2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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司会:ここからは、クックパッド株式会社中山様、株式会社メルカリ苅田様、株式会社nanapi久間、そして株式会社nanapiの古川をファシリテーターに、今皆様に記載していただいたことをテーマに、コミュニティマネジメントに関してパネルディスカッションを行います。それではこの後、進行は古川に移させていただきますので、よろしくお願いします。
古川健介氏(以下、古川):よろしくお願いします。それでは、皆様からのご質問に対して、多かったものから順に聞いていきたいと思っています。
一番多かったのは、安全安心とか、炎上対策のところですね。「炎上対策についてどうしているか」「良い投稿悪い投稿の線引をどうしてるか」。
ちょっと皆さんに聞いていきたいんですが、まずはメルカリの苅田さんから。問題のある投稿があったときどうしてるかとか、炎上したときにどう対応しているか、とかありますか?
苅田直也氏(以下、苅田):まずメルカリに関して言うと、商品とコメントというところでユーザーの投稿があるんですが、商品に関して言うと、大前提としては安全であること。プラスアルファとして違法性がないこと、という2軸にはすごい重きを置いていて。
それ以外のところ、言ってみればどこまでグレーゾーンがいけるのかっていうところに関しては、カスタマーサポートのリーダーと社内の法務のほうで常にコミュニケーションとりながらラインを決めているという感じです。
古川:問題のある投稿って、一見してわからないものが多いと思うんですよ。たとえば、著作権犯してるとか。その辺のチェック体制とか、どうしてるんですか?
苅田:直近の取り組みでで言うと、権利者の方と直接連携して進めたりしているケースもあります。
古川:ありがとうございます。中山さん、クックパッドのほうはどういった炎上とかトラブルがあるのかから、その対策法まで、教えていただいて良いですか?
中山:よくあるのは、レシピっていろんな方が書いていると似たようなレシピも多いですし、実際雑誌に載っていたプロの方のを転載してしまったっていうのもあったりするんです。
それを防ぐというか、今クックパッドのレシピには項目の中で「このレシピの生い立ち」っていう欄がありまして。作者さん自身がこのレシピを書くときに、このレシピがどうやって生まれたかっていうのを、自分の言葉で書いてもらってるんですね。
元々はこの欄はなかったんですけれども、パクリ疑惑だとか炎上してしまう事案が増えたときに、「パクリはやめてください」とか「違います」とか言うよりも、作者さん自身にきちっとそのレシピの生い立ちを書いてもらうことで、作者さん自身も振り返って私のレシピだなと感じることができるし、客観的にレシピを見た方にとっても、このレシピはどういうふうにできたかって伝わるようになりました。
例えば「おばあちゃんから教わって親子3代続いている大事なレシピです」って書いてあると、そのレシピの価値自体も高まることになって、皆もより興味を持てるようになるので、できるだけ「禁止」とか「だめです」って表向きに言うよりは、サービスの中で自浄作用というか、自然に意識して書けるように持っていくっていうのは、結構上手くやってるかなと思います。
古川:プラットフォームでそれが解決できるのは、めちゃくちゃ素晴らしい感じですね。ありがとうございます。
古川:それでは久間の方から、アンサーではどういったことをやってるか紹介してください。
久間:アンサーでは、ガイドラインや利用規約に反するような良くない投稿、例えば出会いを求める投稿ですとか卑猥な投稿っていうのは、どんどん厳し目にというか、こちらも頑張って削除とかしていっています。
一方で、捉える人によっては嫌に思うようなもの、例えば誹謗中傷だったりとか、ユーザー間の揉め事とか。そういったことには、投稿としてはあまり消さないようにというか、お任せするようにしています。
そうしている理由は、運営が本当にその人が嫌だったかっていうのを、どこまで判断したら良いのかわからないっていうのと、考え方としてあんまりきれいな場所にし過ぎたくないっていうのがあって。
こちらがめちゃくちゃ管理しているきれいな場所って、逆に不自然だと思っているので、そういったユーザー間に起こることについては、まずはユーザーさんに「自分たちで解決してみよう」っていう感じでお返ししたりすることが多いです。
古川:ありがとうございます。次はフィードバックのところですね。「ユーザーの声ってどうやって反映されてますか?」。また、ちょっとおもしろいなと思った質問は、「休眠しているユーザーさんとのコミュニケーションはどうしてますか?」とか「ユーザーアンケートを取るというのは、施策としてタブーじゃないかという意見もありますが、どうしてますか?」などがあります。
では、中山さんに「ユーザーさんと直接コミュニケーションして声を吸い上げる」みたいなことは、どういうことをやっているのかお聞きしたいと思います。
中山:ユーザーインタビューはちょこちょこやっています。発表でもちょっと話したんですけど、今目の前にいるこの人が、1つのモデルケースとしてどういう気持ちでレシピを投稿したり利用したりしているのかっていうのを聞くためです。
ユーザーインタビューの目的は、皆さんの意見を聞くというよりは、こちらが立てている仮説の確認というか、それがハマっているかの確認みたいなかたちで聞くことが多いですね。
古川:なるほど。一説によると、上位の投稿者の方に電話をしていたって噂を聞いたことがあるんですけど、あれは……。
中山:電話はしてません。どこの都市伝説ですか(笑)。
古川:わかんないです!けど、これ僕、めちゃくちゃ人に言っちゃってたんですよ。「クックパッドは電話しているんだぞ!」って。
(会場笑)
中山:してないです。1度もしてないです(笑)。
古川:あれ、おかしいなあ(笑)。苅田さん、どうですかね?
