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まだ才能だと思ってる? 地頭を3週間で伸ばせる「思考の型」(全4記事)

3週間で“地頭がいい人”になるためのトレーニング法 課題解決力を高める3つの視点

【3行要約】
・北の達人コーポレーション 代表取締役社長の木下勝寿氏が、未経験の課題でも正解を作り出すためのフレームワーク「モ・ゲ・ジョの法則」を紹介します。
・「モ・ゲ・ジョの法則」は「目的(モクテキ)」、2つ目が「現状(ゲンジョウ)」、「条件(ジョウケン)」を整理することであり、これによってスピーディーな判断ができるようになると木下氏は語ります。
・目的・現状・条件を整理して正解を作り出す習慣や、組織全体に共通言語として定着させる思考の実践ノウハウを解説します。

前回の記事はこちら

広告制作を「モ・ゲ・ジョ」で考えてみると

木下勝寿氏:モ・ゲ・ジョを見ていないとどうなるかというと、例えばあなたが上司から「この商品の新しい広告を作ってください」と指示されたとしましょう。同じ指示でもモ・ゲ・ジョを見ているかどうかで取り組み方が大きく変わってきます。

モ・ゲ・ジョの「モ」、広告を出す目的は、「売上が上がる広告を作ること」です。しかし、知頭モードのまま(取り組んでしまい)モ・ゲ・ジョを見ていないと、いつの間にか広告を作ること自体がゴールになってしまいます。そして「他の広告を参考にして広告を作ろう」と、自分好みのデザインだったり、他の広告とそっくりの広告を作ったりしてしまいます。

広告の世界でよく言われる失敗話があります。「僕は自動車の広告を作った経験が豊富です」という人を採用して高級スポーツカーの広告を作らせたら、「安い! 燃費がいい!」みたいな広告を作ってしまうというものです。

要は同じ車でも、高級スポーツカーと軽自動車では(目的が)ぜんぜん違うんですね。この人は「売上を上げる」という広告の目的を見ておらず、知頭モード特有の「前にやったことをそのままやる」というパターンに陥っています。

この(スライドの)表にありますように、軽自動車の広告と高級スポーツカーの広告はそもそも目的が違いますよね。

軽自動車の広告は、軽自動車を売ることが目的です。高級スポーツカーの広告は、高級スポーツカーを売ることが目的です。じゃあ、軽自動車を買うユーザーというのは現状として、安くて燃費の良い自動車を求めています。高級スポーツカーの広告を見ているユーザーは現状として、見た目が格好良くて加速性が高い自動車を求めています。

条件になってくると、軽自動車は「安さや燃費が伝わる広告を作る」というのが条件になります。そして高級スポーツカーの広告を作る場合には、「見た目の格好良さや加速性が伝わる広告を作る」ということが条件になってきます。

この表のように、軽自動車の広告と高級スポーツカーの広告はモデルがまったく違うんですね。広告の賞を取った受賞作品を見ると、映像作品としてはおもしろいけれども、これを見ても別に買いたいと思わないなという広告がけっこう入賞しているんですね。完全に業界全体が知頭モードになっているんですね。

目的を適切に把握しないと的外れな打ち手に

例えば、Web広告はクリックされるためのものですけれども、「クリック率の高い広告を作りましょう」という時も一緒ですね。

「ギミック広告」というんですが、クリック率を上げないといけないからといって、「これをクリックすると驚きの真実が!」みたいな、(広告を見た人を)驚かせたり煽ったりするような言葉を使っている広告があります。けれどもこれでクリック数が増えても、購入に至らなければ意味がないんですね。広告制作の目的は、広告を作ることじゃなくて、その広告で商品の売上を上げることです。

次に、現状を把握します。「今のクリック率や購入率がどうか」「どんな訴求で誰に向けて広告を出しているか」を確認して、何を改善すべきかを特定します。

最後に、条件を決めます。クリック率だけ上げても購入率が落ちたら本末転倒という前提があるからこそ、購入率を維持したままクリック率を改善する広告を作るのが条件になってきます。なので、「クリック率を上げましょう」と言われても、「この目的は何なんですか?」ということを確認しないとやり方が間違っていくということですね。

「モ・ゲ・ジョ」で考えると打ち手が変わる

最初に例題として出した、売上が落ちている飲食店の例を取り上げたいと思います。

飲食店の売上が落ちています。この時、知頭モードだと「最近はSNSが有効だからインスタをやりましょう」「今は麻辣湯がはやっているからそれを新メニューに入れましょう」「広告を打ちましょう」といった反応になります。要は知っている例や思いつきで言ったりします。

でも、モ・ゲ・ジョで見るとぜんぜん変わってきます。まず目的は「売上を元に戻すこと」です。現状をいろいろ調べました。(すると)ディナー売上は落ちていないんだけれども、ランチ売上が落ちています。

