2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
Stanford Graduate School of Business Power - The Secret Language We Speak All the Time(全4記事)
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リチャード・コックス氏:こんばんは。みなさんお帰りなさい。ちょっとしたお願いごとを聞いていただけますか。ありがとうございます。
たった今、ご着席いただいたばかりではありますが、皆さんには、またご起立願って、別の席に移動していただけますか? 今座っている席以外であれば、どこでも結構です。
結構です。はい。結構です。ありがとうございました。
喧嘩は起こりませんでしたね。よいことです。もちろんスタンフォードの方々ですので、成功するのは当然のことですよね。
では今度は、お近くにいらっしゃる方と、少し話してみてください。一緒に来た方では無い方がよいですね。もちろん一緒に来た方でも構いません。15秒から20秒ほどお話ししてみてください。
席を変えることがなぜ可能だったのか、話してみてください。使ったのは、どんなジェスチャーか、表情か。起こったこと全部についてです。どんなに些細なことでも構いません。科学者のような視点で考えてみてください。
喧嘩せずに、別の席に移動できたのは、なぜだったのでしょうか。
(会場笑い)
15秒から20秒間、お近くの方とお話ししてみてください。
はい。いいですね。話し相手の方に、感謝の念をお伝えください。はい。すばらしいです。
さて、皆さんは、今日これから私が話そうとしていることについて、既にエキスパートでいらっしゃるようですね。つまりこの会場は、エキスパートで一杯であるわけです。
権力と、力の言語についてお話をしようと思います。私たち全員が話す、秘密の言語です。
さっきの交渉で、皆さんは衝突をしませんでしたし、お互いに躓き合ったりもしませんでした。交渉したのです。
席を譲る人、素通りする人、そうしない人を誰かが決めて、皆が笑顔で、うなずきあい、小首を傾げ合い、それが会場全体で起こっていました。
私は皆さんの様子を拝見していました。皆さん一人ひとりを見ていたわけではありませんが、多くの方の様子を見ていて、会場でそれが起こっていたのを見て取りました。
これが、私たちが常に使っている「力の言語」です。
では、権力が欲しい方は、どれくらいいらっしゃいますか。手をしっかり挙げてください。ああ、いいですね。私は、ビジネス・スクールで教えていますので、よくわかりますよ。私たちは産業界の旗手ですから、当然、権力を欲します。
でも全ての手が挙がっているわけではなさそうですね。あまねく権力を掴み、集中に納めたいとは、特に思っていらっしゃらない方は? 人懐こい、優しい方々ですね。笑顔が良いですね。どうやら、私たちは2タイプに分かれているようですね。
さて、より興味深い質問に移ります。私たちは、なぜ権力を欲するのでしょうか。また、欲しないのでしょうか。
これには別々の意味があります。
もっと大きく巨大なテーブルがあったなら、囲んで座って、このことについて楽しくお話しすることができたでしょう。
しかしそれができない以上、著名人の言葉を引用してお話ししましょう。
「(引用)権力や権威を振るう者に接すると、名状しがたい反感を覚える。その感覚は、糞便に対するそれと近い」(ジャン・ボードリヤール)
(会場笑い)
さて、これは権力についての1つの意見で、権力を欲しない皆さんは、共感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんね。違うご意見をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
「(引用)私は権力を愛する。しかし、それは芸術家としての愛だ。音楽家が、自分のバイオリンを愛し、音色、和音、ハーモニーを引き出すのに等しい」(ナポレオン・ボナパルト)
彼は、権力大好き人間ですね。力が欲しくてたまりません。
この2つは拮抗する立場です。なぜ人は、権力を愛しつつ、権力を嫌うのでしょうか。
まず、なぜ権力に反発するのでしょうか。1つは、人が権力を欲する理由が正しくないからです。
この「正しい」というのは1つの見方です。なぜなら、あなたにとって「正しい」ことが、他の人にとって「正しい」とは限らないからです。ここに不一致が生じます。
しかし実際に、普遍的に間違った理由で権力を掌握しようという人間が実在します。この人たちは、権力を乱用し、それは美しくないからです。
歴史を振り返っても、人が強大な権力を持つと、どれほど恐ろしいことが起こるかがわかります。新聞を見ても、今日でも、同様のことが起こっていることが見て取れます。
人は権力を欲してあがき、ネガティブな結末がそれに続きます。私たちが権力に反感を抱く理由の1つが、これなのです。一人に権力が集中し、悪事を働くことを警戒するのです。
また一般的に、人はエリート主義社会を信じています。学校でそのように教育を受けます。繁栄が正解なのです。そのとおりだと思いませんか?
