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「経営者」が育てる次世代リーダーの方法論とその意識とは~次のリーダーをいかに開発するか責務として考える~(全3記事)

「愛されたいなら能動的に動かなきゃ」ジャパネットたかた創業者が本気の愛情論を語る

ProFuture主催 経営プロサミット2015にて「経営者が育てる次世代リーダーの方法論とその意識とは」をテーマに、ジャパネットたかた創業者・髙田明氏とProFuture・寺澤康介氏の対談が行われました。突然の退任を発表し、長男である新社長に経営を託した髙田氏。次のリーダーを育て、バトンタッチできた秘訣は本気でぶつかりあうコミュニケーションにありました。

妥協の中からは絶対何も生まれない

寺澤康介氏(以下、寺澤)講演の中で、なぜ息子さんに託そうと考えたかというと、いちばんぶつかってきたからだと。いちばん自分を出してきて、ぶつかってぶつかって、それに対して「じゃあやってみろ」って言ったときに、自分には想像できないような結果が出たと。

もちろん結果が大事だとは思うんですけども、ある意味ぶつかっていく側も結果を出さないとダメだという、非常に背水の陣でリスクを取ってやられているようなところがあると思うんですけれども。

そういう次世代のリーダーを育成する中でのひとつひとつの「修羅場の体験」と言うのでしょうか、アクションの中で、単に教えるというだけでなく経験させるということも大事な要素じゃないかと思うんですけれども、それはいかがでしょうか?

髙田明氏(以下、髙田):経験させるっていうことは、失敗もそれぞれチャレンジさせることだと思うんですよね。人とのコミュニケーションというのは、親子でもそうですけど、何かのCMでありましたよね「子どもに何も言えない親はダメだ」っていうのが。

武田鉄矢さんが10数年前にCMで言ってませんでしたかね? 今の結構本音で言えなくなってる雰囲気というのがすごく日本全体も世界も弱くしているような気がします。

僕はね、本音でぶつかるんですよ。まじめに、本気で話をする。妥協して議論するなかれ、妥協の中からは絶対何も生まれないと思っていて。だから新社長とも本当に本音で、商品の考え方とかについてぶつかってきました。そういう中で、私も負けずに向こうも負けずにやり続けたことの中に強さを感じてきた。強くなったと思うんですよ。

私が9叱って1ほめるというのはそこなんですよね。本当に愛情を持つ人っていうのはどういう人か、みなさんも考えてみてください。ご自分の子どもさんが中学になって夜中の2時や3時まで帰ってこなかったら心配して、帰ってきたら怒るでしょう? でも人様だったらもしかしたら怒らないかもしれない。「あんなのしないほうがいいよね」とか。

誰とでも本気で向き合う

髙田:私は社員と向き合うんです。誰とでも本気で。本気で向き合う中に、お互いに愛情を感じていくという。だから私はみなさんに「本当にぶつかってますか?」「本気でぶつかってますか?」ということだけは本当に伝えたいと思います。

それがなかったら、やっぱり伝わらないです。政治の世界、医療の世界には、対極があります。先生と患者さん、教授と生徒さん、政治家と国民とか。私たちは消費者のみなさんとの対峙があります。

常に対極がありますから、やっぱり本気でぶつかった相手に対する愛情は持てば持つだけ、政治でも医療でもビジネスでも、一生懸命になると思うんですよ。僕はそこの部分が非常に激しいんですね。

新社長もそれを理解して、社長を引き継ぐときに、「やるか」というときにこう言ったんですよ。私が37歳で会社を作った頃は、4~5人しかいない小さなカメラ屋でした。息子は36歳ですから、私より1歳若くして1,800人の会社を引継ぐというのは、いくら何でも無謀だったかもしれません。でも、1年と言わずに半年ぐらい本気でやるかって言ったら、「本気で覚悟決めて、そこまで言うんだったら覚悟してやろう」って言ってくれて、託したんです。

だから10年間は経験もいっぱいさせましたし、そこの中で、やっぱり彼自身が努力しましたね。そこを見てきてのあれ(社長交代)ですから。やっぱり人とぶつかるときには、本気で子どもと同じように愛情を持ってぶつかっていけば、やっぱり意思が通じるんじゃないかなと、思ったことが相手に伝わるんじゃないかなと。半端では自分の立場を理解してくれるということにはならないと思います。

よく「人に愛されたい」って人間は思いますでしょ? ある方が書いてるんですよ。「愛されたいということは、受動的ですか? 能動的ですか?」っていう質問を投げかけるんですね。ほとんどの方が「愛されたいというのは受け身だ」と答えるんですけど、本当は違うと。愛されたいというのは非常に能動的な行動なんですよ。

