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「イケてる女子と地方を売り込め!」ゲスト:葉山彩子さん(全4記事)

骨董品の楽しみ方に正解はない ネットから広がるクールジャパンの可能性

自民党が放送するトーク番組CafeSta(カフェスタ)。火曜日の17時は、「イケてる女子と地方を売り込め!」をテーマに、司会のネットメディア局次長・ふくだ峰之氏とナビゲーターの伊藤ようすけ氏が、ゲストと一緒に地方創生や社会問題について語り合います。今回のゲストには、株式会社縁代表取締役・葉山彩子氏が登場。葉山氏は、骨董品=敷居が高いという一般のイメージを変えていくために必要な取り組みについて語りました。

世間一般の骨董品に対するイメージ

伊藤ようすけ氏(以下、伊藤):今まで話を聞いてる限り、葉山さんの未来は前途洋々な感じがするわけですけど。何か問題は起きてたりしないですか?「これがこうなったらいいのにな」とか。

自ら出張して、特にこういう業界というのはあまり女性がいらっしゃらない中、社長なんかやられていながら、「ここがこうなってるからうまくいかないのよ」ということは実はあったりしないですか?

葉山彩子氏(以下、葉山):そんなに壁というのはないと思ってますけど、ただ骨董品に対する世間一般のみなさんが思われてるイメージというのは、わりと固定概念があるだろうなと思ってまして。

「偽物やろ?」というかね。「何がほんまにいいのかわからへんやん」とか「難しそう」とか、とにかく敷居が高いというイメージがあるんですけど。

こだわらなければ、本当にすごくいい絵があったり、すごく自分が好きやなと思えるものに巡り会えたりできるのが美術品のよさだと思うので。そこをもっと楽しむためだけでもいいんじゃないのかなって思いますね。

ふくだ:例えば家にある掛け軸でもいいし、何でもいいけど置いていましたと。知り合いが来たときに、「何だよ、これだっせーな」って思われたくないというね。

自分の価値がこうなんだから、人に何を思われようがいいじゃないかということを思いきれるかどうかって結構あって。それを思いきれると、家の中がいろんなアートに囲まれて生きていくというのは結構居心地がいいのよ。

だけど、その自信がないんだよね。他人から見られたときに「何このださいの買ってんの」とかね。あるいは「変じゃん」みたいなね。だけど、誰もそんなこと思わないわけよ、普通は。だけど、そう思っちゃうわけ。

伊藤:何かその感覚的なセンスって、もうその人の人格を含めた全部のセンスとイコールのイメージがあるんで。

ふくだ:いいじゃん、それでっていう。

海外で有名になった伊藤若冲の墨絵

葉山:そうですね。日本の伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)という作家をご存知ですか? 最近ちょっと有名になってきたんですけど。今テレビのコマーシャルのバックにもちょっと出てはったりする作家さんなんですけど。

その作家を、すごいコレクションしている海外のコレクターのジョー・プライスさんという方がいらっしゃって、その方が最初に、確かマンハッタンの骨董屋さんで伊藤若冲の墨絵を見つけたというエピソードを昔聞いたことがありまして。その絵は、ジョー・プライスにとってはすごい衝撃的に好きになったんですって。

それ以後、なぜか時々目にしたので買い集めているうちに、その作家のものが集まったと。その人がたくさん集めてコレクションされたことがきっかけで、日本でまだあんまり知られてなかった作家さんやったんですけど、すごい斬新な画法で描く作家さんだということでブレイクしたんですね。

なので、最初に海外でその方が好きになったときに、作家がわかったわけでもなく、有名だったわけでもなく、ただ本人がいいと思われて、たまたま自分のところに集まってきたから集めたということがスタートだったんです。

絵画って、そんなふうに楽しんでいただける方がたくさんいらっしゃったら、日本のいい作家さんが、もっともっと世に知られていくのになあと思って。

今ふくださんがおっしゃったみたいに、「僕が好きやからいいと思うんだよね」っておっしゃってくださるその感性で、みんながもっと美術品を買っていただけたら、本当にいいのになと思ってます。

「とにかく自分の好きなものを買え」

ふくだ:さっきいろんな楽しみ方があっていいって言ったけど、いわゆる投資として考えてる人には、こういう感覚がないわけよ。別にそういう楽しみ方をしたい人は、さっき言ったように僕はいいと思うけど。

僕は現代アートが好きで、作品とか持ってたりするんだけど、最初に買おうと決めたとき、僕の師匠から言われたのは「とにかく買え」って言われたわけですよ。「とにかく自分の好きなものを買え」と。「それがすべての始まりであり、すべての終わりだ」と。

でも勇気がなくて買えなかったんだよね。そのギャラリー1日目に行って、勇気がなくてこれって言えずに、2日目に行ってもダメで、3回目よ。「この作品ください」って言えたの。

それは、この作品を選んだら「こいつおかしいんじゃねえの」って思われるのが嫌だったから。

伊藤:お客さんたちに?

