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いつかのために今知っておきたい リプロトラブルのこと(全1記事)

子宮関連の患者数、この30年で4倍に 早い段階で知ってほしいリプロトラブルの話

子宮内膜症や子宮頸がんなど、子宮の病気にかかる現代女性が多く、30年前と比較すると4倍に増えているそうです。2015年11月21日に行われたリプロエージェント主催「働く女性が世界一受けたい授業」では、知っているようで知らない、女性のからだについて改めて医師が解説していきます。今回の講師を務める産婦人科医 江夏亜希子先生のお話の前に、まずは共同代表の大塚さとみ氏と勝部元気氏による自己紹介・会社紹介が行われました。自らの妊活の体験をもとにリプロトラブル(性と生殖に関する健康を損なう問題)に対しての早期の予防意識が大切だと語る大塚氏。テレビ、雑誌、Webコラム、執筆などで活躍中の勝部氏が子宮頸がんワクチンを打つに至った経緯についても触れました。

妊活から出産までの経緯

大塚さとみ氏(以下、大塚):それではさっそく私、大塚の自己紹介をさせていただきたいと思います。私は大学を卒業してからすぐに証券会社に入社をしまして、証券営業をやっておりました。2年目の時、リーマンショックを経験しまして、相場の暴落、お客様の資産激減、厳しいノルマ、とものすごいストレスを味わいました。

社員の中には女性社員も多かったんですけれども、生理が止まる人がいて、私自身もストレスで生理が止まってしまったりということも経験しました。証券営業を4年半経験して5年目に今のベンチャーキャピタルに転職をしました。

その後、27歳の時に結婚をして、私はすぐに子どもが欲しかったので妊活を始めました。それで病院に行ったら、視床下部性の無排卵症という病気で。原因ははっきりしないんですけど、脳の指令部に問題があり、自力で排卵できない病気だということがわかりました。

結局、それから2年間治療のために、山王病院のリプロダクションセンターという専門病院にかかっていました。ホルモン値のバランスを人工的に保つために、飲み薬と、毎日自分でおなかに針を打つ皮下注射と、排卵直前になると肩に筋肉注射を打って無理やり排卵を起こさせるという治療を行っていました。

毎月だいたい10回ほど病院に通い、エコーを通して、卵胞の発育具合を見ながら、ホルモン値を微妙に調整して、毎月、毎月必死になって卵子を1個、ポンと出すという作業を2年間やっていたんですね。排卵日前後にがんばって夫婦生活を持つのですが、毎回そんなにうまくタイミングが合わなかったので、それで妊娠までに2年もかかりました。

治療を始めて1年目の時に、今度は会社の子宮がん検診にひっかかりまして、細胞診の結果、「細胞がハイリスクの異形成をおこしているので、今後10年くらいかけて子宮頚部ががん化するリスクがあります」ということを主治医に言われてしまったんですね。

そうすると、ただでさえ精神的にしんどい治療が、リミット付きの妊活になってしまったわけです。ものすごく焦って、精神的に追い詰められたりしたんですけれども、なんとか妊娠することができて、今年の1月に無事に第一子を出産して今に至ります。

早い段階での正しい知識を身につけること

妊活中にふと思ったんですけど、みなさん、中学、高校の時の性教育とかって、「望まない妊娠を防ぐために避妊をしましょう」としつこく習った記憶がありませんか? そういうイメージが私の中ではすごく残っていて、実際に妊活を始める前まで「セックスをすればすぐに妊娠するものだ」というふうに思っていたんですね。

そういう偏った教育ってよくないなと妊活中に思いました。がんばっても簡単に妊娠できない人もいるということを昔から知っていれば、もっともっと早く取れた手段がたくさんありますし、私が早い段階で正しい知識を持っていれば妊活自体も長引かなかったですし、夫婦喧嘩も減ったと思いますし、流さなくていい涙もあったと思いました。

