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第1限 世の中のすべてがわかる「フレームワーク」と「メソッド」先生:青野慶久さん(全3記事)

サイボウズ青野社長が語る「モチベーションを高める3つの条件」

2015年8月10日に開催された、「高校生のための夏の1日授業 OUR VISION CAMPUS〜ハタチまでに学びたい未来のつくり方」。第1限目の先生は、サイボウズ株式会社の青野慶久氏が担当します。青野氏は、『世の中のすべてがわかる「フレームワーク」と「メソッド」』をテーマに、参加した高校生に授業を展開しました。本パートでは、モチベーションを高めるための3つの条件を教えた上で、高校生たちとともに「夏休みの宿題へのモチベーションをあげる方法」について議論しました。

モチベーションを高める3つの条件

青野慶久氏(以下、青野):あと15分ちょっと使ってみたいのですけれども、最後までいきましょう。最後、とても建設的な議論ができるようになりました。このチーム。課題が決まりました。

では、体力をつけるためにこういう練習します。あわせてテクニックをつけるためにこういう練習をします。やったあ。すごい強くなれそうな気がします。ところが夏は暑い、最近やる気でないよね。暑いしね。

これ、最後の問題が起きました。モチベーション問題。せっかくやることが決まったのに、「頑張ろうよ。頑張れ、頑張れ」と言っても、あまり(やる気が)でないものですよね。言われるとやる気が失せたりする。どうすればいいですか。モチベーションを高めるにもフレームワークがあります。

今日3つ目、最後のフレームワークです。モチベーション創造メソッドです。モチベーションというのもいろいろな人が研究してくれています。いろんな説があるのですが、これはそのうちの1つの説になります。

モチベーション、やる気が高まるにはこの3つの条件が重なるとすごい高まる。この3つの条件が重なるところを探していくとモチベーションというのはすごい高まります。これが図になります。

結構書いてることはシンプル。まずやりたいこと。やりたくないことはあまりモチベーションが上がらない。やりたいだけじゃなくてできることじゃないといけない。

例えば、野球選手になってホームラン打ちたいですよ。阪神に行って4番を打ちたいですよ。ゴメスの代わりに打ちたいです。でも、残念ながらモチベーション上がらない。なんでか。できると思っていないから。

残念ながら無理です。無理と思っているものにモチベーションは上がらない。できると思えるものじゃないとモチベーションが上がらない。

やりたくて、できるとモチベーションは最高潮かというと、最高潮にしてくれるにはもう1つ味つけが必要です。それを誰かからやって欲しいと言われることです。

やるべきことを周りの人から期待されると、それが自分のモチベーションに変わります。この3つの条件がそろうように円を調整していくこと、これがモチベーションを創造していくことになります。

やりたくないことを楽しむコツ

ちょっと詳しく見てみましょうか。やりたいことって何ですか。何がやりたいですか。やりたいことってありますか。

何がやりたいですか。「やりたいことなんですか?」って聞かれて答えられますか。これ結構難しい質問なのね。僕も結構答えるのに困る。ただ、長年生きているとちょっとずつ見えてくる。

例えば、僕は家族がいてトイレ掃除をやっているわけですよ。妻に言われるわけです。「あんたトイレ掃除やりなさい」と言われるわけですよ。

カチンとくるわけですよ。トイレ掃除やりたいわけじゃないんだよね。もっと他にやりたいことがあって。ところがですね。トイレ掃除を楽しむコツが実はあります。

例えば、僕の好きなこと。効率よくやるということは昔からすごい好きなんです。何をやるにしても効率よくやるのが好きなんです。目標があると結構やりたいことになるんです。

なんかうまくやって、すごく人よりもたくさんの成果を出す、目標が達成できたとなるとすごいやる気が出るわけです。そうするとトイレ掃除も楽しみ方があるわけです。

じゃあ、トイレ掃除今日5分で終わらすと目標立てた。しかも、最高に効率の良いやり方を考えると。「無駄な動き1つないトイレ掃除を、俺はこれから見せてやる」というふうに考えると、ちょっと前向きになるね。やらされ感満載だったトイレ掃除がちょっとやる気になる。

それはなぜか。自分の中にしかない効率性であったり、目標を追いかけることだったり、僕は知っているから。何かやりたくないことがあったとしても、それをやりたいことに変えていくことができる。これがすごい上手な人がいます。

これが上手な人は何をやらせても楽しそうにやるわけです。そんな友達いませんか。先生から「あれやって」と言われても自分だったら「えーって」思うのにな、というのにあの子は楽しそうにやっている。

そういう子は、やりたいことに変えるコツを持っているんですね。自分がどのようにすれば楽しめるのかというのをよく知っている

自分のできることの幅を広げる

2つ目。そうは言ってもトイレ掃除ぐらいだったらできそうですけど、相当できないことを言われたら、モチベーションが上がらないわけです。ただ、できることというのは訓練をしていくことで少しずつ増やしていくことができます。

知らないことは学んでいくことができます。練習すればちょっとずつ上達します。だから重なりを大きくするには、自分のできることを少しずつ増やしていく。そうすることで自分のモチベーションの範囲を広げられる。これが2つ目ができること。

モチベーションを自分でマネジメントする

3つ目。周囲から期待される。確かにこれがあるとやる気がでそうな気がするのですけれども、意外と期待されないことがありますね。

俺もサッカー無茶苦茶上手になろうと思っているのに、親は何かそれを全然期待していないこともあるわけです。これは難しいです。

難しいんですけれども、何とか自分のサッカーをやることはお母さんにとっても幸せになるんですよ。ということが伝わるとお母さんからも期待はされる。そうするともっと自分のモチベーションも上がる。

