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どうなる?議員の育休?永田町が変われば、日本の子育て・WLBが変わる(全9記事)

子供と過ごす時間が認められる社会に--延長保育は本当に人を幸せにするのか?

もっと育児しやすい社会を作るために、社会はどう変わっていくべきなのか? 文京区の成澤廣修区長は「延長保育よりも、根本的な働き方の見直しが必要」と話します。残業や長時間勤務によって、子供と一緒に過ごす時間が今の社会ではあまり認められていない。「育児時間の確保」がもっと認められてほしいと、弁護士の圷由美子氏はメッセージを送ります。ほかにも、時短勤務をとっても夜の時間に働いてしまうと認可保育所が使えなくなるなど、育児の現場には多くの問題があります。マタハラネットの小酒部さやか氏が提唱するのは「育児コアタイム」の考え方。また、テレワークなど、柔軟な働き方改革がその解決のカギになると提案されます。自民党・宮崎議員の育休宣言を受けて開催された、緊急フォーラムのログです。

本当に子育てしやすい社会とは

成澤廣修氏(以下、成澤):ちょっとだけいいですか。働き方、青野さんも会社で働き方の見直しを進めていて。僕はもう1個やらないきゃならない働き方の見直しがあると思っていて。保護者の側、パパとママの側がどういう子育てをするのかっていうことも、会社と一緒に考え始めないとダメだと思っています。

いわゆる長時間労働を前提としている保育のシステムを、我々は当たり前のこととして今使っているわけです。東京都の認証保育所というのは、13時間以上保育ですから。1日24時間しかないのに13時間以上子供を預けて、パパとママの子育てもないものだと。睡眠時間たくさんあるんですか?

そういう子育てを、これからこの日本は引き続き求めていくのか。たとえば、早朝保育や、保育の早朝の延長分や夜の延長分ありますよね。これを働き方の見直しをして、私たちは使わないと。

今は、保育時間をなるべく増やしてくださいって運動を各地でやってるじゃないですか? 我々も受けています。我々は今、それを受けなきゃならないと思って、拡大しています。だけど、それを拡大していくことが子育てしやすい社会なのかというと、僕はそうは思わない。

むしろ、早朝や夜間の保育は「私たちはいらない」という人たちを増やしていかなきゃならなくて。そこに割増料金がかかってるんですから。

働き方の見直しで、そこは働かなくてよくなれば可処分所得増えるんです。そういう社会を今回の議論のなかから、ぜひ国会の場でも議論してもらいたいと思います。ぜひそういう社会を、働き方の見直しを一緒にやっていきたいなと思っています。

子供と過ごす時間が認められる社会に

安藤哲也氏(以下、安藤):ありがとうございます。治部さん、今の受けて、どうですか。

治部れんげ氏(以下、治部):実は私、文京区民なんですね、つい最近まで。やっぱり成澤さんがこういう方なので、すごく保育園の環境もよくて。

ある審議会で、待機児童が多いので子供を詰め込もうっていう議論があったんですけど、それに成澤さんが、すごく反対してくださって。区議長がこうやって子供にコミットすることの意義について、一住民としても感じていたんですけども。今のお話とすごくつながるメッセージを実は預かっています。

小酒部さんの「マタハラNet」をすごく支援されている、弁護士の圷由美子先生という大変素晴らしい方がいらっしゃいます。名ばかり店長の問題とか、過労死の問題とか。労働者の保護に関してすごくご活躍の、ご自身も2児の母で40歳ぐらいの弁護士さんなんですけれど。

圷先生が、今日のフォーラムにどうしても来たかったんだけど来られないので、みなさんにぜひお伝えしたいとおっしゃっていたのが「育児時間の確保」ということです。

今、成澤さんのおっしゃったことと完全につながるんですが。今日は特別なので私もこういうところに来てますが、通常この時間って子供とご飯食べてお風呂入ってっていう時間ですよね。ですので、基本的にはそういう時間を労働者の権利としてきちんと認めて、法制化してほしいというのが圷先生のおっしゃってることです。

