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テーマ「3歳の女の子は救えていた」について(全1記事)

「やけどで虐待死した3歳女児は救えていた」SOSはなぜ見落とされたのか

埼玉県狭山市のマンションで、藤本羽月ちゃん(3)が顔にやけどを負った状態で死亡した事件で、埼玉県警は母親の藤本彩香容疑者(22)と同棲する大河原優樹容疑者(24)を保護責任者遺棄の疑いで逮捕しました。複数回にわたる保健センターの訪問や警察の出動にも関わらず、女の子が保護されなかったのはなぜか。社会起業家の駒崎弘樹氏は、児童虐待防止法に抜け落ちている情報共有の問題について語りました。(TOKYO MXとの共同企画でニュース番組『モーニングCROSS』を書き起こしています)

3歳の女の子は救えていた

堀潤氏(以下、堀):さぁ、駒崎さん。テーマの発表をお願いします。

駒崎弘樹氏(以下、駒崎):今日はこちらです。

(テーマ「3歳の女の子は救えていた」について)

脊山麻理子氏(以下、脊山):埼玉県狭山市のマンションで顔にやけどを負った3歳の藤本羽月ちゃんが死亡した事件で、羽月ちゃんが乳幼児健診を未受診だったことなど、虐待や育児放棄の兆候と取られる情報が市役所内で共有されていなかったことがわかりました。

:狭山市によりますと、羽月ちゃんは市が実施している4ヶ月児健診と1歳6ヶ月健診、3歳児健診の3回の乳幼児健診をいずれも受診していなかったというんです。普通に考えると、「あれ? どうしたのかな?」とわかりますよね。

この場合、保健センターが家庭訪問することになっていて、担当者が合わせて5回訪問していたんですけれども、「問題なし」と判断していたんです。どうしてか。

事件前に関わった市の担当部署なんですが、主に保健センター、こども課、保健課の3部門。情報はそれぞれ担当部署がばらばらに把握し3部門で共有はされていなかったというんです。

市内では2014年9月、当時4歳の別の女の子が死亡する事件があって、情報共有システムを改修するなど対応を強化していたとは言うんですが、羽月ちゃんのケースは把握できなかったと。

この問題、駒崎さんのブログなどにも書かれていらっしゃいましたけれども。決して無縁ではない。

警察・児童相談所・市役所はなぜ動かなかった?

駒崎:今回の件に関しては怒っていて。今回は、おそらく防げたんじゃないかなと思っているんです。これをご覧になっていただきたいなと思うんですけども。

先ほどのVTRにあったように、みんな普通は受けるべきものとしてある健診というのを受けていなかったという時点で、かなり高リスクなんです。

さらに、死亡から半年くらい前の6月29日の夜に近所から警察に通報があったと。警察が駆けつけているんです。しかし、警察は外傷がなかったということでなにもしなかった。かつ、児童相談所に教えなかったんですね。

さらに2回目。重ねて2回目にまた警察が出動していて、また警察はなにもせずに、しかも児童相談所に情報の共有をしなかったという。

:なんでこういうことになっちゃうのかなぁ……。

駒崎:ここが決定的にまずかったと思います。

:警察官の方にそういう知識がなかったというか、そういう意識がなかったということなんでしょうか。

駒崎:まず、意識がなかったのと、おそらく研修等も受けていないんですね。虐待等の対応で外傷がなかったからOKなんて、本当にどこの素人だっていう話で。なぜならば、ネグレクトだったら外傷なんて。

:わからない。

駒崎:わからないわけですもんね。

健診を受けていなくて、かつ、警察が来るほどの通報があるということは、この時点で保護しなくてはいけないんですよ。

ただ、児童相談所に情報をシェアしていないので、その2つの情報が重なり合うということがなかったわけなんですよ。

:これは、児童相談所がこの情報をきちんと把握していれば、直ちに保護に向けて。

駒崎:そうですね。おそらく、そうだったんじゃないかと思います。児童相談所は、市役所に「こうなっているんだけど、どう?」と言って、「健診も受けていない」「じゃあ!」というかたちで動いたんじゃないかなと思うんですよね。

先ほど、役所内での情報共有がされていないという話が出ていましたけれども、警察と児童相談所。そして、児童相談所と役所という、諸機関の情報共有がなんらされていないという状況で。

制度と制度の間の中で、3歳の子が亡くなっていったということがわかるわけですね。

児童虐待防止法に足りないもの

:年末、マンション隣の住人、「2時間以上泣き続ける子供の声が聞こえてきた」。虐待の問題って、一番チェックできるのは隣の人だったり、周囲の人ですよね。

駒崎:しかも、実は警察は周辺の聞き込みすらしていないんですね。

:あぁ……。

駒崎:していたら絶対に「あの子、よく泣いているんだよ」とか、「喧嘩の声が聞こえて……」という情報が得られたはずなのに、それすらもしていないという意味で、本当に埼玉県警はなにをやっているんだと。

しかし、埼玉県警だけの問題じゃなくて、実は全国の警察の意識も低ければ、また、情報共有をするという法律も実はないんですね。

:こんなに「少子化対策だ!」と言うのであれば、こういう虐待で亡くなる子供の数を減らさなくてはいけないし、死に至らないまでも、成長に著しく影響を与えるようなことを専門に守る機関というのが、いろいろな当局関係者の中で広がっていかなくてはいけないんじゃないんですか。

駒崎:本当にその通りです。

警察と児童相談所、そして自治体の情報共有をぜひともきちんと制度化してほしいと。今、実は児童虐待防止法というのはあるんですけれども、情報共有義務というのが書き込まれていないんですね。

そういう意味で、法の不在、落ち度があるし、また法律改正まで時間もかかってしまうんだとするならば、とっとと自治体レベルで警察と情報共有して。

「こういう場合になったら必ず教え合いましょうね」という約束・ルールを決めればいいだけなので、とっととやりましょうよと。

今、こうしている間にも、次の羽月ちゃんが亡くなっているかもしれない。実際に、虐待で殺される、虐待や心中で殺される子供の数は3日に1人と言われているんです。

こうしている間にも、子供たちの命が危機に脅かされているという状況を、多くの国民にぜひ知ってほしい。そして、躊躇せずに189に通告してほしいんですね。

その際に必ず児童相談所につながりますけれども、警察にも「きちんと情報共有してくださいね」ということを言い添えて、ぜひどんどん通告してほしいと思います。

:189番ですからね。今、Twitterで、Blue ocutpusさん。「警察って、虐待とかDVとかストーカーに不得手だなぁ〜〜」ということで。

まだ積み重ねてきた技能とか知見とか、そういうノウハウみたいなのがないんですんかね。

駒崎:やろうと思えば今でもできます。かつ、児童相談所のケースワーカーは、実は1人100人以上のケースを抱えています。

:いや、それ大変!

駒崎:欧米では20人が限度と言われているのにも関わらず。本当にこれは、不作為ですね。

:単純計算で5倍には増やさなければいけない。

駒崎:その通りです。

:ありがとうございました。

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