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【第205回】CG児童ポルノ事件の判決の影響は?(全5記事)

「それを見て興奮するかどうかが問われる」 複雑で曖昧な児童ポルノの基準

表現の自由を守る党の党首を務める参議院議員・山田太郎氏、うぐいすリボン理事・荻野幸太郎氏、ルポライター・昼間たかし氏が、有罪判決となったCG児童ポルノ裁判を振り返ります。このパートでは、山田氏が「何が児童ポルノにあたるのか」について解説。「肢体が実在でなければセーフ」「それを見て興奮するかどうかが問われる」など、極めて曖昧で個人の主観によって判断がわかれる内容ばかりであることがわかりました。

複雑で曖昧な児童ポルノの基準

山田太郎氏(以下、山田):ちょっとじゃあ、(CG児童ポルノ裁判について)整理をすると、まずこれ何点か論点があるんですよ。

実在の児童かどうか。もともと、この児童ポルノ規制法は松本改正案とか関わったんで、当事者じゃないですけど、国会議員の立場としてはこの問題は相当やってきましたが、まずは実在の児童を守るってのが1つあります。

今回は芸名の花咲まゆさんである、ということについては被告も明らかだし、そこは争う余地がなくて、実在の児童からトレースしたのか何なのか手法のところ、HOWのところは残っているけれども、対象としては実在の児童であったと。

もう1つは、児童なのかどうか。いわゆる18歳未満でなければ、児童ポルノの対象じゃないということなので。これ、18歳かどうかっていうのがすごく難しいのが、描かれたのが18歳かどうかということだから、描いた対象の人が18歳であるのと同時に、描かれたものが18歳として描いているかどうかっていうのが議論なので。

それでタナー法うんぬんってやったんだけど、ちょっとそのあたりに関しては、18歳なのか18歳じゃないのかっていうことは、実は僕はちょっと今、いろんな人から、昨日から今日にかけて、もう判決文がないし間接的に聞くしかないんで、数人から聞いたんだけど。

意外と児童なのかどうなのかってことについては、論点が曖昧になっちゃったかなあっていうのがすごく気になってるんですね。まさに一番問題なのが同一性ってやつでありまして、何をもって似てるとか似てないとか。

肢体が実在でなければセーフ

山田:同一性は実在を取ったときに、肢体の実在って問題も1個あって、これは何かっていうと、児童ポルノ規制法のほうで国会でも、いわゆる立法意図っていうんだけど、作った我々の国会議員側の意図としてはいくつかあるんだけど、実は体と顔が分離していてい、体が偽物だったらセーフなんですよ。

遊佐めぐみ氏(以下、遊佐):へえ。

山田:ってのは、実際はその子の、いわゆる虐待にあたる写真を流布させないように、っていうのが大前提だから、仮にいわゆるアイコラとかなんとかってあるんだけど、顔は実在で肢体のほうが、ものすごいぜんぜん違うキャラであれば、その子自身を傷つけたことにはならないという理由で。基本的には。

もちろん今度は、表現内容によっては刑法175条ってほうがあるから、いわゆる猥褻物っていうのがね。

坂井崇俊氏(以下、坂井):人権侵害もありますね。

山田:そこは気をつけないといけないんだけど、その肢体の実在っていうのが1個あって、ちょっと山口弁護士のコメントを見てたら、争うとしたら今後は肢体の実在ってところを争っていく可能性があると。

つまり、「顔と本人は実在であったとしても、体全体については想像で描いたんだ」っていうことを、被告は主張しているようなので。

昼間たかし氏(以下、昼間):なので架空の人物だ、ということなんですが、ただ、顔が似てると、やっぱりほかの問題が……。

山田:さっきちょっと言ったんだけど、乳房を3つ描いちゃえば良かったんだよ(笑)。

遊佐:3つ(笑)。

山田:そしたら人間じゃなくなっちゃうよね(笑)。具体的に言えば、そういうことでもあるわけなんですよね。っていうか、それぐらいバカバカしい話なの。

それを見て興奮するかどうかが問われる

山田:それからもう1つは、個人法益か社会法益かっていう観点で、これもバカバカしい議論なんだけど、それを見て興奮するかどうかというところが問われると。

ちょっとそれは間接的に聞いたんで、判決文としては僕は知らないから適当なことは言えないんだけど、どうもそれ自身で見ても興奮するような素材ではありませんと。ただ、要はあれなんでしょ、興奮する素材ではないものの、何かと並べると猥褻性っていうか、興奮度が高まるとか言ってたよね。

それは例の、春画と同じになっちゃうよねと。春画そのものは芸術性が高いけども、女性のヌードが載ってる写真と一緒に売ると、トータルで興奮度が高まるって意味不明な。

そう言っちゃうと、これはまさに懲罰的な社会法益性が高いものとして判断されかねないので、ちょっとおかしいんじゃないかなというふうに思いますね。

ただ、バクッとトータルで言ったときに、今回の本質的な問題点って何かっていうと、まずその実在の子を守るという論点に立って、判決っていうものが作られているかどうかっていうのが、最終的には大きな判決としての趣旨っていうのがありますよね。

それに対して児童ポルノの法律の趣旨として問われていたところが、ちゃんと積み上がっていて、罪として問えるものなのかどうかっていうことは、もう1回整理されなきゃいけないというところなのかなあと。

それと、やっぱりどこまでいっても、結局、個人法益なのか社会法益なのかっていうことを、この法律はしっかり問うておかなかったので、ちょっとですね、出口がポルノみたいになっちゃったから、たぶん難しい判決になっちゃうということなんでしょうね。

