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担当者が語るオウンドメディアの実態(全1記事)

「自社への批判もOK」 サイボウズ式・編集長がオウンドメディアの運営で大切にする3つのこと

コンテンツマーケティングとオウンドメディアをテーマに、各オウンドメディアの担当者であるソニー・クリエィティブプロダクツ・朝倉精吾氏、ライオン・中村大亮氏、サイボウズ・藤村能光氏が対談。本パートでは、それぞれが独自の切り口で運営している自社オウンドメディアについて紹介しています。(コンテンツマーケティング基礎セミナー「担当者が語るオウンドメディアの実態」より)

各オウンドメディア担当者の自己紹介

酒井新悟氏(以下、酒井):自己紹介をお願いしたいと思います。藤村さんの方から。

藤村能光氏(以下、藤村):サイボウズの藤村でございます。今日はオウンドメディアのメリットとかデメリットとか、実際に3年間運用してみた本音ですとかをお話できればと思っております。

自己紹介ですね。私はサイボウズ株式会社のコーポレートブランディング部というところにおりまして、そこで自社メディア<a href="http://cybozushiki.cybozu.co.jp/"target="_blank">「サイボウズ式」を運営しております。その名の通り「企業のブランドを作る」「ブランドの価値を上げる」というところに従事していて、自社メディア「サイボウズ式」は、その手段でやっていますね。

もともとのキャリアとしましては、「ITmedia」というWebメディアで編集記者を始めました。その後、サイボウズに入って、製品のマーケティングを担当していたんですね。インターネットサービスのユーザー数を増やすっていうところのマーケティングコミュニケーションをやり、今年から専任で「サイボウズ式」という自社メディアをやる、というような感じです。

酒井:ありがとうございます。続いて、中村さんお願いします。

中村大亮氏(以下、中村):こんばんは。ライオンの中村と申します。私はライオンに2回入社しているんですけれども、今「第二期ライオン」ということで、デジタルの「デ」の字が付くと、販促だろうが宣伝だろうが、一旦全部集約されると。私のところに持ってこられる、というポジションで仕事をしてます。

今日は画面のほうにも出ておりますけれども、昨年10月23日にローンチさせていただいた<a href="https://lidea.today/"target="_blank">「Lidea」という、後ほど詳しくご説明させていただくと思いますが、生活情報メディアをローンチさせていただきまして、今流行りのコンテンツマーケティングっていう部分でいくと、すごいタイミング的に乗っかっちゃっているタイミングで出したメディアになっております。よろしくお願いします。

酒井:よろしくお願いします。朝倉さん、お願いします。

朝倉精吾氏(以下、朝倉):こんばんは。ソニー・クリエィティブプロダクツのコンテンツ事業本部に所属しております、朝倉精吾と申します。後ほど詳しくご紹介しますけれども、もともと弊社はキャラクターの版権管理を行っている会社でして、私はクリエィティブ部門に携わってきたのですが、現在はマーケティングのほうに主軸を置いて仕事をさせていただいてます。その中で立ち上げた<a href="http://parismag.jp/"target="_blank">「PARIS mag (パリマグ)」というサイトを後ほどご紹介させていただきます。よろしくお願いします。

酒井:よろしくお願いします。ありがとうございます。

サイボウズ式のコンテンツはすべて自社製

酒井:ここからは作っていただいたシートを見ながら、プラス最後のほうは、ここに質問的なものが出てきますので、それを御三方に順番にお答えいただいたり、場合によっては御三方同士でご質問とか気になるところがあれば、その場でお話していただいていいかなと思ってます。

では、最初は各々の方に、メディアの説明をしていただければなと思ってます。まずは、藤村さんの方から。

藤村:これが<a href="http://cybozushiki.cybozu.co.jp/"target="_blank">「サイボウズ式」とよばれる自社メディアです。サイボウズはグループウェアを売っているITのBtoBの会社なんですけれども、自社メディアを運営するというところで、2012年5月に始めて、ようやく今年の5月で丸3年が終わる、というようなメディアになっております。

月間PVは、最高値で約40万PV。最近の1年の平均のPVですと、約20万PVくらいですね。訪問者数は約10万UUになります。例えば、雑誌を購入してくださっている方に、10万人くらいには届いています、みたいな。そんな感じなのかなというふうに思っています。やっと3年間かけてコツコツこの数字が伸びてきて、レバレッジが効いているなと思うところです。

