【3行要約】
・確認のために「〇〇で合っていますか?」と丁寧に質問しているつもりが、実は自身の評価を落とす原因になります。
・研修トレーナーの伊庭正康氏は「主体性のない質問は任せにくい印象を与える」と指摘します。
・指示待ちの姿勢を脱し、自分の考えを先に示してスムーズに合意形成を図るコミュニケーション技術を提示します。
仕事で避けたいNGワード
伊庭正康氏:あなたの評価を下げる、損する「話し方」5選。会議や報告で、実は損をしている人が多いんですよね。話し方に自信のない方は、ぜひこれを実践してみてください。代表的なNGワードを覚えるだけで、あなたの評価が下がることはなくなりますし、チャンスをつかむことができるようになります。
今日のメニューはこちら。5つのダメなフレーズを紹介していきます。
1つ目は、「主体性がない」と誤解されるフレーズ。2つ目は、「相手もわかっているはず」とやると嫌われてしまうフレーズ。3つ目は、「対策を提言する時に稚拙だと思われてしまう」NGフレーズ。4つ目は、「この人、共感性が低いよね」と思われてしまうフレーズ。そう思われてしまったらもうすべてが終わりですので、そう思われないためのフレーズです。

そして最後に、意外とやりがちな、社会人として「この人には仕事を任せられないな」と思われるNGフレーズがあります。
でも最後のやつって意外と言ってしまっているんですよね。ですからこの5つは絶対に言わないでください。今日はその代わりにどう言えばいいのか、という表現もお伝えしていきます。
その前に5秒だけご案内させてください。新しい本を出します。内向型リーダーの戦い方、55の方法を紹介する本(
『「静かなリーダー」の最強チームマネジメント』)を出しました。引っ張るリーダーよりも、これからは支えるリーダーです。ぜひチェックしてください。
正解や間違いをいちいち確認する「指示待ち」表現
ではいきましょう。まず1つ目は、「この人、考えていないよね」と思われるNGフレーズです。「〇〇していいのですか?」「〇〇で合っていますか?」というふうに、いちいち正解か間違いかを確認する質問ですね。

これね、意外とやりがちですよね。随分と昔、2009年だったと記憶していますが、リクルートワークス研究所さんが発行している(機関誌の)『Works』の中に、スープストックトーキョーの社長である遠山正道さんのエピソードが載っていました。
もともと商社にお勤めで、その時に先輩にこう言ったそうなんですね。ガムを噛みながら仕事をしていた先輩に向かって「先輩、ガム噛んでいいんですか?」とおっしゃったところ、先輩から「そんなこと自分で考えろ」と言われたそうです。これを25年経ったその時でも、ずっと覚えているっておっしゃっていたんですよね。
「そんなこと自分で考えろ」。これがおそらく相手の本音だと思います。今の時代、「そんなこと自分で考えろ」と直接言われることは少なくなっていますが、相手は思っているんですよね。特に「仕事をもっと任せていくぞ」と思っている側からすれば、「この人にはちょっと任せにくいな」と思うのが指示待ちの人なんです。
ですから「〇〇していいですか?」ではなく、「〇〇していいのですか?」と「の」が入るだけでもかなりNGなんですよ。そして「〇〇で合っていますか?」。「いや、それは自分で考えろ」って話なんですよね。ここ、意外と盲点ですよね。
じゃあどうすればいいのか。「自分はこう考えますが、いかがでしょうか」と、自分が考えていることを先に伝えることです。「いかがでしょうか」「問題ないですよ」で終わりますよね。つまり、考えているということをきちんと伝えないといけません。
「〇〇していいの?」の「の」を外すだけでも変わります。「〇〇していいですか?」なら、そこに意思が入りますよね。このあたりを覚えておいても損はないでしょう。
相手との「前提のズレ」が生むストレス
では2つ目。相手との情報の前提に気づいていない人。これね、けっこうムカつくんですよ。見ていきましょう。
じゃあ、あなたが上司だとしましょう。私が部下としますね。「課長、例のシステムの件ですけれども、先月と同じ箇所がバグっちゃってるんですよ。このバグりを対応してもらっていいですか」と言ったとしましょう。