それはなぜかと言うと、愛されるために自分を作るということがある。恋愛でも、相手から好かれるような自分を作っていかなきゃいけないというのがありますよね。だから部下とか上司とぶつかるときは、本当に相手の立場で、愛される自分を作るためにどれだけ本気で自分が動くかっていうことじゃないかなと思います。

僕はそういう情熱を持ってるから、結構66年キツい人生を送ってるみたいに見えますけど、これは習慣化して普通にやっていれば慣れてくると思いますので、本気で、本音でガンガンぶつかっていったらいいかなぁと思います。

元気の秘訣はローヤルゼリー

寺澤:ありがとうございます。それでは場内の方から、よろしければ2つ3つ髙田さんに質問を受け付けたいと思いますけれども、いかがでしょうか。もし質問したいという方いらっしゃいましたら手を挙げていただけますでしょうか? ……はい、じゃあお願いします。

質問者:今日は貴重なお話をいただきましてありがとうございます。1点だけ、髙田さんのその「元気さ」というのでしょうか? どうやってその元気さを作っているのかっていうことと、やっぱり社長というかトップが元気じゃないと、会社は元気じゃないと思うんですよね。

番組をよく拝聴させていただいて、やっぱりトップの元気さというのが周りでやっている人たちにもすごい伝わってるなっていうのを私もよく感じるんですけども、その辺の自分自身の元気さと、部下がその元気をもらってどう感じてるのかなっていうところで、何か特徴的なことがあれば教えていただければと思います。

髙田:ありがとうございます。そうですよね、企業のトップに限らず部署の長のみなさんでも、やっぱり部長が元気なかったら部下が元気あるわけないですよね。私のいちばんの理由としてはローヤルゼリーでしょうけどね(笑)。

(会場笑)

髙田:9000円で7か月分で、ビタミンやらアミノ酸からいっぱい入ってますので。もう10何年間飲み続けてますから。必ず僕はこういうお話のときにはローヤルゼリーの宣伝をして帰るんですよ。

(会場笑)

いかなることでも受け入れる

髙田:ここの健康食品の社長さんは私と同期なんですけども「自分は老けて年をとってるのに何で俺に健康食品を売らせるんだ」とか冗談を言い合っている仲間なんですけども。

それと、クヨクヨしないこと。僕はいかなることでも受け入れるっていうことをずーっと、現状やっています。これまでアメリカのテロがありましたね、911。それからSARSがあって、湾岸戦争があって、リーマン・ショックがあって、もう限りなく地政学リスクって言われていることが起こってるじゃないですか。

そういうものを理由にしたって、消費税が上がって景気が悪いっていうのももうしょうがないと受け入れることにしてるんです。だから不可能なものを可能にするには、受け入れることです。

ゴルフでも、90を切るっていうのを受け入れるんですよ。やると決めたら、そこからやれることを考える。やれない理由はいっぱいあるんですよ。思考の中ではやれない理由をいっぱい挙げてるんですよ、やれる理由じゃなくて。やれる理由をあげたら、夢がいつの間にか、できないことがびっくりするほどできている。これは、若い人もみんなそうだと思います。

今のご質問のように、やっぱり上に立つ方々というのは元気を発信しなきゃといけないなぁと思います。人間は伝えるために言葉でしゃべるでしょう? でも本当は言葉じゃないんですよね。

みなさんはワンちゃんとか飼ってませんか? 私ももう11歳のミニチュアダックスフンドを飼っていまして、いつも一緒に寝てます。かわいいけどしゃべりませんよね? 笑いもしません。人間のすごさっていうのは、言葉だけじゃなくて表情があることですよね。だから五感を使って私は伝えるんです。

「目は口ほどにものを言う」と言いますけど、目と顔の表情、指がしゃべる、手がしゃべる、言葉でしゃべる、五感で体の全部を使って伝えるんですよ。そうするとやっぱり元気が出てきます。

ぜひ次に会社で朝礼でもなさるときは、顔も体もこうやってみられませんか? そうしたらコロッと雰囲気が変わりますよ、本当に。

私の元気の素っていうのは、受け入れて、自分がそこに向かっていくっていうことかなと思っています。ローヤルゼリーは9,000円ですけど、今日は1,000円ぐらいは引いてもいいですよ、よかったら社員が来てますので。

(会場笑)

企業のトップは多面的に物を見る力が必要

寺澤:はい。その他の方でいかがでしょうか? じゃあそちらの方、よろしいですか?