特徴としましては、出したコンテンツが割とソーシャルを通じて、いろんなところに広がっていくというところですね。サイボウズ式、全てのコンテンツの企画を自社内で内製しております。なので、ゼロから企画を立ち上げて、どういった反響が得られるかみたいなところをうまく考えながらコンテンツをゼロから作っていくというところをやっているんですね。

その結果もあって、こういった形でいろいろと、特にFacebookやTwitterではいい感じで広がっていく、というところです。一番成果を出した記事は<a href="http://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m000281.html"target="_blank">「『自分でやったほうが早い』でチームは滅ぶ」という、これははてなブロガーの方に書いていただいた記事なんですけれども、Facebookで9,000以上、Twitterで2,000以上、はてなブックマークで1,400くらいという形。

広告とかを一切かけなくても、企画力とコンテンツの力で、自分たちの自社の価値というかコンテンツを届けることができるというふうに思ったのがこの記事のいいところでした。

酒井:これ、気になりますよね(笑)。タイトルだけで、読みたいなと思う!

サイボウズ式は、自社への批判であっても掲載OK

藤村:サイボウズ式のメディアコンセプトなんですけれども、この3つですね。チームワーク、新しい働き方、多様性。この3つを中心に、メディアのコンセプトをつくっています。

なぜかというと、サイボウズはグループウェアを作っているんですけれども「グループウェアというチームで使うソフトウェアを通じて、世界中のチームワークを支援したい」というのがミッションになっております。

そのチームワークというものを構成するものが、チームの中の「働き方」だと思っているんですね。「新しい働き方」をされる方。チームにメンバーが100人いれば100通りの働き方があるよと。そういったところを支えていきたい、新しい働き方っていうのを自分たちで提案していきたいっていうふうに思っています。

そういったチームの中で集まるメンバーは、多様性を持って仕事に取り組めば、チームのアウトプットってもっと上がるでしょうし、チームワークっていうのが大きくなっていくでしょう、というようなところを感じています。

なので、サイボウズという会社のヴィジョンをうまく分解する形で、メディアのコンセプトを設計して、それに合う企画を作って、自社メディアのコンテンツ設計をしているという感じです。

サイボウズ式の自社メディアの目的は、これだけ。「サイボウズを知らない人に、サイボウズを知ってもらう」ですね。

もともと企業のグループウェアでしたので、やっぱり企業の方にとってサイボウズって知られていたんですけれども、一般の普通の人とか、あまり企業に属していない方っていうのは、サイボウズのことをまだまだ知らない状態でした。

ただ企業とチームのちょっと外を見ると、例えば学生であったり、大学のゼミであったり、いろんなところにチームってあると思ったんですね。そこにいる人たちにサイボウズの価値や考え方みたいなのを伝えていかないといけないというふうに思っていて、この認知度向上というところに「サイボウズ式」の目的を置きました。

メディア運営について大事にしていることは3点あります。製品の売り込みを一切しません。 競合の情報だって、そのユーザーがおもしろいと思えばOKです。時には、サイボウズの批判だってOKですね。

メディアとして、ずっと長く生活者の方とコミュニケーションしていく上で、やはり信頼されるようなメディアになっていかないといけないと思っております。かつ、サイボウズという企業が考えている姿勢を見せるというところから伝わっていくのが、この「サイボウズ式」で一番やりたいことだったので、こんな形でメディア運営のコンセプトを立てているという感じです。

酒井:ありがとうございます。やっぱり、しっくりきますね。会社のやりたいことと、それがうまくメディア化されていて、僕らもなかなかできそうでこの文脈を紐付けるというのが難しいんですけれども。きちっとできている、すごいなと。楽しいメディアなのかなと思っています。

ソニー子会社内の一風変わったオウンドメディア

酒井:では、順番にそのままの流れで朝倉さんのほうに。また、キャラクターというところでちょっと考え方も違うかな、とは思うんですけれども。

朝倉:弊社ソニー・クリエィティブプロダクツという会社をあまりご存知ない方もいらっしゃるのかなと思いますので簡単にご紹介させていただきますと、ソニーというご存知のハードメーカーがありまして、その下にソニー・ミュージックエンタテインメント・グループというソフトを開発している会社がございます。

その中でも、レーベルとかの音楽系と我々のようなコンテンツ・ビジネスとかメディア・ビジネスを行っている非音楽系グループにわかれる中に、ソニー・クリエィティブプロダクツという会社があります。

