お知らせ
お知らせ
CLOSE

豊間根青地氏インタビュー:AIで“下積み”が消える?(全2記事)

AIで「若手の下積み経験」が消えている? 豊間根青地氏が語る、AIに任せる仕事・人間が行う仕事の違い

【3行要約】
・AIの普及で資料作成の手間が省けると歓迎されがちですが、実は若手の下積みや構造化力を奪う懸念があります。
・うねり株式会社の豊間根青地氏は「論点設定と合意形成がない仕事はAIに取られる」と指摘します。
・若手の下積み経験が失われつつある時代において、ビジネスパーソンが意識したい仕事の核心と姿勢を解説します。

インタビュー動画はWebメディア「Re|vent」にて配信中。ぜひご覧ください。

AIが若手の下積み経験を奪った結果起こっていること

——AIで下積み経験が消えるという声はよく聞きますか?

豊間根青地氏(以下、豊間根):そうですね。よく聞くのは、部下から明らかにAIでポン出ししたような企画書や提案書が上がってきて、デザインはかっこいいしパッと見はそれっぽいんだけど、何を言っているかわからなくて量だけやたらと多い。

マネージャーがそのレビューやフィードバックをしなきゃいけなくて、もうむっちゃ虚しいし、めちゃくちゃ時間がかかって、「ただでさえ忙しいのに死ぬ……」みたいな声はけっこうありますよね。

——若手のどんな経験が失われていますか?

豊間根:言葉選ばずに言うと、まずは雑務ですよね。飲み会の調整は今もやりますけど、資料をちょっと直しておく、議事録を取る、会議室の予定を取る、資料を印刷しておくとか。本当にオペレーショナルな作業をする機会がどんどん失われているのが1個の要因になっている気はしますよね。

——豊間根さんにとって、今に活きている下積み経験は?

豊間根:僕はもともとサントリーウエルネスというサプリメントの通販をしている部門でコールセンターの企画部門にいまして、一番印象に残っているのは音声を聞くことなんです。

僕自身が電話に出るわけじゃないんだけども、オペレーターさんのすぐ横で仕事をして、社員として音声を聞いて、揉めたお問い合わせにどう対応していくか。「じゃあ、こういう情報をこうお渡ししていきましょう」とか「こういうふうに解決しましょう」ということを、コールセンターの方とやり取りして決めていたんです。あの音声がむっちゃ(成長に)効くんですよね。

だいたい1日数本は対応音声を聞いていたんじゃないかなと思うんですけど、やっぱりサントリーウエルネスって健康食品の会社なので、けっこうシニアのお客さんが多いんですよね。基本的には何らかのかたちで怒っている方や、不満を持たれている方が多いんです。

でも、その音声をちゃんと聞いてお客さんの情報も見て考えると、「なるほど、このお客さんはたぶんこういう背景で、こういうご事情なんだな」ということがわかってくる。それを踏まえて、「こういうお話をして、その上でこの情報をお渡しして、こういう話の展開になってこの情報をお渡しすれば納得してもらえそうだな」みたいなことを考えるんですよね。今振り返ると、マジでプレゼンテーションやネゴシエーションの本質がすごく詰まっていたと思っています。

1対1で何らかの課題を抱えている人に対して、その人が「解決してよかったな」と思ってもらえるストーリーを構築する。そこにうまく情報を渡して、相手が気持ちよく問題を解決できるようにコミュニケーションを設計していく。今はある意味、説明や伝え方のプロとして会社を経営しているわけですけど、そこにめちゃくちゃ活きているんですよね。

ただ当初は、東大を出てサントリーに入って伊右衛門とかBOSS、プレモルとかのマーケティングや商品開発みたいな華々しい仕事をするのかと思いきや、「俺、東大を出てサントリーに入ってサプリメントのコールセンターの仕事をしてんのか」みたいな思いは、ぶっちゃけ最初ちょっとあったんですよね。

でもそれは本当、上司の方や周りの方が助けてくださったというか、新しい道を示してくれて。コールセンターというものが、サントリーウエルネス、ひいてはサントリーという事業においていかに重要をちゃんと叩き込んでもらえたから、そこに意味を見出せた。本当にありがたかったですよね。

人間の役割は細かな配慮と“最後の腹決め”

——上司からどのように構造化思考を学びましか?

