【3行要約】 ・課題発見をすぐに習得する人がいる一方で、何度も壁に突き当たる人もおり、個に応じた反復学習の仕組みが不可欠です。
・研修講師として活躍するスキルベース代表の高松康平氏は個別の習得ペースの重要性を指摘します。
・経験やセンスに依存せず、技術として仮説や論点を導き出し、本質的な課題へたどり着くための実践的な思考プロセスを解説します。
前回の記事はこちら 学び方、教え方に正解はない
高松康平氏:(社内研修の課題を添削する際の注意点は)まだあります。「研修後の気持ち」です。受講生が一度出して、ちょっとダメ出しを受けた。そうすると「もう一度見てほしいな」と思う方も、全員じゃないかもしれませんが一部にはいるでしょう。でも、「もう1回見てもらえますか?」と講師に言ったらどうなるか。「それはできません。添削は1回です」と言われるかもしれません。

これは、何度も(添削を)受けられると(講師が)大変ですから、事前に見積もりなどで「何回受けられる」と決まっています。そのため、「何度も見て」と言われたら、個人的には見たいけど、やはり仕事なので、「みんなに何度も(見てと言われても)、それはちょっとできないかな」となってしまう。
ということで、このへんも、受講生は「学びたい。ちゃんと自分の力を身につけたい」(と思っている)けど、講師側や提供サイドが全部見きれないということが起きてしまいます。
ところで、「人は何回添削すると課題発見やロジカルシンキングができるようになるか?」という深遠なテーマがございます。今日は多くの方にご参加いただいていますが、みなさんどうですか? 今日、その答えを発表いたします。
みなさんびっくりすると思うんですが、それは「人それぞれ」でございます。「何も言っていないじゃないか」と。そうなんです、人それぞれなんです。
一発でできるようになる方もいれば、こういう領域はちょっと苦手意識があったり、あまり得意じゃなかったりする方もいます。何度も何度もやる方もいれば、一発でできるようになる方もいる。それは領域によって違うだけですので、人それぞれ違います。だから添削に関してはやはりその人それぞれのペースに合わせて何回も繰り返す仕組みが必要です。
つまり、課題発見を学んで、課題発見を実践して、チェックする。これをぐるぐる回す。「1回でできなかったらもう1回やってみて」と、もう1回チャレンジする機会があるといいです。
後ほどご紹介しますが、我々の「課題発見の達人」では、期間内であれば何度でも(課題を)出していいという仕組みを実際にご用意しています。
1,000名以上のデータが示す結果
今まで企業研修で1,000名以上の方にご受講いただきましたが、実際、みなさんに何回くらい課題を出していただいていると思いますか? 今日はそちらを発表いたします。まぁ、そんなにドキドキしないですかね(笑)。実際、こんなかたちです。
(スライドを示して)じゃん! 包み隠さずお出しします。まずは1回で合格した方。つまりeラーニングを受けていただいて、場合によっては法人研修をリアルで受けていただいた後にこれを受けていただく場合もありますが、1回合格は36パーセント。つまり一発で受かる方は3分の1なんです。

ちょっとこれは自虐と言いますか講師である私自分の実力不足なのかもしれませんが、1回で合格する方は3分の1だけなんですよ。そして2回で受かる方は29パーセント。これでだいたい6割。3回、4回というところで75パーセント。残念ながら未合格という方が23パーセントというところで、4分の1くらいの方がいる。
こういったかたちで今の我々の努力では、研修で75パーセントくらいの方に、我々の基準の中での「課題発見の達人」になっていただきます。つまり、課題発見ができるようになっていただくということです。
ただ、ちょっと言い訳かもしれませんが、未合格の方の中には1回も課題を出していない方もけっこう多いんです。「(映像講義の内容を)聞ければオーケーだ」という方もいらっしゃいますので、全員が全員、課題を出したけど受からないというよりは、出さずに終わってしまう方がそれくらいいると。
「絶対に合格するぞ! この研修はみんな合格してね」という立ち位置でちゃんとやっていただいた企業さまで言うと、(スライドを示して)こんな結果もあります。いろいろな会社で「課題発見の達人」を導入していただいていますが、企業別の合格率というところで、「みんな合格するんだ!」と気合を入れていた企業の場合、A社は100パーセント、B社は100パーセント、C社は93パーセントでした。一方でD社は61パーセント、E社は56パーセントでした。
つまり、気持ちや気合いがあればみなさん合格できる。ただ、一発合格は3分の1くらいなので、そんなに簡単ではありません。
「仕組み」面がまず大事ですが、さらに「コンテンツ」面では何を学ぶことに我々はこだわっているか?
課題発見の3つの方法論
課題発見の方法論は、正直いろいろあります。プロセス論(問題解決思考)なら、「現状分析」「問題分解」「原因分析」「課題抽出」「解決策立案」という順番で考えていきます。システムアプローチ(循環思考)なら、ぐるぐる図を描きます。そしてイシュードリブン(論点思考)もあります。これらはそれぞれ重要だと思うんですが、我々がどう捉えているかを見ていきましょう。