しかし、私たち皆の心の中にいる、小学3年生くらいの子供が「それは違うよ! それが正解ではないんだ!」と叫びます。彼らの答えが正しいのです。それゆえに、私たちは権力に対し反感を覚えるのです。
同時に、私たちは権力を欲します。なぜなら、権力が必要とされる時が訪れることに気がつくからです。より大きな善のため、もしくは誰か他の人のために貢献したい時には、特にそうです。
人々や組織、チーム、子供のグループ、何であれ、リーダーであれば権力が必要です。これらの人々を助けるために、権力を掌握する必要が生じることがあります。こういった類の権力を欲することに対して、反対する方はいないと思います。
人々の安全を守るための権力。人々が、望みを叶えるための権力。すばらしい権力の使い道です。会場の全員が「イエス! そういった使い道のためであれば、私も権力が大好きです」という書類にサインをするべきです。
人は、間違いなく地位を切望します。他人から尊敬されたい、底辺にはいたくない。必ず一人は、自分より下の立場にいてほしいと思っています。
バケツいっぱいのカニが、お互いを蹴落とそうと、あがく映像を見たことがあるでしょう。上に上がろうとしているのではなく、別のカニを足場として踏もうとしているのです。
仕事がうまくいっていない時に、似たような感覚に陥ることがありますね。要するに、一番下には、誰しもが絶対になりたくはないのです。そうならないために、死に物狂いであがきます。それはとても幼い時から始まります。
社会のヒエラルキーになぞらえて、学校で覚えるのです。今日は、このことについてお話ししようと思います。
この会場で最初に行ったエクササイズ、つまり立ち上がって動き、その後ディスカッションをするというのは、「力を伴った演技」のクラスでの、ワークの本体です。私は「組織における行動科」の講師です。この講義で共に教鞭を執る、すばらしいチームと働いています。
私たちは、今日ここでシェアするようなアイデアの数々を考え出して来ました。皆さんにお伝えしたいのは、私はこのアイデアすべての良さを信じていること、しかも固く信じていることです。このワークを世界中で行なっています。この講義のワークは、皆さんが行なった物のようなものです。
まず学生を、経験したことのないようなアクティビティに投入します。学生たちは、どうしてこれをやるのか、何が起こっているのかが、よくわからないままです。ちょっと奇妙にも感じます。その後、学生にそれについて考察してもらいます。
その後、講師が話に戻って「考察をしましょう」と話します。研究を引用し、何が起こっているのかを説明します。
これは、芸術と科学のすばらしいマリアージュです。なぜなら、科学面で、なぜこれが起こったかを説明し、芸術面では行動と経験から、私たち皆が知っている、真実へと導くからです。実際に何が起こったかを感じることができます。
こうして私たちは経験から学び、その理由を理解できます。これが、私が講義で教えていることであり、今日ここで、その道のエキスパートである皆さんにお話しすることなのです。
さて、なぜ私たちと力との間には、愛と憎しみの関係があるのでしょうか。
皆さんもご存じのとおり、人間関係がうまくいかない時には、その関係についてどうしたらよいかを決める対話を、相手としなくてはいけません。
そこで、力を定義する対話をしていきましょう。そもそも、力とは何でしょうか。多くの人にとって、さまざまな意味があり、多種多様の使い道があります。ですので、厳密なディスカッションを行なっていきましょう。私たちの手で定義するのです。
皆さんがそれを受け入れる必要はありませんが、今日お話しする内容のために、私はこういう話し方をします。
力とは、「リソースをコントロールし、その結末を管理する能力」を指します。とてもシンプルですね。
リソースは、金、時間、スケジュール、責任、友情、ソーシャルなど、何でもありえます。あなたが誰かに頼られる時、その誰かに対して権力を持ちます。その人にとって大切な物が、あなたのコントロール下にある場合、もしくは、物が、その人にとって、他の場所では容易に入手できない場合です。
親は、キャンディをコントロールします。キャンディは子供にとって大事な物であり、親のコントロール下にあります。子供がある年齢に達するまでは、容易に手に入れることはできません。しかしここには平等な均衡が存在します。子供がコントロールするのは、家の中の静けさだからです。
(会場笑い)
親にとって、家の中の静けさは大切なものであり、子供の管理下にあります。親は、容易に他の場所には移れません。なぜなら、親は子供と一緒にいて、世話してやる必要があるからです。
