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問題解決の前に必要な「課題発見力」を身につける方法 ~「分かった」ではなく「できる」を目指す課題発見トレーニング(全4記事)

部下の学びが定着しないのは教える順番が間違っているから 社員研修のプロが教える“逆転の学習法”

【3行要約】
・社員のスキルアップのために社内研修を実施しても、「現場での活用イメージが湧かない」と受講者に言われてしまい、満足な効果を感じられないケースは少なくありません。
・スキルベースの高松康平氏は、部分の説明をしても全体像につながっていないのではないのではないかと、従来の教え方を疑問視します。
・現場の実践力を引き出すために実践したい、教え方のテクニックを紹介します。

前回の記事はこちら

「仕組み」と「コンテンツ」の視点で課題発見力を鍛える

高松康平氏:(社内研修がふわっとした内容になってしまうよくある理由の)最後に、「課題発見の方法が難しい」です。簡単じゃないんですよ。だからそれをどうわかりやすく伝えるか。これはコンテンツの問題です。

というところで、こういった問題をクリアするために我々はどう考えているかをご紹介したいと思います。大きく言うと「仕組みの問題」と「コンテンツの問題」というところで、それぞれ見ていきます。

じゃあいきましょう。(スライドを示して)まずは「どう学べば身につくのか仕組み」という、仕組みの話です。この仕組みの話も先ほどいろいろ出ていましたが、ポイントを3つに分けています。

ポイント①は「教え方」です。言い方を変えると「学び方」になります。ポイント②は「演習」です。ポイント③は「添削」です。このあたりが大事だと思っています。じゃあ、1個ずついきましょう。

ポイント①は「教え方」です。よくある研修の教え方だと、先ほど言ったように(受講生の感想が)「活用イメージが持てません」となることがあります。どういうことなのか?

部分から入る研修では、全体像がつかめない

(スライドに)「一般的な研修の流れ」と書いています。何が一般的かは人によって違うかもしれませんが、研修でよくあるパターンとして、まずいろいろなテーマで「基礎講義1」をやって「ミニワーク1」をやって、「基礎講義2」をやって「ミニワーク2」をやっていきます。最後に「総合演習」で実践してみます。

こういう構成はよくあると思うんですが、つまり部分部分の練習をして、最後に全体を確認します。これだと最初の「部分」のところが何のためかという活用イメージが持てず、全体像がつかめないまま総合演習にいっちゃっています。なので実務で活用ができない、もしくは活用イメージを持てない。

つまり、どう活用するかという全体像のイメージを先に持ってもらって部分をやらなきゃいけないのに、部分部分(の説明をしてから)全体の説明をしても、部分が全体につながらない。部分と全体の関係が明示されていないと使い方をイメージできません。でもこれは意外とあるかなと思っています。

実践から入る教え方

じゃあどうすればいいかなんですが、「こんなふうに学びは設計すべきだ」という、(M・デイビッド・)メリルさんという方が作った「5つ星インストラクションの条件」という理論があるんですよ。

①課題では、研修の最初にリアリティのある課題に挑戦させる。「こんな時はどうしますか?」と。②活性化では、今までも問題解決をやってきているはずだから、今までの知識を動員してどうやるかを1回考えてみる。③例示では、じゃあどうすればいいかの例示をする。④応用では、応用するチャンスということで、さらにどうやって応用するか。⑤統合では、現場で活用し、振り返るチャンスがある。

つまり、先に1回やってみて、そこをベースにしながら「こんなやり方もあるよ」というのを学んで、実際にそれを活用して、応用して、統合的に使う。これがこの理論に従った研修のやり方なんですけど、(一般的なものが)そうなっているかというと、そうなっていないことも多いですよね。

これはいきなり課題や得べきお題が出てくるから、ちょっと怖いっちゃ怖いですよね。「そんなの、いきなり解けないよ」と。でも、そんなことはないんですね。仕事の中でいろいろな経験をされていますし、課題をよく読めば、何かしら想像しながら「こんなふうにやろうかな?」となります。

いったんやってみてそこからつかんでいくのが王道なんです。だから、まずはこういう教え方をしなきゃいけない。

演習に必要なのはリアリティ

そして演習ですが、最初に課題を出したり、途中や最後にまた演習をやったりすることがあります。私の感覚ではありますが、(スライドを示して)これは一般的な演習内容としてありがちなものです。