今の法律ですと、時短勤務というものをとったとしても・・・・・・、例えば2時~8時とかで、6時間ですよね。でも、6時間でも基本的には夜の時間にかかると「認可保育園使えません」とか、そういった問題が発生して。実は時短が制度上は使えるものの、仕事を続けられなくて、辞めてしまうという女性が結構いっぱいいるということを聞いています。

これもある種の隠れマタハラみたいな感じですよね。ということで、やはり女性の活躍ということと、男女共に働き方を変えるっていうことと、すごく繋がっていることなので。こういった「育児時間」、こういう時間は、今日は特別ですけれども、通常は子供と過ごすことが、権利というか、当たり前のように認められるようにしてほしいということをお預かりしてきました。

「育児コアタイム」の概念を

安藤:はい。そうですね。どうぞ。

小酒部さやか氏(以下、小酒部):ちょっと補足すると、「育児コアタイム」って名前で、例えばデパート勤務の方とかだと、夜勤務するとか。英語の講師の方とかだと、女性がやってても夜教えるとか。そうなってしまうと、育児に関われなくて、結局辞めるか産まないかみたいになってしまう。

なので、「育児コアタイム」というのを作ってください、ということをこの秋の審議会の要望書に入れさせていただいて。政府にはもう要望させていただいてますので、お願いします。

安藤:宮崎議員、それお願いしますよ、それ。

やはり働き方の改革が必須だということなんですけれども。今日も皆さん、雪降ってましたよね。会社行かれたんですか? 僕は家で仕事しましたよ、今日。やっぱり今朝の、止まっちゃった電車に、こんなにいっぱい有能な人が無駄な時間を使ってるのって僕思ったんです。

それを、そういう社会を変えましょうという活動している田澤さんという方が、今日北海道からいらしゃっているので。テレワークマネージメントの代表・田澤さん、前方DH席にぜひ呼んでもらえますか。テレワークってご存知ですよね、テレって離れてるって意味なんですよ。

要するに、日本の働き方の一番よくないのは長時間労働もあるんだけど、会社に行かなきゃいけないみたいな。会社に社員が、部下が集まってくることを一番喜ぶ上司っているじゃないですか? あれを変えない限りダメだなと思うんです。

テレワークのメリット

それを長年にわたって提唱されている田澤さん。今日のテーマは男性の育休なんだけども、育休って究極は働き方の改革なんです。言ってることって。それについて、テレワークのメリットを伝えてもらえますか? 

田澤由利氏(以下、田澤):ありがとうございます。ちょっとドキドキしちゃって。

安藤:今日も北海道から、ありがとうございます。

田澤:朝一の飛行機だと羽田空港大変かなと思って、昨日の最終便に乗ってやって参りました。仕事が遅くまでかかっちゃったので、今さっき来たばっかりで。貴重な話をうかがえるこんな貴重な場所に呼んでもらえてありがとうございます。

今、お話いただいたように「テレワーク」という場所や時間にとらわれずに柔軟に働くという働き方を推進してきております。実は私は育児休業というものに対しても、すごくいろいろ思いがあり、今日は絶対この場に来たいと思っておりました。今日の仕事よりも、ここに来たいがために昨日頑張って飛行機乗りました。本当にそうなんです。来れてよかったです。

やはり男性の育児休暇、これが絶対必要だと思ってます。男性が育児に関わる、また新しい家族を作っていく時間として重要なんですが。私も子育てをしてて一番思うことは、私3人娘がいて、ちょうど一番下がようやく高校3年生で今、受験なんですね。ようやっと子育てが「ああ、終わるかな」って思っています。そう考えると私の子育てって20数年あったんですね。

そう考えると、もちろん赤ちゃんがちっちゃくて「育児休業」という時期も重要なんですけれども、子供を育てながらそのシーン・シーンで一緒に時間を過ごしていくためには柔軟な働き方、「9 to 5」で朝から晩まで毎日会社に行く働き方自体を変えていくことが、もう1つ重要なんじゃないかなと思っております。

特に男性の方々、休むことよりも柔軟に働き続ける、女性ももちろんそうなんですが、男性のほうがおそらく稼がなきゃって思う気持ちもあるかもしれません。

そういう意味では育児休業、休むってことももちろん大事なんですけれども、休むだけでなく同時に柔軟に働き続ける社会にすること。それが一番、私にとっては、育児休業も取りやすく、また復帰しやすい環境を作れるんではないかなと思っております。呼んでいただいてありがとうございました。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

