2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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谷本有香氏(以下、谷本):アクセンチュアは女性活用で非常に有名な会社でもあるし、たくさんの女性社員がいることはもちろん存じあげてますけれども、イメージとしてすごく男性的な業界であるような気がするんです。
このしなやかさを(堀江氏が)「決めつけないこと」とおっしゃったのは、それはコンサルティングファームのなかでも女性だから思うことなのか、もしくはコンサルティングファームのなかでも男性でさえもやはり重要なことなのか。それはどっちなんですか?
堀江章子氏(以下、堀江):そういう意味では、変な話ですけど、私入社したのが23年前なので。その頃に大学院を出て「この技術でやりたい」と言っていた人の技術は、今、スマホのなかでできちゃったりするんですね。なのでそれに固執してたら将来がないじゃないですか、残念ながら。
「インターネットって何ですか?」みたいな人だと、「そういうのは受け入れたくありません」という人は、わりと未来がもうなくなってしまっていて。
そういう意味でいろんなものがどんどん変わっているので。変な話、私が就職活動した頃の銀行の数と今のメガの数というのはぜんぜん違いますよね。同じようなことがけっこういろんなところで起きていて。なので、男性でも女性でもそこはたぶん必要で。あまりにも頑固だと、いろんな機会が来たときにそれに気づけないというのはあると思ってます。
谷本:みなさんここまでの地位に昇りつめたことのなかに、ある1つのポイントとして「女性」ということもあったかもしれません。そういうことを言うことをすごく嫌がる方も、もちろんいるとは思いますけれども。
つい「美人女性起業家」であったりとか「女性マネージャー」だったり、絶対に男性ではつかないクレジットがつくというのも、女性のリーダーの特徴でもあるような気がするんですが。
お三方におうかがいしたいのは、いわゆる女性のリーダーとして、もしくは女性の、みなさんの前に出る立場として、女性であってよかったとか、もしくは女性であったからこそすごく悔しい思いをしたとか、もしくは女性というところを自分自身がなにか利用したというか、なにか意識してやったところみたいなものがあったら教えてください。
堀江:私は、いいところも悪いところもあって。私がお付き合いさせていただいているお客様の上層部の方だとほとんど男性が多いところから始まってるんですけれども、女性のコンサルタントのマネージャーがいると、それが目立つので、最初に覚えてもらえる、というのはよかったです。
ただ、やはり日本企業は男性のほうが多いので、自信がなく心配だという意味で「あの人で大丈夫?」みたいなことを、言われる理由にもなったりすることはあります。
今は、やはり私どももそうですけど、外資系とか、そうじゃないベンチャーの会社とか、いろんなところで女性が活躍してるシーンを見て、変わらなくてはいけないことに気づいてる会社が多いので。そういう意味では、進化しつつあるのかなと感じています。
坊垣佳奈氏 (以下、坊垣):インターネット業界というところで大きく捉えると、かなり女性の割合が、全体的に若いので、女性の活用みたいなところも自然とやってるという感覚がたぶんあるかなと。
そういった意味では、サイバーエージェントという会社も新卒を半分半分の割合で採用しますし。女性が普通に職場にいるという環境なので、あまり自分も意識することがない。「女性である」ということをあまり意識することもないですし、女性だから特別扱いされたとか、女性だから損したとか。こういうようなことはあまりないのかなというのが現状ではあります。
ただ、女性と男性の考え方とか思考とかって違うなと思うことがたくさんあって。さっきの話じゃないですけど。マネジメントの場とかではかなり女性らしさが活きることが……あと組織づくりとかですね、活きることがあって。
感性が強いのが女性なので、現場の調子が悪い部分とかに早く気づけたりとか。あと柔軟な声がけができたりとか。言葉を選んだりであるとか。