弊社は国内外のキャラクターの主に版権管理をしていまして、有名なところでは「ピーナッツ」や「きかんしゃトーマス」などがあり、ちょっと異色なところでは三ツ星シェフのジョエル・ロブションさんのマネジメントなども行っております。その中で、私は「リサとガスパール」というキャラクターの担当をさせていただいてます。

酒井:こちらのキャラクターですね。

朝倉:そうですね。リサとガスパールに関しても簡単にご紹介します。もともと1999年にフランスで生まれた絵本で、日本では2000年から出版が開始されていまして、今年でちょうど15周年ということになります。「15周年記念で、何かPRをやりたいな」と考えていたのがPARIS magというサイトを立ち上げたひとつのきっかけです。

リサとガスパールは「犬でもうさぎでもない不思議なパリの住人」という、パリの街で普通に人間たちと一緒に暮らしている設定でして、絵本の中にリアルなパリの風景がたくさん出てきます。パリ発のキャラクターとしてより広く認知してもらいたい」ということで、このPARIS magを立ち上げたという経緯になります。

「リサとガスパール」×日仏のライフスタイルという提案

朝倉:PARIS magは「日本とパリにあるシンプルで上質なライフスタイルを提案するWebマガジン」というコンセプトです。まだまだ3月に立ち上がったばっかりで新しいサイトなんですけれども、平日ほぼ毎日、月間20記事がUPされています。

カテゴリーがライフスタイルの「ライフ」と、「ブレッド」、いわゆる「フランスパン」が有名だと思いますが、それと「パリの情報」というところで構成しております。

先ほど申し上げたように、このサイトは「リサとガスパールのファンをもっと広げたい!」というのが、最初の目的でした。やっぱりキャラクターというと、キャラクターの公式サイトというのが、まず立ち上がっている状態なんですけれども。

それだとキャラクター好きの人にしか訴求ができないということで、よりキャラクターの見込み顧客を取り込むために、キャラクターそのものだけではなくて、生まれた背景の「パリのいいところ」みたいなことをまず訴求をして、その中で「パリのキャラクターだよね」というところで「リサとガスパール」を認知させていこうという狙いです。

コンテンツの切り口としては、「ライフスタイル」が共通しておりますので、そこをうまく伝えていけばきっと情報としてのニーズとしては非常に高い部分であるという分析と、舞台を単純に「パリ」にするのではなく「日本」というのを入れていくことで、よりリアルな興味を引くことができるんじゃないか。

ライターさん実際にパリに住まれているライターさんもひとりいるんですけれども、あとは日本に住んでいらっしゃる、それぞれファッションだったり、食だったり、プロフェッショナルな知識を持たれているライターさん計7名を中心にしたチームとして運営をしております。

酒井:ありがとうございます。我々も初期の企画のところも一緒にお話させて頂いたりとかして、この世界観をどう維持しながらキャラクターを知ってもらうかみたいなところで。今、始まったばっかりなんですけれども、ここからちゃんとファンを作って展開できればなと思ってやらさせていただいております。

スマホは課題解決、PCはブランド指名検索

酒井:では中村さんのほうから、Lideaに関してお願いします。

中村:簡単にLidiaになった経緯のほうが重要なので、その辺をお話させていただきたいと思います。これは、ブランドサイトのお話です。「ブランドサイトを分析すると、こういう傾向があります」という話からなんですけれども、スマートフォンとPCでちょっと実は傾向が違いますというお話です。

ここでいう「コト軸」というのは、例えば「むし歯予防のクリニカ」というブランドがあるんですけれども、クリニカのサイトに来る人が、PCの場合はブランド指名で入ってくるケースが多いんですが、スマホの場合は「むし歯予防」とか「むし歯◯◯」みたいな検索ワードで入ってくる人が多いというようなことが、だいたいどのブランドサイトでも言えます。

そういう背景があって、かつ皆さんもご存知の通り、スマホでのアクセスが圧倒的に増えてくる昨今ですね、そういったニーズに答えていかなければならないということで、ここで「バファリンA」を挙げましたけど、そもそも3年前くらいからWebサイトもブランドサイトもカタログサイトとしていた状態からコンテンツを充実させて、先ほどの皆さんのお話と全く一緒なんですけれども、ブランドを認知している人だけではなくて、その周辺で悩んでいる人もきっちり我々で解決してあげようという発想でコンテンツを充実させてきたという背景があります。

その結果、当時流行りのアトリビューションだとか、様々な分析みたいなのをかませたところ、コンテンツが非常にビジネスに貢献していると。そういう結果が出ましたので、その総本山みたいな生活情報サイトって非常にビジネス的に有意義じゃなかろうかというような大きな流れから生まれました。