ICT活用支援に政府も注力

安藤:ありがとうございました。これまでは総務省がね、非常に力をいれて・・・・・・。

田澤:ICT(情報通信技術)を活用して。

安藤:ICTをやってね。総務省が力を入れてやってますので。そういうものにアレルギーをしめす社長とかいるじゃないですか? 「俺、わかんねーから入れねー」みたいな。あれをなんとかしたいですよね。ああいうの義務化にならないんですか? 入れるとソーラーじゃないけど、補助金が出るとかそういう仕組みないですか。

田澤:ICTをですか? それはもう、もちろんあります。宣伝しておきますね?

安藤:どうぞ、どうぞ。

田澤:テレワーク導入支援の補助金ですとか、コンサルティングの無料派遣とかしっかりやってくださってますので、もしうちの会社に入れたいという方がいらっしゃれば、ぜひそういうのをご活用いただければと思います。

安藤:そうですよね。それが可能になれば大雪の日は家で、お子さんといながらに仕事が進むという。みんなあんな、大変な思いをして・・・・・・。

田澤:うち、今日誰も出社しませんでしたよ、東京。

安藤:青野さんのところもいなかったんじゃない? 

田澤:いらっしゃいました?

青野:僕が、遅れて行きました。

安藤:なにか1回、もぬけの殻みたいなときありましたよ。台風の時だっけ。来なくてもちゃんと仕事が回っていくというのが、このテレワークということです。どうぞ。

8時間・週5勤務は130年前に決まった

駒崎:今、宮崎議員が「ああ、そっか」って。さっき、安藤さんが男性の育休の話っていうのは究極的には働き方の改革なんだってことをおっしゃった時に「そうなの?」っておっしゃってて、「そうだよ」言ってたとこなんですけど(笑)。

安藤:今頃、気がついたの?

駒崎:すごくよい視点で、「ああ、そこまでなんだ」っていうところで。本当そうで。男性の育休というのは働き方のなかのコンテキストの1つなんですね。けっして男性の育休だけが、すごい偉いとかってことじゃなくて。働き方の改革、つまり多様な働き方ができる社会っていうものを考える上で、男性の育休ってトピックもあるよね、っていう話なんです。

たとえば、8時間・週5で働くって決まったのも、130年前にシカゴでデモがあって、「8時間は仕事、8時間は休息、そして8時間は私たちに」っていう、その運動から、8時間制というのは始まったわけで、歴史的に結構新しいんですよね。つまり、人々は有史以来8時間・週5で必ず会社行かなきゃいけないみたいな働き方をしてきているわけではないわけですよ。

つまり、その時代時代に合わせた働き方をデザインしていくっていう発想がすごい必要で。だから雪のなかで「うわー」とか言って、なんかもう電車のなかでゾンビみたいになって。それが生産性高いのかって話なわけですよね。

それを変えていこうと。新しい働き方ってなんなんだろうっていうことを、今やっぱり21世紀になったんで、我々は議論しなきゃいけなくて。それにも関わらず「男性が育休取ってけしからん」とかって言ってるっていうのは「なんなんだ!」って話なわけなんですよ。

だから、この話を育休の延長で終わらせるんじゃなくて、あるべき働き方とはなんなのかって話につなげていけたらいいなと思ってて。

僕が提唱したいビジョンは、1億2千万人いたら1億2万通りの働き方が許容される、そんな社会にしていったらいいかなと思うんです。

ある人は週5で働く。ある人は週4で働く。あるいは、働き続けられない人は1日4時間かもしれないし。あるいは最近、中間労働っていう、労働とボランティアの間みたいな働き方があってもいいだろうと。あるいはテレワークがあってもいいだろう。

そんなふうに働き方を自由にデザインできる社会こそを我々は作っていかなきゃいけない。そういう未来を、描いていきたいなと思うんです。どうでしょう?