例えばですが、男性って上昇志向があるんですよね。競争社会で生きていく感じというか。女性はどちらかというとナンバーワンよりはオンリーワンになりたいと思っている人が多い気がしていて。自分が自分として存在していること、たぶん必要とされることに意識がいくことが多いような気がするんです。
またそういう男女の違いみたいなところをある程度考えたり頭にいれながら、仕事のうえで人と接していると、仕事がやりやすかったりはするので。そういう男女の意識みたいなのはふだんしているかなという感じですね。
白木夏子氏(以下、白木):私は、起業したときに女性起業家支援の融資が普通よりパーセンテージ低く受けられたりとか、そういうのもあったりしたんですけど。あんまり起業家としては女性だからというのでよかったことというか、あまり女性だからなにかというのはないかなと思っているんです。
男性だったら男性でたぶんいろんな目立ち方をした、目立ち方というか活躍の仕方があるだろうし。女性だからこそ、ジュエリーのビジネスをやってるので、同じ女性の立場で本当に欲しいというものを開発することができているかなとも思っているし。
例えば、私がジュエリーを作るのに、年に何度かすごい僻地に行くんですよ。パキスタンとかペルーとかコロンビアとかいろんな世界中の鉱山ですとか。あとは研磨をする人たちを訪ねて巡って、その人たちがどんな生き方をしているか、どんな環境のなかで宝石たちが作られているのか、生み出されているのか、というのを実際に見て来るんですけれども、そのときに、女性だからか、すごく最初から心を開いてくれているような感じがして。
私がすごく興味というか支援したいなと思っているのは、女性と子供なので。パキスタンの宝石を研磨してるのは、向こうの貧困層の教育も受けられなかった差別されている女性たちだったりするので。
そういう方たちには、「あなたがいることで私たちの勇気になっている。私たちは教育も受けられなかったし、海外に行ける機会なんてないし、自分の村からさえも出られる機会もない。結婚したら家の中で過ごすしかない運命だと思っていたけれども、こうして実際に1人で来て、会社を起こして。そして海外に出て、私たちのところに1人で来る女性がいるんだ、ということを考えただけで力が湧いた」というようなメッセージをいただくこともあって。
それを聞くと、私、彼女らの力に少しでもなれてるのかなと思ったので、それはすごくよかったなと思っています。
谷本:しなやかさというのが、女性だけではないのかもしれないですけれど、女性のリーダーですとか、もしくは活躍をしていくうえで、非常に重要なキーワードであるということはよくわかったと思うんですけれども、例えば、お三方はすでにしなやかさというものを身につけていらっしゃいます。それまでにはいろいろな紆余曲折もあって、今のようなしなやかさを身につけて、それが結果的に今のポジションに結びついているというところもあると思うんですね。
みなさんにとって、今のとくに輝かしいポジションにつくまでの一番大きなターニングポイントというもの、もしくはしなやかさを身につけられたというきっかけになった出来事があったら教えていただきたいんですけれども。答えられる方でけっこうです。
坊垣:これぞというものですよね。けっこう日々という感じかなと思ってまして。私の場合は、先ほどかなり冒頭でお話しちゃったんですけど、やっぱり環境の変化に対応しようと思っているうちに、自分が柔らかくなることが、自分も楽だし、周りも楽だというのに気づいたって感じなので。
やはり環境の変化のタイミングはたぶん怖いし、すごく「嫌だ」と思うんですけど、私はそれをチャンスだと思えるようになったりとか。そこでたぶん自分が柔らかくなってステップアップして、また同じ多様性を受け入れられるチャンス、違うものに出会って自分が広がるチャンス、ということを思えるようになったかなという感じがしますね。
谷本:坊垣さんはご自身が「しなやかに変わると周りが楽になる」とおっしゃいました。周りが今までしなやかになる前までは楽ではなかったんですか? どういった反応がそれまであって、どういう変化が起こったんですか?