日本の性教育のリテラシーは欧米各国に比べてとても低いのが現状ですが、ぜひみなさんには、早い段階で正しい知識を持っていただければと思っております。

中学、高校の性教育の内容って、多分、今忘れてしまっていると思うんですよ。実際に20代、30代、40代になって、いざ自分が、となった時に知っておいたほうがいい知識というのを改めてまた勉強しましょうということで、そういう意味でも今日は個人向けにセミナーを開催させていただきました。

子宮関連疾病の患者は30年間で4倍に

子宮頚がんや子宮内膜症だったり、あとはセックスレスなども含めて、性と生殖に関する健康を損ねるリプロトラブルというものが増えておりまして、そのうち子宮関連疾病はこの30年間でその患者数がおよそ4倍にも増えているんですね。

なぜそんなに増えたかというと、昔、昭和初期の頃の女性って若い時から子どもを5人も6人も生んだりしていましたよね。それゆえ、生理の無い時期が非常に長かったんです。

それに比べて今の現代女性って、子どもを1人も生まない女性も含めると一生涯の生理の回数が約10倍にもなると言われています。生理が始まる年齢も早くなっていますしね。

生理自体、毎月卵巣という1つの臓器を突き破って人間の体の中で一番大きい細胞である卵子がポンと出てくるわけです。それは体にとってダメージも大きいですし、妊娠に至らなければ、毎月子宮内膜がはがれ落ちますし、またそれもダメージが非常に大きい。

そういったことで子宮や卵巣を毎月酷使している女性が増えているので、卵巣のう腫や、子宮内膜症などの病気が増えてきております。あとは食生活の欧米化による肥満で、エストロゲンという女性ホルモンが過剰になることもリスク要因です。

意識しないと普段はこういうことをなかなか知る機会がないと思うんですけれども、ぜひ今日は江夏先生の授業でもっと詳しく触れるので、何か1つだけでも知識を持ち帰っていただければと思います。

では、これからちょっと会社の話をさせていただきます。

本来、弊社は主に法人相手にサービスを提供しておりまして、お医者さんや看護士さん、セラピストや経験者やカウンセラーなどの専門家に、企業の若手女性社員向けにセミナーを行ってもらい、実際に困っている社員さんやもっと話を聞きたいという社員さんには希望ジャンルの専門家をご紹介、斡旋するということを行っています。

またクライアント企業に向けて「御社の女性社員はこれくらいの割合でトラブルを抱えていますよ」とか、あとは「重大なトラブルを抱えている女性社員が他社に比べて多く、離職のリスクが高いですよ」とか、そういうフィードバックを行うパッケージサービスを行っております。

企業向けセミナーを行う理由

そもそも日本全国でこういったリプロトラブル系のセミナーってけっこう開催されてはいるんですよ。ですが任意で参加するセミナーって、よっぽど自分の健康に意識が高い人とか、あとは実際にトラブルを経験したことがあるという人じゃないと、自ら足を運ばないという状況があるんですね。

ですが、本来予防の観点からすると、意識のあるなしにかかわらず、なるべく多くの女性の方に早い段階で知識を持っていただかないと、本当の意味での予防にはならないと考えています。そのため企業向けに啓発活動をして、企業の若手女性社員に半強制的に話を聞いてもらうために、こういう形をとっております。

企業向けサービスのほかに、カジュアルな場として、本日のような個人向けセミナーも開催しています。今までもうちょっと小さい規模での座談会というのを、何回か行っておりました。

参加してくれた方の意見を聞くと、「非常に参考になった」とか「話を聞いてさっそく産婦人科に行った」という話を聞いておりますので、本日もみなさんの行動や習慣の変化のキッカケになればと思っております。

次ですね。一緒に会社をやっている勝部さんの自己紹介をお願いします。

勝部元気氏(以下、勝部):みなさんはじめまして。大塚と一緒に会社をやらせていただいております勝部と申します。今日はお越しいただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。

ご来場頂いた方の9割以上が女性の方のようでして、男性がいると怪しいと思われるかもしれませんので、がんばって怪しい者ではないという説明をさせていただければと思います。

昨年までは普通にサラリーパーソンをしておりまして、経営企画部問や経理財務部門のほうで部門の責任者をやらせていただいておりました。離職したあと、たまたま大塚と出会って一緒に会社をやりましょうという話になって、今ここにいたる形です。

