
2025.02.18
「売上をスケールする」AIの使い道とは アルペンが挑む、kintone×生成AIの接客データ活用法
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佐渡島庸平氏:先ほど僕は、大きく時代が変わると言いましたけれども、なかなかその実感ってないかもしれない。でも、すごいルールチェンジが起きていて、そのルールチェンジに意外とみんな気づいてないだけじゃないかというのが、僕が考えていることなんです。
例えば出版社であれば講談社、小学館、集英社、角川とか、いろいろありますよね。それぞれの出版社がどういうふうにしているかというと、みんなおもしろい作品をつくろうと頑張っているわけです。みんな同じ土俵で勝負しているんです。
それぞれの会社が勝つかどうかというのは、おもしろい作品をつくるか、マーケティングをうまくやるか、より安くつくるかとかという形で効率化していくかどうか。だから後から参入して、より勉強して資金力があるほうが勝てたりするという産業です。
実はこれは出版だけじゃなくて、全産業に言えて。トヨタというか、車産業でもトヨタと日産とホンダとかが何をやっているのかというと、どういうふうにしていい車をつくろうか、どういうふうにして売ろうか、どういうふうにして製造費を安くしようかみたいな形で、同じ産業にいる人たちは同じルールで戦っています。全部一緒です。
これはアパレルでもそうだし、コンビニエンス業界でも、そう。それぞれ業界があって、それぞれの業界がどうすれば効率的にビジネスをできるかなというふうに考えていて、最も効率的にビジネスをした人たちが勝っていた。
でも例えば最近の漫画で、全巻無料アプリなんていうものがあります。ちょうど『ドラゴン桜』、『エンゼルバンク』、『クロカン』、『インベスターZ』の全部を無料で読めちゃうアプリというのを出していました。
でも無料で読めて、どういうふうにして課金するのかというと、毎日30分だけ無料で読める。でもはまっちゃって続きを読みたい人には、時間を買ってもらう。時間を買うと続きが読めるというふうになっているわけです。今までは、本を読もうと思ったら本を購入するしかなかったんです。それが時間を買うという仕組みに変わっている。
先ほど言ったように、全部が同じ産業の中で効率化が行われているときは、それぞれの産業の中で最も効率的にやった人たちが勝っていたんだけれども、今は新しいルールを生み出した人が勝つようになっている。どのポイントでビジネスができるのかというのが、まったくわからなくなってきているんですね。
だから本というもの、作家が生み出したものというのをどういうふうにして買うのかといったときに、その本自体を買う場合もあれば、時間を買う場合もあれば、それを全部無料でやって広告から課金する場合もある。
ビジネスモデルというものをゼロから全員がつくっていかないと成立しなくなっている。ビジネスモデルをつくるということ自体が、どんな産業にも求められていて、まったく同じ産業をやっているように思えて漫画をつくるということをやりながらも、会社ごとにまったく違う利益の上げ方をしている。まったく違う儲け方をしているということが生まれてきちゃっているというのが、これからの時代だと思うんです。
僕はそれをすごく出版について考えているわけですけれども、それは出版だけじゃなくて教育であったりだとか、普通に全部の産業がどういうふうにして、どのタイミングで課金することができるのかというのがわからなくなってきている時代だなと。
それで、そのルールをつくるのはだれなのか。別にGoogleにしてもAmazonにしてもAppleにしても、みんな自分たちでルールをつくって、その支配下に置こうとする。コントロールしようとしている。
昔は政治家だったり、将軍だったりみたいな人たちがルールをつくっていたのが、今はビジネスマンだったりすると。それでルールがつくれてしまう可能性がある。そしてそのルールというのが、この5年から10年の間に下地みたいなものができて、やっていける。それをつくる人間になれるかもしれないというおもしろさ、そういう時代だと思います。
例えば明治維新のときに、日本人がいろんなルールを決めた場合って、アメリカを見に行ったりだとか、フランスを見に行ったり、ドイツを見に行ったり、イギリスを見に行ったり、参考にするところがあったんです。
でも今、このインターネットとスマホに起きている変化ってどこか別の国が僕らよりもより知っているかというと、そんなことはないんです。もう世界中のだれもが同じぐらい知らない。
それで大人だとより知っているかというと、そんなこもとない。大人も子供もみんな同じ状況。その中でルールをどんどん決めていかないといけない状況というのは、すごくおもしろい状況だなと思うんです。
それを何も決まってなくて不安だと思うか、どんどん決めていっていいのかと。そして決めていくことによって、今よりも全然いい世界、よりよい世界をつくるということに自分が関われるかもしれない。
昔はそういうふうな変化のときに関われなかったかもしれないのが、今は自分が何かプロダクトを出せば、それによって大きく世の中のルールを変えられるかもしれないという時代だと思っているんです。
それが僕は、会社の中にいたときはそこの大きい変化に気づけなくて、緩やかな会社と共に変化を経験していたのが、今はそこの渦の中、真っただ中にいて感じられているんです。
先ほど言ったように、それがインターネットとスマホによって起きている変化だとしたら、絶対に知らないといけない言語というのは、日本語でもなく英語でもなくプログラム言語だと思っているんです。
すごく重要だなと思っているのは、世の中をこういうふうに変えていきたい、こういう世の中にしたい、こういうルールにしたいんだというイメージを持って、それをどういうふうにして実現していくのかというときに、もちろん日常のコミュニケーション能力というのは必要で、日本語、英語は必要かもしれないけれども、それを世の中の人に見えるような形で提示するためには、必ずプログラム言語が必要な時代になってきてるんだなということにも、最近すごく痛感していて。
