人が「産休導入のために戦ってくださってありがとう」と話し、その話題について会話が始まりました。
彼女は、自分が世話をしている働く親たちや彼女自身、同僚たちにとって、それがどのような意味を持っているのかを、肌で知っているのです。
良質でコストのかからない育児はけっして贅沢品ではないことを、認識するべき時が来ています。これはれっきとした成長への戦略なのです。そして、いまだに男性よりも所得が低い女性たちや、さらに所得の低い有色人種の女性たちの屈辱を終わらせる時でもあります。
こういった損失は累計します。一部の女性たちにとっては、年間何千ドルにも相当します。こういった問題は、一部の人々によって「女の問題」として、あまりにも長くないがしろにされてきたことを、私はいやというほど認識しております。そんな日々には、終わりを告げるのです。公平な給与と、公平なスケジューリング、有給の産休と病欠、育休は、アメリカが競争力をつけ、成長するには不可欠です。
そしてこれらは、企業、とくに小規模企業に対する不当な負担なしに実現できます。大統領として私は、私のキャリアにおいてずっとそうであったように、まず家庭を第一に掲げます。
さて、力強い成長の次には、公平な成長が必要であり、これが所得の上昇の2番目の鍵となります。これは明白です。不公平は経済全体にとって麻薬です。これがまさに、我々が取り組むべき問題なのです。
ブッシュ知事が、アメリカ人は単に長時間労働すればよいだけではないか、と言ったことがありましたが、彼は実際にアメリカの労働者に会ったことがないのでしょう。ブッシュ知事には、1日中立ち仕事の看護師や学校の教師、徹夜で運転するトラック運転手にそう言ってもらいましょう。昇給を求めて道をデモ行進している労働者たちに言ってもらいましょう。彼らにはそんな説教は必要ありません。彼らには、昇給が必要なのです。
事実、現行の経済法は、ファイナンシャル・トレードなどの一部の職には十分に報いますが、常にアメリカ経済の屋台骨を支えて来た建設、小売などにはそうではありません。所得全般をあげるには、きちんとバランスを取る必要があります。
まじめに働く人は、公平に扱われるべきです。最低賃金を再び上げ、時間外労働に対してオバマ大統領の新しい規定を適用し、さらに前進しなくてはなりません。
被雇用者を、建設労働者と誤分類して搾取し、賃金を略取するようなボスは、厳重に取り締まります。給与で生活費を十分に賄えるようにするには、家庭の負担の大きな部分を占めているものにも取り組まなければなりません。私は「患者保護並びに医療費負担適正化法」を守り、これを元に医療費の自己負担を軽減し、処方薬を安くします。
また、社会保障制度を保護・増強し、将来への備えを容易にして、一般家庭が定年退職を楽しみにできるようにします。こういった提案は、もうすでに長い間続けられ、少なからぬ戦いの傷跡を残しました。我々は新しいアイデアも必要としているのです。
私の信念ならびに戦う目的とは、利益の共有です。勤勉なアメリカ人は、彼らが生産を手助けしている企業収益から、利益を受けるに値します。
私は、企業が従業員と収益を共有できる方法を提供します。これは、従業員にとっても、優良企業にとっても、よい影響をもたらします。企業の生産性を飛躍的に上げ、従業員の懐に直接お金が入る、win-winの関係なのです。
関連タグ:
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには