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6月25日「グローバルキャリア〜自己革新を続けるために〜」(全4記事)

「未来予測ではなくて未来創造だった」 元アップル前刀禎明氏が語るスティーブ・ジョブズとの思い出

2015年6月25日、都内で行われた合同キャリアイベント「グローバルキャリア~自己革新を続けるために~」に株式会社メタップス代表取締役CEO・佐藤航陽氏、株式会社リアルディア代表取締役社長・前刀禎明氏が登壇。アップルの日本法人で代表取締役社長を務めた前刀氏は、入社時のスティーブ・ジョブズとの最終面接から、iPod miniの大ヒットまでを振り返り、アップル社を辞めた後に立ち上げたリアルディアの取り組みについて語りました。

スティーブ・ジョブズとの奇跡の2ショット

前刀禎明氏(以下、前刀):アップルのこと、少し話をさせてください。

スティーブ・ジョブズとの写真なんですけど、これはアップルに入社するときに最終面接がスティーブ・ジョブズで、もう生スティーブと二度と会えないかもしれないから「せっかくだから記念写真を撮らせてくれ」と彼に頼んだら「ダメだ」と思いっきり断られて。

「お前がアップルに入ったら撮らせてやるよ」と言われました。その直後に人事責任者に「あいつを採る」と彼は言っていたそうなんで、当然「入れるからまたチャンスあるよ」ということを言ってくれたんだと思っています。

初めて出張に行ったときに、アップルストアの総責任者のロン・ジョンソンという人間がいて、その人間とアポを取っていて、部屋に行ったら先客がいて、時間が過ぎているのになかなか出てこない。

ちょっとのぞいたらスティーブがいるんですね。スティーブに出ていけとはさすがに言えなくて。

立っていたらスティーブから手招きされて「入ってこい」ということで、3人でしばらく話をしたあとに、スティーブから「俺はもう部屋に帰るから、お前ら2人で話せ」という、その瞬間に「スティーブちょっと待って、お前俺と約束したよね」っていうことで、そのロン・ジョンソンっていうメチャクチャ偉い奴に、持っていたデジカメをバッと渡して、1枚だけ写真を撮ってもらった奇跡の写真です。

ていうのは、通常の社員がスティーブに写真撮らせてと言おうものなら、その瞬間にfiredでしたね。いきなりクビにされてしまうので、まさに奇跡の1枚ということです。

国内で物議を醸した「Goodbye MD」のメッセージ

これ2004年にiPod miniを発売したときの写真です。

(映像開始)

(映像終了)

前刀:「Goodbye MD」というのがキーメッセージだったんですが、これ、最初に手掛けたCMなんです。

このメッセージを最初に出したときにソニーの大先輩から電話がかかってきました。当時MD大国の日本はソニーとパナソニックの2大帝国だったので。

「あれは社内で問題になってる。Goodbye MDっていうメッセージはキツすぎるから下げてくれないか」って言われました。「いや、無理です。これ仕事ですからね」って言って断ったんですけど(笑)。

「デジタルミュージック革命へようこそ」ということで、記者会見の場所で、私はこう宣言しました。

「アップルはMacをつくっているだけの会社ではない。これからデジタルミュージックのリーディングカンパニーになる」と。そして、まさにその通りになったわけです。

(映像開始)

レポーター:名刺入れと比べると、その大きさがわかると思います。

前刀:パソコンの周辺機器という発想がなくて、むしろ逆なんですよ。

ナレーション:パソコンが周辺機器だと言っているのはアップルの前刀氏。アップルは今日、携帯型音楽プレーヤーiPod miniを発表しました。

(映像終了)

前刀:という、発表当日のテレビなんですが、発表の当日はオープン前に1000人以上が銀座のアップルストアに並んで大盛況。大ヒットしたわけです。

iPod mini発売時のマーケティング方法

特に、自分でもこれはよくできたなと思うのが、日本独自のマーケティングをこのときに展開できたことです。

これはiPod miniの実物大のプラスチックのカードなんですが、このようにポスターに貼ってあって、これを持って帰ってもいいよっていうアプローチなんですね。

なかなか入手するのが大変で、これ渋谷の通路なんですけれど、ヤフオクに出るくらい人気があったんです。しかもここに僕がいるんですよ。現場主義なんで、必ずこういうことはやりました。

後日、広告代理店の人から「前刀さん、すごくいい写真があるんですよ、欲しいですか?」っていうから「いい写真なら欲しいです」っていったらこの写真だったんです(笑)。

何が独自のアプローチだったかというと、このカードの裏にipod.com/pink、 blue、green、silver、goldという、5つのURLが書いてあって、それぞれにアクセスすると、このようにiPod miniをどのようにコーディネートするのかというページです。

「これ実は4Gで、1000曲入ってどうのこうの」とそんなことをうたうんではなくて「どのように楽しむのかっていうことを想起できるようなアプローチ。

これは世界でも日本が初めてで、このあとスティーブが気に入って他国にも展開されたアプローチです。

このiPod miniをきっかけに、どんどんMomentum Building、大きなMomentumをつくっていったんですが、新しくビジネスをつくるときに必要なのは、まずMomentumを起こす。

そしてそこに新たな需要をつくる。日本の企業はここで終わるところが多いんですけど、そうではなくて、Demandで終わることなく、さらに強いDesireをつくり出していくというのが、新たに世の中にビジネスを構築していくときのポイントになってくるんです。

イノベーションといえばこういうことです。「何を欲しいかなんてそれを見せられるまでわからない」といって「だから自分が欲しいものをつくればいいんだよ」といった人は、まさにこれですよね。