まずはプロセス論です。これは課題発見の基本です。ステップ0が「現状分析」、ステップ1が「問題分解」、ステップ2が「原因分析」、ステップ3が「課題抽出」、ステップ4が「解決策立案」です。

プロセス論は大事なんだけど、ただ、このプロセスを学べば何でもオーケーかというと、そんなことはないですよね。これを重視しすぎるとこんなことが起きてしまいます。あるあるなケースです。

順番(形式)を守ることで満足してしまう。(スライドを示して)こんなガッツポーズをする方がいるかはわかりませんが、つまり中身が大事なんですよね。プロセスを学ぶよりも、ちゃんと中身を考えられているかが大事です。なので、プロセス論も大事だけどそれだけじゃない。
次に、システムアプローチなら、ぐるぐる図を描きます。これはいいじゃないですか。物事を俯瞰して考えることができる。「こんな問題があって、ここに原因があって、こうつながっているぞ」と。ただ、これは自分で作るのはいいんだけど、他の人が作ったのを見るのが難しいのと、これを描いてみたけど結局どこを直すのかの意思決定が難しい。

(スライドに映っている人は)頭を抱えちゃっていますが、ぐるぐる回っているけどどこを直せばいいのかがなかなか決められない。ケリをつけたい、つまり課題を明らかにしたいけどなかなか難しい。
イシュードリブンで課題を「仮説」として立て、証明する
そして、イシュードリブンです。イシューや論点。「何が一番重要な問いなんだ? イシューは?」と。そしてサブイシューに分解する。事実を確認して、生産性の高い働き方を実現する。

けれども経験がないと、「イシューは何かがわかればいいんだけど、イシューは何なのよ?」と、なかなかイシューを特定できない。また、スキルが高くないと特定できない。「経験がないとこの方法が使えないという話だと、なかなか私には難しいかな」となってしまいます。経験や知識がなくても技術で課題発見がなんとかできるようにしなきゃいけないし、そうなりたい。

(これらの方法論には)それぞれいい点はあるんですが、我々としてはそういった課題感を持って、シンプルな課題発見のプロセスを学ぶ。つまり先ほどのぐるぐる図のようにちゃんと問題の構造を俯瞰する。でも課題が何かにケリをつける。そして経験やセンスではなく技術として身につける。それが我々の提供している課題発見のプロセスです。

けっこう厳密に言うと、みなさんのお仕事で対象物となるものがあって、情報認識をして、構造化をして、質問して、これが課題だと決める。決めるためにはやはり「これが課題じゃないか?」というところをちゃんと仮説として出して、それを証明しなきゃいけない。
つまり、仮説を検証しなきゃいけない。「これが課題じゃないかな? ○○を直せば問題が解決するんじゃないか?」。スライドの左側に書いていますが、これが課題に関する仮説です。論点と言ったりイシューと言ったりします。
そして、「その論点を明らかにするためには何を明らかにしなきゃいけないか?」をサブ論点と言います。(最終的には)「サブ論点に答えるためには何に答えなきゃいけないか?」というところにいきたい。

でも一番難しいのは「何が一番ポイントなのかな?」という①番の仮説(論点)です。それは外したくないけど、どうやったら出せるのか? そこを学ばなきゃいけない。
そして、それを分解する。「この論点にケリをつけるためには何に答えなきゃいけないか?」。そこを分解したいけどパッと出てくるわけじゃないから、「どうやって分解すればいいか?」まで踏み込んでやらないと、単に整理しただけになっちゃうので、「これは課題だ」というところまでいけない。そこまで我々のサービスや研修では踏み込んで学んでいきます。