ちなみに所持資格数は66個あります。でもぶっちゃけ何を取ったのかあまりよく覚えていないです。もう昔の話なのでね。

男性フェミニストというのを自称させていただいております。フェミニストというと、どうしても気難しくて、怒りっぽくて、男嫌いの女性という悪いイメージを持っている方も多いかと思うんです。確かにそういう方もいらっしゃいますが、それはあくまでも一部の方々です。

それから男性でフェミニストというと、よく女性に優しすぎてごますりをしているような人に勘違いされるんですけど、決してそういう意味ではありません。一応私も優しいとは思うのですが(笑)。

「優しい、優しくない」という話ではなくて、フランスとかスウェーデンみたいに男女が一緒になって性別役割の無い平等な社会を作っていこうと目指している男性のことを男性フェミニストと言っております。

ちなみに名前は本名です。源氏名じゃないですよ。外見の雰囲気に似合わないと言われますが、趣味で山登りをやっています。

今年のメディア出演履歴はこれまでスポットで合計44回出演させていただきました。最近ですと、『DRESS』とか『JJ』とかですね。ただ44ってすごく切りが悪い数字なので、もう少し今年中に欲しいなと思っています。

メディアの出演、コラム掲載など

あとテレビのほうにも何回か出させていただきまして、有名なところですと、『ワイドナショー』とか『みんなのニュース』『ビビット』、あとは『スッキリ!!』とかですね。

コラムのほうも書かせていただいておりまして、今は主に『女子SPA!』と『朝日新聞社WEBRONZA』の2つで連載を持たせていただいております。

おかげさまで女子SPA!は1周年を迎えることができました。WEBRONZAは連載開始してまだ1カ月ちょっとなんですけれども、名だたる有名教授の方とか評論家の方々がいらっしゃる中で、今のところ4作連続でランキング1位をいただいております。

ブログもやっておりまして、『男性なのに子宮頚がんワクチンを打ってみた』という記事などはかなりバズりました。大塚との出会いも、実はここのブログがキッカケになりました。

あとは本日も販売させていただいているのですが、8月の終わりに初めての書籍を発売させていただきました。

恋愛氷河期

主に働く女性向けの恋愛本なんですが、「ここがだめだからこうしなさい」とか、「だからモテないんだ」とかいうああしろこうしろ系プレッシャーの恋愛本には本当にうんざりだと自分自身が思っていて、この本では「あくまでも社会構造の問題だから、決して自分を責めないでください」ということを書きました。

通常の恋愛指南本より若干社会学寄りの内容で書かせていただきました。見本があるのであとで休憩中などにぜひご覧ください。

子宮頸がんのワクチンを打った経緯

自分の話ばかりになったので、リプロトラブルの話に戻ります。さっきブログのところにも出てきたんですけど、昔、自分で子宮頚がんワクチンを打ったんですね。

その当時はワクチンを打った男性は日本に数名しかいませんでした。ですが、子宮頚がんの元になるHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスは常在菌で、普通にありふれていて、そこらへんにいますし、男性も気付かず感染してしまっている場合も多くあります。そして主に性行為を通じて女性に感染します。

だから、「エイズにかかっていなければ大丈夫」とか、「検査に行って性病検査を受けてみたら大丈夫だったから俺は安心だ」というふうにならない。当たり前のことをしていて、普通にしていて相手にウイルスをうつしてしまうことも多々あるということを知って、相当なショックを受けました。

いくら男女平等だといっていても、結局そういうところで平等じゃない部分とか、体の構造の問題とかで自分に何かしら責任があるんじゃないかということを感じて、いたたまれなくなりHPVワクチンを自分に投与しました。

それをきっかけに、このリプロダクティブヘルス(性と生殖の健康)という分野の社会問題にすごく興味、関心を持って、性の健康教育をやっているNPO法人でずっと啓発活動に関わらせていただいておりました。4年か5年くらいですかね。

そして昨年大塚と出会って、働く女性のリプロトラブルの問題を一緒にやりましょうという話になりました。以上、私の紹介となります。

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