2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
section 2 AROUND 25 日比谷すみれ 氏(全1記事)
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日比谷すみれ氏(以下、日比谷):皆さん、初めまして。本日、「UIデザイナーだからこそビジネスとデザインの間に立ってみる」というお話をいたします。どうぞよろしくお願いします。
最初に自己紹介です。今、ご紹介にありました通り、株式会社グッドパッチ シニアUIデザイナー兼プロジェクトマネージャーの日比谷すみれと申します。先ほど、デザインをどこで学んだのというお話がありましたが、私は大学でデザインを勉強したわけではなく、早稲田大学商学部でマーケティングを勉強しました。
2013年10月にヴォラーレ株式会社、現ナイル株式会社に入りまして、2015年1月からグッドパッチで働いております。
簡単にこれまでやってきたことをご紹介いたします。今、表示されているのが、株式会社ビズリーチ様の「キャリアトレック」という転職アプリです。
これは人工知能があなたに最適な仕事を選んでくれるサービスで、まだ転職されたことない方もいるかもしれないんですが、日々、気軽にアプリを使っていくなかで、どんどん自分に最適化されて、自分にぴったりな仕事が見つかるよ、というサービスの改善を担当しました。
次は、プライベートなプロジェクトで、株式会社Stroboというスタートアップで、IoTのお手伝いをしています。これは「快適なSitting Lifeを」というコンセプトの「スマート座布団」のサービスを作っております。
私が今在籍している会社―グッドパッチの紹介をします。
グッドパッチは、「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンで、やっていることは2つあります。UIの受託制作と、自社事業であるプロトタイピングツール「Prott」の開発・運営です。
実は、今週のシルバーウィーク、ずっと悩んでいて。今24歳で、社会人2年なんですけれど、「何かキャリアについて話してください」と言われても「何を話せばいいの?」と。ひとつだけ、自分がお話できる、「これだ!」と思うことがあったので、今日はそれを中心にお話をしていきたいと思います。
それが何かというと、実は私、これまで関わったすべてのプロダクトで、UIデザイナーとディレクターを兼務しているということです。
そこで、今日は「ビジネスとデザインの間に立つチャンスに自ら飛び込もう」というお話をします。
アジェンダは大きく3つあります。まず1個目が私の課題です。もう1個がそれをどう解決したか、3点目にそれで何が変わったか。3つについてお話します。
1点目。そもそもなぜビジネスとデザインの間に立つということを意識するようになったかについてです。
実は前の会社に新卒で入社して、私はすぐ新規プロダクトのメインデザイナー兼ディレクターにアサインされました。
これがあるアプリの新規開発プロジェクトだったんですが、私のせいもあって、何度も予定していたスケジュールから遅延してしまったり、チームメンバーの離脱もあったり、たくさん失敗をして。その分、今自分自身にとって一番大きな学びになっているプロジェクトなんですが、この時の経験から、ある問題が見つかりました。
皆さん、働いている方も多いと思うので、開発の現場、自分が普段どのようにデザインしてるかを思い出してほしいんですけれど。よくあるのは、プロダクト開発の現場には2者いて、私たち作る側と、ビジネス側、プロデューサーとかディレクターの方がいると思います。
そのなかで、正直にいうと、私もよく思うときがあるんですが、「今、何でこれやってるの」と。
ゴールとか線路がすごく不明瞭で、何のためにやってるのかよくわからないな、もっとこれをやったほうがいいのにな、となることがあると思います。
ただ、ビジネス側の方に話を聞いてみると、逆に、開発側はブラックボックスだよね、何で今これに注力してんだ、となっている。
ここに大きなズレが生じちゃっている、というのが、最初にやったプロジェクトで感じたことでした。
このズレで何が起きちゃうかというと、差し戻し。「これじゃない」「もっとこうして」という差し戻しが起きたり、自分自身がデザインを作るときにはゴールが明確じゃないから、精度が低くなったりしてしまいます。
開発もやりづらいし、戻しが増えてスピードも下がって、モチベーションも下がる、みたいことが起きてしまうのが、よくあるズレだと思っています。
それをどう解決したかというと、現場のプロセスをわかっている人が、この作る側とビジネス側の間に立つことで、ズレを解消することができるんじゃないかと思っています。
具体的には、3つの方向からのアプローチがあると思っていて。1個目がビジネス側から作る側の間に立って、目指すゴールという線路についてアプローチする。もう1個目が作る側からビジネス側に対して、プロセスを明確化すること。
3つ目は、デザイナー自身、私たち自身がスキルアップしなきゃいけないこともあると考えています。
具体的に私がやってみて良かった5つの項目があるので、今日はそれをご紹介したいと思います。
1点目、これはビジネスから開発です。「プロダクトのフェーズを理解する」。リーンスタートアップって皆さんご存じですか? よくリーンスタートアップとかで紹介されている話ですが、スタートアップには3つのフェーズがあって、と。
プロダクトがどのフェーズにいて、今、何をしなきゃいけないのかが曖昧な状態だと、実際に何をすればよいのかわからなくなります。まず、そういうのを理解することが大事だと思います。
普段、私がやってることですが、これは実際にクライアント様にお渡ししている資料です。今このプロダクトはどこのフェーズにいて、何に注力しなきゃいけないのかをすべて明確にして、見れるようにしています。これがまず1点目です。
2点目。リーンキャンバスをご存知の方、多いと思いますが、「プロダクトの描いているビジネスモデル全体像」を把握しましょう。今このプロダクトは、やらなきゃいけないフェーズのなかで誰にターゲットを絞っていて、どの市場を獲っていきたいのか。私たちの作っているサービスは、一体何がコアバリューなのかを、まず自分たちが理解しなければいけません。
こんな感じで「プロダクトのフェーズ・描くゴールの共通認識を持つ」こと。これがまず重要なことです。
そうするとプロダクトにおいて、不確実なこと、今、作る側も一緒に検証しなきゃいけないことが見えてくると思います。
次に、3点目。今度は作る側からビジネス側の人に伝えなきゃいけないこと。これが「デザインプロセスを共有する」ことだと思います。
これも私が普段使ってる資料です。どんなフェーズを踏んで、デザインのコンセプトを決め、それがどういうスケジュールになって、実際のアクションを起こしていくのかを明確にしています。
あとで(スライドを)Speaker Deckにあげる予定です。いろんなプロセスが世のなかにはあるので、ぜひ自分のプロダクトとかチームに合ったものを探してみてください。
私もこの辺の本を参考にして、「あ、これがやりやすいな」とか「今関わってるプロジェクトに合ってるな」と思うものを選んで、いつも資料にしています。
4点目。伝え方の話に近いんですけれど、デザインは常に今達成したいことをゴールに置いた、線で伝えましょう。ユーザーシナリオとか、カスタマージャーニーマップという言葉をご存じの方も多いと思います。今検証しなきゃいけないことが明確になったら、それをKPIに設定しますよね。
それに対して、デザインはどんなステップを踏んでいかなきゃいけないのかを明確にすべきです。ゴールに至るまで、ユーザーがどんなステップを踏むのか。それをベースにして設計をし、デザインに落とすこと。
また、伝えるときもこの流れをもって伝えないと、意味がないです。必ずデザインを見せるときやチームに共有するときは、「ユーザーはこんな状況でこういうステップを辿るから、ゴールに到達します」と説明をしたほうがいいです。
私は普段、Cacooというワイヤーフレームのツールと、弊社が作っているPrott(プロット)というツールを使っています。
最後です。さっき3つアプローチがあるといった、3つ目のデザイナー自身のスキルアップの話です。
ぜひ、デザイナー自身で自分のデザインを検証する方法を持ってください。検証というと、定量的な話、Google AnalyticsとかMixpanelもあるし、定性的な方法でユーザーインタビューとかユーザーテストがあると思います。
先ほどのKPIについて、定量的・定性的、両方の側面から果たしてうまくいっているのかどうかを自分の頭で理解し、どんどん回せるようになりましょう。
プロセスを明確にすること、目的ベースのデザインをつくって共有すること。それを自ら検証する手段を持つっていう5個のうち、最後3つ。
これをやることによって、まずチーム全体が加速します。さらに自らのデザインで次に進めて、それをリリースまで自分の手で持っていけるようになると思っています。
