【人生の損失】「テイカー」の正体。9割が勘違いしている「搾取」の構造を徹底解説(全2記事)
職場にいる「テイカー」の正体 「勝手な期待」が引き起こす人間関係のトラブル
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【3行要約】
・職場で「テイカーに搾取された」と怒る人と、円滑に協力し合える人。その違いは相手の性格ではなく自分の中の「暗黙の期待」にあります。
・木下勝寿氏は「搾取とは相手が奪ったというより、自分の期待が回収不能になった時に感じる痛みだ」と、構造的な勘違いを指摘します。
・お互いが被害者になる「確認不足」を防ぎ、角を立てずに「好意か見返りか」の前提をすり合わせるコミュニケーション術をお伝えします。
「テイカーに搾取された」は本当? トラブルの影に隠れた構造的勘違い
——前回の『誤解される覚悟』の動画がすごく反響があったので、もっとおうかがいしたいと思います。実は私も最近、優しいと思っていた職場の人がテイカーで、気づいたらすごく搾取されていたんです。
木下勝寿氏(以下、木下):なんかあったんですか。
——「これ手伝って」とか「これやって」って言われて、その度に断れなくてやっていたんですけど、気づいたら私ばっかり手伝っている状態になっていました。私が忙しい時に「これ手伝って」って言っても普通に「ごめん、今無理です」で終わって、すごくムカつきました。これ、完全にテイカーに搾取されていますよね! テイカーに搾取されない方法、教えてほしいです!
木下:これ、めちゃくちゃ多い相談なんですね。前回の動画でもお話しした内容を今日は詳しくお話ししたいと思います。最初に言っておくと、テイカーが悪いだけで終わる話ではぜんぜんないんですよね。むしろ多くの場合、搾取されていると感じる状態自体が勘違いで起きていることがけっこう多いんです。
——私、勘違いなんかしていないですよ! 狡猾なテイカーにやられたんですよ~。
木下:その可能性も0ではないかもしれません。ただ、相手の性格の話で終わらせてしまうと、同じことが何回も起きます。逆に言うと、この搾取されている状況を構造で理解できると、次からは自分で防げるようになります。なので、今日はそもそも搾取はなぜ起きるのか。どうすればもう繰り返されないのかってことを整理したいと思います。
この構造がわかると「搾取された!」とか「テイカーにやられた!」っていう状態が起きなくなってくるかなと思っています。
——本当ですか! ぜひ教えてください。
「ギブのみ」と「ギブ・アンド・テイク」を混同すると事故が起きる
木下:搾取されたって言葉なんですけど、この言葉を最近よく聞くと思います。仕事でも、友だちでも、恋愛でも、家族でもですね。ここで1回冷静に考えていただきたいんですけど、搾取って実際に何が起きている状態なのかってことですね。今日はそれをめちゃくちゃわかりやすく整理してお話しします。
結論から言うと、搾取の正体っていうのは、だいたいギブだけを求められている関係をギブ・アンド・テイクと勘違いしている。ここからほぼ起きているんですね。最初に大事な前提なんですけど、ギブだけを求められる関係って、実は別に悪い意味ではないんですね。
例えばボランティアとか寄付。これはギブだけを求められている状態ですね。ボランティアや寄付をした人が「見返りないんですか。搾取じゃないですか?」って怒ることはほぼないと思います。なんでかっていうと、最初からギブのみだってわかっているからなんですね。
だから「ギブしてください」って言われたとしても、余裕がなければ「ごめんなさい、今できないんですよ」って言うし、余裕があれば見返りなしでもやる。これがギブだけを求められている状態との付き合い方になります。なので、ギブしなくても相手も怒らないですね。
「寄付してください」って(言われて)「すいません。今ないんです」って言っても、別に相手の人は怒らないってことですね。ここではトラブルって起きにくいんですよ。

——前提を掛け違えていたかもしれないです。
木下:でも厄介なのが、日常的にある「ちょっとこれ、手伝って」とか「ちょっとこれやってくれない?」とか「お願い、助けて」っていうやつですね。こういう依頼ってギブ・アンド・テイクなのかギブのみを求められているのかが、ちょっとわかりにくいんです。だから事故ることがあります。
「勝手に積み上がる暗黙の期待」とは
木下:例えば、同僚に「この資料、作るの手伝ってくれない?」って、頼まれて作りました。内心は「次、私が困ったら助けてくれるよね」と思っています。でも、相手の人は「助かった。ありがとう」で終わりました。
次、あなたが困った時「ごめん、今自分の抱えている仕事が忙しいので」って断られたりします。この時、「搾取された」って感じるかもしれませんけど、相手からすると「無理なら断ってくれればよかったじゃん。それだったら他の人に頼んだのに。頼んだのは好意でやってくれる前提で頼んだんですよ」って話なんですね。つまりこれ、どっちもどっちの状態になっています。
——すごく私の話だなと思いながら聞いていました。