この3つの円の重なりのところがモチベーション最高のポイント。モチベーションが上がっていないときは、これを思い出してみてください。何かが欠けています。何かが欠けている。

欠けているのであればそれを補うように、円をずらしながら自分でマネジメントすることができる。そうすると自分でモチベーションを上げることができます。おもしろいね。こんな構造。こんなことは学校では教えてくれないと。

モチベーション想像メソッドで夏休みの宿題を解決

今日はあと10分ぐらいありますけれども。こういうふうにフレームワークを使っていろんなところで世の中を見ることができるようになると、落ち着いて問題を対処することができます。

仕事ができる大人は、こういうフレームワークというものを結構使います。あと8分ぐらい時間がありますから1個トライしてみたいと思うんですけれども。

どのフレームワークをやってみますか。さっき事実と解釈をやってみましたから、どっちかをやってみましょうか。2択。問題解決メソッドやってみたい人。1人。少数派でした。

モチベーション創造をやってみたい人。こっちが多い。ちょっとごめんね。モチベーション創造メソッドを今からやって見ましょう。

今、モチベーションが上がりきっていない何かを思いついてください。宿題。わかりやすいな。夏休みの宿題わかりやすいね。これを絞ってみましょう。

夏休みの宿題……モチベーション最高潮の人? あまりいないよな。夏休みの宿題をモチベーション創造メソッドのフレームワークに落としながら、どのようにしてあげられるのか5分ぐらいで考えてみてください。5分後発表してもらって終了しますね。

(参加者、自習時間)

青野:じゃあいきましょうか。何か技を思いついた人。何でもいいですよ。どのように向き合いますか? 夏休みの宿題。

周りの人を巻き込んでモチベーションをあげる

参加者:小論文の課題が出たんですよ。夏目漱石の『こころ』を読んで。今度読書が好きな友達と会うので、『こころ』の話をしたいなと思って。やりたいことに「友達と『こころ』について話す」というのをあげて、何とかモチベーションをあげようかなと思います。

青野:うまいですね。人は1人だともあまりモチベーションを上げるのは難しいので、誰かと一緒にというのは良い作戦ですね。仲の良い友達と『こころ』について話をするというのは、いきなりやりたいことに変わってくる。

それを事前に話をしておくといいよね。事前に話をしておくと期待されるからね。「あっそうなんだ。私の好きな『こころ』を一緒に話をしてくれる友達ができた。ラッキー」みたいな。

向こうから期待がかかるわけですよ。期待に応えなきゃみたいな。いいかもしれませんね。他いきましょうか。他、何か思いついた人いますか?

参加者:数学が苦手で、科学が得意なんですけど、まず科学からやって、数学とかそういうわからないところは母親とか友達に教えてもらいながら。一緒に勉強会みたいな感じで。お互いの得意、不得意をカバーして。

青野:うまい。得意、不得意のカバー。できるところが多いまずは科学の所からやろと。こっちのほうがどちらかというとモチベーションが高いから。これはできると。

モチベーションが低い数学のほうは他の人に補ってもらいながら、期待をかけてもらいながら、得意な人は教えたいかもしれないから、教えたい人を巻き込んで、自分のモチベーションを増やせると。

キーワードは人を巻き込むことかもしれないね。他ある人。いってみよう。

参加者:友達と宿題がどっちが先に終わらせられるか勝負して、負けたほうがラーメンおごる。

青野:これは負けられないね。マジで。目標設定したね。目標を設定して友達に勝つということ、やりたいこと、逆を言うと負けるというとやりたくないことだから、やりたくないことを明確にしてそれを避けるように自分の心をマネジメントしましたね。

そして友達を巻き込む。とっても上手なやり方ですね。ちょっと時間になりましたので、もうちょっと聞きたいのですけれども、ここで締めたいと思います。

本日の授業のまとめ

今やっていただいたみたいに、モチベーションがあがらない理由が必ずあります。あげる理由も必ずあります。うちの5歳の子供なんかはすごいわかりやすいですよ。

『ポケモン』大好きなんですよ。『ポケモン』の映画が今やっているわけですよ。あれ観に行くためだったらどんなことでも頑張りますね。「朝ご飯食べないようでは、ポケモンの映画に連れていかないぞ」と言ったら「わかった!」と。おもしろいですね。

それくらい人間の心はおもしろくできております。やりたいこと、できること、やるべきことを重ね合わせれば、自分の心をマネジメントできるようになります。ぜひこういったフレームワークをうまく使いこなしていただければと思います。

ちょっと振り返り。「チームとは何か」というのをやりました。チームというのも条件があるわけです。うまくいってないチームは何か条件が欠けてる。そこを補えばよい。

2つ目、「事実と解釈」。解釈は人によって違います。違って当たり前。喧嘩する必要はないのです。そのときは落ち着いて事実を確認する。相手が何の事実を持っているのか確認する。建設的な話をする。

その事実をもとに人は理想を持ちます。課題を設定します。お互いどんな理想を持って、どんな課題を設定したいのか。それを上手に表現できればスムーズに会話することができます。

最後。やる気をあげるのが大変。これにもテクニックがあります。技があります。条件さえそろえば人間の心というのはモチベーションを引き出すことができます。

こういうことを見ながら、うまく使いこなせるようになると、人生はもっと楽しく生きられると思います。今日は時間になりましたので私の1限目の授業は終わりにさせいただきます。ありがとうございました。

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