2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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質問者3:私は50過ぎて、ほぼ働かない人間になったんですね。若いときは仕事しかないくらいの感じだったんですけど。
僕まだ目次しか見てませんけど、先生の書かれていらっしゃることは、ほぼ共感していて、ぜったいそうだよねって思っているんです。
私は管理職でもなんでもないんですけど、やっぱり若い社員たちにもそういう生き方はさせてあげたいと思ってます。ただ、彼らの中にも悩みがあると思うんですね。会社がどういうふうに自分を見てるのかとか。
そういうときにどういうアドバイスをすればいいのかなとお話を伺いたいと思います。
田中俊之氏(以下、田中):今日の話で出てた、寄り添うということでもないですけど、年長者の方でそういうことがわかっている方がいるということは、若手の方からしたらすごく希望だと思うんですね。
こういう考え方があるんだよということを、上の世代の方から言われたらほっとするというのがあると思うので、そういうすごく重要な役割があるんじゃないのかなと話を聞いていたら思いました。
やっぱり煽るということが多いじゃないですか。子どもの頃から、男の子って。もっと上、もっと上ってやられてきたときに、肩の力を抜いて大丈夫なんだよって。
歳が近いとか、親から言われると恥ずかしいとかあるので、会社の年上の人がもしそういうことを言ってくれたら、僕が会社員だったらすごく嬉しいなと思います。
ジェーン・スー氏(以下、スー):私もちょっと一言。私の大学のサークルの先輩で、ちょうど同い年くらい、もしくはもう少し上の先輩、いまだに月に1回集まって土曜日とか金曜日の夜から朝までクラブで自分たちでDJをして遊んでるんですよ。
お仕事もみなさんされていて、仕事も頑張ってらっしゃる。それを見てると、人生楽しそうなんですよ。ひたすら。
その先輩たちは私に何も言わないんですけど、本人たちがとにかく楽しそうに趣味のことをやっているのを見るだけで、「あぁ、ぜったいこういうほうが人生は楽しいな」と思わせてくれます。
何も言わなくても、何かを見せるだけでももしかしたら全然違うのかなと思いました。自分で気がついたほうが有益な情報だと思うクセがあるじゃないですか。人って。
田中:自分で気がつくというのが、今日のキーワードなのかもしれないですね。
スー:人に言われたことよりも、自分が発見したってみんな思いたいから。とは、ちょっと思いますね。
質問者3:ありがとうございます。よくわかりました。
質問者4:今日は貴重なお話をありがとうございました。田中先生にお聞きしたいんですけど、近年、男性学という学問が注目されていると思うんですけど。
先ほども話されていたように、注目されるようになるまでってすごく大変なこともたくさんあっただろうなと思いますし、男性の研究者がジェンダーの領域を研究していくっていうのもすごく大変だったんじゃないかなと思うんですけど。
そのへんをどうやって乗り越えたというか、モチベーションになったことはどういうことなのかなというのをお聞きしたいです。
田中:とってもいい質問をありがとうございます。僕、大学3年になったときに、みんながみんな就職するって言い出して、すごくびっくりしたんですね。いろんな人がいたんですよ。
それこそ音楽やってる人もいれば、バイトもろくにしないとか、学校も来ないようになるとか、もちろん真面目な人もいるし、いろんな人がいたのに、全員が一斉に就職するって言い出ちゃうんですよね。「これ、何かな?」っていう。
女の子は留学しますとか、大学院進学しますとか、もちろん就職しますという人もいて、バリエーションがあったのに、男の子は一本の道に自分で行くって言い出したんですよ。
その後、就職して、理不尽なことがあったと愚痴っているときに、それこそさっきのとあるゲームの攻略法の話ですけど、僕が「それはおかしいよ。そんなの理不尽だよ」って言うと、「お前は学生だからわからない」って話になって、みんながどんどん会社に取り込まれていくんですよね。すごく不思議で。
ほとんどすべての男性に、仕事中心の人生を送ることを当たり前だと思わせるような仕組みがあるわけですよね。それをを解き明かしたいという研究のモチベーションがあるんですよ。みんながみんな、こんなに信じるって不思議じゃないですか。
しかも雇われて働くというのは、最近になって始まったことだと思うんですよね。だって農業とか漁業とか、あるいは個人商店とかやってたわけですから。みんなが雇われて働くのは当たり前だっていうのは、少なくともここ50年くらいで自明になったことだと思うんですよ。
質問者4:学問をやっていく中で、いろいろ大変なことがあったけれども、一番のモチベーションは解き明かしたい、知りたいということでしょうか。
田中:はい。僕がそれを知りたいということです。
質問者4:それで、いろんなことを乗り越えられたと。ありがとうございます。
田中:いい質問、ありがとうございました。かっこいい感じになりました(笑)。
スー:俺にとって都合のいい質問じゃないですか(笑)。
田中:まさにその通りです(笑)。ありがとうございました。
質問者5:今日はありがとうございました。今日のお話の中で、近年男性学が注目されているですとか、スーさんも若い世代には働き方に大きなハテナが少しずつ出てきているというお話で、今の20代の人とかには、今回のお話はすごく刺さりやすいと思うんですが、私の親世代、50代60代の方にこのお話がどれだけわかってもらえるのかなというのがありまして。
というのも、私のお付合いしている人とは、「得意なことをお互い得意にやろうよ」というので、お互いは納得できるんですけど、それを自分の両親に話すと、いまいち納得してもらえないというか。「その関係でいいの?」って言われてしまうことがあって。
上の世代の人にこういうことに気づいてもらうためだったりとか、私たちが疑問に思っていることに共感とはいかなくても理解してもらうためにはどういうような働きかけだったりが必要だと思いますか?