僕なんかは会社を辞めるまで、そういうふうなことの重要性に全然気づいていなかった。でも今、中学生とか高校生の人たちというのは、もう今からプログラム言語を日本語と同じように浴びながら使っていく中で、世の中の変化に参加できるなんて、ある意味うらやましいなというふうに感じるときもあるんです。
僕は今、自分がこの経験を経て、この時代に乗り出してきているということへの楽しさを感じているんだけれども。同時にプログラム言語みたいなものを自由自在には操れない。もしもそれを自由自在に操れて、今の世界、今の世の中の変化というふうなものを見始めたら、それはどんなふうに見えるんだろうというふうにも思っていて。
それでこのとてつもない変化の時代というのに、今日ここに来ているような中高生たちが迎えているというのは、本当にワクワクすることだなというふうに思っているんです。
今日、僕が皆さんのお手元に配っている漫画本というのがあります。出版社のときには、こういうイベントのときに無料で配ったりするなんていうことは正直できなかったです。僕らの会社というのが、作家のエージェント会社、クリエーターのエージェント会社ということで、すごくビジネスの仕組みが変わってきていて、だから今日はもうせっかくだったら、こういうふうに話もできるし、若い人たちだし、配っちゃおうというふうに思って、この本を配ったんです。
この本は羽賀翔一という、僕がすごく期待している新人が書いた短編集です。それで徳間書店というところに頼んで、書店で置いてもらいました。これは普通に今、書店に行けば売っている本です。
出版社は本を売るというのがビジネスです。だからそれをこんなふうに無料で配っちゃうと、ビジネスがうまくいかなくて困っちゃいます。でも僕らは作家を育てるというのが仕事なんです。
羽賀翔一という人のファンを増やそうというのが僕らの一番の目的で、それで羽賀翔一の本を売るというのは実は二の次なんです。出版社はそれぞれの本を出したら、それ単体で黒字にしないといけないというのが出版社のビジネスです。
でも僕らはもう羽賀翔一という人間に才能を感じて、この人とずっとやっていくぞ、20年、30年は付き合うぞというふうに決めているので、今は羽賀翔一を有名にする時期なんです。だから本というのは羽賀翔一の名刺代わりにどんどんどんどん配っちゃっていいというふうに思っていて、今日もぜひこれを読んで、羽賀翔一をおもしろいと思ったら、ただただ羽賀翔一のtwitterをフォローするか、羽賀翔一のFacebookに「いいね!」を押しといてもらえれば、僕はそれで十分だというふうに思っているんですね。
そういうふうに作家の育成の仕方というのが、実は全然変わってきている。変えれるんじゃないかというふうに思っている。
ファンクラブみたいなものを作家につくってしまって、その作家が作品を発表するのをネット上で常に待っている。定期購読する人たちが数千人いるという状況をつくって、定期的に作家が発表していくことができるんじゃないか。
それでネット上だったら、ファン同士がそこでコミュニケーションを取って、コミュニティをつくることができるんじゃないか。そういうことを僕は実現したいなと思っているんです。
そういうふうなファン同士がコミュニティをつくるようなことを、プログラムの力によってやりたいなというふうに思っているんです。リアルだと、ファン同士がコミュニケーションを取ることって簡単にはできない。
僕は先ほど言ったように南アフリカにいたときに、遠藤周作がすごく好きで、遠藤周作も若い頃にフランスに留学していて、その思いとかを書いたりしていて、僕は自分自身をすごく遠藤周作に重ねながら本を読んでいたんです。
それで、もしも僕が遠藤周作に会うことができたら、僕は遠藤周作にどれだけ救われているかということをすごく伝えたいと。でも中学生だから伝えようもないし、自分だったら例えば本当は僕はほかの人と違って、遠藤周作の本1冊をお年玉全額ぐらいで買いたい、そんな気持ちになっていたんです。
本ってそんなふうに人に深く突き刺さることがある作品。多くの人には、普通にサラッと読んで、ああ、おもしろかったね、かもしれないけれども、一部の人には深く突き刺さることがある。
でも、その深く突き刺さった人と作家が何か結びつくことというのが、今まではできないし、書店で本を売っている限りはそういうことができないんですね。でも、ネットの中でファンのコミュニティサイトみたいなものをつくっていって、コミュニケーションをやって、作家がどんどん発表できるようにしていけると、全然違う作品が生まれるんじゃないかなと思っているんです。
僕がよく思うのが、この作品を好きな人だったら僕と話が合いそうだな、みたいなことをよく思うわけです。カレーが好きな人だったら、自分は結婚していいと思っている人って多分ほとんどいないと思うんだけれども。
この作品のよさをわかっている人だったら付き合える、この人とは親友になれるみたいなことが、それはフィクションというか、作品だったら起きる。そういう人との出会いの場を、作家を通じて生み出していくことができるんじゃないかなというふうに思っていて。
そういうふうに作家がある種、ファン同士が出会えるコミュニティをつくるきっかけをどんどん創出していく、そういうふうな世界をつくり上げたいなと思っています。
僕はこのすごく大きい時代の変化の中を、そういうふうな作家とものをつくり出していく中で、変えていきたいなと思って生きていて。とてつもなくこのタイミングに、今、自分がベンチャーをやれているということにワクワクしています。
ぜひぜひ若い皆さんはプログラミングというのを学んで、このワクワクする世界へ乗り出してきて、もうそれは日本だけじゃなくて世界中へとつながっている世界なので、大暴れしてもらいたいなと。
そしてその大暴れする様子を見て、こっちも好奇心を刺激されて、よりもっとワクワクする仕事を僕もしたいなと、そんなふうに思っています。今日はありがとうございました。
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