【3行要約】 ・生まれ持った能力と思われがちな「地頭の良さ」は、実は脳のスペックではなく、切り替え可能な「状態」の問題に過ぎません。
・北の達人コーポレーション 代表取締役社長の木下勝寿氏は「地頭に発想やひらめきは不要」と語り、目的・現状・条件を整理する「モ・ゲ・ジョの法則」を提示します。
・過去の正解を探す知頭モードを脱し、未知の課題に対しても再現性高く最適解を作り出すための具体的な実践ノウハウを解説します。
前回の記事はこちら 自分が「知頭モード」か「地頭モード」かを診断する
木下勝寿氏:ここで、みなさんは今、知頭状態なのか地頭状態なのかを診断したいと思います。「今、どっちなのかなぁ?」と思ったかもしれません。簡単に判断する方法を教えましょう。

まず、あなたは今、ある飲食店の社員だったとします。店長さんから「今、売上が落ちてきている。元に戻すための施策を何か考えて」とお題が与えられました。あなたはいったいどんな行動を取りますか? これであなたが今、知頭モードか地頭モードかがわかります。
まず仮に、「売上が落ちているんだ。じゃあ、販売促進をしましょう」と、過去に販促を行って効果が出たものを全部洗い出していきます。確かに以前このお店でやって効果的だったものは、今回も効果的である可能性が高いですよね。
それと同時に広告代理店に連絡しました。すると広告代理店の人が「最近はSNS広告が旬で、飲食店とSNS広告は非常に相性がいい」と言うので、最新の販促メニューを提案してもらいました。これらの販促案をまとめて店長に提案しました。きっと販促効果があって売上が元に戻るだろうと思いました。
このように考えた人、もしくはこの行動を「それでいいんじゃないか」と思った人。残念ながらあなたは今、知頭モードになっています。なぜなら、過去にやったことや他人に聞いた答えですべてを対応しようとしているからなんですね。

知頭モードの考え方は、「知っている問いや経験したことがある問いに出会った時には、すでに知っている答えをそのまま当てはめる。知らない問いや未経験の問いに出会った時は、過去の似た問いの答えを当てはめる。似た問いがなければ、他人に答えを聞いてそのまま採用する」ということですね。まさに今、その行動をしていました。
地頭モードの人の行動の違い
では、地頭モードの人はどう考えるんでしょうか? 店長から課された「売上が落ちてきたから元に戻すための施策を考えて」という課題の目的は、売上を元に戻すことです。「売上が落ちている」には理由がありますよね。ここに対して対策をしなければ販売促進活動をしても売上がまた落ちる可能性があります。

なので地頭モードの人は、売上好調時と今とでは何がどう違うかを確認します。例えばお客さん1人あたりの売上が下がっているのか、来店客数が減っているのか。客単価が原因だったら、注文品数が減っているのか、単価が安いものが注文されているのか。
来店客数が減っているんだったとすると、新規客が減っているのか、リピート客が減っているのか。新規客が減っているんだったとしたら、店の前を通る人数が減っているのか。店の前を通る人数は減っていないけれども、入店数が減っているのか。このように課題を突き詰めていくと、闇雲に販売促進をやってもいいというわけではないことがわかります。
例えば、店の前を通る人は減っていないんだけれども入店数が減っているんだとすると、最近できた近所の競合店にお客さんが流れているのかもしれません。その場合は競合店を視察して、その店との競争に勝つためのメニューやキャンペーンを実施したり、店前の看板やポスターでアピールしたりすることがけっこう必要になってきます。

それをせずに、過去に効果があったというDMを打ったり、最新のSNS広告を打ったりしても効果はないんですね。仮に効果があったとしても、そこで戻ってきたお客さんはライバル店にまた流れていく可能性があります。これはライバル店の売上を上げるのに協力してしまっているんですね。ライバル店に流れているのを止めないといけないんですね。これが知頭モードと地頭モードでの考え方の違いです。