田中:僕が研究をしている中でのそういう調査のデータから明らかになることは、やっぱり若いときに培った価値観ってあまり変わらないんですね。やわらかく言うと、みんな自分が若いときの価値観が好きなんですよ。
そうすると、自分の子どもたちが違うことをやっているとその人たちからはおかしく見えてしまうんですね。
我々、……いやごめんなさい、我々じゃないですね。僕は質問者の方ほど若くなかったです(笑)。若い方からしたらその考えはおかしく見えるんですね。
向こうの都合というのも理解するということが、こっちの都合を理解してもらうためには非常に重要なステップで、お母様お父様の世代がどういう時代に生きて、どういう価値観を持っているかを理解してこっちも理解してもらうというスタンスが大事かなと思います。
質問者5:ありがとうございます。
スー:そうですね、とにかく怒らない、じゃないですかね。以前、婦人公論から「結婚しない娘」についてのコラムを依頼されて書きました。
そのとき60代の親御さんたちの座談会の記事を読んだら、「とにかく娘が怖い」とありました。結婚の話をすると、怒って部屋を出て行ってしまう。
ワーって泣かれたこともあるし、怒られたこともあるし、無視されたりするし、とにかく結婚してほしいけど、怖くて聞けないという声がけっこう多かったです。それが意外で。
娘のほうとしては、言葉にならない親の言葉を100パーセント感じて、ズシンと肩が重くなってるわけじゃないですか。でも、親は親で「怖くて聞けない」なんて思っていたんですね。
さっき田中先生がおっしゃったようにすべての常識というのは世代によって変わってるので、まず説明する、じゃないですかね。怒らずに。
お母さんの時代の、これはこうです。女性の就職率はこれくらいでしたと。男性の年収はこれくらいでした。終身雇用という形がありまして、こうですと。やっぱり頼れるのはデータですよ。
(会場笑)
スー:データで見せて、なるほど、これはこうですね、と。たとえば、今私が同じ形態を取るとですね、何割の人がだいたいクビになります。こうなります。生活保護は今、だいたい月13万です。
みたいな話をして、いかにその通りにいくことが、今の時代としてどれほどリスキーかということをデータで見せる。
あとは、先がどうこうじゃなくて、今私が幸せそうかどうかで決めてくれっていうところかな。
田中:スーさんのご意見は、すごく僕も勉強になりました。向こうが感情的に見えるときって、こっちが感情的になっているかもしれないですね。
スー:そうなんですよ! お母さんたちビビってて。おもしろかったですよ、その座談会。「良かれと思って言っても、必ず怒られる!」と嘆いてました(笑)。
田中:それは自分自身も注意しようかなと思いました。ありがとうございました。
スー:この間ね、通りかかったお寺の掲示板に「私は正しい。すべての諍い(いさかい)の根はそこにある」って書いてあって。「本当そうだな!」と思って写真撮ってきました。
(会場笑)
田中:「私は正しい。すべての諍いの根はそこにある」。今日はこの素晴らしい一言でお開きにさせていただきたいと思います(笑)。
今日はありがとうございました。
スー:ありがとうございました。
(会場拍手)
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