「あなたは街のパン屋さんの店長です。今年に入り売上の低下に苦しんでいます。地域のみなさんに愛されるパン屋さんを目指して手頃な価格でおいしいパンを提供してきました」

「しかし、コロナ禍の影響もあり商店街の活気も落ちてきてしまいました。また、新しい競合店やコンビニなどの存在も気になっています」といういろいろな情報があって、「あなたならこの問題をどう解決しますか?」と。

けっこう抽象的というか、文章量が少ないケースもけっこうありまして、それだと何を求められているかピンと来ない。演習にはある程度のリアリティが必要です。別にパン屋さんでもいいと思うんですが、ただ、研修を受けられる方でパン屋さんをやっている方がどれくらいいるかというと、ちょっと少ないのかなと。だから、やはりもうちょっとリアリティのあるケースで学ばないといけない。

自分と同じ業界のことではなくてもいいと思いますが、やはりまずは型を身につけることが大事なので、そのケース自体に(受講生にとっての)リアリティがないと、情報量が少なすぎて考えづらいです。なので我々はリアリティにこだわっています。

いろいろな企業さまで研修をする時には、実際に現場取材をして、そこでケースを作ってやらせていただいています。

そうすると、実際の話だからリアリティがないわけがないんです。こんな取り組みもしているという、ケースを作って終わりではなくて、我々はリアリティを大事にしているというのがお伝えしたいところです。

添削で信頼関係が崩れる「採点基準を示さない」という失敗

(研修では)教え方の順番が大事です。演習ではリアリティが大事です。そして添削。(けれども一般的な研修では)添削はあまりやらないですよね。添削をやってほしいのにやってくれないのはなぜか? 大変だからです。まず、それがあるんですよね。それで添削をやればいいかというとそうでもないんですよね。やり方がある。だから、やることは大事だし、やり方も大事です。

じゃあどういうやり方が大事か? やり方を失敗するケースとしてこういうことがあります。みなさんが研修やeラーニングを受けて、「レポートを出してください」と言われたとします。みなさんが受講生だとしましょう。どんな気持ちになるか? 「このレポートはどこまでのレベルが求められているのかな?」「何枚で?」「どれくらいガチでやるの?」みたいな。

私はそんなことは思いませんが(笑)、一般的に講師側の先生は、「添削は大変だから、みんながしっかりと取り組んでくれるといいな」と思っています。その先生の気持ちも何となくわかるんです。正直、添削って大変なんです。だから、みなさんに対して「しっかりと取り組んでほしいな」と思っています。

(そして課題を)出していただくと、たまにこんなことが起きてしまう。先生が添削していると、「あれ? みんな、もう少しがんばってくれると思ったのにな。『ここができていない』と、厳しく添削をがんばっちゃおうかな」と思ってしまうことがあります。

そして受講生に返すと、「え? そういうことが求められていたの? 先に言ってほしかったな」と思われてしまいます。受講生は「せっかく添削してもらったのに」、(先生は)「せっかく添削したのに」というすれ違いが起きてしまいます。

ということで、費用対効果が悪いと言いますか、信頼関係が失われると言いますか、「せっかくがんばったのに」「せっかく添削したのに」「せっかくお金をかけたのに、あらら……」ということが起きる。

なぜなのか? 講師側や研修の提供サイドが「こういうことを求めるよ」という採点基準を事前に出していないからです。(もちろん受講生には)フルパワーでがんばってほしいけど、受講生は「どこまでがんばるか」「何に気をつければいいか」がわからない。

採点されて戻ってきた段階になってようやく、「そういうことが重要なのね」と気づきます。「だったら先に言ってよ」となります。つまり採点の効果・効率を上げるためには、ルーブリック(採点基準)を共有して、何を求めているかを事前に明示してください。

大学の「ルーブリック」に学ぶ、採点基準の事前共有

意外と、企業研修や社会人教育ではこれをやっていません。これは今、大学でもめちゃくちゃしっかりやられているところがありますからサボっちゃいけません。

大学などのレポート提出の際には、ルーブリックが提示されています。「ライティングや論文、レポートを書いてください」と、(採点基準として)レベルがちゃんと出されている。めっちゃいいじゃないですか。だから社会人教育でもこういうかたちで採点の機会をちゃんと作り、ちゃんと採点基準を明示しましょうということです。

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