坊垣:たぶん、お互いになにかを構ってほしいとか、自分に合わせてほしいとかってたぶん思ってしまう生き物なんだと思うんですけど。まず最初に、これから一緒にお仕事をする人とか、自分のメンバーになる子とかと話すときに、自分のことから話すというか。それは本音で話す。ダメなところとか不得意なところも含めて話す。
よく「マネジメントの秘訣」みたいなお話をするんですけど。「どういうマネジメントを受けたいか?」と私聞いちゃうんです。「どういうふうに接してほしいですか?」と聞いちゃうんですけど。だから楽してるんですね。
楽してるんですけど、それを想像してやるよりはそのほうが楽だし。相手の本音も、自分が本音を出した自分の本当の姿、「わからないから教えて」と言ったほうが相手も心を開いてくれたりするので。そういうイメージですかね。
谷本:自然体になるということですね。素になるというところ、それがしなやかさにつながっている。
坊垣:ダメなところも含めて自分を出していくということが相手も楽にするかなっていう。「これでいいんだ」と。
今日の話も、「しなやか」というとすごく完璧みたいな感じだと思うんですけど、「いやそんなきれいごとじゃすまないな」というのが、みなさん、たぶん日々だと思うんですけど。そういうところも含めて、お互いを知れたほうがいろんなことがスムーズに進むかなという気がします。
谷本:ダメなところもさらけ出すことによって、実際、結果がそこについてきた、ということなんですね。お2人はいかがですか、なにかターニングポイントは?
白木:聞きながらすごく共感してて。自分になるというか、素の自分を出していくことがあるかなと思います。私も年を重ねるごとにしなやかさというか、いい言葉で言えばしなやかさ、反対を言えばおばさんらしくなってるという感じなのかな、素の自分になれてるというか(笑)。
若い時は、こうあらねばならない。起業家たるもの、社長たるものこうしなければならないみたいなのを自分で勝手に心の中に作って。会社にいる時もそうしてたと思いますし。ミーティングなどで一緒にいるときも、社長然としていなきゃいけないとかで。
けっこうあんまり怒らないし、あんまり騒がないし、とにかくいつも落ち着いているのがいいと思っていて。そうしないと、社長が慌てちゃうとみんな慌てちゃうしとかで、「けっこう自分のことを制限してたな」と去年すごく思って。もう全部の感情を開放することに決めたんですよ。去年の前半あたりに。
とにかくそう決めたら、怒りがすごく出てきちゃって。もういろんなものに怒り散らして当たり散らして大変だったんですけど。そしたら悲しみとか孤独感とかいろいろな怒りが出て、感情が出てきた後にすごく癒やされた感じがして。
すごく不思議なんですけど。私、子供を見ててとくにそれを思ったんですね。自分の子供が今3歳ですけれども、全部の感情を出して、泣いたり叫んだり笑ったりしてるので、こういうものが人間らしいというか、すごく美しいなと思って。
私もそんな感じで、彼女と全面的にぶつかり合いながら、旦那さんともぶつかり合いながら、家族ともぶつかりながらいろいろとやってきてですね。
そういうのが実はしなやか、自分の気持ちと向き合いながら、いろんな気持ちを受け止めて、そして開放していくという、「すごく柔軟な自分になってきたな」ということをよく感じているので。なので、素直になるというか、素の自分になるというか、そこかなと思いました。
谷本:そこ、本当に坊垣さんと一致するところですよね。自分自身に嘘をつかない。そこが周りに対しても嘘をつかないということにもつながるし。
白木:そうなんですよ。私も本当に親友に「夏子さんって本当に感情を外に出さないよね」とすごく言われて。「怒らないし。でも、すごく笑ったりもしないし。なんか能面みたい」と言われて、ハッと気づいたんですけども。「私そうなんだ」と思って。
そこからはイラッときたらイライラをバーンって出すようになって。なんか適度に。本当にすごく(笑)。そしたら、すごくいい感じに物事が回り始めて。すごく気持ちよく毎日を過ごせるようになりましたね。いろんなことを我慢せずに、もうありのままの姿でいるようにしました。
谷本:まさに今回のイベントのサブタイトルでもある、本当に「らしさ」というか、自分らしく生きてるというところなのかもしれないですね。わかりました。堀江さんどうですか?
