2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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平政明氏(以下、平):ということで、そろそろ本題に入りたいと思います。
今日は二神さん、青年会議所の仲間なんですけど。そろそろ魚屋・八百屋だけだとネタが尽きたということで、いよいよ鰹節に登場していただいて、なんか見た感じ儲かってそうな感じですけどもね。
二神英治氏(以下、二神):いえいえ(笑)。
生田:いかにも裕福って感じだよね。
平:やっぱり魚屋・八百屋とはちがうのかね。
生田:なんか美しい夜景が見えるホテルの部屋で、分厚いバスローブにブランデーグラスって雰囲気だよね。
二神:地味にやっております。地味に(笑)。
生田:地味じゃないじゃないか。
平:それで、今日はどういう話を聞きたいかというと、一応私はクールジャパンを担当していて、いま日本食ブームですよね? 日本食というと、旨味・だしがコアになってくるんだけど、鰹節って言えばだしの世界では王道だよね。昆布とかしいたけとかいろいろあるけど。
僕はずっと「EUに鰹節が輸出できないんだ」って前から言ってたじゃない。あれの、ネタ元は彼で、二神さんが「平さん、EUに鰹節輸出できなんですよ」って話をしていて。
生田:でも、いくらか解放したんでしょ?
平:一歩前進なんですよ、一応。鰹節って燻すでしょ? 燻すといろいろ面倒な物質が生まれるので、それがダメだって言われていて。
私のFacebookを見てもらえばと思うんですが、一般的な燻製品と伝統的な燻製品と2つカテゴリーがあって、今回一般的な燻製品から、「いやいや、鰹節は伝統的な燻製品だ」というカテゴリーで認められるようになりました。
生田:へえ。
平:少し基準が緩くなったんだけど、ただヨーロッパの人にとって、燻製ってそのまま燻製して食べるというイメージがあるんだけど、鰹節は削って、だしを取って、だから全然違うわけよ。
生田:そうだよなぁ。
平:だから一歩前進なんだけど、まだまだこれからかなと思います。この辺は言いたいことがたくさん……。
生田:ところで、めぐちゃんは自分でおみおつけ作るときにちゃんと鰹だしでやってる?
宮崎めぐみ氏(以下、宮崎):だし使ってますよ。
生田:本当に?
宮崎:だしがないとただのお湯になっちゃうので。
平:ただのお湯だよね。そうだよね。当たり前だよね。
生田:そうだよね。
平:だから、鰹節削り器をうちのかみさんに言われて買ったんですよ、結婚した時に。それで、刃物の木屋で研いでもらうんだけど。
生田:一流のとこ行くね。
平:だって今、鰹節削るやつを研いでくれるとこ本当にないよ。
生田:あぁ、ないね。
二神:うちに言ってください。
平:言ってくれれば(やってくれる?)。
二神:はい。
生田:鰹節削るのとか、知ってる?
宮崎:知ってますよ。祖父の家でよくやりました。
生田:祖父の家か、やんなっちゃうな。俺ん家にあるよ。
平:それで、ヨーロッパの人たちといろんな交渉をして話が進んでるんだけど。そもそも問題意識として、鰹節って世界で一番硬い食べ物なの。
生田:そうそう。あれを昔の人はよく作ったと思うよ。
平:本当だよね。
生田:それで、挙げ句の果てに何をするのかと思えば、硬くしてカンナ裏返して削って食うんだよ。あ、食うんじゃなくて、お湯のなかに入れて味を出すんだよ。どういう人が考えたのかなと思うよな。
平:すごいよね。それでヨーロッパでは「違うんです」と。「あれはそのまま食べるんじゃないんです。削ってだしをとるんです」って日本の政府関係者が説明したんだよ。
そしたらEUの人が「あなたたち嘘ついちゃいけませんよと。直接食べてるじゃない。豆腐の上に乗せて食べてるでしょ」って反論されて、「うっ」って詰まってしまったという。
生田:情けないなぁ。
平:そういう経緯があって。
宮崎:豆腐の上ったって、そんなに……。
平:タカがしれてますよね。
生田:何がいけないの?
二神:今、EUの基準からすると、1キロあたりどれだけ入ってるかという基準があって。
生田:何が?
二神:違反とされる物質ですね。
平:これは、多環芳香族炭化水素類PAHsですね。英語で言うと、ポリサイクリックアロマティックハイドロカーボン……。
生田:カーボンのこと。なるほど、なるほど。これ自然にも出てくるんでしょ。
二神:生きてる中でも、いろんなとこで発生してしまう物質なんですけど、鰹節は主に燻製した時に、それが出てくる。だけど、それがないと鰹節にはならなくて……
生田:それを食べるとなんかいけないことあるの?