ふくだ:お客さんとかお店の人とかに。「こいつ馬鹿じゃねえの、これ買って」って思われると癪なんだよね。だから選べなかった。

だけど「まあ、いいや」と思って。「何となくいいから買う」って言って買って、そこからはもう気にしなくなって、自分がいいと思うものを買えるようになったんだけど。

その最初に買ったものが、さっき言ったトイレの中にある掛け軸のアートなのよ。今それはトイレにあるわけ。だけど、それでいいんじゃないかと。

骨董品に対する固定概念を取り払うには……。

伊藤:葉山さんがおっしゃっている、骨董品に対する固定概念は、地道にとっぱらっていくしかないんでしょうね。

葉山:そうですね。

伊藤:そういう意味じゃ。葉山さんの責任って重大ですよね。

葉山:そうですね(笑)。でも今、ふくださんのお話をお聞きしてて思ったんですけど、昔絵画を描かれてた作家さんの時代にも、その時流行っていた画風があったら、みんながそれを「いい」と言ってらっしゃる……。

伊藤:流行りのね。それって洋服とかと一緒なの?

葉山:そうです。それで、そうじゃない絵を描く人は馬鹿にされたりもしてはったんですね。だけど、今後の世になって、私らがその作品を見た時に、「へえ、この時代にこんな描き方した人がいるんや」って逆に感銘受ける場合もあったりするんですよ。

なんで、今の現代とまったく一緒で、本当にその時流行ってて、いいと言われているものがあったとしても、そうじゃないものにもすごいおもしろさや価値があると思うので。だから、自分がいいなと思ったものが、やっぱりいいんだとみなさんが思うきっかけになったらいいなと思いますね。

ふくだ:これはね、いいよ。昔のイメージを、葉山さんが崩してくれるような感じがするんだよね。だから、僕の最初のイメージあるでしょ。骨董=おじさんというイメージ。だけど、葉山さんが前面に立つことによって、そのイメージが少なくなっていくじゃん。「こういう人がやってんの!?」みたいなね。それが重要なんじゃないかなって思うんですよね。

葉山:実際そうなんですよ。私はこういう格好してますから、つい人には初めてお会いした方にも、「じゃあ、骨董鑑定されるんですね?」って言われちゃうんです。だけど、私は主人と違ってバイヤーではないので、鑑定眼はないですね。

だから、私は本物か偽者かとかというのはわかるわけではないんですけれども、私自身がそうだから、だからものすごくものがわかっている難しい人たちがやるもんじゃないというのは、逆にアピールできるのかもしれないなとは思います。

伊藤:逆にね。

葉山:全然楽しめます。何も知らない素人の私でも、こうやって会社もしてますし、この商品を売ってもいますし、楽しいなあ、いいなあと思うものに巡り会ったりもします。だから、全然枠にはまった考え方の中でやらなくてもいいと思うんですね。

伊藤:そういう意味じゃ、音楽と一緒ですよね。

葉山:そうですよ。本当にそう思います。音楽でもダンスでも、何でも芸術はすべて一緒じゃないですかね。

伊藤:そうですよね。自分がいいと思うかどうかで、いいと思えばお金を出せばいいし、没頭していけばいいし。そうやって楽しむものですよね。

葉山:言葉が通じなくても、わかりあえる人たちの輪が広がっていくじゃないですか。それが芸術の素晴らしさだと思います。

ネットの世界から広がるクールジャパン

ふくだ:今まで、クールジャパンのこともこの番組でやってたじゃない。クールジャパン的に言っても、このネットで買えるというのが、もっと世界中に広がっていって、いろんな方が参加できるような形になっていったらいいね。

言語対応の問題とか、いろんな課題はあるんだろうけど、世界中の人たちにオークションに参加してもらって、日本のものが出ていくという。それは何か楽しみじゃない?

それを見た人が、例えば「この絵を見ました」と。「これを描いた人は、一体どういうところに住んでたんだ?」と言って、インバウンドでそこの作家のふるさとに訪ねてきたりとか。そんなふうにしたくないですか?

葉山:そう思います(笑)。

伊藤:そういう意味じゃ、せっかくわざわざ大阪から来ていただいた上に、何ですけど、ものすごい責任重大ですよね。

葉山:そうですね(笑)。

伊藤:ねえ。

葉山:ものすごく責任重大なことがあるとすれば、もう1つ私が思っているのは、日本の方も、私も含めて、日本の古いものや歴史的なものを知らない人がたくさんいらっしゃる中で、海外に向けて商売をしてて思ったんですけど。

海外の方は本当に素朴に「何も知りません」と。「掛け軸の上も下もわかりませんと。どうやって?」と。

ふくだ:そりゃそうだよ! なるほど!