堀江:そうですね。だから、そういう意味ではすごく共感すること多いんですけど。私がいま話を聞きながら思い巡らすと、うちの会社はグローバルな会社なので、東京にいるだけでは会えないようなすごいリーダーの人と、研修とかの場でいろいろお話するシーンがあります。
そういったグローバルのリーダーとお話すると、「そのあとなにやりたいの?」と聞いてくれるんですよ。「次どうしたい? そのためになにしてあげたらいい?」と言われるんですよ。
「例えばコンサルティング会社の役職で言ったら、シニアマネージャーやマネジング・ディレクターになれたら、いったん目標達成だ」みたいな考え方もあります。
でも、グローバルに視野を広げるとまだまだ成長の余地があることに気づかされる。「マネジング・ディレクターになってそのあとなにやりたい? それをするのになにをサポートして欲しい?」と聞かれるのです。
やりたいことをなんとなく伝えると、「私こういうことをやって、こういうふうにお客さまに貢献できるようになって、こういう力が欲しい」と言って。「自分にはこれができるけど、これができてないんです」「じゃあ、誰か紹介しようか?」とか、「こういう本を読んでみるといいわよ」みたいなことを言う人もいれば、「じゃあ、一緒にお客さんのところに行ってみましょうか?」と言ってくれる人もいて。
とにかく人を育てる「余裕」みたいなものを感じるのです。「みんなの成功が私の成功になる」みたいな感じで言われたら、なんかすごい、そういう広い視野を持ちたいと思いますよね。あと、実際に自分が若手の人と話してるときにそういう視点でちゃんとサポートできてるかと、自分を顧みます。
あと、あることを問われてちゃんと答えられないときに、「もっと言って。もっとやりたいことあるでしょう? ヒントになるからなんでも言って」と言われると、「ちょっと待ってくださいね」みたいに一生懸命考えをひねり出そうとします。そうやって喋ってるうちに、なんとなく本当はやりたかったことがまとまってくるようになって。
そうすると、「じゃあ、あっちのほうでこういうことをしたいんじゃないの? だったらこういうことを経験するといいから、そういう仕事を早めに見つけて次のステップにするといいわよ」とか言われると、「そうか、それやりたかったんだ」ということが見えてきたり。
そういう問題を改めて自分1人で考えてみると、自分の気持ちはこういうところにあって、今いろいろ感じていた「もどかしさ」とか「焦り」はここから来てたんだ、というのがわかったりするものです。
そういう聞いてくれる人とか、あと実際にそれを自分で問い返す時間みたいなものが、大事なんだというのに気づいたのは、そういうすごいリーダーたちに会ったからですね。
実際にそういう思考法をまとめた本とかあるんですけど、本読んだだけではそういうことまじめに考えられないんですよ、本当に。「どうしたい、本当に?」みたいな。「次、本当になにやりたい? なにならやりたい? そのためになにが欲しい?」と言われたときに、意外になにも考えてない自分に気づいちゃったりして。なのでそういうことに気づかせてもらったのは一番大きいなと。
そうすると、自分の持ってる視野の狭さに気づくし、そういう時間がけっこう楽しかったんだなというのがわかったりする。
なので、意外に集中してるつもりでいたなにかを一瞬置いて、考えるとかリフレッシュする時間みたいなところも、そういうのをキープするのに大事だなという感じですね。
谷本:ありがとうございます。みなさんのなかでなんとなく腑に落ちるというか安心したというところがあると思うんですけれども。女性にとってのしなやかさというのは、自分の素というものをさらけ出すことであったりとか、自分自身に向き合うことなのかなというような気がしてきています。
私自身、実はいろんな男性のリーダーに、世界のリーダーたちにお会いしてきたんですけれども、この話1回も聞いたことないんですよね。考えてみれば男性は、これは私の本当に私見なんですけど、すごくプライドの生き物というか、肩書の生き物というか、こういうイメージでなければいけないというか。そのなかで生きていかなければいけない生き物であるようにも思うんですよね。
そのなかで、一方で女性のリーダーのみなさんが感情をむき出しにしたっていいじゃないかと。苦しんでる、もしくは困ってるとか、弱ってるとか、本当に泣きたいんだということを言ってもいいじゃないかって。言えるリーダーは、すごいことだと私、思うんです。
それこそが女性の強さであって。その強さというものが、実は今のキラキラ輝く現在につながっているんじゃないかなと、モデレーターとして思うところがありました。
ここでセッション1を終わらせていただきます。このあとのセッション2では、そのしなやかさを使って、どのようにみなさんの人生をより一層輝かせることができるのかということについて進めていきたいと思います。
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