苅田:うちの場合は、ユーザーの声をどうやってプロダクトに反映していくかっていうところで申し上げると、社内で日報の仕組みが結構整ってまして、カスタマーサポートのスタッフが100名くらいいるんですけど、100名が日報を書いて、それを僕だったり経営陣も見てたりするんで、そこから結構吸い上げていくっていう感じ。
古川:日報、おもしろいですね。
苅田:ただ、ユーザーの声を全て聞いてるとなかなか良いプロダクトってできないと思うので、いかにその中で本質的な課題をチョイスするかっていうのは、常に試行錯誤しながらやってる感じですね。
古川:結構ユーザーさんの直接なフィードバックってそのままでは使えないことがあると思うんですけど、どういう基準で、「これは本質的にはこういうことだ」みたいなのを判別してるんですか?
苅田:例えば、日報を見たときに、特定のキーワードでトラブルが結構起こってるなっていうときは、SQLを叩きにいって、実際デイリー何件くらいそういうトラブルが起きてるかって見た上で、それが解決すべき課題だと判断したら、さらに詳細を詰めていくっていう感じですね。
古川:なるほど。アンサーではどうですか?
久間:アンサーは、発表にもちょっとお話したんですけど、コミュニケーションをとりやすいサービスなので、自分のほうからどんどん出ていって、わりと気軽に、雑談も含めて話しにいって、そこから意見を貰うっていうことが多いです。貰うだけではなくて、こちらの考えとかを共有させてもらったりして、ユーザーさんと一緒に理解を深めていったりします。
アンケートもやったりしたんですけど、目的は量とか計るというよりかは、定性的なことを計るためのアンケートにしていたので、多いものを採用するとかではもちろんなくて、「こんなこと言ってる人がいる」とか分類分けして、開発チームにお戻しして、施策に落とすっていうことをやったりもしました。
古川:なるほど。ちょっと近い話だと思うんですけど、逆にユーザーさんのとこですね。特に初期のコミュニティって、投稿するユーザーがいないと価値がなかったりするんですけど、コンテンツがないからユーザーさんが来ないという、いわゆる鶏卵状態の問題になるというんですけども、その辺の質問がいくつかありまして。
コミュニティはどうやって広めていくのが良いのかみたいなところを、今度は久間のほうから聞いてみたいと思います。
「初期の頃はどうやればいいのか?」「サクラはいましたか?」みたいなのが来てます。この辺、ちょっと聞きたい人も多いかなと思います(笑)。
久間:初期のアンサーは、とにかく書き手を増やすことのみに集中していました。今もそれに結構近いんですけれども、とにかく気軽に投稿できるっていうのに集中してまして、書き込みをまず増やすっていうことをやっていました。
サクラというか、スタッフさんがついて、1日中即レスをしていました。そんな感じで、全てのものにすぐ返事が来るっていう状態を最初は頑張って作って。そうすると最初にヘビーユーザーになってくれた方が、今度来た人に同じような対応をしてくれるっていうことが、結構きれいにできたかなと思っています。
古川:さっきのプレゼンでも、3社とも「いかに投稿者を重視してるか」っていうのが出てきておもしろかったな。クックパッドさんもだいぶ長い間、「レシピを載せるサイト」って言ってましたよね。あれってやっぱり、そこを意識してたんですか?
中山:元々サービスのキャッチフレーズが、自分が使い始めたときは「レシピを載せるならクックパッド」でした。今は「毎日いろいろ楽しめる」とか「レシピ検索ナンバー1」とかなんですけど、載せるサービスとしてスタートしているので、そこであれこれ考えるというよりは、載せたいときにすぐ載せられるようにしたいなと考えて、フォーマットとかをすごく研究しました。
あと、インターネットの黎明期からサービスが始まってるので、当時競合がなかったっていうのもありますけども、その後いろいろ競合が出てきてからも、例えばデバイスが、スマホが出てきて、タッチデバイスが出てきてって、どんどん変わってきてるなかで、いち早くそこに対応して、「載せようと思ったら、すぐクックパッド」っていう状態を作ってきたっていうのは、1つあると思います。
古川:「レシピを載せるサイト」っていうようなキャッチコピーから変わったのって、いつくらいでしたっけ?