二神:日本人はこれだけ長寿ですから、たぶん影響はないんじゃないかと思います。今の基準というのも、当社の鰹節の製品なんですけど、これは3グラムですね。「これを1日85袋食べたら違反ですよ」というような基準です。そんなのはあり得ないですよね。
平:わかりやすく、これを豆腐の上に85袋かけて、それでEUの担当者に、「これはないだろ」って。
二神:あとは、食べるのは少しで、実際は鰹節はだしでしょ。今の和食からすると。
平:そうだよね。だしだよね。
二神:だしにすると、ほぼ計測されない。
生田:そもそも、それを摂って何が悪いの? ガンかなにかになるの?
二神:一応、そのリスクがあると。
平:発がんリスクがあると言われていますね。
二神:ただ、こういう時によく話題になるように、焼き魚とか焼肉でも、「(ガンの危険性がある量は)あと何百倍あるの?」って話ですよね。
平:そうそう、焦げたやつとかね。
生田:マグロもそうなんだよ。マグロも水銀が入ってるから、どうのこうのって言うんだけど、何柵食べなきゃいけないの? そんなにマグロ食えないぞ。
二神:この辺は、引き続き平先生に頑張っていただいて。
平:食文化の違いだよね。
二神:EUの問題は、0だったものが平先生のお陰も含めて、だんだんここまでになってきたので、少しずつ解決していくと思います。僕が問題だと思ってるのは……私今、シンガポールに住んでるんですけど。
平・生田:シンガポールだよ。
生田:船の上にプールがあるとこだな。
宮崎:マリーナ・ベイ・サンズ!
平:あそこに住んでるの?
二神:住んでないです。
平:やっぱりバスローブだな。
生田:バスローブ着てさ、ブランデーグラスの中に「返しの入っただしです」なんつってな。
二神:そのうち来てください。
平:たいしたもんだよね。
二神:そこで「だし処 丸佐屋」という和食屋を展開してまして。
平:シンガポールでやってるの?
生田:何店舗?
二神:はい、まだ1店舗なんですけど、来月もう1店舗。
平:うどん屋さん? 蕎麦屋さん?
二神:だし処。
宮崎:何が食べられるんですか?
二神:和食全部です。だしを使った料理を食べられる店を作らせてもらったんですけど。蕎麦屋さんでも、うどん屋さんでも、ラーメン屋さんでも、和食屋でもなくて、だし処丸佐屋というのをやらしてもらいました。
平:へえ。
二神:鰹節をふんだんに使った料理を出してるんですけど、今、平先生とも話してたんですが、昔は外国人の方が日式とか。
平:日式って、日本式ね。
生田:あぁ日式ね。
二神:そう、日式と書いていて、食べてみるとぜんぜん味が違うというのがよくありましたね。ちょっと問題は、日本人の方もけっこう進出してますけど、その中身も大丈夫かというレベルの(お店)も増えてきている。おいしい店ももちろんできてるけど。
生田:ほんまもんじゃないってことだな。
二神:はい、これが和食が流行っている中で出てきて「大丈夫なのかな?」っていうのは実際ありますね。
平:だってもう「だし処」って言った時点で逃げられないわけじゃない。一番コアのところはちゃんとやる。
二神:そうなんですよ。うちの店で大変なのは、そうやってうたっちゃった以上、天然成分以外はまったく使わないでやってますから。要は今、流行りのエキスの類、添加物系のものは使わない。
すべて手作りでやってる。そういう縛りでやってるので、大変なところもあるけど、「日本のだし文化を啓蒙しよう」と、シンガポールにわざわざ行ってやってますんで。
EUもそうですけど、まずはアジア、それから世界中にという形で広げていきたいと思っています。
生田:国内のもメチャクチャだよね。喉渇いちゃってしようがないんだよ。
二神:そうなんですよ。今シンガポールでも、駐在員の奥さんたちと話してると、「私は、本物使ってるんで、便利なだしパックもあっていいよ」なんて言うんだけど。
それならまだわかりやすいと思うんですが、わたしが警鐘を鳴らしたいのは無添加とか化学調味料不使用、保存料不使用なんていう商品が、すごく出てまして。
それが完全なだしパックってなっちゃってるんだけど、確かに日本の法律からすれば、旨味調味料という科学的な物質は使ってないんだけれども、合成的に作ったなんとかエキスとか、酵母エキス、蛋白加水分解物、鰹エキス、煮干しエキス……。
そういったものを使ってる商品がはびこっちゃってる。もちろん使うほうの自由だし、当然法律に違反してるわけじゃないんだけど、じゃあそれって本物かというと、確かにそれは本物ではないよなと。
平:代替え。
生田:やっぱり、これはまずいよな。
二神:それを、あたかも本物と思って消費者が使っているということに警鐘鳴らしたいなと思ってまして。わかってて使うならいいけど、どうもシンガポールでお会いする駐在員の奥さんたちとか駐在員と話しても「いや、うちは本物使ってるよ」って言って、エキス入り調味料だったりするので。手軽でいいんですけど。
生田:それが本物になっちゃっているんですよ。
二神:今いろんな百貨店とかで売ってますもんね。
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