2024.10.01
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テーマ「市長選勝利≠辺野古容認」について(全1記事)
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堀潤氏(以下、堀):さぁ、それでは早速参りましょうか。網屋さん、お願いします。
網屋信介氏(以下、網屋):今日、僕だけ旗色違っていますけどね。ゲストのね。
(スタジオ笑)
脊山麻理子氏(以下、脊山):ネクタイがピンクです!
網屋:これです。
(テーマ「市長選勝利≠辺野古容認」について)
脊山:アメリカ軍普天間基地を抱える沖縄・宜野湾市の市長選挙が24日に行われ、自民・公明が推薦する現職の佐喜眞淳候補が、辺野古移設反対を訴える新人の志村恵一郎候補を破って、再選を果たしました。
堀:政府と県は、混迷を深めるということで。
政府は市長選の勝利を弾みに移設計画を本格化させる方針です。一方で、沖縄県の翁長知事の反対の意思は揺らがず。国と県の法廷闘争は近く3件目に突入する見通しです。選挙戦を通して移設問題をめぐる政府対知事の対決構図は一層深まっているというんですが。
この問題ですけども、なかなか基地そのものの本体の話とも限らないんでしょうね。
網屋:選挙そのものは、佐喜眞さんが11.8ポイントリードして勝利と。いわゆる「オール沖縄」というのは、菅官房長官の言い方ちょっとおかしいと思いますけど、政府はこれを起点に辺野古移転を進めたいという報道なんですが。
私も普天間行ってきましたけど、やっぱりこれは危ない基地だなという感じはしますよね。
堀:音もすごいですしね。
網屋:市民からすると、「辺野古に行くかどうかは別にして、普天間はなんとかなくしてほしい」、これは本音だと思うんですよ。
今回の投票で一番重視した点は何かというのを調査すると、やっぱり「普天間飛行場の移設問題」約半数、これは一番の大きなポイントと。
堀:とにかく目の前の危険や騒音などを含めたいろいろな問題をクリアしてほしいと。それが5割近くと。
網屋:それとやっぱり、「経済や福祉政策」。ディズニーランドを持って来るんだという話もありましたし、今でもあるんですけどね。
「今回の選挙の結果=辺野古への移転」ということになるか、実はそうではないということをみなさんには理解してほしいなと思っています。
それは、実はもう1つ、沖縄タイムスのアンケートの結果なんですが。
堀:「普天間基地の辺野古への移転」「移転反対の人の投票先」ということで、それぞれの世論調査の結果。
網屋:志村さんは移転反対。移転反対というよりも、辺野古反対。もちろん、普天間は移転してほしいと。
堀:辺野古移設反対。
網屋:実はその中の、24パーセント、実は佐喜眞さんに投票しているというのが1つの事実。それから、選挙が終わっても、確かに普天間なんとかしてほしいんだけど、では辺野古への移転か。実は57パーセントが反対だということですから、「今回の勝利=辺野古への移設賛成」ということではないということを理解しておかないといけないんじゃないかなと。
堀:実際、佐喜眞候補も選挙の中では、あまり辺野古移設のことは争点化しないようにしてきたと聞いています。
網屋:佐喜眞さんは普天間の移設は言うけれども、イコール辺野古とは言っていない。ただ、選挙の中身をいろいろインタビューしてみると、ご本人には申し訳ないけど、佐喜眞さんの人物・候補者としての資質が高かったということも1つあります。
今回もう1つ特徴的だったのは、志村さんの選挙活動がかなり共産党中心になっている。共産党が主導しているということに対する反発もけっこうあったと分析をされていますね。
そういう意味からすると、政府が今言っている、辺野古の移転というのは、安倍さんは「選挙に勝ったんだから、我々が国民の意思を反映しているんだ」と。「では、沖縄どうか?」ということになると、沖縄はこの6月に県議選があります。この県議選がどういう結果をもたらすかが1つ。もう1つが7月の参議院選挙と。
今回の選挙の結果を踏まえて、場合によっては参議院選の候補者の選定をもう1回やり直す可能性まで、僕はいくんじゃないかなと。
堀:どういうことですか。
網屋:要するに、野党統一候補をどういうふうに持ってくるか。今回、共産党中心にかなり表に出てきた。これは選挙戦略上まずいんじゃないかと。野党統一候補でやるんであれば、もっと別の形でという議論が野党内で深まるんじゃないかなと僕は思います。
堀:間に合いますかねぇ……。
網屋:そこが一番のポイント。でもやっぱり、人物像も大事なんだけれども、ほかの場所と違って、沖縄の場合には基地問題というのは大きな争点なので。人物も大切だけど、かなり時間的には間に合うんじゃないかなと思いますけどね。
堀:僕も沖縄に行って取材すると、県民のいろいろな賛成・反対それぞれの立場の方、共通しているのは、一般の市井の県民のみなさんですよ。「もう、政治家のみなさんは、反対と言っておけば当選できるんだから」と。だから、もっと生活の地場、状況に見合った政策を本当に考えてくれる政治家を欲しているという。
網屋:それはおっしゃる通りで。経済的なことを考えると、実はかなり複雑なんです。よく、「選挙で勝ったから、負けたから」って言いますけど、よく中身を見ると、反対派が勝とうが、推進派が勝とうが、実はあんまり大差になってない。
堀:そうなんですよね。
網屋:48対52でも、結果として52が入っちゃうわけですから。でも、全体で見ると40数パーセントの人たちは逆のことを考えている。この部分はないがしろにできない。
例えば、これが80対20だったら、また違いますけど。その部分をよく考えていかないといけないんじゃないかと思う。
堀:一方で網屋さん。とは言っても辺野古の問題、移設先がきちんと確保できないと、米軍は当然辺野古を使うと言っていますよね。
網屋:そうですね。
堀:あくまでもアメリカサイドとしては、「これは日本の問題だ」と言って突き放していますね。ところが、沖縄と中央政府との関係がこの状況で、裁判になって非常に長い戦いになるということになると、実際の本丸である普天間どうなるのかと。
網屋:アメリカという言い方は、僕はあまり賛成じゃなくて、アメリカの中でも議会の考え方。
堀:そうですね。
網屋:それからペンタゴンの考え方。けっこう分かれている部分もある。
堀:確かに。
網屋:ただ、総予算の中でご存知の通り日本は思いやり予算というのを、かなりの額を実は費やしていますから、それの関係もあって。
実は、2006年のグアム協定ではグアムに移転する、海兵隊の移転というのは、南太平洋の治安を良くすると書いてある。ところが、その間に中国の脅威が出てきた。このバランスをどう考えるかというのは、非常に難しい。
ここで、政府としては「辺野古しかない」ということであればね、それは貫いてやるしかないんじゃないかなと。ただ、沖縄のみなさんの気持ちをどういうふうに汲んでいくのかということが大事だと思いますね。
堀:日米地位協定の問題もあるし。
網屋:それは一番大きな問題ですね。
堀:ここを着手して、整えて、それから初めて基地の話。
網屋:もちろんそうです。地位協定は一番大きいです。
堀:あまりにも偏り過ぎている部分がありますからね。ありがとうございました。
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