ちょっとわかりにくいですよね。なぜかと言うと、「例の」。課長からしてみれば、いろんな案件を抱えているわけですよね。「例の」とか「先月もバグったところ」と言われても、「そんなものいちいち覚えてねえよ」と思われているかもしれない。チェックが甘いんですね。
「対応してもらっていいですか?」「え、何すればいいの? 何を求めてるの?」となって、まず自分が思っていることと相手が思っていることはまったく違いますし、見えている景色もまったく違います。自分が覚えていることを相手が覚えているとは限らない、という前提が大事なんですよね。
もしこれを言われた時には、上司は「え、何のこと?」という感じで、知らないとは言いにくくなるじゃないですか。
であれば「もう少し確認させてよ」となるわけなので、最初からそうならないための正解はこうなります。「今、システム開発にバグが起こっておりまして、対策を相談したいんですけれども、2分程度よろしいですか?」。これでいいんですよね。
さらには「実はデータ連携部分がバグっておりまして、今こういった事態が起こっております。リスクは低いんですけれども、こういった事態が起こっているので、これを防ぐための応急処置をまず考えたいと思っています。そこで相談よろしいですか?」。これでいいんですよね。
こういうふうに具体的にきちんと伝えることを、ぜひ覚えておいてください。
私も一度やられたことがありましてね。公のセミナーでファシリテーターの方が「伊庭さんは今、世界で最も風力発電が進んでいる所、ご存知ですよね?」って言われたんですね。「そんなもん知るか」ですよ(笑)。
でも当てずっぽうで答えたものが当たっていましたけどね。「ドイツですかね」と言ったら「よくご存知で」。けっこうムカつきました(笑)。そういうことを考えた場合に、知らないことをわかっている前提で話されると、ちょっとムカつくんんですよね。
知らないから、もしそこで「わかりません」とか「どういうこと?」ってなったら、上司側がちょっとどうなのかなってなっちゃいますので、これはぜひ気をつけてください。
対策だけを語るのではなく「問題・課題」のステップを踏む
3つ目。対策を打ち出す時にあまり考えておらず、応急処置しか考えていない人は「仕事を任せられないな」と思われることがよくあります。見ていきましょう。
「伊庭さん、計画に対しての状況を教えてもらっていいですか?」「申し訳ございません、計画に対して今は未達成の状況で、おそらく未達成の着地になると思っています。対策として〇〇をするようにします」と言ったとしましょう。

「ん、いきなり対策?」と思うわけですよ。そこで尋ねないといけない。「聞いていいですか? どうして伊庭さんはそれにしたんですか?」「だって今までの中で言うと、こういったことがあったので…」「うん、わかった。他には何かありませんか?」とか「本当にそれで合っている?」ということをやはり確認するわけですよね。
そこがストンと抜け落ちて、いきなり対策を話されると「考えていないな、経験則で考えているな」なんてことを思ったりします。
じゃあどうすればいいかというと、もうこの動画で何度もお伝えしている問題解決のステップをしっかりと押さえておけば、この発言にはなりません。まず問題設定、次に問題を解決するための課題設定。そして対策、複数からベストを選ぶ。
こういうことをいつもこの動画では言っているんですけれども、もしご興味があればロジカルシンキングとかクリティカルシンキングのところを、「伊庭正康」で検索してみてください。さまざまな問題解決のステップが載っています。
さぁ、ではどう言えばいいのか。「伊庭さん、計画に対しての進捗を教えてもらっていいですか?」「かしこまりました。今、計画に対し10ポイント下回った状況です。このままいくと、やはり10ポイント未達成の状況に着地する可能性があります。分析したんですが、問題は〇〇の箇所にこういったことがあるから起こっています」。
「ですので、まず〇〇といった箇所に対策を講じて、こうしていけば大丈夫です。具体的にはいくつか考えたんですけれども、スピードを優先するとこれをやるべきかなと思っています。また来週に状況がわかりますので、その進捗を報告させていただきます」。
どうでしょうか、わかりやすくなりましたね。問題、課題、対策。この流れを覚えておいてください。
つまり問題設定も甘ければ、課題も未設定なことがダメなんですよ。いきなり対策を言う前に、問題はどこにあって、課題は何を解消すればいいのか。そのあたりをしっかりと伝えた上で「この対策を組みます」というふうにやってみてください。すると「この人、わかってるな」と思われます。