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11月16日 民主党・枝野幹事長記者会見(全1記事)

枝野幹事長「アベノミクスの効果は目先の“痛み止め”でしかない」解党問題にも言及

民主党の枝野幸男幹事長が11月16日、「日本の野党は安倍の自民党に対して団結することはできるのか?」をテーマに日本外国特派員協会にて会見を行いました。民主解党論が起こっている状況について「党の危機だとは思っていない」と話し、「民主党の政策こそが経済立て直しのための本質である」と、参院選に向けて意気込みを語りました。

フランスのみなさんに哀悼の誠を

枝野幸男氏(以下、枝野):みなさん、こんにちは。お招きをいただいて、ありがとうございます。民主党幹事長の枝野幸男でございます。

まず本題に入ります前に、今日もフランスの方がいらっしゃるかもしれませんが、パリで起きました同時テロ。被害に遭われて亡くなられたみなさんに、哀悼の誠を捧げたいと思います。また、フランス国民のみなさんに、心よりお見舞い申し上げたいと思います。

こうした卑劣なテロを許すことはできない。断固、こうしたテロと戦うという思い、そして友好国として、フランスのみなさんに寄り添ってまいりたい。この思いは与野党越えて一致をしているということを、お伝えをしたいと思います。

同時に今回、フランスという先進国、そのパリのど真ん中でこうしたことが起きましたので、世界中が注目をしておりますが、シリア始めとして中東各地、あるいは世界中で、実はこうした一般市民のみなさんを巻き込んだ、大規模なテロ、あるいは、いわゆる戦争によって命を失われる市民のみなさん、実は各地で、しばしば起きていることでございます。そうした全てのみなさんの思いというものをしっかりと受け止めてまいりたいと思っております。

それから本題に入る前にもう1点だけ。先週この場所でもご講演をされたと聞いております、カンボジア野党第一党の、サム・レンシー党首に、来日中に、自国、本国のプノンペンのほうで、逮捕状が出されたと報じられております。

私ども岡田代表も、サム・レンシー党首と会談させていただいて、カンボジアの民主化に向けた動きというものに対して、意見交換をさせていただきました。内政干渉に当たるようなことは申し上げるべきではないと思っていますが、こうした状況に、私どもも強い危惧を持っているということを、この場で申し上げたいというふうに思っております。

争点は「立憲主義」と「法の支配」

さて本題に入りたいと思いますが、私は今お話があった、最近数日の動きを、党の危機だと決して思っておりませんで、これについてはお尋ねがあれば、お答えをしたいと思います。

私どもの今、唯一とも言っていい最大の課題は、どうやって来年の参議院選挙で少なくとも与党を改選の過半数割れに持ち込むのか。そこに向けての戦いであります。

1つのテーマは、安全保障法制を巡る「立憲主義」と「法の支配」。これが争点です。念のため申し上げると、これは安全保障政策ではありません。立憲主義と法の支配です。

そしてこれだけでは、与党を過半数割れに追い込むことはできないと思っていまして、もう1つの争点は、やはり広い意味での経済だと思っています。短い時間で、私どもとアベノミクスの違いを、ご説明したいと思っています。

アベノミクスは痛み止めでしかない

「アベノミクス」は、短期的な経済政策としては、一定の効果を上げていると思いますし、理にかなった部分もあるということは、認めたいと思います。

金融緩和や財政出動は、間違いなく短期的な経済にとってプラスでありますし、規制緩和も、特に労働規制の緩和などによって、目先の企業収益を上げるという、こういう意味は持っていると思います。

しかしながら、バブル崩壊以降、20年余に渡る日本の経済の低迷を、治療するという意味からは、あくまでも痛み止めやカンフル剤に過ぎないというふうに思っています。

本質的な治療をするためには、我が国の潜在成長力を上げなければいけない。これが、圧倒的に落ちているという中では、いくら短期的な刺激策を取っても効果はない。というのが、私の考え方です。

日本を支えてきたのは中間層である

日本の、明治維新以降の近代化、戦後復興、高度経済成長。こうしたものを作り上げてきたベースは、2つの意味での、分厚い「中間層」でありました。

1つは経済的な意味の分厚い中間層で、これがもともと充実し、それがさらに分厚さを増していったからこそ、日本は輸出主導の新興国型の経済から、内需の拡大による先進国型の経済へと、高度成長時代、転換することができました。

もう1つは、知識、学力、あるいはスキルと言ったらいいでしょうか。そうした意味での分厚い中間層であります。これは明治維新の時点で、当時の世界各国と比較をしても、例えば我が国は圧倒的に高い識字率を誇っていました。

だからこそ、産業革命による近代文明を、短期間で、全国津々浦々まで、私たちは共有することができた。それが日本の近代化。そしてその後の経済発展に繋がって行ったと思っています。

貧困の連鎖の問題を懸念

これが、この20年の間に、急激に崩れてしまっています。貧困の連鎖によって、親が貧困であるがために、虐待や育児放棄。当然のことながら、家庭教育も学校教育も、十分に身に付ける機会のないまま義務教育を終えるという子どもの数が、急激に増えています。

あるいは日本には、奨学金という名前の教育ローンしかありませんで、本当の意味での奨学金は、本当に少ないものですから、意欲と能力がありながら、高等教育を受けるのを断念する若者が、急激に増えています。

さらには雇用の規制緩和によって、オン・ザ・ジョブ・トレーニングによってスキルを高める機会に恵まれない勤労者の数が、全体の4割を超えるという状況になっています。

経済的に、分厚い中間層が壊れているということは、もうご承知の通りでありますが、当然のことながら、国内消費を冷え込ませる大きな要因になっていますし、貧困の連鎖によって、少子化がさらに加速をしているという状況で、これも消費を冷え込ませています。

経済強化のためにも取り組むべきこと

購買力があるのは、実は1,000兆円を超える国内金融資産の大部分を持っている高齢者でありますが、資産を持っている高齢者も、年金医療介護への不安のために、老後のために蓄えた資金を消費に回せません。

したがって、経済的な理由で教育を受ける機会に恵まれない若者、子どもをなくすこと。そして安定的な雇用を、もう1度取り戻すこと。老後や子育ての安心を確立すること。これらは、実は社会保障福祉政策ではなくて、経済の抜本的な強化のために、実はやらなければならない課題であるというふうに考えています。

いずれも即効性のない、中長期的に効果の上がる政策でありまして、即効性のあるアベノミクスと比較をしたときに、どうしてもアピール力が弱いわけでありますけれども、実は我々の考え方のほうが、日本経済の成長には、間違いなく効果を上げると自負しています。

民主の政策こそが本質である

外国特派員の皆様はご存知かもしれませんが、実はだからこそ、民主党政権3年3ヶ月における、日本の実質経済成長率は、年率1.7パーセントでありました。しかも、あの東日本大震災によるダメージも含んでの平均値です。

安倍内閣、間もなく3年になりますが、この間の実質経済成長率は、年率でプラスの0.9パーセントに留まり、しかも直近の4半期は、2期続けてマイナスです。

私は、私どもの政策こそが日本の経済を立て直す本質だというふうに思っておりますし、このことをしっかりと掲げて、参議院選挙を担ぎに行きたいというふうに思っております。

お約束でした20分でぴったり、私からのスピーチは終わらせていただきます。ありがとうございます。

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