葉山:私たち業界の人間は、そんなん当たり前やから、別に教えもしないし、説明もしないできてるんだと思うんですね。なので、海外の方に説明するように、初めからものを説明したり、わかりやすいように提案したりすることで、日本の人たちにも逆にわかりやすいっていう現象が起きると思うんですよね。

だから、それがかえって全世界の人たちに日本の古美術のよさをわかってもらうきっかけになるんだなと思ったので、やっぱり海外にもっと力を入れないとって(思いました)。

ふくだ:掛け軸、逆さでもいいんじゃないの?

葉山:極端に言えばそうなんですけど(笑)。

ふくだ:僕はわかんないけど、掛け軸を買った外国人って、どっちが天地かたぶん迷ったと思うんだよね。だけど、逆に言えば天地逆さまでも洒落た感じだなって見えたからそうしてるんだと思うんだよ。別にそういう楽しみ方があったって……ダメ?

葉山:いや、いいと思います。いいと思いますけど、本当にそういうお客さんがいらっしゃって、その方が反対に掛けていらっしゃったんですね。そしたら、誰か来たお友達が、わかった人がいて「それ反対だよ」って言われたときに、すごく恥ずかしい思いをしたんですって。それで、掛けるのやめちゃったっておっしゃるんですね。

だから、それがネックになって楽しめなくなっちゃったんだったら、すごいもったいないことなので。ふくださんがおっしゃるみたいに「どっちでもいいやん」ぐらいのほうが、本当にいいと思います。

ふくだ:そういうメッセージが。だって楽しむためにあるんだとしたら、裏が逆さまだろうが、逆に言えば掛け軸を横に飾ろうが、それ自分がいいと思えばいいんであって、他人がとやかく言う必要はない。

だけど、さっき僕が最初に言ったように、批判されると怖いというのがあるから、逆に言うと、「楽しみ方は自由でっせ」というのを会社自体がもっとメッセージを出してもいいんじゃない?

葉山:そうですね。

ふくだ:横に掛けようが、前だろうが何だろうがいいじゃねえかと。

芸術の楽しみ方に正解はない

伊藤:その感覚がたぶん日本人なんでしょうね。外国人って比較的、自分がいいと思ったら。それこそタトゥーなんか入れてる人たちなんかでも、「何でその漢字?」「かっこいいじゃん」って。それで終わりじゃない?

葉山:そうですね(笑)。

伊藤:だから、そういうのがちょっと日本人は欠けてるんだろうな。自信を持ってやっていく感じが。

葉山:正解があると思っちゃうんでしょうね。

伊藤:ふくださんですらそうだったんだもん! こんなにキャラクター濃い人いないよ!? 政治家がこのストライプの服着ないでしょ、なかなか!

(会場笑)

伊藤:ごめんなさい、どうぞ。

ふくだ:いや、それは日本人だけじゃないんじゃない? 外国人だって、例えば印象派なら印象派の作品を逆さまに飾ってる人はいないんじゃない?

葉山:逆さまはね。

ふくだ:でも、「逆さまにして飾ったほうがおもしろい。俺はこれが好きだ」っていうんだったら、それはそれでいいじゃない。

だけど実は外国の方も、そういう意味では天地がわかってたらそのとおりに飾るというのは、それはそれでいいのかもしんないけど、もっと柔軟でいいんじゃないかなって思うんだよね。

逆さだろうが、斜めだろうが、横だろうが、自分がこれを見たときの、ここが好きだっていうんだったら、何かそういうほうがいいのかな。

葉山:いいですよ。楽しもうっていうことに関しては、それで大正解です。でも、やっぱり知りたいという方もいらっしゃるので。そういう努力はしていきたいなあと思ってます。

ふくだ:ということで、最後にちょっと一言、何かメッセージを言っていただいて。

葉山:各ご家庭に眠っている埃を被ったもので、日本の美術品がたくさんあるかもしれないなというのが、私の一番の関心で、それをみなさんが世に送り出してくれることで、売ってもいいし、譲ってもいいし、どんな形であれ出していただいたら。捨てるんじゃなくてね。「捨てないでください」って言いたいんです。

誰かにいずれ渡すような形で残しておいていただけたら、何らかの価値が生み出されて、それを楽しむ方もきっといらっしゃいます。なので、捨てないで下さい。

ふくだ:今日は本当に、わざわざ大阪から来ていただいて、ありがとうございました。本当に感謝します。

葉山:こちらこそありがとうございます。

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