2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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古川健介氏(以下、古川):ありがとうございます。ここからはちょっと個別の質問もとりあげたいなと思います。たとえば「メルカリさんの、すぐ売れたみたいなユーザーさんの感動ポイントはどこだとお考えですか?」っていうのを書いてる方がいて。感動ポイント、「ここが大事だ」みたいなのあったりしますか?
苅田直也氏(以下、苅田):まず、本当に率直に、一瞬でフィードバックがあるっていうのが驚きに繋がっていると思います。みんな、出品するときって「まさかこんな商品、売れないんじゃないか」って、結構半信半疑で出してる方が多い中で、いきなり「いいね!」が付いたりコメントが付いたりするという。期待値が低い分、そういうのが感動ポイントになるのかなと思いますね。
古川:なるほど。続けてなんですけども、「USでは『しまむら理論』を使わなかったと言っていましたが、実際に上手くいってますか?」っていう直球な質問があるんですけど、これはどうですか?
苅田:自分も先月一ヶ月くらいアメリカのほうに滞在してまして、アメリカのほうのCXの改善っていうのをやってたんですが、現状は目標通りというか。まだまだ越えないといけない壁はあるんですけど、良い数字も徐々に見えてきていて、まだ全然チャンスありという感じで頑張っていますね。
古川:ありがとうございます。ちなみにクックパッドさんにも質問があるんですけど、松浦(弥太郎)さんが入られたじゃないですか。それによってコミュニティの世界観とかは何か、どう作っていくのかとかあれば教えてください。影響があるのかどうかとか。
中山亜子氏(以下、中山):社内にはものすごく良い影響がありますね。めちゃくちゃキラキラしたおじさまなんですけど(笑)、「基本的なことを忠実にやる」みたいなことを体現しているというか。
今「くらしのきほん」っていうサービスを松浦さんを中心にやってるんですけども。本当に基本的な当たり前のことを、松浦さんなりの言葉で表現してくれているので、結構社内の人間もサイトを見て、1日3回松浦さんがメッセージ書いてくれるんですけど、それだけでモチベーションがあがるっていう雰囲気もあって。
元々エンジニアとかは特にアサインしていなくて、松浦さんが1人で立ち上げたサービスなんですが、「私も手伝います!」みたいな、皆さん時間外で協力し合って作ってきたっていうのもあって。
そういう言い出しっぺがいて、おもしろいところに皆が集まって何か作るっていう雰囲気が、より浸透してきたかなと思います。
古川:それ良いですね。ありがとうございます。
古川:ちょっとこれ僕も聞きたいんですけど、荒らしへの対応策みたいなものを。アンサーのほうから、どういうことをやっているか説明してもらって、その後お二人にも聞いてみたいなと思います。荒らしの対策法です。
久間美咲氏(以下、久間):アンサーでは、今ちょうど仕組みとしてもう少し入れていこうと検討しているところなんですけども、基本的には、「人の目でまず見よう」っていうのがあります。
機械的なルールで、例えば「投稿が何文字以上じゃないといけない」とか「何回連続で投稿したら消されてしまう」っていうのは、可能性として、「ただ単に楽しいコミュニケーションをした結果何回か連続で投稿した」みたいな方もどうしても出てくるので、あんまり機械的なルールでやって、問題なかった人に、罰じゃないですけども制限がされてしまうというのは、ベースとして良くないかなと考えているので、人の目でフィルターを通した後に、「荒らしの方が思う存分荒らすんだけども、周りの人には気付かれていない」みたいな仕組みを考えようとしています。
古川:余談なんですけど、荒らし対策の会議をやると結構殺伐としがちなので、ものすごい緩やかな会議にしようとしていたりします。そうすると、「荒らした人には制裁を与える」みたいな話しになりづらくて。例えば「猫の動画を1分間見せよう」とか(笑)。しかも「超高画質で、いやがらせしよう」とか、和やかな対策が出てくるので良いなあって思ってやってますね。
古川:中山さん、クックパッドって荒らしとか多いんですか?
中山:あります。
古川:どんな荒らしをするんですか?