昼間:だから、ほんとにその法律部分とは別で、例えばね、僕と荻野さんがすごい筋肉ムキムキのねBLとか作られたら、訴えますよね。

山田・遊佐:(笑)。

荻野:そうですね……。例えば、高校生とかでみんなで海に遊びに行ったりするじゃないですか。それでお互い記念写真撮ったりと。ものすごいいいかんじの写真が撮れて、「ああ、なんか意図しなかったけど、めちゃくちゃセクシーなショットになっちゃったよね」と。

ちょっとなんか部分的に強調されてるかなと。それって本人たち同士だったら被害はないんだけれども、その写真を誰かが勝手にものすごい卑猥な言葉を添えて、インターネットのポルノサイトに使ってたら、それってたぶん子供の人権を傷つけてると。

実はそういう意味で、本当はこの児童ポルノ、今の児童ポルノ禁止法って建て付けが悪くて、製造も流通も所持も、同じ要件で規制しようとしているので、そういうちょっとおかしなところが出ちゃう、というところだと思いますね。

どういうかたちで写真が使われたかと、そもそもその写真を撮ったこと自体がどうなのか、あるいは、その写真を持っていること自体がどうなのかっていうのはですね、個人法益と何かをやらかした人との関係のなかでどうなのか、というところがまったく抜けちゃってる、というところなんですよね。

「3枚のみ有罪」となった背景

山田:昼間さんは傍聴してて、最後の判決のときにどうなると思ってました? 有罪になるか、無罪になるか。

昼間:いやあ、微妙なんで。無罪……、これは検察側が立証しきれてないから無罪にするかなって思ったんですけど、何より裁判官が人が良さそうな人だったんで、「あ、ちゃんと聞いてるな」と思ったんで、「これは無罪にしてくるかな」と思ったんです。

だけど、たぶん政治的に、これを無罪にすることによって社会秩序の維持ができない、という最後のところでストップがかかったから、「3枚は有罪ですよ」というふうにしたんだと思います。

山田:検察側も控訴するって言ってるんでしょ?

昼間:ああ、言ってますね。

山田:それはたぶん、外れちゃった30枚がやばいんだろうな。

昼間:そうそうそう。

山田:見てないのでわからないよ? あの外れちゃった30枚が公開されたときに、1つの30枚のラインが出ると、それがいわゆるOKとかOKじゃないってことになるので、たぶんですね……。

(坂井がピースサインをするところが映って)さっきからね、この秘書坂井がサボってるんだよね(笑)。

(一同笑)

山田:今日映らないと思ってね、端っこでね。ちなみに番組で、「もうちょっと坂井さんをいたわってやってください」 とかっていうコメントもあったんで、十分いたわってますので(笑)。

遊佐:今、ピースしてました(笑)。

山田:僕もいたわってほしい、……ってどうでもいいんですけど。はい。ということもあるので、もう1回、ちょっとですね、判決文が出たら。

荻野:まあ、そうですね。

どんな表現でも権力から弾圧される可能性がある

山田:また、もしかしたらスペシャルゲストに、時間が合えばですけど、山口さんぐらいを呼んで聞いてみてもいいですけど。

荻野:あ、いいですね。

昼間:とにかく今回、表現の自由の立場で言えば、やっぱり1つは表現っていうのをやれば、どんな表現であっても意図せず権力から弾圧される可能性があると。もう1個は、意図せず人を傷つけることもあると。

この本(『コミックばかり読まないで』)を書いていてですね、永井豪先生に話を聞いたんですけど、永井先生に「なんであんなけっこう批判された危ないことを、繰り返すんですか?」と聞いたら、「表現することのおもしろさは、危ないギリギリをすり抜けることにある。捕まったらそのときに考えます」と、永井先生ですらおっしゃってる。

確かにね、我々も結局あれじゃないですか、表現の自由を守ろうと言ってるけど、表現する人とか読みたい人っていうのは、人を殺したいとかセックスしたいとか世の中をひっくり返したいとか、いろいろグチャグチャな思いを解消するために、書いたり読んだりしてるっていうのがありますから、その点で言えば、最後に「法律無用」と。

昼間:恐れおののいたりしてる場合があったら、表現をしたり楽しんだりしましょうということを言って、僕の……。

荻野:でも、自分のが作られたりしたら、訴えるんでしょ? 法律使うでしょ?

昼間:いや、なんかそれはたぶん、「てめえ、ふざけんな」って言って……。

荻野:殴りに行くの?

昼間:いや、自分のBL作られたら問題っていうのがあって。

山田:いや、いいんじゃないの、別に。おれなんか、BL小説書かれたからね(笑)。

遊佐:読みました(笑)。

昼間:結局だから、法律で一喜一憂してるよりはね、「今日は秋葉原に行ったらすげーいいものないかな?」「エロいものないかな?」とか思ってるほうがいいので、みんなもっと買いましょう。あと、エロいものをもっと見たいんで、技術のある人はどんどん作りましょう。

遊佐:はい、質問があります。

山田:どうぞ。

コミックばかり読まないで

遊佐:その昼間さんの書かれた本の表紙は、タナー法で言う1になるんですか?

昼間:いや、乳首見えてなくて、あと……。乳房と乳首と陰毛の発達度合いだから、これだと判断ができないですね。

遊佐:じゃあ、隠れてれば描いてもいいんですか?

荻野:違う違う違う。だから、判断ができないっていうこと、いいかどうかの。

昼間:だから、それはね、裁判のときも医者の先生が言ってたんだけど、「これは全部は見えないから、だいたいこれぐらいじゃないかと思うんですけど……」みたいなことを。

まあ、小児科の先生なんで、我々よりはみんな成長する過程の女の子のおっぱいとかを見てると思いますけど、それでもちょっと迷うねってことなんで。けっこうアバウトなものなんじゃないかなと、タナー法っていうのは。

山田:よろしいですか。次にいきたいと思います。

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