実際にリモートワークを経験して

安藤:やっとリンクした感じがしますね。じゃあ、冶部さん、どうぞ。

治部:一言だけ。さっき話をしたジョン・フィーニーさんと私は今、一緒に仕事をしてるんですけれど。彼からそういう日本の女性支援の事業をしたいって、2年前に相談受けたんです。最初はプロボノというより、普通にただお友達として話してただけなんですけれど、実際に会社ができて、今、仕事としてやっています。

週2の契約なんですが、私が言ったのは、いろいろほかにもやることがあるので、「私、オフィスに行けないよ」って。そしたら、彼がなんと言ったかというと「君はいつでも好きなときに来ればいいよ」。それで終了なわけで。ノートパソコンと携帯だけはもらって、メールで毎日やり取りしてますけれども、彼とはSkypeです、基本的には。

「今日はバレンタインデーだから、こんな時間までミーティングしないで早く終わったほうがいいよ」とか、「今日はクリスマスだから」とか。そういうことを言いながらやってるので、外国人だし年も全然違うんだけど、一緒に仕事ができるわけですね。

ていうことを、私も今リモートワークをさんざんやっているので、本当に駒崎さんのおっしゃる通りで。

安藤:はい、そうですよね。田澤さん、どうぞ。

田澤:すみません。働き方の話が出たので一言だけ。最近すごく思ってる事なんですが。自由に働ける社会っていうのがいいって、駒崎さんが今おっしゃったのは決して「自由」ではないと思うんですけれども。やはり日本には労働基準法があり、労働者を守るということが雇用も含めてあるなかで、自由ではなくて、私はやっぱり柔軟に働けるということが一番重要なんじゃないかなって思っています。

自由にしてしまうと過剰労働になってしまうとか、そういったことがあるので。働き方を考えるときに「自由」にだけ走らないように、場所や時間が「柔軟」になるだけであって、今まで通り働けるということも選択肢として考えていかないといけないと思っています。

祖父母が育児に協力し、ママは残業

安藤:働く権利はあるわけですからね。ありがとうございます。そういう働き方を変えて、パパが早く帰ってくるということで。助かる人が実はママと子供だけじゃなくて、実はおじいちゃんおばあちゃんもいま結構大変なことになってるっていう現状があるんですね。棒田さんちょっと、孫育てについて。

少し前に、埼玉でおばあちゃんが孫を虐待死させた事件が起きています。こういった爺婆の育児、孫育てが今どんな状況になっているか。そこにパパが帰ってくるとどんなメリットがあるのかっていうところを教えて下さい。

棒田明子氏(以下、棒田):今は同居よりも、ママ側のおじいちゃんおばあちゃんの近居が現状増えています。それがどうしてかというと、先ほど「パパがあてにならない」という、言葉がありましたけれども。パパがいないので、そのぶんを誰に補ってもらうのかというと、おじいちゃんおばあちゃんになっています。

ママも職場でそれなりに成果を出したいということになってくると、残業が増えてきて。朝「お母さん、保育園お願い」って言って、実家に子供を預け、おじいちゃんおばあちゃんが保育園に孫を連れて行き、お迎えもおじいちゃんおばあちゃんがして、ご飯を食べさせお風呂にも入れ、パパとママは寝た子供を迎えに行っているっていうようなことも実際に起きています。

実際にどうすることが一番いいのかというと、日本はなぜか家庭内だけで子育てをなんとかしようという考えがあるんですけれども。これは子供を人に預けることがいけないという文化がもしかしたらあるのかなと。海外ですと、子供を1人で置いて行ったらいけないので、シッターさんだったりに、子供を預けることが当たり前なんですね。

まずは夫婦で共同、そして足りない時には、もう少し外部も使っていかれる。そこには企業のサポートも必要になってくるかと思いますが、そのあたりができてきたらいいんではないかと思います。

安藤:はい。パパママだけじゃなくて、おじいちゃんおばあちゃんまでね。今は子育てが終わって自分たちの老後を楽しみたかったのに、またもう1回子育てやってるみたいな感じになってますよね。

棒田:「育孫ノイローゼ」っていうんですか。ありますね。

安藤:育孫ノイローゼっていう言葉がたぶん今年・・・・・・。

棒田:でも、もう止めてほしいですね。煽らないでください。

安藤:煽らない。わかりました。

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