中山:誹謗中傷みたいなものだったり。コンテンツで言うと、公序良俗に反した画像を使ったレシピだったりとか「つくれぽ」だったりとかっていうのも、たまにあります。
ただ、クックパッドも投稿の敷居を下げたいので、投稿する段階では皆さんばんばん自由に載せられるんですけども、投稿した後なるべく早い段階で全てのレシピと「つくれぽ」に目を通すようにはしていて。
本当によろしくないものは即削除ですし、ちょっと疑わしいものに関してはアラートを出すようなことで、全部目を通すようにはしていますね。
古川:やっぱり投稿前に規制はしないっていう感じですね。
中山:しないですね。
古川:メルカリさんとかどうですか?
苅田:うちも投稿前の規制っていうのは、特定の禁止ワード以外はほとんどないんですが、荒らしっていうところで言うと、うちが「スパム出品」って呼んでいるものがあって。今メルカリはピュアCtoCという方針でやってるので、業者さんはNGなんですけど、一定期間内に大量の商品を出すようなユーザーさんに関しては、自動で検出して、目視で確認して注意をするっていうようなことをやっていますね。
古川:結構皆似てるんですね、おもしろいですね。
古川:ちなみに次の質問は、私も聞きたいものなんですけど、「社内での理解」について。
「それぞれ職種名は違うと思うんですけど、コミュニティマネージャーの仕事を評価してもらうのは難しくないですか?」っていう質問があって。たぶんこの人苦労してるんじゃないかなっていう空気があるんですけど。
その辺とか、あと社内とかチーム内でのコミュニケーションで気を付けてることとか、ちょっとお聞きしても良いですか?
まず、コミュニティにまつわる人とかの仕事って、社内でどういう評価なのかっていうのがもしあれば教えてもらいたいです。僕の勝手なイメージなんですけど、3社とも結構コミュニケーションにまつわる人の地位が高いイメージがあって。そうでもないですか?
中山:そうでもないです(笑)。
古川:メルカリさんは高くないですか?
苅田:うちの場合は、まだまだ出品数とか取引数を伸ばしていこうみたいな雰囲気は強いですが、半年前くらいから、自分中心にCXっていう、お客さんの声を参考にして「短期的には出品数とかに直接跳ね上がってこないんだけど、中長期的には絶対やったほうが良いよね」みたいな顧客体験の向上について、本格的に取り組み始めたという感じですね。。
コミュニティマネージャーというか、そういう業務を担当する人は、いかに「顧客体験の向上が、サービスの成長に役立ってますよ」っていうストーリーを自分でつくることが本当に大事だなと、最近すごく感じてますね。
古川:やっぱりみんなちょっと苦労しがちなところなんですかね。
古川:中山さんどうですか、社内で。
中山:苅田さんが仰ったように、結構数字っていうのは重視しているので。コミュニティっていうとふんわりした感じになってしまいますけど、結局それで投稿のUUがどれだけ増えたかとか、「つくれぽ」のUUがどれだけ増えたかっていうのは、結構シビアに見ていますね。
投稿だけではなくて、コミュニティを活性化させるって意味で、レシピコンテストみたいな施策をして、自由に応募できるようにしているんですけど、それによって応募がどれだけ増えたとか、年間とおして見ているので、結構シビアに成績が見えるっていう感じですね(笑)。
古川:ちゃんとKPIと接続されてできてるって感じなんですね。アンサーの場合はどうですか? 僕の前ですごい喋りづらいと思うんですけど、いないものとして、社内の扱いはどうだっていうのを。
(会場笑)
久間:4月にできた職種で、私がこの会社では初めてっていう職種なので、私も上司も探りながらみたいなところもあるんですけれど、あんまり「コミュニティマネージャーだから」っていうことは意識はしていなくて。
開発ディレクターの頃と比べると、やることは少しコミュニティよりにはなってるんですけど、特別何か変えたっていうことはなくて。
結構、自分が思いっ切りユーザーになって、開発者さんにもユーザーとして「こんなこと考えてるよ」とか「皆こう言ってるよ」とか言うのをめちゃくちゃ頻繁にやったり。
あと、開発者さんが考えて実施したものをアプリ内でユーザーさんが何か言ってたりしたら、それを徹底的に拾って、「お問い合わせには来ないんですけど、アプリ内ではこんなこと言ってたよ」っていうのを、鬱陶しいかなって思うときもあるんですけど社内のチャットとかでめちゃくちゃ共有して、絵文字いっぱい付けて、「やったー!」とか言ったりしています。
古川:なるほど。絵文字大事ですよね。