2007年にiPhoneを発表した時のスティーブなんですけども、それまで誰も、電話機からテンキーをなくしてくれなんて言っていなければ、そんな調査レポートもなかったわけで。

まさにこれを発表して「どうだ! これがこれからの電話なんだ!」とスティーブが言って世の中大きく変わっていきました。

未来予測ではなくて未来創造だっていうことです。個人個人の未来も、自分がどうなるかっていうことを思い悩むよりは、自分で人生をつくっていったほうがいいです。

アップルを辞めて立ち上げた会社、リアルディアのサービス

そんなアップルをなぜ辞めたのかと、またあとで佐藤さんのお話に出るかもしれませんけども、シンプルに言うとこれはスティーブの会社だったからです。自分の会社ではない。

リアルディアという会社を今やってるんですけれども、ちょっとだけ話をすると、今FACEという、これはiOSだけなんですけれども、アプリ、プラットフォームをつくっていまして、これはセルフイノベーションをする習慣を身につけようというものなんですね。日常生活の中で感性を豊かにして創造力、表現力を磨いていくというもので。

インターフェースは、こんな写真がふわふわ浮いているようのものなんですね。これご興味のある方は、App Storeで「realdear」で検索していただくとすぐ使えますので、ぜひともチャレンジしてみてください。

この次のアップデートで、プレゼンテーションがちょっと上手になるぜっていう機能を追加します。SELFという機能なんですが、これはプレゼン能力を簡単に高める。

こういった今日お見せしているようなプレゼンテーションもそうなんですけれども、作り方は非常にシンプルなんですが、この機能の中では3段論法のように、3ポイントで物事を語っていこうっていうことです。

たとえば写真とキーワードでDESIRE、

縦にスライドすると2枚目のスライドでEFFORT、

そしてPLEASUREっていうスライドになるんですが、さらに個々のスライドを、上の写真を横スライドするとそのキーワードに対してのメッセージ。

たとえば今日だったら「グローバルキャリアを身につけたい」っていうのがDESIRE。

そして縦1枚行ってEFFORT。EFFORTは何かというと、これは佐藤さんのところで働くこと。

「メタップスで自己革新を行う」と。メタップスで自己革新を行うとどんな喜びがあるかというと、「世界で通用するキャリアが身についた」ていうPLEASUREがある。

というようなことを簡単につくっていくことで、通常のキーノートであったりパワーポイントのプレゼンテ―ションの基礎が身についていくというものです。

そしてこれがサマリーです。HAPPYっていうタイトルで、DESIRE、EFFORT、PREASUREっていうものが簡単にこのiPhone上で作ることができるということです。

ちょっとだけ宣伝させてください。本を私書いておりまして、この『僕は、だれの真似もしない』って本、そして『人を感動させる仕事 ~僕がソニー、ディズニー、アップルで学んだこと~』

そして『心が動く伝え方』という本がありまして、特にこの最後のものは最新の著書で、出たばっかりですので、興味ある方は読んでください。

realdear.comっていうところでいろんな情報を開示していきますけど、今この瞬間サイトにアクセスしていただくと、ろくな情報出てません。リニューアルの直前なので、こういうかたちで新しく近日中にアップデートします。

自分自身にイノベーションを起こす方法

Self-Innovation & Challengeを、私自身はこれからも続けていこうと思っているわけで、どんなことやるかっていうと、1つのキーワードとして、これです。

Dining+Digital+Dreamという、3つで新たな事業開発をこれからやっていきます。ちょっと、内容については今ここではお話できませんけれども、また改めてということで。

皆さんの、今日このあとのディスカッションにも入ってくるんですけども、いろいろ自分の人生を考えたときに、いろんなことが身に降りかかるというか、起きますよね。

その起きたことをこう考えたほうがいいです。すべては自分の責任だと。決して他人とか環境のせいにしない。

そうしたほうがいいのはなぜかというと、全部自分の責任だったらこれから先「自分の責任だからこそ、未来は自分次第なんだよね」と考えられるからです。

今日ここに来て、皆さん何か変わるきっかけを1つ2つ、多分得ることになると思うんですけれども、自分の人生を好きになってください。

そして、昨日の自分よりも今日の自分。そして明日の自分。ということになると思います。

世界をぜひとも変えていってほしいと思いますし、私もこれからまだまだ頑張ろうと思います。

ということで、Free Yourself、自分を解き放ってください。最後2人のディスカッションに入る前に、今日、ここでお話しし切れなかったことも含めて、キーワードをザーッと流しますので、1つでも2つでも心に留まるものがあればうれしいです。

(映像開始)

(画面に文字が浮かび上がる)

Self-innovation & Challenge、自分を信じる、これから何ができるか、直感的に創造的な関連性を発見できる能力、強烈な意志。

限りない可能性を拓く力、未知・未経験なことにチャレンジ、情報を探しすぎない、人の話を聞き過ぎない。

受動的に知識を得るのではなく自分で考える力、自分の考えに自信を持つ、実体験・体感。

実物の質感を感じる、自分で成長する力、独創的な仕事、永続的な影響力、自分の充実感、自分で学ぶ力。

表面的な変化にまどわされない、先入観や固定概念から抜ける、瞬間を見極める、変化を予測する、直感・直観、五感を意識する。

他の追随を絶対に許さない、夢をみる力、素直に学ぶ力、好奇心をふくらませる、自分を信じる力、自分を変える力。

思考を大きく飛躍させられる力、情熱を持ち続ける、Next One、感じる・創る・動かす、未来は自分が創る、明日の自分には無限の可能性がある。

(映像終了)

前刀:短いプレゼンテーションですけれども、皆さんへのメッセージは「明日の自分には無限の可能性がある」ということです。私のプレゼンテーションを終わります。ありがとうございました。

(会場拍手)

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