2024.10.10
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2013年2月20日 参議院予算委員会(全1記事)
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梅村聡氏(以下、梅村):それから次の話題にいきたいと思いますが、昨年の7月25日にも私、一体改革の特別委員会で少し取り上げたのですが、尊厳死の問題というのを考えていきたいと思います。
まず1月21日の社会保障制度改革国民会議で麻生大臣がですね、私これ決して責めるつもりはないんですが、マスコミ報道でこの終末期医療に関して、ちょっと新聞報道を読み上げさせていただきますね。
「いい加減死にたいと思っても、『生きられますから』なんて生かされたんじゃかなわない。しかも政府の金でやってもらっていると思うとなるとますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないと」と述べたと。
「私は少なくとも遺書を書いてそういうことをしてもらう必要はない。『さっさと死ぬから』と書いて渡しているが、そういうことができないと死ねません」と述べたと。こういう報道がなされました。
確かに言葉遣いはちょっと乱暴なところはあるかと思いますし、それからお金の問題と絡めたというのはちょっと不適切だったかなと思います。
それから発言した場所が国民会議だったこともいろいろな議論があるかと思いますが、しかし問題はマスコミの皆さんがこのことを速報で伝えたと。本来このことが、一体どういうことが根底の問題としてあって、私は本来この発言からいろいろ国民的な議論が広がっていけばよかったのになと、そう思っていますよ。
だからこの新聞の後に、「野党が問題にする可能性がある」という丁寧な解説もありましたが、私は全然問題にするものではなくて、むしろこの発言から終末期医療のあり方、あるいはどういう形で個人が自分の終末期を過ごす自己決定を実現していくのか。そのことが大事だと思いますので、麻生大臣、あらためてこの発言の真意を少しお話いただけたらと思います。
麻生太郎氏(以下、麻生):誤解を生むような発言をいたして大変申し訳なかったと思っておりますが、私の家に親父のお袋ですけど、16で嫁に来て、24で後家、4人の子どもをそれぞれ育てて、子どもやなんかのほうが先に亡くなり、自分は91で亡くなったんですけど。
病院に行かず、最後は12月31日、大晦日の日、年越しそばをとって「医者を呼んでくれ」と。医者が来て、帰るときには「長くお世話になりました」とその医者に挨拶をし、2時間後に曾孫は「おばあちゃんが冷たい」と。行ったら亡くなっていた。
これは我が家の実態経験です。私のお袋が嫁ですけども、嫁をして「私もあんな上手いこと死にたいわ」と。これ我が家の全員の実感だったんです。正直なところ、侍の娘で育ったせいもあるんでしょうけども、痛かったこととかもまったく言わず、後半は少し記憶力がどうかなと思わないでもありませんでしたけど、少なくとも我々としゃべるときはまったく普通にしゃべっておったのがそういう状態でありました。
私のところは親父が一番最初に亡くなりましたので、私は喪主を3回くらいやったんだと思いますけど、3〜4回やったと記憶しておりますが、そういった中にあってやっぱり人間っていうのは、私も72ですけども、そろそろあっちのほうに近くなってきていますので、やっぱりそこに行くときの行き方として、なんとなく尊厳を持って、これまでの人生を振り返って静かに死なせてもらいたいなというのが私の率直な気持ちでした。
そのかたわら、私は(質問者である梅村聡)先生と同じで病院をやっていますから、現場を知らないわけではありませんので、その意味では病院のところにおけますといろいろな家族の難しい話もいっぱい見る立場にありましたので、そういった中を考えたときに実に複雑な心境でありましたので、私自身はぜひ「そういった気持があるので」と言ってきちんとその話を伝えるというか、あくまで私の個人の見解というか、人生観みたいなものだったんですけど。
言った場所が言った場所、書いた人が書いた人だったものですから、先生が仰ったとおりまったく別の方向に話がいったので、こういうようなことになるんだったら、全然意味が違いましたので、「この言葉は取り消させていただきます」と言って、その言葉を取り消させていただいたというのがその背景であります。
梅村:今日の麻生大臣の発言をぜひ新聞は書いていただきたいと思いますね。その真意というものをね。で、この中で麻生大臣、「遺書を書いて渡してある」と仰っていましたが、遺書はどういう形で渡していますか。それは実現されそうですか。
麻生:少なくとも個人のことではありますので内容を全部言うつもりはありませんけど、尊厳死の宣言書というのはこういったリビングウィルのこの種の話とは違って、一応筆で書いてあります。それだけです。
梅村:実は国民みんながこのことを個人では思っておられるんですね。最後の自らの終末期、そこは尊厳を持ってできるだけ苦痛がないように過ごしたい。というのはみんなが思っていること。だけどそれを例えば国会ですとか、あるいは政治家の発言となってくると、真意を違うような報道がなされてしまって、結局はその議論をすること自体がタブーになってしまっている。
実は私も今日ここで予算委員会でこのテーマを出すことに関してはある意味で戸惑いもありますし、言い方をひとつ間違えればいろいろな人を傷つけることになると。ですから慎重に考えないといけないんですが、一方でこの議論を国会やあるいはいろいろなところで国民的に議論していくことが大事なんだと思います。
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