豊間根:それで言うと、当時の僕の最初の上司は報告資料を作る時にめっちゃ紙を使うんですよね。コピー用紙をでっかい机にバーっと並べて、そこにサラサラサラっと書いていくんですよ。

「ここでこのグラフを入れよう」とか「ここでこういう図を入れよう」みたいなことをパッと書いて、それを並び替えながら「じゃあここでいったん前提を置いたほうがいいよね」とか「ここでいったん区切って、ここを入れ替えようか」みたいなことをアナログでやるんですよね。

実際にラフを作ったら、また何度も持っていって。今思うとペーパーレスの時代に環境負荷の高いやり方をしていたんですけど(笑)。やっぱりアナログで手を動かして、当意即妙に何度も遠回りしながらストーリーラインを作るというのが、今思うとめちゃくちゃ構造化力というか、ストーリー構成のトレーニングになっていたなとは思いますよね。

——もし、当時AIがあったら?

豊間根:たぶんですけど、僕の尊敬しているその元上司はAIを使わせなかったんじゃないかなと思うんですよね。今、どうしているんだろうな。

それで言うと、コールセンターの対応はAIだとたぶんムズいんですよ。なぜかと言うと、我々に上がってくるのって「エスカレーション」と言って、けっこうシチュエーションがややこしくなっているお客さんなので、会社のスタンスやそれまでのやりとりの経緯を踏まえて、すごく感情に気を使って(コミュニケーションを)設計するんです。

(AIにも)叩き台は作れると思うんですけど、最終的にどうするかの部分はたぶんできない。最後に腹を決めて「これでいきましょう」という台本をお渡しするところは、やっぱり人間じゃないと。

AIがポンと出してきたやつじゃなくて、「よし! 豊間根さんはいつも信頼できるから、この方針で行こうと言ったからやってみよう」と思っていただくことがけっこう大事なんですよ。その部分はやっぱり排除できないと思いますね。

AIに任せる仕事、人間が行う仕事

——AIに任せるべき仕事は?

豊間根:大前提として、我々は「資料作成はスキルの総合格闘技だ」という考え方を持っていまして。資料を作るということは、ショートカットキーを覚えるとか、色やフォントを見やすくするだけじゃなくて、ゴールを決めて、論点を設定して、情報を集めて、構造化・分析して、資料に落とし込んで、人やおカネを巻き込んで実行していく。これが資料作成だよねと。

これって資料に限らず、言わばオフィスワーカー、ホワイトカラーの仕事のすべてだと思っていて。この考え方に則って整理をすると、あらゆるオフィスワーカーの仕事って「論点設定」「情報収集」「分析」「可視化」「合意形成」という5個のステップに分解できると考えているんですね。

どういう問いに答えるのか、何を目指すのかを決める。そのために必要な情報を集めて、集めた情報を加工して解釈して、その解釈を人がわかる目に見える形にして関係者と共有して、物事を決めて進めていくステップに分解できると考えています。

例えば人事の人であれば、いかに採用申し込み数を増やすかという論点に対して、実績を振り返ったりデータを集めたりインタビューを実施したりして、どこに改善すべきツボがあるかを判断し、社内会議で議論をして「これをやっていこう」と合意を取る。

営業であっても「いかに〇〇社から発注を取るか」という論点に対して、下調べやヒアリングをして課題解決ストーリーを練り上げてプレゼンをし、合意してもらう。そうした流れの中で、情報収集や分析、可視化の部分がこれからどんどんAIに取られるというか、任せるべき仕事になっていくと思っています。

「この資料であなたは今、何をどうしたいの?」

豊間根:裏を返すと、最初と最後。つまり論点を設定する。これは要は何を目指すのか、どういうハテナマークに向かっていくのかということで。要はゴールセッティングさえしてあげれば、最終的に情報を集めて分析して構造化して可視化するところまでは、もうかなりAIに任せられる。

それを最終的に人に伝えて「これで行こう」と合意を取り付ける部分に、人間としてこだわりを持ってやり抜く考え方を持っておかないと、これからの時代はいよいよまずいなという感覚を持っていますね。

——論点設定と合意形成は大変な仕事では?

豊間根:いや、そうなんですよ。でも実際、なぜかけっこう多くの人が言われたとおりにデータを抽出して、それをグラフや表に変換してペタペタ貼って「はい、資料を作りました」みたいな仕事の仕方をしているんですよね。

それで「この資料であなたは今、何をどうしたいの?」と言われると、「いやいや、資料を作れと言われたから作りました」みたいな。これだともう、AIでよくなっちゃう。「むしろAIのほうが速いし、お金もかからないですけど。じゃあ、あなたの価値は何なんですか?」ということになっちゃうので、こういう仕事の仕方をしている人はAIに仕事を取られてしまうかも。というか、取られますね。

もうAIは我々より圧倒的に頭がいいんで。そもそも「何を目指すんですか」「あなたは誰をどう動かして、何をどう進めていきたいんですか」という部分がない仕事の仕方は、もうなくなっていくと思いますね。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

    新着イベント