中山:自分の記憶では、たぶん2000年代半ばから後半くらいかなという感じはするんですけど。正直、検索で来てくださる方は本当に自然に増えていったので、サーバーの負荷が掛かりすぎてしまって、逆SEOみたいなことをやってたくらいなので。そこはすごくありがたい状態でやっておりました。
古川:なるほど、それはすごいですね。メルカリはやっぱり、出品をいかに増やすかが最重要になってくるんですか?
苅田:そうですね。購入をどう伸ばすかとか、他のいろんな指数をどう伸ばすかという議論もしていますが、結局出品さえ伸びれば全部伸びるっていうのがわかってきたので。
うちもまだまだ成熟した段階ではないので、まずはシンプルに出品数を伸ばすっていうところにフォーカスしたほうが良いかなっていう。
古川:「出品が伸びていれば他の数字も付いてくる」っていうのは、もう明確なんですか?
苅田:そうですね。
古川:それはいつくらいにわかったんですか?
苅田:出品者の方が投稿する商品の値段だったりとか、商品の質だったり、そういったもので購入率って変わるのかなって思ってたんですけど、意外にそこって変わらなくて。
初期の頃から現在に至るまで、本当にある一定のパーセンテージが保たれていて。もちろんそこは改善の余地はまだまだあるとは思うんですけど、そこのパーセンテージを変えていくっていうよりは、出品数を伸ばすっていうところにフォーカスしたほうが、今は良いかなと。
古川:なるほど、おもしろいですね。それと近い話として、人が集まるからコミュニティなのか、コミュニティ設計ありきなのかっていう質問がいくつかありまして。
コミュニティ設計観点で、何か工夫してることってありますか? それぞれ皆投稿が大事だっていう話だと思うんですけれども、投稿を増やす設計のところって何かあったりしますか? 久間からいきますか。例えば、コメントは敷居が高いけど「いいね!」だと敷居が低いので、そういうもので回りやすくするとか、そういう話が何かあれば。
久間:今もわりと短い時間なんですけど、初期のアンサーは、投稿したものが消えるというか、終了する時間が早いというのが、1つ特徴だったかと思います。
最初は投稿終了したら24時間とかで、他の人から見られないようにしていたり。最初は他の人がどんな投稿してるかというのはプロフィールページに行けば見えたりしていたんですけれども、そういうのもどんどん見えなくして。「私がどんなこと話したか」は、今のこの会話には関係ないじゃないっていうところとかを、結構意識して設計していたというのはあります。
古川:お二人はどうですか? もしあれば。
中山:1つあるのは、今投稿コンテンツっていうのはクックパッドの場合はもちろんレシピがメインであって、「つくれぽ」は後からできたんですけども。
初期、「つくれぽ」がない時代っていうのはコミュニケーションの負担っていうのは結構あって。レシピを投稿する以外にコメントが書けたり日記が書けたりっていう機能があるんですけど、レシピ自体を使った人が「美味しかったよ」っていうのを日記に書いたりとか、コメントを残したりとか、自分が作ったのを写真に撮ったりとかしてたんです。
作者さんたちは、わざわざ載せてくれたのを見にいって、日記を見て、「ありがとう」のコメントを残し、写真を拝借して、自分のレシピの手順の1つとして「この方が、こんなふうに作ってくれました」っていうのをして。嬉しいからやっぱり書きたくなっちゃうんですけど、それってコミュニケーションとしては重いというか。
でもそれを一生懸命やってくれてる人もたくさんいて、そこに時間をとられてしまうのはもったいないというか。それを解消したのが「つくれぽ」っていう仕組みかなと思っていて、それによってレシピもどんどん見られるし、さくさくコミュニケーションもできるので、お互い上手く回るようになったのかなと。
古川:初期の頃って、掲示板とかありましたよね。
中山:ありました。
古川:途中で消えて、結構最近また復活したと思うんですけど、ああいうのってどういう経緯なんですか?すみません、マニアックな質問で。
中山:よくご存知だなと思ったんですけど(笑)。消えたというか、掲示板に関してはメインのコンテンツではなかったので。あれがあった時代、ユーザーさんが何十万人っていう時代は本当に数名で運営していたので、そこまでケアできなくなってしまったっていうのは正直あります。
今はある程度体制を整えて、別サービスの「カフェ」っていう形で運営してるんですけども、そこはもう別の形で上手く回せるようになってきたので。そこで別の、料理だけでないコミュニケーションが広がってきてるかなと思います。
古川:ありがとうございます。メルカリだと、設計で何か工夫したことってありますか?
苅田:さっきの発表のところでも、出品のところは工夫したというか、意識したところかなあという感じですかね。
古川:設計としてはリリース時から全然変わってないっていうイメージがあるんですけども、最初から「こうだ」っていうのが決まっていて、それで上手くいっている感じなんですか?
苅田:そうですね。うちはそういう意味では大きな方向転換はなかったかなと思っているんですが、先ほどちょっと話したところでいうと、出品者が商品を売ったあとに、売上金が入るんですけど、元々はそれを使って購入できる仕組みっていうのはなくて。それを入れてから、けっこう良い感じで出品と購入が加速していったかなというのはあると思います。
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