古川:時間の関係で、ここであと1問と、会場からもし追加であればお聞きしたいんですけども。「クックパッドの広告へのこだわりは?」っていうのがあったので、そこで今回の話に連動したものがあればお聞きしたいなと。結構「ユーザーさんが楽しめる広告」みたいなところにこだわっているイメージは、僕もあってですね。もしあれば。
中山:私、元々広告事業に携わっていた期間もすごく長いですし、広告事業の立ち上げもやっているんですけど。クックパッドは元々すっごくお金のない貧乏時代が長かったんですが、あえて広告入れないみたいなポリシーが実はあって。
最初、「広告っていうのは、レシピを載せたり探したりっていうのに邪魔になるんじゃないか」っていう思いもあったんですけど、本当に食べていけない状態だったので(笑)。
でも、そうは言っても、「料理が楽しくなるためのサービスなんだから、料理が楽しくなる広告だったら良いんじゃないの?」っていうことになって。判断基準は「料理が楽しくなるかどうか」っていうものですね。
なので、料理が楽しくなるっていう条件であれば、食品に限らずとも、料理が楽しくなる車とか、料理が楽しくなるイベントとか、そういうものであれば上手くユーザーさんに還元できるので。
判断基準は「料理が楽しくなるのかどうか」ですね。
古川:僕は、代々木のとあるオフィスに間借りしてて、3名くらいしかいらっしゃらないときにクックパッドさんのオフィスをちょっと見ていて。「こんなに良いサービスなのに儲かってなくてかわいそうだな」って思ったことを、すごい覚えてます。
中山:そこ、たぶん私いました(笑)。
古川:では、まだ紹介してないものもありますけど、「ここに書いたけど、どうしても聞きたいんです」とか、「今の話を聞いて追加で質問したい」みたいなことがあれば、手を挙げていただければ。はい、ではそちらの方。
質問者:コミュニティって全体でいろんなユーザーさんがいらっしゃると思うんです。例えばヘビーユーザーさんだったり、フォロワーに当たる方だったりとか、一概に「投稿数が全体でいくら」っていうよりは、ユーザーのセグメントごとに分けて数値を追っていたりとか、セグメントを意識するっていうところってどこまでいってるのかなと。
古川:すごく良い質問ですね。答えたいという方いますか? 要はヘビーユーザーとかライトユーザーごとに指標が違うとか、こういう人はこういう数値を重視しているとか、施策の違いがあれば。
久間:セグメントとは微妙に違うんですけども、最近アンサーは「カテゴリ」っていうのを取り入れていて。例えば「ポエム」っていうカテゴリとか「ニュース」「恋愛」とかってあるんですけども、それぞれのカテゴリでとるコミュニケーションは微妙に違うんじゃないかっていう前提を持っていて。
1人の人が話したことについて皆が相談型で話していくものもあれば、最終的には1対1で深い話ができるところとか、ニュースとかでいうと、1つの話題に対して多くの人が話すとか。
一概にコメントが伸びたら良いっていうわけでもなかったり、場合によっては参加者が多い場合が良かったり、カテゴリによって違うかなっていうのを考えだしているところですね。
古川:「ポエム」は全然コミュニケーションしてもらえないですね。ポエムを書いて終わるっていう。そういうところは、そういうもんだっていうふうにしてます。
古川:お二人はありますか?
中山:セグメントというか、ユーザーさんの投稿の段階では、コミュニケーションというか、フィードバックの仕方を分けているというか。例えば初めてレシピを投稿した人に対しては、すごく手厚く、「初めてのレシピが公開されました」とか「初めてアクセスが来ました」とか、「初めて保存されました」みたいな。それだけでユーザーさんも感動できて、「こんな私のレシピでも見てる人がいる」っていうのがわかるんですね。
ただそれを2品目、3品目ってやっていってもあんまり意味がないので、その後は例えば10品、50品、100品みたいなメモリアルな数字で切って、そこに対して、例えば100品って結構すごい数なんで、ユーザーさんのレシピをアルバムのような形の画像にしてあげて、それを壁紙としてプレゼントしたりとか。
そういう、ベテランになればなるほど区切りを大きくして、大きなものを返してあげるような形にしているのと。
もっと上にいくというか、ほとんどプロみたいな方もいらっしゃるので、そういう方に対しては公式化みたいにして、例えばレシピ本に載せてあげたりとか、あと出版社を紹介してあげて、その方の本を出してあげたりっていうこともやってますね。
古川:ありがとうございます。時間の関係上で、こちらで終わらせていただきます。もし質問があれば、この後の懇親会で話しかけていただければなと思います。
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