その中で我々のデジタルマーケティング、Lidiaもその内のひとつでしかないんですけど、リリースしました。それ以外でも「こんなことやってます」みたいなこと書かせていただいているんですけれども、先ほどのブランドサイトのコンテンツのブラッシュアップとか、もろもろやってますというところで、ようやくLideaについて扱います。

コンテンツをつくっているのは、その道のプロ

中村:Lideaは「LION + idea」で、いわゆる生活のティップスと思っていただければいいと思います。

Lideaの最大の肝は、ご覧いただければわかると思うんですけれども「暮らしのマイスター」という、LIONのその道のプロがコンテンツをキュレーションして発信しているというのが、企業オウンドメディアとしては特徴的かなと思ってます。

彼らはLideaのために生まれた人間ではなくてですね、実は2011年から活動していて、例えばテレビ局さんから取材を受けた時に、お洗濯について取材を受けたら、お洗濯マイスターが必ず出ていくというような役割を当時から担っておりまして、細々とブログのようなメディアもオウンドメディアとして持ってました。

そんな背景がある中、先ほど申し上げたブログのような、一番左上の「快適生活研究所」っていう、あのロゴがブログのようなサイトだったんですけど。 LIONみたいな会社ですので、当時はいろんな思いがあって、いろんな生活情報サイトが立ち上がっていて、コンテンツのカニバリがあってですね、それをせっかくだから統合しようよというのがスタートで生まれたのが、Lideaになってます。

Lideaのコンテンツですけど、大きく2種類ありまして、一番に書いてますけど「くらしのなるほど!コンテンツ」はティップスですね。「お洗濯の仕方」「歯磨きの仕方」みたいなものが書いてあるコンテンツ。これは、従来の4サイトで展開していたコンテンツになります。

今回はメディアというふうに我々は言っておりますので「ただ、課題を解決するだけではさすがにメディアと呼ぶにはおこがましいだろう」ということで、今回Lideaになって新たに「いろどりプロジェクト」という「生活エンタメコンテンツ」っていうんですかね。ちょっとクスッと笑えたり、生活情報なんだけれどもクスッと笑えたり、あるいは、ちょっと楽しくなったりするようなコンテンツを。

大きな2種類のコンテンツを、洗濯、掃除、オーラルケア、ヘルスケア、子育てと、我々の事業ドメインである5分野で展開させていただいております。下はご参考までに。データドリブンにやってますというお話です。

Lideaの集客構造というか、ユーザーさんにこういうふうに動いてくれたらというイメージなんですけれども。先ほどのティップスの「なるほど!コンテンツ」のほうで、Google、Yahoo!で何か悩みを検索していただいた方に、こちらに着地していただいて確実に解決して満足していただきますと。

そうすると「何かちょっとおもしろいコンテンツがあるぞ」ということで「いろどりプロジェクト」のほうに行っていただいて、ソーシャルでシェアされて、ソーシャルからの入口も形成していくというイメージ。かつ、各コンテンツも強力にブランドサイトへの動線を敷いてたりもしますので、できれば商品に興味を持っていただいて、そちらにも行っていただきたい。

大まかに言うとこういう構造を理想としていて、先ほど申し上げました通り、ちょっと「いろどりプロジェクト」のコンテンツ力がまだやや弱めなので。「くらしのなるほど!コンテンツ」は実現しつつあるんですけど、前者を頑張らないといけないなと思っている次第です。

ブランドサイトのコンテンツも充実しているので、よく「Lideaとどう使い分けるんですか?」みたいな話が内外で聞かれるんですけれども、こういう目的でやろうとしています。

ブランドサイトはブランドとその周辺情報までが守備範囲だと我々は思っておりまして、このLideaに関してはブランドのことは極力言わないように努力はしていまして、周辺情報プラス生活情報、もっと外の情報まで広げてやって、入口の間口が圧倒的にブランドサイトより広いという状況を作りたいと思ってます。

酒井:ありがとうございます。クスッとするコンテンツを我々も作らないといけないな、というところなので、ちょっと頑張ります! 規模が大きかったり、4つのサイトを1つに統合されたというところで、もともとの資産をどう的確なサイズにしてちゃんと届けるかということをされていて。

あと、データのほうもすごく見られていると思います。また本質は同じだと思うんですけど、御三方とも違うポジションでアプローチだったり、内容でやられているのかなというので、今日集まっていただいてます。ここからは質問が3つぐらいポンポンと続きますので、よろしくお願いします。

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