質問者:次世代のリーダーということで、まだ私も目指しているところなんですけれども。新社長に変わられるまでの間に、もちろん次世代のリーダーとか幹部という形で社長をサポートした人がいたと思うんですが、その中でも、社長になってもいいなぁというような人たちが他にもいたとすると、今の社長との違いとは何でしょうか?

髙田:たくさん優秀な社員はいるんですけども、全体には経験をさせることも少なかったというのもあって、今の社長の他に、同じところまで来る人っていうのは結構少なかったと思います。

これは今からの課題でもあります。順番的には私が創業者で、2代目が長男になりましたけども、当然僕のときから次の世代を受け継ぐ人をやっぱり育てていかなきゃならないというのがあったわけですから。

でもやっぱり一番は、多面的に物を見る力っていう部分に違いがあったのかなと思います。魚眼、魚の目で見るという、いろんな視点からものを考えていく力。

やっぱり企業というのは全部リンクした上で考えていきますから、企業の全体のトップっていうのは一部分だけ見ていてもいけないところがあって、全部を見る能力っていうのはすごく求められるんですね。企業全体のトップ、リーダー、社長というのはそこに違いがあるんじゃないかと思います。

若手の中にもそういう芽がいっぱいいますけど、ジャパネットに関しては、これは私よりも新社長が積極的に登用しています。びっくりするぐらい。私の中では登用しきらなかった人たちも20人ぐらい責任者として登用してます。

役職を与えられた人って結構成長する部分があるでしょう? そういう人が何人も出てきているんです。やっぱり創業者っていうのは、その辺がどうしても苦手ですね。任せるよりも自分がやったほうが早いもんだから、もう自分でやっちゃうんですよ。

これはいけないなと自分で思ってたら、新社長が見事なまでにホールディング体制と5社体制をやってしまうという。そこはまだまだ詰めていかないといけないんですけども、足らない部分よりもそういう風にやっている姿はやっぱりすごいなと思ってますね。

成長過程の中にまだそこのレベルまで来ている人は見当たらないですけれども、それよりも部署を預かる人とか、子会社の長はたくさん出てきています。

東陽町の子会社は役員が32歳ですかね? 32歳か33歳ですけど、登用したんです。それでそこの会社のトップですよ。春日井にあるロジスティックの会社も子会社なんですけど、ここは120~130人です。全国へここから配送してるんですけど、そこも36歳の人が今役員をやっている。

私はそういう人をトップにできなかったけれども、新社長はそれをどんどんやっていってるから、勇気を持ってそういうことを引き継がれていくのかなという気がします

ちょっと質問からずれたかと思いますけど、ぜひチャレンジしていただきたいですね。(質問者の)真剣な目を拝見したら、10年、20年後ぐらいが楽しみですね。次にお会いしたときには(軽々しく)近づけないような人になってくださいね。

人を育てることは子どもを育てることと同じ

寺澤:ありがとうございます。時間になってまいりましたので、最後に髙田さんの方からお集まりいただいたみなさんに、これからのリーダー、次世代のリーダーを育成するということについてのメッセージをいただければと思います。

髙田:次世代のリーダーを育てるということがテーマでしたけれども、自分自身がこれから成長していかれるという立場の方も多いと思うんですよね。

世の中にはご縁というのがあって、部下との縁でも上司との縁でも縁はいっぱいあるんだけれども、その縁を生かせる人と生かせない人がいるんじゃないかと思うことがあります。

できればたくさん出会う中で縁を生かせるようにご指導していただいて、ご自身もまた成長していただきたいなと思います。

私が会食で必ず押さえていたことがあるんですけども、最後に1枚の写真を撮るということをしていたんです。写真屋さんだからということではなく、撮るんですよね。

写真を撮ったら何が変わるかと言ったら、お礼状を出すときに、写真を1枚添えてお礼状を書いたら、そこから次のコミュニケーションと縁がつながっていくような気がいたします。

教育というものは非常に難しいテーマではありますけども、人を育てるというのは子どもを育てることと同じことですね。親が子どもを育てるときに期待や不安を持ちながら、非常にそれが生きがいになるのと同じように、部下を育てる、リーダーを育てるとか、新入社員を立派に育てていくというのはすごく夢のあることですね。

昨日、錦織さんの試合を見ていて、マイケル・チャンさんの顔が何度も映りましたけども、本当に親以上の表情で錦織さんの試合を見ている。このシーンを見たときに、やっぱり感動するものがあるんですね。

だからやっぱり人を育てるというのはそれぐらいすごいテーマであるということを信じていただいて、ぜひ、日本の元気とみなさんの将来のために頑張っていただきたいなぁということで、最後の言葉とさせていただきます。

今日は本当にありがとうございました。

寺澤:どうもありがとうございました。

(会場拍手)

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