ランチ売上が落ちている理由は、ランチ客数が減っているからです。ランチの時間帯に店前の通行人数は減っていないんだけれども、入店者が減っています。どうも近所にテイクアウトできるファストフード店ができて、そこが人気になっているようです。この目的と現状に照らし合わせると、条件としてはテイクアウトメニューを作るということになってくるかもしれません。

メニューを変えるといっても、人気があるはやりのメニューにするのではなくて、テイクアウトできるメニューにしなければいけないんですね。つまり正しい打ち手を出せる人とは、頭がいい人というよりも問題の位置を正しく見つけている人なんですね。

この飲食店の例は、飲食店の経験がなくてもできますよね。私自身も飲食店の経験はありません。でも飲食店の売上は客数と客単価で成り立っているのは、ちょっと考えればもちろん経験がなくてもわかりますよね。知らないからわからないではまったくないんですね。モ・ゲ・ジョを見ていけば、誰でもまったく未経験の経営課題を解決することができるということなんですね。

それらしい正解よりも、それぞれの最適解を探す

では、具体例の3つ目にいきたいと思います。ここで仕事とまったく関係ない話をします。子どもの塾選びですね。例えば、子どもの成績が下がってきて、「塾を選ばなきゃ」という時です。この時に多くの人は評判のいい塾や近所で有名な塾、友だちが通っている塾を探したりします。でもこれも、モ・ゲ・ジョで見ると変わってきます。

まず目的は「成績が下がっているので戻したい」ですね。現状は、「数学がどうも悪い。理解はしているけど、復習をしないので忘れている」。つまり理解はできているんですが、家にいるとサボってしまう性格なので忘れちゃうというところです。今度は、条件としては、数学の補習に強い塾で、その場で強制的に演習して定着させる自立学習型の塾が良さそうだなという話ですね。

ここまで来ると、「この子に必要なのは有名進学塾ではなくて、宿題管理が手厚い個別塾だな」「塾じゃなくてまず生活リズムの立て直しだな」「家で親が直接管理したほうが確実だな」といった答えが見えてきます。つまりそれっぽい正解じゃなくて、この状況に合う正解を作る。これが地頭なんですね。

「モ・ゲ・ジョ」を習慣化するカギは「3週間」

まず、この地頭の型を日常のあらゆる仕事に当てはめて習慣化させましょうということですね。これが日常的にできるようになってくると、どんどん地頭が良くなってきます。これは簡単ですね。今まで反射的に答えていたものをモ・ゲ・ジョに当てはめて考える癖を作るだけなんですね。

大事なのは習慣化です。私の実感では、少なくとも3週間ほど意識的に使う必要があります。人間は3週間ずっとやり続けると、それが習慣になっていって無意識に(できるように)なってきます。なので、最初の3週間だけは意識的にやっていきましょう。仕事のたびに「『モ』は何? 『ゲ』は何? 『ジョ』は何?」と常に問いかけてください。

3週間を超えていくと、「目的・現状・条件を確認してから答えを出す」という地頭の思考回路が少しずつ自分の身についていきます。ある問いに対してある答えが出たとします。その答えの裏側には必ず、「『モ』、どんな目的だったか。『ゲ』、どんな現状だったか。『ジョ』、どんな条件で判断したか」が存在します。なので、今日からモ・ゲ・ジョを意識していっていただきたいと思います。

詳しい分野ほど「モ・ゲ・ジョ」を確認し忘れやすい

「バカバカしい。そんなのは意識しなくてもやっているよ」と思った方もいるかもしれませんが、しかし本当に毎回できているかということですね。上場企業社長の私ですら時々複雑な問題に取り組んでいたり、複数でディスカッションしながら物事を決めたりする時に、ふと気づくと目的からずれていることってけっこう多々あるんですね。

特に自分が詳しい分野においては、わかっていると思い込んでしまっていることによって、あらためてモ・ゲ・ジョを確認しなかったためにずれてしまうことってけっこうよくあるんですね。

人間というのは感情の生き物なので、常にそれを意識するためにモデルを確認するプロセスを踏んだほうが圧倒的に正しい答えが出せるようになります。

偉そうに言っていますけれども、私も仕事を離れた時や遊びの企画などを立てる際には、何をどういう手順で考えているかぜんぜんわからないんですね。なので、過去にやったことがある遊びをもう1度やったり、他の誰かに「おもしろいことはないか?」と聞いたりしており、完全に知頭モードになってしまっています。なので今回、この動画を作る時に台本を書いていて、「遊びの企画を立てる時にもモ・ゲ・ジョをやればいいんだ」って自分で気づいたんですね。

あと、リーダー層の人はこれを自分が使うだけではなくて、ぜひメンバーの方にも普及させてください。その際には、「必ずモ・ゲ・ジョで考えて」「その答えってモ・ゲ・ジョに当てはまっていないよ」と、共通言語にしていくことが大事です。それによってチーム全体の地頭が良くなってきます。


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