木下:ここで個人的に強い話をしますけど「搾取された」と感じる人って、相手が悪いというよりも、自分の中に暗黙の期待が積み上がっていることが多いんですね。暗黙の期待って何かというと、例えば「手伝ったんだから評価されるはず」「動いたんだから何か返ってくるはず」「時間を使ったんだから得するはず」。期待自体は悪くはないんですけど、口にしていない期待っていうのは、相手からすると存在していないのと同じなんですよ。
だから、回収できなかった瞬間に「痛い!」っていう状態なんですね。この痛みが搾取という感情になります。つまり搾取っていうのは、相手が奪ったというよりも、自分の期待が回収不能になった時に感じる痛みのことなんですね。これ、めちゃくちゃ重要です。他にも例を出します。
例えば友だち関係で、友だちが「引っ越しを手伝って」って言います。あなたは半日潰して手伝う。内心「ご飯ぐらい奢ってくれるよね」って思っていました。でも友だちは「ありがとう! じゃ!」で解散になりますと。これでイラっとする。でも友だちの頭の中では「友だちだから手伝ってくれると思っていた」で終わっている。この時点で期待のずれっていうのがあります。
家族・恋愛・職場…「言わなくてもわかる」が人間関係をややこしくする
木下:例えば、親の介護とか家事とか兄弟の世話とかですね。歳をとってくると こういう問題が起きてきます。よくあるのが、遺産相続の時に「親の面倒を見ていたのは自分なんだから、当然自分が多くもらうべきだ」と思っていた。ところが、他の兄弟はそう思っていなかったってことがあります。
ここで重要なのが「家族だから言わなくてもわかる」ってことですね。家族だからこそ言語化しないと地獄になっていきます。あと、恋愛での「尽くしすぎ」ですね。相手に尽くして、予定合わせて奢って優しくして「これだけしてるんだから大事にされるはず」と思っているんだけど、相手は慣れていって、そして雑になっていきます。結果搾取されたっていうのはありますね。
また「これだけ付き合っているんだから結婚できるはず」って思っていたんだけど「結婚する気はないよ」って言われたとかね。これも期待が合意されていないパターンになっていきます。
ここで厄介な話があるんですけど「搾取された」って言われる側も、ある意味犠牲者なんですね。なぜなら、期待が合意されていないのに、相手に見返りがないって言われている状態。つまり、していない約束を破ったみたいに責められている状態なんですね。これ、正義と正義がぶつかるんです。こっちは善意で手伝った。こっちは頼んだだけで約束をしていない。これは揉めますよねってことです。
実際のマネジメントの現場で、私自身に起きた話です。部下の人にイレギュラーな仕事をお願いしました。「これ、ちょっとできるんだったらやってくれる?」って言いました。その部下が「わかりました!」って元気に言ってやってくれたんですね。その瞬間、「ありがとう」って感じでやってくれたらよかったなぁと思ったんですけど。
一方で、実はその仕事をした代わりに、彼は本来の自分の仕事をほっぽり出していたんです。基本的に評価する際は本業を中心に見ていきますので「あれ、本業の仕事をちゃんとやっていないな」ってことで、この人の評価は下がったんですね。
「テイカー扱い」された相手も実は犠牲者だった
木下:でも本人からすると「言われたことをやったのに評価が上がらずに搾取された」って怒っていたんですよ。でも本来、本業のほうが大事なので、本業に影響が出るぐらいならイレギュラーな仕事は断るか、「本業に影響が出てもいいか」って本来確認すべきなんですね。
ところがその人はまだ社会人歴が浅くて、よくわかっていなかったんですね。これも確認不足から起きています。
よく言うのが「そんなの上司から言われたら断れないですよ」って言うんですけど、断れないんだったら断れないなりに「その代わりこれがなくなってもいいですか」ぐらいは聞けますよねって話なんです。
今後、じゃあどうなっていくかっていうと、めんどくさいのでその人に(仕事を)頼まなくなっていくんですね。彼に頼んだら本業がほっぽり出しになったり、もしくはそれに対して不満を感じたりするところでいくと「この人には頼まないでおこう」みたいな感じになっていきます。
よって、その人には与えられる仕事が減って、成長の機会っていうのが減っていくんですね。なので、よく考えてほしいのが「搾取された」って言っている人って、相手からすると「そんな約束していたっけ」って思われているんですね。「この仕事をしたら他の仕事をしなくていいなんて言ったっけ」っていうのが頼んだ側の気持ちです。
「『これ、やってくれたら私もあなたの仕事を手伝う』なんて言ったっけ」とかですね。「『親の面倒を見てくれるから遺産相続を多めにする』なんて言ったっけ」ですね。「善意でやってくれていると思っていた」っていうことが起きます。そして「今後はあの人には二度と頼まないでおこう」とか、「あの人は見返りがないとやらない人だ」と。「タダより高いものはない」って思われています。
これ、めっちゃ関係悪化するんですよ。なので、あなたが「搾取された」と感じていること自体が、実は自分の立場を自分でさらに追い込んでしまっていることになっています。
——まさに私が今思っていたとおりだったので、搾取された自分が被害者だと思っていましたが、自分が確認不足で相手も被害者になっていたんだなと反省しました。
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