ここまで、ビジネス側から開発側のズレを埋めるための目的とプロセス。あとデザイン側からビジネス側に埋めることで、目的ベースでデザインをつくりましょうという話と、自分で検証の手段を持ちましょう、と、やってよかった5つの項目をご紹介しました。
それをやるとどうなるの、という話ですが、目的とプロセスが今、透明化しました。
先ほど、私の例で、悪い状況の、今何をやったら良いかわからなくなるというズレをご紹介したんですけども、逆に、今何やるかがわかったチームっていうのは強いし、スピードが速い。結果、何に繋がるかというと、良いプロダクトにつながる。私たちのミッションは良いデザインをつくることではなくて、良いプロダクトをつくることです。
最後に、実際にこれまでお話した5点のことを通じて、どう私のキャリアに影響したかをお話します。
ビジネス側と開発現場に存在するズレを自ら埋めていく、つまり、ビジネスとデザインの間に立つチャンスにデザイナー自らが飛び込んでいくことが大事だとお話してきたんですけれど、それを意識したことで自分自身が変わったことが2点あります。
まず1点目は、明確化されたのですごくスピードがアップして、チーム全員が機敏に動けるチームになったと感じています。
2点目は、自分の視座が上がる。見えてる範囲が上がって、解像度が上がるというか。なので、活躍できる場が増えたというのが、自分自身の実感としてすごく強くあります。
UIデザイナーの強みを活かして、ビジネス側に近いところで学べることがすごくいっぱいあると、私はこの2年で思っていて。
今、緑になってるところがインタラクションデザインとか、ビジュアルデザインのようにUIデザイナーがメインでやることだとすると、そこからビジネスとの間に立って、どんどん学んでいくことによって、グロースハックだったり、サービス設計だったり、あとはもしかしたらプロジェクトマネジメントも学べるかもしれない。
私自身まだまだ勉強の途中ですが、こういうふうにもっと良いプロダクトを作るためにできることが、すごくたくさんあると思うので、この辺を学んでいきたいなと思っているところです。
もちろん、プロフェッショナル型、職人型のように、自分はUIデザインの技術、素晴らしいビジュアルデザインで生きていく、というのもアリだと思うんです。それはそれで素晴らしくて。
ただ、何を作るかと、どう作るかということ。これを考える人が一致した、自分もその方向を目指していますが、そんな人たちが活躍できるチャンスが、今のこの業界にはすごくたくさんあると思っています。
私自身の話ですが、今、お客様のプロジェクトのある案件でUIデザイナーとプロジェクトマネージャーをしてるんですけども。それとは別に、グッドパッチのコーポレートサイトのディレクターを務めています。また、また、今年の弊社のサマーインターンのプロジェクトマネージャーも担当しました。こちらは弊社単独で行ったものではなく、講談社様にご協力をいただいたプロジェクトでした。
こんな感じで、会社の中で担当できることもどんどん増えて、同時にプライベートでも、最初にご紹介したスマート座布団のように、3、4人のスタートアップのチームに飛び込む機会も得ました。「あっ、これおもしろそう」と思ったことにどんどん挑戦しています。
それもこれも自分が視座が広まって、できることも増え、その結果、プロジェクトに応じて自分の役割を柔軟に変えられるようになったからだと思っています。
まとめです。今日皆さんにお伝えしたかったこと、それは、UIデザイナーだからといって、必ずしもビジュアルデザインにすべてをがっつりと注ぐという道とは違う道もあるということ。そこでの私の答えは、ビジネスとデザインの間に立つチャンスにUIデザイナーが飛び込むことで、それが見つかるんじゃないかと思っています。
結果として、それが自分の可能性を広げて、関われる案件が増えたりとか、おもしろいプロジェクトから声がかかったり、つながってくんじゃないかと思っています。
グッドパッチには、私のようなデザインもビジネスも、という人もいれば、もちろんプロフェッショナル志向の人もたくさんいます。デザインとビジネスのかけ橋になりたいというUIデザイナーを今、大絶賛募集しておりますので、Wantedlyから応募してもらうか、今日この後お話する時間があると思うので、興味がある方はぜひ声をかけてください。
本日はご静聴ありがとうございました。
(会場拍手)
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