このように、お互いに対するバランスが存在し、これは全ての人間関係に見られるものです。
一方、権威は権力のようなもので、よく似ており、同じフィールドにあるものです。権威とは、フォーマルな役割の特徴です。他者を管理し、監督し、支配する、権利と責任です。
あなたの肩書は、副社長です。この業務を管理管轄します。あなたは、この業務をコントロールすることができ、権限を公式に与えられています。あなたの役割のひとつなのです。あなたのフォーマルな肩書です。
権威は、権力の基盤となるものですが、リソースをコントロールする力を与えてくれない場合があります。肩書とは名ばかりで、リソースをコントロールする力の無い人を見たことがあるでしょう。彼らは無能な人たちです。皆、彼らの言うことを聞きません。つまり重要なのは、権威だけではないのです。そういった人たちが、あまり大勢でないことを願います。でもそういうことは起こりえます。
では、肩書がコントロールする力を与えてくれないのならば、他に何かがあるはずです。社会科学では、地位と呼ばれるものです。他者から尊敬の対象とされるものです。皆さんは、他者から尊敬されていますか?
これこそリソースをコントロールする力を与えるものであり、その条件ないし人間関係であり、力の基盤となるものです。
皆が対等であるチームにおいては、1人がチームを率いて、他の人が従う場合があります。その人がエキスパートとして知られている場合です。その人は、フットボール選手のベストプレイヤーかもしれません。研究会の中で、数学に一番造詣が深い人かもしれません。皆、そのような人たちに従います。
その人たちは、このようにプレイしようとか、このような命題をもとに研究しようと提言します。すると、皆、彼らの言うことを聞くのです。彼らは、進行中の事態のリソースを管理しているのです。
つまり力は、権威や地位から派生することもありうるのです。とてもシンプルに見えますね。この関係性についての定義が上の図です。
どちらかひとつは、コントロールが難しく、昇進にも繋がりません。もし可能なら、今すぐ実行することをお勧めします。
しかし通常は定義が難しいので、他者からの手助けが必要です。
地位は、私たちが取り扱えるものであり、完全にコントロールが可能です。私たちは、地位を用いて他者と連携し関係します。ですから、私たち自身を変えることにより、力を得ることができるわけです。
私が知る限りでは、希望に満ちたお話です。
さて、リソースをコントロールする力について話す時には、先ほどの愛と憎しみの話題に戻ります。リソースをコントロールする者は誰で、リソースを何のために使うのでしょうか。
ですから、このワークにおけるゴールとは、皆さんの力・地位・権威を同等にするべく皆さんの真の価値を広げることです。なぜなら、それで人間関係が好転し、コミュニケーション能力が向上するからです。
講義へ来る学生には、リーダーとして、外に出て、より有能になってほしいのです。そして人の上に立ち、良い人間関係を築いてほしいのです。
さて、これからお話しするツールは、悪い目的にも使うことができます。これは、単なるツールだからです。他者に影響を与え、力を掌握し、善悪双方の目的に使うことができます。
私たちの主張としては、もし、より良い対話を、うまく引き出すことが可能になれば、そして他者と活動するために人間関係を築く際に余分なものをリストラできれば、皆さんは世界を変えることができます。
組織を変革し、リーダーとしての目的を達成し、皆さんが行なうコーチング、教育、皆さんの能力、皆さんの発揮するリーダーシップを変革することができるのです。
これは、非言語のコミュニケーションと社会のヒエラルキーを理解する上で、大変価値のあるゴールです。
今日、この講義が終わる頃には、皆さんの関係者が、皆さんに対して、こうあって欲しいとする姿に変わることができます。つまり、皆さんのオーディエンスにとってです。
皆さんのオーディエンスとは、組織における皆さんの部下であり、引っ張っていきたいチームのメンバーであり、働いたり役員を務めたりする非営利団体の人々です。
この人たちに影響を与え、絆を築き、尊敬してもらって、皆さんのゴールへ向け、物事を進展させることができるでしょうか。目的が良い物であるならば、私たちはぜひ、皆さんがその道を進んで行く手助けをしたいのです。
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